DND事務局の出口です。東武伊勢崎線竹ノ塚駅から、東口ロータリーを抜けて、旧日光街道方向に進むと、まもなく右手に足立区竹の塚センター。周辺から甘い金木犀の香り。その3階にお目当ての竹の塚図書館。
今朝一番にお邪魔すると、正体不明の大男の急襲に、新井恭子館長は目を白黒させていました。自ら来館者の受付当番にあたっており、「30分程度なら」と時計を気にしての応対でした。突然でごめんなさい。
ビジネス図書館。「従来の本の貸し出し、閲覧から、来館者のニーズにあわせて有機的に対応しなければなりません。そのニーズ?ビジネス支援、いわば起業、創業支援、そして雇用支援です」と新井さん。小さな体にムチ打ちながら、少ない司書を激励しながら、新たな図書館像の未来に目を向けての日々、奮闘です。
きっかけは菅谷明子さん。経済産業研究所の研究員で、専門は市民社会とメディア。米国在住経験とジャーナリストのキャリアから、大胆で積極的な提言を続けています。近著に得意の「未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告―」(岩波新書、700円)。
起業関連のビジネスから、舞台芸術、医療問題、行政情報など各種サービスで多くの実績を誇るニューヨーク図書館をモデルに、日本の公共図書館のあり方に一石を投じた功績は大きい。その波紋が広がっています。新井さんの館長として、一歩、踏み出したのも、菅谷さんからの影響のようです。
開館は午前9時から午後8時まで、年間の利用者は13万人余り(14年度)。多忙ながら、館内中央付近の壁に、「ビジネス支援掲示板」。都や区などの起業や求人関係の切り抜きを丁寧に張って、過去の情報はファイルに収め、すでに3冊。小さな試みだが、大きな期待がかかる。突き当たりのコーナーには、起業に関する書籍を揃え、さらに、さりげなく「地元の起業です」との張り紙に3社の起業家が紹介されています。
そのひとつ、48歳の主婦が竹ノ塚駅近くに着物のリサイクルショップを10月1日にオープンした。図書館の来訪者でした。求人情報を求めてきて、その相談に乗っているうちに、「小さい店のつくりかた」の本を紹介したのが縁でした。年齢から勤め先が、なかなか見つからない。そういう事情での起業への挑戦です。
ビジネス支援。そこまで、守備範囲を広げるのは、難儀だな〜と思いつつ、起業なら各種相談の窓口が溢れているし、ボブサップのイメージキャラで勢いのある起業支援サービス「ドリーム・ゲート」もある。
昨日昼、DNDに事務局がある経済産業研究所(RIETI)主催の「BBLランチセミナー」は菅谷さんの報告でした。モデレーターはRIETIコンサルティングフェローで資源エネルギー庁企画官の安藤晴彦さん。いつもながら、言葉遣いの名人です。歯切れがいい。これほど上手に日本語を正確に操る人は、そうは見当たらない―といつも感心するのですが、そのへんの疑問を一言で、解いてくれました。「(制度や仕組みではなく)繋ぐーという役割、そこに人間が介在する。そこがキーワードかもしれません」。