DND事務局長の出口です。自立への挑戦、リストラの嵐、居場所探し・・。働く人たちが会社との間合いに惑いながら、やりがいを失うまいと苦闘している―15日からスタートした日本経済新聞一面の連載企画「働くということ」の第3部カイシャとの距離1、のリード部分が、いきなり目に飛び込んで、食い入るように記事を追ってしまいました。
会社とは何か。働き手と会社の関係はこれまで以上に多様になってきた。第3部は企業に身を置く人々の就労観の変化を追い、経済回復のカギを探る―と記事の後段に企画の狙いに触れています。見出しに「辞め方講座」の文字。
時代時代のサラリーマンの働く風景を中心にしたルポには定評がある日経新聞ですが、今回ばかりは、胸に迫り来るものがありました。
私事で恐縮ですが、先月30日を持って29年お世話になった会社を辞め、期限付きの非常勤職員として独立行政法人経済産業研究所のDND担当となりました。これまでは身分保障のある出向の身でしたが、いわば、「退路を断ってDNDに専心」することになったわけです。選択退職した我が立場をさらりと解説してくれてもいます。
その連載では「身を粉にして働けば会社内の地位も報酬もついてくる。そんな高度成長期の常識は消え、生残りをかけた企業のリストラは時に働く人を翻弄し、企業の活力にも影を落とす」とし、三菱総合研究所の調査を引用して、「会社に満足している」サラリーマンは全体の33%で不満層が42%。5年前の満足45%、不満27%からその比較が逆転したーと指摘する。が、決して不満があるから辞める、満足しているから辞めない−ということではなさそうです。
元気が出てきます。人を、周辺を、家族を大切にする姿勢が出てきます。将来への展望についての見定めが明確になってきます。なにより、仲間、志や夢を共有できる仲間探しを真剣に始めます。そうです、自立への挑戦です。
2回目の本日の連載では、福井県三国町で破綻した搬送機メーカーの61歳の工場長代理が7人の元同僚と新会社を設立する。「おれたちの会社」。いまは全員が必死で売れる製品づくりに熱くなる−という。そして、「おれも入れてくれるかな」と散り散りになった元同僚が集まり、社員は25人になったそうだ。すごいなあ。
DNDの運営委員会は昨日、母体の経済産業研究所の岡松壯三郎理事長、提唱者の石黒憲彦経済産業省産業再生課長らを始め、連携先、連携予定先の官民の40を超える団体・会社から60人余りの参加で今後の方向性を確認しました。年間1000件の特許出願に10億を越える資金をつぎ込む会社の執行役員、スピンオフして起業し上場のサポートでビッグマネーをゲットした証券マン、創業93年で年商1000億円の老舗ながら新規事業のチャンスを狙う役員、著名な建築事務所の幹部、有用微生物を武器に大学発ベンチャーを展開する名古屋の会社社長‥みんな仲間です。
DNDとの連携やビジネスを志向する皆さんであれば、どなたでも参加できます。どうぞ、ご一報ください。原則毎週火曜日は「連携の日」と定めました。気軽にご相談ください。