◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2003/ 7/2 http://dndi.jp

海のオルゴール

DND事務局長の出口です。軽率というか、浅はかというか、悲しい出来事が頻発し、特に、親と子の関係が問われる事態にウムッ!と表情を曇らす読者も少なくはないでしょう。週刊誌的には「堕ちた都の西北」(週刊文春)の早大サークルの破廉恥な事件。学生起業家を気取る仮面浪人の手口が次々と暴かれていますが、週刊誌やTV各局のクルーが、その容疑者らの自宅に押しかけて、「お宅の息子さんの件で‥」と直接取材を敢行するのを見たり、読んだりしているうちに、当事者の気持ちを察するとやりきれない。


「親の顔が見たい」。事件を犯した同年齢の子供を預かる立場としては、親の責任といわれても返す言葉がみつからない。「大変申し訳ないのですが、お話できる状況ではありません」というのが、精一杯かな。子供の行為に責任を感じない親はいない。償えといえば、どんなことでもするでしょう。しかし、20歳過ぎた子供の過ちに親はどこまで責任があるのでしょうか。そこが悲しいことでもあるし、辛いところです。


別な学生の事件では、大きく父親はこういう人−のような報道で、ニュース価値を高めたがる。あの日光・華厳の滝に身投げをした一高生の藤村操氏は、父親が物理学者ということで話題にされたから、遠い明治の時代から事件絡みのニュースバリューに「親の顔」が、関係するのが慣行なのかもしれない。それは避けられない。


そんな矢先の今朝の新聞。3年間で10億円脱税容疑の「無限」社長が、故本田宗一郎氏の長男―という見出し。脱税の容疑より、その見出しがニュース価値を付加しているような報道ぶりは当然といえば、当然なのだが、どうも釈然としない。「ホンダ」は、社是として、縁故採用はしないと聞く。宗一郎さんの心中を推し量る術はないが、辛いなあ。


朝のNHKニュースは、富山の淡いピンクの昼顔と北海道厚岸町(あっけしちょう)の濃い紫の菖蒲の花を映していました。いつも、これらの日本の四季の移ろいの映像には、心が和みます。厚岸といえば、カキとホッキが特産。その駅弁当は有名ですが、先日、フジTV系列の27時間テレビで見た「海のオルゴール」は、胸の迫り来るものがありました。女優の松雪さんはあの細身ながら迫真の演技でした。ご存知の通り、詩人の故竹内てるよさんの同名の著書(家の光協会発行)のドラマ化でした。その舞台が厚岸でした。副題に「子にささげる愛と詩」。本文中の詩の「頬」に


「生まれて何もしらぬ吾子の頬に 母よ 悲しみの涙をおとすな」


の一節は、皇后さまが海外でのスピーチで引用されて、話題になりました。


人生では、平凡で平和な、あたりまえの生活をする多くの人々に心から敬意と、尊敬をささげるものです−と竹内さんは書いています。親の子への思いは海より深い−と実感します。


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