◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2003/12/ 3 http://dndi.jp

愚直一徹の教え

DND事務局の出口です。師走。周辺が、にわかに慌しさが、加速しています。こんな時期は、一歩、踏み間違うと、大変ですから、段取りと密な連携が、不可欠です。油断は禁物。先手必勝。早め早めの対応が求められます。ぴちっと、決まると快感ですし、次の動きが軽やかになりますね。


告知の通り、12月11日開催のDNDセミナー「日本の技術と日本人」では、東京メトロポリタンテレビジョン、通称、MXTVからカメラクルー2班が録画取材に入ります。


いや、DNDセミナー3時間余りの内容を、どのように1時間内に編集するのか、そして、どんな番組の構成になるのか、わくわくしていると、プロデューサーの鈴木純さんから、事前の録画取りがしたいーとのお申し出を受け、指示のままに、登壇者らのスケジュールを調整し、昨日正午すぎから、夜遅くまで、霞ヶ関のDND事務局のある会議室が、にわかスタジオになっていました。


午後13時。トップバッターは総括講演の経済産業省産業再生課長の石黒憲彦さん。「出口さん、さくっといきましょうね」と前もっての打ち合わせの通り、時間通りにスタオ入り。司会は、MXの幸下信也さん、31歳。石黒さんは、手際よく、4つの質問にぱぱっと明快に答えていました。テレビ慣れしているのかなあーと思いきや、2台の照明を受けて額から汗が吹き出ていました。さっと片付けて、足早に喧騒の街へ。


15時。DNDの紹介のため、撮影クルーは小生の秘密基地に潜入。黒田郁彦カメラマンが狭い小生のデスクあたりを右に左に動いて、「では、始めます」。モニターテレビに、巨漢で大きな顔がクローズアップ。憎らしさと、ふてぶてしさが見事に映し出されていました。「モニターは通常の1.5倍のスケールで映りますから」の言葉は、余り、慰めにもなりません。冷や汗もののデビューでした。パソコン画面から、起業サービスのコンテンツを抜き取って、さらに、この写真ありません?執拗な素材集めに、「そこまでやるんだ」と感心しました。


16時。こちらも定刻通り。琉球大学農学部教授の比嘉照夫さん。子息の新さんを伴っての登場です。経済産業研究所の11階のエレベータを降りて、理事長の岡松壯三郎さんの部屋へ直行。部屋で向かい合わせに、環境、エネルギー問題へのキャッチボールが始まり、10分の予定が一時間、カメラクルーも途中で引き上げてしまうほどでした。なかなか、岡松さんの間がいい。聞き上手でした。かつての「時事放談」の趣がありました。


17時。スタジオ入り。比嘉さん、こちらへ来る前には、3時間余りの講演をこなしていましたから、席に就くなりごくりと水を一杯。穏やかな話口調に説得力がありました。比嘉さんが開発したEM技術は100ヶ国を越える海外に普及し、EM技術をベースにした企業は1000社規模に及ぶ。まさに、大学発ベンチャーの走りかもしれません。なぜ、うまく展開できたのか?沖縄は当時、アメリカからの返還前で、大学はアメリカ的な運営が行われていましたーといい、それは、教授、助教授、講師といった序列がなく、フラットな組織であった。そして、専門が園芸学でしたが、有用微生物といったバイオの領域に踏み込んでも、だれも咎めない。大学の資金不足の状況から、教官は自ら研究費をつくらねばならない。それが、逆に、自在で自立した人材を育んできたらしい。う〜ん。これは、お手本になるかしら。


18時。スタッフらみんなで、1階の職員食堂へ。そして、いよいよ真打です。19時45分。岩手県立大学長の西澤潤一さん。予定より、15分早い。午前午後からずっと会議。直前は、旧制二高の同窓会理事会。小柄ながら、端正なマスクに黒く太い眉。今年77歳。インタビューは、ロング。1時間30分に及びました。


なぜ、科学者に?の質問は愚問でした。事前取材がたりませんね。愛知・三河まれの父、恭助さんは、九州大学から東京へ。そして、宮城の東北大学の教授となり、工学部長に就任します。潤一少年の科学者の道は、生まれながらに決定していたようです。その厳父は、8年前、103歳での往生でした。


世界の西澤。学術界の良識は、迷ったり、壁に突き当たったりした時、仙台二中時代に触れた林信夫宮城県知事の講演の一節を忘れない。


テーマが「未見の我を発見せよ」。人間には優れた能力があるが、切磋琢磨しないと自分の持っている能力に気付かずに一生を終えることになる−と。「私の履歴書、愚直一徹」(日本経済新聞社刊)より。


23時。西澤先生を都内の居酒屋から見送る。完璧な一日でした。やはり、仕事は忙しい人に頼め−は実感でした。さて、本番は11日午後18時から。放映は12月20日午後14時です。


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