DND事務局の出口です。9月15日。記念日。涼風がポプラの並木を揺らす北海道大学キャンパス。その正門脇の学術交流会館で、この春設立した産学連携学会の第1回大会が開催されました。会員は全国の共同研究センターの運営を担う教授らを中心にざっと400人余りに増え、その拡大の勢いを映して盛況でした。
産学連携の波は、起業・創業による事業化戦略からシーズの公表、技術移転、人材育成などと多岐にわたり、サポーターからプレイヤーへの質的転換を迫られる歴史的な一歩を踏み出したようです。
2日間の日程を時刻表並のタイトな時間で割り、入れ替わり立ち代りの発表は、道内5つの国立大学学長シンポなど5つのシンポをはさんで、60本の連続講演、同時開催の地元中小企業の経営者らの「HOPEマッチング広場」の展示には、技術情報をメーンに24件、道立試験場などの研究機関から7件のあわせて31件の出店が話題を誘っていました。法政大学の清成忠男総長や日本知財学会の隅蔵康一理事らもかけつけておりました。会場に小樽商科大学のビジネス創造センターの下川哲央さんもいらっしゃって、顔を拝見するとなぜか安心します。
みんな元気でしたね。銀河の夢を大切にしながら産学連携の自由な交流を目指す岩手ネットワークシステム(INS)は岩手大学工学部の清水健司さん、京都で6月開催の第2回産学官連携推進会議では経済産業大臣賞を授賞しています。2005年の愛知万博の市民プロジェクト編集長の榊原正利さんの演題は「ボトムアップ型地域連携のかたち」。この道6年の(株)会津リエゾンオフィスの吉田孝さんは「地方からの挑戦」、精密電子産業と肝臓研究を融合した新規産業の構築を紹介した信州大学大学院研究科の杉原伸宏さんら6人、同じ大学の松岡浩仁さんは、ピンポイントの創業支援事業について、とくに個人レベルからの産業創出への取り組みは体験をベースにした「出世払いの会」を紹介、産学連携が産学共同から変わったのは1996年の科学技術基本計画以降のことですーと切り出し、社会組織イノベーションとしての産学連携、そして「産学連携の三層モデル」の視点に迫ったのは、京都大学国際融合創造センターの澤田芳郎さん。
経済産業省出身で産学連携をテーマに国内留学し、自ら地方大学における面的産学連携の展開を推進する広島大学の山口佳和さん、随所で鋭い質問を投げかけていました。同学会の会長の湯本長伯さんの母体・九州芸術工科大学からは「視覚環境移行(改変)事前評価の方法論的研究と具体の評価について」、そして、同大学の石井明さんから「新規事業展開の実例」などなど。
島根大学の北村寿宏さん、福岡大学の長田純夫さん、熊本大学の川路茂保さん、京都工芸繊維大学の西村太良さん、中西貴輝さん。全部紹介したいけど、せめて名前でも‥(ごめんなさいです)。大分大学、和歌山大学、島根大学、山口大学、徳島大学、岡山大学など大半が、共同研究センターの関係者が多いようにみうけられました。産学連携への挑戦。地方の大学、それも共同研究センター面々が檜舞台に勇躍踊り出た感じです。どうして、こんなにプレゼンが上手なのでしょうか?場慣れしていました。雄弁です。パワーポイントの見せ方も工夫されていました。湯本会長、荒磯さん、ご苦労様でした。来年は九州で開催でしょうか?
産学連携学会の懇親会はジンギスカン料理のビール園。ラム肉の焼ける臭いと煙が充満する会場に200人近い参加。すごい数です。エネルギッシュで、まるで梁山泊。話は尽きません。逆に、孤独な小生の気持ちは落ち着きませんでした。その夜、刻一刻と近づくクライマックス。そうです、阪神優勝の瞬間。せめて、胴上げがみたいー会場のエントランスにマルチビジョン‥鼻頭がツーン。こみ上げてきました。感涙。15日はもうひとつの記念日になりました。