DND事務局の出口です。乾いたアスファルトを焦がす灼熱の太陽。透き抜ける青い空。地平線へと続く一本の道。気温45度、艱難の山岳の南スペインを舞台に、世界3大自転車レースのひとつ、ブエルタ・ア・エスパーニャを題材に描いたアニメ映画「茄子アンダルシアの夏」(監督・脚本:高坂希太郎氏、原作:黒田硫黄氏)。ご覧になりました?
カンヌ国際映画祭初の日本アニメ出品作で、自転車レースを題材にしたのも世界初ーとの前評判通り、上映時間47分の短編ながら、そのスピード感と巧みな構成、それに卓越した声優陣、傑作です。日本のアニメの「極め技」を感じました。いま、空前の自転車ブームらしく、スタッフ全員が自転車乗り、エンディングテーマもその世界ではつとに知られる忌野清志郎さん。いやあ、3回見ても、見飽きない。
あのように熱い風を感じて走りたい−そんな衝動にかられて、にわかサイクリストを気取ってみるが、やはり、思いつきではどうもしっくりいきません。それにこの天気!
風が吹けば桶やが儲かる式の連想ではないが、10年ぶりの記録的な冷夏で、7月の発受電電力量(電力会社10社合計、速報)は前年同月比12.5%減と過去最大の対前年同月の減少率だったそうです。原発停止による経済産業省や東電などの節電の呼びかけが奏功したかもしれません。
低温による不作でもコメの不足、それに伴う10年前のようなパニックはありません。耐冷性に優れた品種の改良、技術指導の徹底、事前の水管理や病害虫駆除の情報の提供などがここでも生かされました。野菜の高騰も農家の苦衷を察してか、それほどヒステリックな反応が少ないのも幸いです。
新種のコンピューターウイルス「MSブラスト」被害もその対策に官庁、企業らが連携し最悪の事態は免れたかのようにみえます。それぞれが、それぞれの持ち場で、動いた、走った、いや、戦った結果かも知れません。
台風10号の接近で暴風域にあった名古屋市内でさる今月8日、省エネのソリューション事業(ESCO)を手掛ける(株)ミューテックの設立のお祝いの会に参加しました。社長に就任したのは大きな病を克服したばかりの木下顕氏。新規ビジネスへの姿勢とその手法は、教えられることが多く、大切にしなければならない先輩の1人です。
その席には、名古屋工業大学の教授、中部経済産業省の担当者、地元のイーエム総合ネットの宮澤敏夫社長らDND馴染みの仲間がざっと100人。創業93年を刻む電材資材の老舗問屋で、ミューテックの親会社のミツワ電機から吉田晴彦社長が役員らとかけつけて、「みなさま、お1人お1人が大切な私たちの財産です」と深く礼をとっていました。手を膝にそえ、45度の姿勢での礼のとり方は、年季を感じつつも自然でした。
談笑が続き、外の豪雨はいつしか穏やかな慈雨に。起業という過酷なレースに挑む新たな経営者の前途に幸あれーと祈らずにいられません。
高坂監督のインタビュー。その解説に「試練を乗り越えたときに初めて訪れる開放感、それは自分の足で漕がなければ前に進めない自転車に似ている。遠くへ行くほど力が必要となる。逃げるのではなく、苦難を乗り越えるパワーが求められる」とありました。