DND事務局の出口です。またひとり、時代を揺り動かすような人物に出会ってしまいました。究極の決め台詞に「根性」を掲げ、世の中の風評の蒙昧を見事に打ち破りながら、情があって、タフでしかもベンチャー支援を社会的な役割として自らの天命と知る―まるで時代の風雲児というより、ベンチャー界の月光仮面のように正義感が強く、やさしい。
村口和孝さん。独立個人と深い関与を基本コンセプトに、技術力の高いスタートアップ・ベンチャーへの投資を手掛ける「日本テクノロジーパートナーズ投資事業有限責任組合」(http://www.ntvp.com/)の代表です。日経にコラムを書いていらっしゃるし、その活動ぶりは熱く激しいから全国に熱烈なファンが多い。
お馴染のメーリングリスト「WINWIN」の投稿から、経済産業省の論客・安藤晴彦さんのメールで知り、その村口道場といわれる、村口さん主宰の「ベンチャーキャピタリスト養成セミナー」に参加してきました。通り一遍の授業形式のセミナーではなく、それを道場といえばいえなくもないが、一方的に「教える」というよりは、「伝える」から「感じる」という印象のセミナーでした。やる気が沸いてきました。
日本初の独立系ハンズ・オン型ベンチャーキャピタルで、運営するファンドは個人に主眼を置いています。村口さんは、個人投資家への責任と起業家への共感を周辺に振りまきながら、「日本の技術を世界にはばたかせよう!」、「未来は自ら拓くもの」という理念で、創業・開発段階(デスバレー)を踏破するために必要な資金を惜しまない。投資の6割以上は売上ゼロの赤字会社。ファンドは4つ、約60億円。これまで14のベンチャーに投資し、自ら社外役員として関与し、大学発ベンチャーも公開企業も続々、立ち上がってきています。VCは公開前の優良なベンチャーをターゲットにするーというこれまでの個人的なイメージを払拭してくださいました。
いくつかの教訓を紹介しますね。ベンチャー起業家へは「1000日集中して事に当たれば成功しないわけはない」、ベンチャーキャピタリストへは、デカルトの方法序説の一節を例に「俗説に左右されない、自分なりのベンチャー投資像を確立しなさい」とのメッセージを伝えていました。
1958年徳島生まれの40代半ばの村口さん。兼ねてから気になっていた時代における世代の役割を考えると、どうも今の時代、40代から半ばの世代に勢いがあり、頼もしい。それに比べて、50半ば以降の団塊の世代は萎縮しています。思い切って、この世代を中心に権限委譲し、新たな日本再生を任してみたい。そんな気になります。時代の権威や風評に流されない新しい日本モデルができそうです。
戦後からつい最近までの日本再生を演出してきた1930年代から40年代生まれで、数々の成功体験を積んだ世代。その子弟が、村口さん世代、果敢で進取なDNAが引き継がれているのかもしれません。