DND事務局の出口です。うれしいメールが届きました。「風邪の方は、もう大丈夫でしょうか?」との気遣いに続いて、「いつも、メルマガを愛読しています。お陰さまで、ついに、起業しました。これからが大変、覚悟していきます」とありました。
自立への挑戦―類似商号の確認のため、都内の法務局に足を運んで、オフィスに戻ったところでしたので、親近感というか、どうも、ひとごととは思えない。選択した道には、それぞれ違いはありますが、起業する一点で、すでに「同志」と言ったら、大袈裟かしら。
張輝(ちょう・き)さん42歳。15年前に来日し、立教大学で法学博士を取得、テーマが「国際的技術ライセンス規制研究―米国・日本・中国の比較を通じて」。シンクタンクや経営コンサル会社で関連省庁などの調査研究、戦略策定に携わってきました。
それこそ、手前味噌になりますが、メルマガのファンの一人で、出会いのきっかけは、「近く出版します。ついては、その本に、出口さんのメルマガを引用させてください」とのメールを戴いてからでした。まあ、一度、お会いしましょうーとなった訳です。
著書は「図解・入門 テクノビジネス・ストラテジー」(東京布井出版、2500円)。本文の後半には、小生のメルマガが「感動・繋ぐ・協創」というタイトルで3本掲載されています。「よく、売れています。講演や雑誌のインタビューも増えました」と感謝されています。この夏には、帰化されました。
そうそう。張さんが設立した会社は資本金規制特例に基づいた(株)技術経営創研。詳細は以下のhttp://www.tb-innovations.co.jp/でご覧ください。 「科学を政策に、技術を経営に、知的財産をビジネスに」を理念に掲げています。設立日は、10月23日。日中国交回復の条約批准25周年の記念日ですから、日本と中国の掛け橋にーとの思いが込められているようです。やはり、ここでも「志」の一文字が輝きを放っています。
退路を断って、新たなステージに向かう。以前の小生のメルマガの一文が、張さんにも響いたらしく、張さんの背中をポンと押したのかもしれません。がんばれ、張さん。
自己実現への視点。「働くということについて、日本には、多くの選択肢を持てる社会が必要です」。NHKの先週夜の土曜フォーラム「65歳現役社会は実現できるか?」は、面白い、役に立ちました。これは、パネラーの一人、さわやか福祉財団理事長で弁護士の堀田力さんの発言です。
堀田さんの発言を受けて、間髪入れず、言葉を繋いだのが、一橋大学イノベーション研究センター教授の米倉誠一郎さん。日本のGDPがアメリカに次いで2位、500兆円というのは、ドイツ、フランス、イギリスを合わせた額―との数字を引いて、「ほんとに、そうですね。学生にとって(選べる社会は)大事です。選択肢が少ない。人生って、いろんなシナリオがあって、みんなイキイキしてくる。そういう新しい生き方を見せていくことが大事です」と話していました。
その通りですね。パネラーでやはり、いい味を出していたのが、シダックスグループ代表の志太勤さん。主宰する起業塾の参加者がすでに1000人を越え、80人以上の創業を産んでいます。起業への条件を3つ指摘されていました。1、「志」。これがあれば、へこたれない。2、商品と売り先。3、資金。3年くらい食べていける資金。ひとりで、やることはない。自分のたりないところを補うパートナーと組むことです−と、アメリカの例を紹介していました。
司会の慶応大学商学部教授の清家篤さんの解説やテーマの引き出し方も絶妙で、シンポというより、新しい生き方講座の印象でした。クロージングに際して、清家さんから、米倉さんに。
その米倉さん、「もう‥あの‥」と恐縮して、「以前は、年寄りは、のさばるな〜という口調だったんですけれど、今日考えてみて、年齢は関係ないんだな〜と」と自らの認識の変化を素直に告白する場面は、さわやかでした。
ここでも、米倉さんの言葉を受けて、次の、志太さんが、「米倉さん、最初は年寄りはでしゃばるな〜といわれて、面食らったんです。いささか、困っていた。いやあ、ありがとうございました」とナイスフォロー。随所に言葉のリレー。洒脱です。
言葉は人の意識を変えて、情報は人を動かすんですね。久々に、深みのあるフォーラムでした。