◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2003/ 6/18 http://dndi.jp

keep in the loop

DND事務局の出口です。ちょっと気にしていた月刊誌が、やってくれました。ま さに、直球でズバリ。


テクノロジー×マーケティングで「儲かるビジネス発見」を売りに、この春創刊の月刊誌「LOOP」(ダイヤモンド社)。五十嵐伸吾さんが運営する「winwin」の配信メールで知って、意識して購読していたら、なんと、今月7月号は、「技術立国復権へ総力結集−産学官連携が日本を救う?」の特集です。


そのリードのさわりを少々、引用すると―日本再生の起爆剤として産学連携に白羽の矢が立っている。2004年4月に控えた国立大学の独立行政法人化を視野に入れ、大学と企業は新しい「知」の融合モデルを模索し始めた。それは互いの価値を評価し、役割の分担を決めることにとどまらず、目前に立ちふさがる技術の壁をこえるための「協創」である。そこから初めて、技術立国が誇る新産業が生まれる―。


として、産学プロジェクトを推進する監督官庁の予算の流れから、産学連携のモデルの分析、製薬会社が参加する産学連携プロジェクトの実例、大学発ベンチャー1000社構想(平沼プラン)の世界に通用するベンチャーの事例、これらのアメリカモデルでは、企業や大学にスポットを当てる。スタンフォード大学TLO創設者のニールス・ライマース氏のインタービューでは、TLOへの過度の期待へ警告し、技術ライセシングの仕事については、「正しいこと、大学のためになること、大きく社会のために役立つことはなにかを自分自身で判断できる強さがこの仕事に必要だ」という答えを引き出している。まあ、インタービューの質問も鋭いからでしょう。


あまり、ここで記述すると営業妨害かな。これらのなかでも、大変参考になった企画は、「経営と技術の融合するMOT」の未来の展望のページ。早稲田大学の松田修一教授の談話も写真もいい。大学院の主要MOT技術経営コースの一覧も参考になりました。もうひとつは、中町昭人氏(ウィルソン・ソンシーニ・グッドリッジ&ロザーティ法律事務所、弁護士)のテクノロジ・ベンチャーのためのIP戦略の連載。スピンオフ起業の際のIP問題−B。大企業に求められる知識とビジネス判断の内容は、出色です。よーくわかります。活字が胸にグサリと突き刺さって抜けません。


感激のあまり、その編集部に実は、電話してしまいました。趣旨を伝えると、電話口になんと編集長の石田哲哉さん、野太く響く声で、「やはり、現状を批判するというより、次世代の創造のために、事業を引っ張る個を、いいことを実践している個を応援していきたい。そんな姿勢で編集しています」と、さらりと口にされていました。好感度の高いかたと理解しました。ところで、「LOOP」の語源をたずねると、石田さんは「keep in the roop」で、仲間に入れてあげる―の意だそうです。重要な情報をシェアし、お互いに支援していく仲間、そのネットワークを広げていきたい―という理念を掲げています。梅雨空を吹き飛ばしそうな、いい話です。近く、お会いすることにしました。


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