東アジアの異常な緊張
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◆時候のご挨拶◆
晩秋で晴れた日が多く、一年で一番好きな季節になりました。北海道では鮭や秋刀魚が不漁ということで、店頭の秋刀魚もやや小ぶりですがよく食しています。食材の値段は店によってずいぶん差があります。食材の季節は料理が楽しい季節です。
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●東アジアの異常な緊張
●中近東も危ない
●猫騙しにあったか、トランプ
●世界経済の新大陸
●iPhone Xが来た
●俯瞰のクッキング“野菜の誘惑”
●俯瞰の書棚 “構造主義の料理本”
●俯瞰学のすすめ5
●俯瞰サロン
●編集後記
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◆東アジアの異常な緊張◆
東アジアの状況が異常です。北朝鮮に圧力をかけるために、すでに西太平洋に展開している原子力空母ニミッツ、ロナルド・レーガン、セオドア・ルーズベルトが、日本海の「作戦区域」に展開し、米海軍のイージス艦11隻、韓国海軍の艦船7隻も加わり、防空、監視、補給、近接運動などの訓練を行いました。日本の自衛隊も合同演習に参加しました。海上自衛隊からはヘリコプター搭載型護衛艦「いせ」など3隻。確かにこれはものすごい北朝鮮に対する圧力でしょう。
これに対して、北朝鮮は反応しませんでした。何か反応すれば、軍事攻撃の切っ掛けをアメリカに与えることになり、軍事演習が実戦になってしまいます。
驚いたのは、このタイミングでロシアがICBMをカムチャツカ半島に打ち込んで実験成功と発表しています。なぜ今、このタイミングでこの実験を行ったか分かりませんが、明らかにアメリカに対する牽制の意味があるでしょう。
12月になれば、在韓米軍の家族は本国にクリスマス休暇で戻ります。もし帰ってこなければ軍事介入の予兆になります。軍事介入の可能性は、着実に高まっていると言われています。単なる奇襲作戦ではなく、地上軍の派遣で核兵器をしらみつぶしに調査して撤去する作戦も検討されています。となれば、本格的な第二次朝鮮戦争です。当然政府もこれに対する対応を検討していると思います。さすがにこれは公表できませんから、我々国民はなすすべがありません。
しかし日本が置かれている東アジアの緊張関係を十分認識しておく必要があります。大量の買越の海外資本が引き上げる状況になれば、東証は暴落するリスクもあります。韓国の個人資産を引き上げろ、というレポートもあります。オリンピックの開催もヨーロッパが不参加の可能性も出てきます。
以上はあくまで私の妄想ですが。
米軍、日本海で演習開始=空母3隻、日韓と合同
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171109-OYT1T50097.html
日本海で米空母3隻の演習開始 北朝鮮の反発で緊迫必至
http://www.sankei.com/world/news/171111/wor1711110007-n1.html
ロシア「新型ICBM」の発射試験に成功、その性能は?
https://www.businessinsider.jp/post-105104
「北朝鮮有事の可能性、来年は五分五分」米専門家「韓国から個人資産引き揚げよ」有力ニュースレター警告
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20171026-00077399/
◆中近東も危ない◆
中近東も異常な状況になっています。サウジアラビアの皇太子が反対派の王族を汚職容疑ということで大量検挙し世界中が驚きました。また一方で、サウジアラビアの首都の空港にイエメンからミサイルが発射され、これをサウジ軍は迎撃に成功しましたが、サウジアラビアは、この背後にイランがあると非難しています。そして元々キリスト教、イスラムスンニ派そしてシーア派の不安定な状況のレバノンの政治が流動化しました。レバノンのハリリ首相はサウジで突然、辞意を表明し、レバノンのシーア派民兵組織ヒズボラが、シリアなど中東地域に兵器を送っているとして、名指しで非難しました。そして自らが暗殺される危険もあるとして、辞任を表明しました。
サウジアラビアは、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派に武器を供給しているのはイランだと対決を強めています。そのイランとロシアは連携を強めています。そしてサウジアラビアをトランプ大統領が支持しています。
現在、中近東で核兵器を保有しているのはイスラエルだけですが、イランが核開発を進めていると考えるサウジアラビアは、核兵器開発に着手する可能性があります。そして核拡散が止まらず、その拡散した核が、偶発的な中東核戦争をおこしかねません。
現在でも日本は原油の大半を中東地域に依存しますから、日本にとっても中近東の緊張の高まりは他人事では済まされません。といって我々は何も出来ませんが。
サウジアラビアの王子11人、汚職容疑で逮捕
http://www.huffingtonpost.jp/techcrunch-japan/saudi-prince-arrested_a_23267554/
サウジ、市民にできるだけ早期のレバノン出国呼び掛け
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-11-09/OZ5UPK6KLVRB01
サウジへのミサイル発射で米「背後にイラン」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171109/k10011216761000.html
イラン・サウジ、関係が急速に悪化 レバノン、イエメン新たな紛争懸念も
http://www.sankei.com/world/news/171111/wor1711110032-n1.html
サウジ・イラン対立が波及=レバノンやイエメン混乱深刻化
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017111000770&g=int
サウジアラビアがウラン濃縮開始で中東に嵐の予感
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/11/post-8810.php
◆猫騙しにあったか、トランプ◆
トランプ大統領のアジア訪問は、日本、韓国、中国、ベトナム、フィリッピンと、台風のように通過して行った感じです。安倍首相とは、北朝鮮問題でかなり突っ込んだ意見交換をしたはずですが、一切報道されていません。報道陣をシャットアウトしたゴルフ場で何を話したのか、判りません。
韓国では、北朝鮮に圧力をかけるということで、文句を言わせぬ雰囲気でした。問題は中国です。訪問前にあれほど貿易不均衡の解消を目指すと言っていたにもかかわらず、これがあまり話題にでてきません。昨年の米国の対中貿易赤字は3,470億ドル(約39兆円)に上り、トランプ氏は今月1日の閣議で「ひどい数字」と批判していたのですが。
習近平の方が役者として一枚上で、いきなり28兆円の購入・投資の案件をぶつけた結果、トラック大統領は「猫騙し」にあった感じですね。トランプ大統領は巨額の対米貿易黒字を増やし続ける同国の能力さえ褒めそやし、その責任は歴代の米大統領にあると言っていたのですから、完全に術にはまっていますね。
「猫騙し:立合いと同時に相手力士の目の前に両手を突き出して掌を合わせて叩くもので、相手の目をつぶらせることを目的とする奇襲戦法の一つ。相手に隙を作り、有利な体勢を作るために使われる。普通の立合いではかなわないような、はるかに強い相手に対する一発勝負に使われるが、失敗すると一気に持って行かれてしまう可能性がある。Wikipedia」
中国は、規制緩和で米国金融の中国進出を認めました。これでトランプ大統領は、大きなお土産を持って帰国できます。しかし28兆円の商談が実現するかは不透明です。お土産を持って帰るという、単純なトランプ大統領の選挙民向けの仕事はできたと言うことでしょうが、政治家として、世界のリーダーとして、あまりにも浅い人間だと思います。米国内の産業界は全く成果を評価していないようです。
トランプ大統領のアジア外交の旅は、大統領自身の自画自賛の演説と、習近平の高笑いで終わりました。そしてアジアにおけるアメリカの存在感が薄れ、中国の存在感がジワッと強くなりました。ASEANでは南シナ海の問題は、誰も話題にしない状態になりました。
世論の評価は、トランプ大統領は習近平にうまくしてやられたということでしょう。
訪中のトランプ氏、貿易不均衡問題で中国を「称賛」
http://jp.reuters.com/article/trump-xi-idJPKBN1DA0FU
米製造業、トランプ大統領に失望
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/171111/mcb1711110500005-n1.htm
トランプ米大統領の訪中、金融業界は「蚊帳の外」
https://jp.reuters.com/article/column-trump-china-visit-idJPKBN1D13SL
トランプ大統領の訪中で見込まれる28兆円の商談、巨額だが中身伴わず
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-11-09/OZ4ZRT6JTSEB01
中国が金融市場の外資規制を緩和 証券・保険で100%出資を容認へ
http://www.sankei.com/world/news/171110/wor1711100065-n1.html
トランプ大統領、アジア歴訪の成果を強調?北朝鮮問題や貿易分野
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-11-16/OZHFNP6JIJUP01
トランプ籠絡で習近平は高笑い
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/11/post-8918.php
中国にしてやられた10日間 トランプ米大統領アジア歴訪
http://www.sankei.com/world/news/171114/wor1711140044-n2.html
◆世界経済の新大陸◆
アメリカのテック企業は、絶好調です。Appleは史上最高の業績と今年の第3四半期の決算を発表しました。売り上げが525億7900万ドル、利益が107億1400万ドルです。数字が大き過ぎてピンと来ないので、 92日間で割って1日当たりに直してみました。なんと1日で売上645億円、営業利益131億円です。(113円/ドル)
ちなみにほかのテック企業は。
Google 売上337億円、営業利益107億円
Microsoft 売上338億円、営業利益81億円
Facebook 売上127億円、営業利益58億円
Amazon 売上537億円、営業利益9億円
念のため日本企業は、
トヨタ自動車 売上339億円 営業利益30億円
ソニー 売上224億円 営業利益66億円です。
これをどう見るかですが、物販がないGoogleとMicrosoftそしてFacebookの利益率がすごいですね。物販があってもAppleは製造プロセスを台湾と中国に外出ししていますから相当の利益を出しています。 AppleとGoogleが1日100億円以上の利益を出しているのは驚愕です。そして日本企業のトップクラスのトヨタ自動車とソニーは、ソコソコの数字を出しています。ただし手元現金になると、テック5社は約62兆円で、日本の国家税収約55兆円を超えています。トヨタ自動車は約7兆円といわれています。ソニーは約2兆円でしょうか。世界経済の構造が全く異次元に移行している中で、各国の税制がついて行っていません。だから手許現金が積み上がります。いま議論されている米国の税制改革も旧態然としています。
時価総額になると、むろん上位5社は上記のテック5社です。トヨタ自動車は39 位、ソニーは50位以下でわかりません。市場からは未来がない企業と見なされているのでしょう。
しかし社会的な価値から見ると、どれだけの雇用を産んでいるかは重要です。 Appleは12万人、 Googleが5万人、マイクロソフトは12万人、 Facebookは2万人、Amazonは54万人、そしてトヨタ自動車は34万人、ソニーは13万人です。
Appleは、製造は外注していても、かなりの雇用を産んでいます。一方GoogleやFacebookは売り上げに見合う雇用を産んでいませんから、高い利益を出しています。 Microsoftはネット企業というよりもソフトウェア製造業ですから、かなりの雇用を生んでいます。 Amazonは物販ですが膨大な雇用を生んでいます。宅配を含めると巨大な雇用を生んでいるのでしょう。
この様な分析をしてみると、明らかに旧来の製造業とは違う経済の世界が見えてきます。 GoogleとFacebookの驚異的な利益率はネット経済の革命的な威力を見せつけています。 Amazonの売り上げもネット経済の落とし子です。ただAmazonは利益を出していませんが、ここがポイントです。あくなき投資で小売業界を破壊してきています。そして、この後は金融業に進出していくのでしょうか。 Amazonの販売力を持ってきて金融商品を売るとなると、金融業界に地殻変動が起こるでしょう。
マイクロソフトの第1四半期、「Azure」など好調で予想上回る
https://japan.cnet.com/article/35109466/
Apple、売上高は過去最高の526億ドル
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1711/03/news014.html
米フェイスブック第3四半期は利益が予想上回る、広告収入堅調
https://jp.reuters.com/article/facebook-results-idJPKBN1D168E
Googleの親会社Alphabet、広告好調で過去最高益
http://www.excite.co.jp/News/it_g/20171027/Itmedia_news_20171027064.html
次にアマゾンが手中に収めるのは、金融街なのかもしれない
https://www.businessinsider.jp/post-106408
世界時価総額ランキング (2017年10月末時点)
http://www.180.co.jp/world_etf_adr/adr/ranking.htm
◆iPhoneXが来た◆
10月27日に予約が始まったiPhoneX ですが、28日に渋谷ビックカメラで予約しました。16日にビックカメラから連絡があって購入に行きました。今回はソフトバンクからDoCoMoへの乗り換えですので、契約処理に3時間近くかかってしまいました。ソフトバンクからの乗り換えの理由は、地方に行くと通信状態がひどく通話ができないことがあるので、広く日本をカバーしているDoCoMoに変えました。
これまで使っていたのはiPhone 6S plus ですから、これと比べるとiPhoneXは幅が細くなり、手のヒラにすっぽり収まります。これまでのiPhoneで1番いい形です。今は亡きスティーブ・ジョブスが見ても満足するような素晴らしいデザインです。話題の顔認証も全く問題ありません。テクノロジーの最先端を実感できます。まだカメラは評価していませんが、多分素晴らし出来ばえでしょう。
契約処理の時間が長いので店内を見て回りました。入り口でGoogleHomeを販売していました。Google Home 1万4000円、Google Home Mini 6000円ということでしたのでMiniを買いました。機能的に同じで、スピーカーの違いとマイクが2本か1本かの違いです。キッチンでWiFiに繋いでみると、すぐに使えます。 「ねぇGoogle 」 これが合言葉です。 「明日のスケジュールは」と「明日の天気は」そして「近くのレストラン」は答えられましたが、 「メールは」は「答えられません」「お役に立てそうもありません」です。音楽は聴き放題の契約がありませんから、とりあえず使えません。連動する家電製品は、今はほとんどありませんので、これも試せません。それでも、キッチンに人工知能がやってきたということでしょう。
Gmail が読めない、Googleニュースも読めないものを製品として出荷する企業文化がGoogleでしょうか。
連動するアプリでは圧倒的に先行したAmazonが有利のようです。これからが楽しみです。今あるテレビの電源のオンオフができれば、テレビ操作が面白そうです。また、その後をご報告します。
◆俯瞰のクッキング “野菜の誘惑” ◆
八ヶ岳山麓の大泉町に「ひまわり市場」という食品スーパーがあります。そこには農家に丁寧に育てられた野菜が特別のコーナーで販売されています。ひとつひとつが素晴らにしいのでその誘惑に負けて、ついつい色々買ってしまいました。
山形県最上郡の箱に入った直径20センチ以上のマイタケ、江戸時代から栽培されていたという長野県の「松本一本ねぎ」は太くて甘みが強いネギです。地元の直径25センチもある、もぎたてのキャベツと赤い大根、蕪、山梨県の白肌牛蒡などです。博多の長茄子も、大きくて艶やかな肌に誘惑されてこれも買ってしまいました。
これらを東京に持ち帰って料理に使います。
白肌牛蒡は、3ヶ月以上冷蔵庫で牛蒡を保存すると甘くなるというテレビ番組を見ましたので、冷蔵庫の野菜室の奥に入れてあります。キャベツは外側の青い葉を使って回鍋肉(ホイコーロー)にしました。豚肉は生姜焼き用のロース肉を使いました。
松本一本ねぎは、すき焼き用の牛肉で巻き、酒、醤油、みりんの濃いタレで焼きました。
艶やかな肌に誘惑された博多の長茄子は、縦に4つに切り、太白油で焼き、味噌と豆板醤、酒、みりん、そして水でタレを作り、これを煮詰めるように絡ませます。なぜかタレを作るときに顆粒の鶏スープを入れました。いつもより断然美味しくできました。
最近は中目黒の東急ストアが断然コスパがいいので、よく買い物に行きます。魚売り場でタラの切り身を見た時、なぜかバスク風の料理を作ろうと思いました。なぜタラを見てバスクを連想したのかわかりませんが、タラと大粒のアサリを買い、八ヶ岳の蕪と一緒にスープ仕立てにしました。タラには小麦粉をまぶします。フライパンにバターとオリーブ油を入れて小麦粉をはたいたタラの切り身を焼きます。バスクは食材の宝庫でバターもオリーブ油もあるだろうという想像です。一旦タラを取り出しそのフライパンでみじん切りのタマネギとニンニクを炒め、白ワインを注いでナベ底をさらい、水を注いでタラも戻して、そして蕪も入れて中火で煮ます。蕪に竹串が通るようになったらアサリを入れて少し煮ます。味付けは塩こしょうですが、アサリから塩味が出ますから味を見ながら整えます。これはあくまで私の「妄想のバスク料理」です。
バスク地方のサンセバスチャンは、かなり前に学会で行きました。サンセバスチャンから車で2時間くらい南に行くと、フランシスコ・ザビエルの生まれた城があります。彼は地元の領主の息子だったようです。彼はパリにビジネスの勉強に行きましたが、そこでイエズス会の勧誘を受けて東洋に旅立ち、二度とこの城には戻る事はなかったわけです。城に行って帰りの車に乗ったとき、フラスシスコ・ザビエルはここから日本に来たたんだなと、何故か感激しました。そのこともあって、バスクの料理には誘惑されます。
◆俯瞰の書棚 “構造主義の料理本”◆(図添付)
今回の紹介は「フランス人が好きな三種の軽い煮込み」上田淳子 2017年 誠文堂新光社 です。
ここで料理の本を紹介するのは、多分初めてだと思います。出版元の誠文堂新光社は、子供の頃愛読していた「子供の科学」や「無線と実験」の出版社でしたから、なぜかご縁を感じました。
何故この本を紹介したかというと、この本は多くある料理研究家のアイディア料理のレシピ集のような料理本ではなく、構造主義的な料理本だと感じたからです。
「軽い煮込み」だけでも、クリーム味の白い煮込みを「フリカッセ」 、煮汁の多いものを「スープ」 、それ以外のものを「ソテー」と3つに分類しています。 「ソテー」は日本では軽い焼き物や炒め物のイメージですが、フランスでは焼き色を付けた後にさっと煮込んだものを「ソテー」と言明しています。
そして「軽い煮込み」の基本的な料理法を、以下のプロセスモデルに展開しています。
1.肉や魚のような主たる食材には、しっかりと下味をつける
2.肉や魚の表面に焼き色つけて旨味を閉じ込め、いったん取り出す
3.フライパンに出た脂をキッチンペーパーで吸い取る
4.タマネギやニンニクのような香味野菜を炒める
5.ワインを加えて鍋底についた旨味をこすりながら煮詰める
6.具材を加えて軽く煮る
このプロセスを覚えれば食材に応じた様々な料理ができるばかりか、良い食材に出会ったときにこのプロセスでおいしい料理が作れます。
昔から何度も作っている「鶏肉の赤ワイン煮、コック・オ・ヴァン」もこのプロセスで簡単に作れます。前日から鶏肉を赤ワインに漬け込むという手間がかかる事はいりません。これまでのコック・オ・ヴァンよりも高級感があって美味しかったです。
鶏肉をじっくり炒めた玉ねぎと白ワインで煮込む「鶏肉のポロワーズ」も作ってみました。これまで作ったことがない料理でしたが、なかなかの料理です。以上はいわゆる「ソテー」ですか。
「カリフラワーとカニのフリカッセ」を作ってみました。これも初めての料理でしたが、美味しいです。
近く作ろうと思っているものが「秋刀魚の赤ワイン煮」です。また「牛蒡と牛薄切り肉の赤ワイン煮」も作ってみようと思わせる料理です。「 ブイヤーベース」も、このレシピで作ってみようと思います。食材としてなかなか使いこなせていないビーツも、このレシピで「ボルシチ」を作ってみようと思います。
料理のプロセスを構造化してくれたので、料理の範囲が広まり、これまで作ったことがない料理、これまでよく作った料理の再発見ができます。
冒頭に構造主義といったのは、哲学の構造主義の影響を恩師から受けたためかもしれません。それはレビット・ロースの「熱き熱帯」の中にある料理の三角形という構造です。
本書を、料理に興味がある方には一読をお勧めします。料理は人生を楽しく豊かにしてくれます。
◆俯瞰学のすすめ5 統計学による俯瞰◆
前回は時系列グラフによる俯瞰を紹介したが、時系列データも統計学を使って分析すると俯瞰的な認識が深まる。
例えば円高による企業収益の下方修正がよく発表されているが、この円高、円安も統計学で分析すれば本質を理解することができる。図に示した2006年から2016年の10年間の円ドルレートのヒストグラムを正規分布と仮定して分析してみると、平均値99.9円、中央値100.2円、円最高値76.7円、円最安値123.7円となる。標準偏差14.5からバラつきを見ると、円はほぼ114円から85円の範囲で変動していることがわかる。つまり円ドルレートは100円として中期経営計画を立てるべきである。 110円とか105円で計画を作り、円高に振れたので業績を下方修正する企業は、投資家に対し不誠実である。
企業経営では3つの為替レートを明確にする必要がある。計画レートは100円とすべきで、社内レートはこれと異なるならば、その理由を明示すべきである。ただ最終的な決算報告はその期間の実勢の平均レートですることになる。中期計画の計画レートが100円でない企業は要注意である。
統計学の分布は正規分布が最も一般的であるが、統計データによっては全く別な分布になる。図に示した、二人以上の世帯の1世帯当たり貯蓄現在高は、平均では1,805万円であるが,世帯を金額の低い世帯から高い世帯へと順に並べたとき中央値は、貯蓄現在高は1,054万円と平均を下回っている。この分布は指数分布と呼ばれる分布で、平均値で評価するのはあまり適切ではない。この場合は中央値を見る必要があることがわかる。なぜならば、およそ3分の2の世帯は平均値を下回っている。高所得者が平均値を引き上げているのである。そして貯蓄が200万円以下の世帯が17%もある。
そして、所得金額分布も同様の分布であり、平均所得は549万6千円、中央値は438万円である。所得が400万円以下の世帯は42.7%もある。即ち、ここにいわゆる格差社会を見ることができる。消費が伸びない、当たり前でしょう。
さらに高度な統計学による分析は別次元の俯瞰的認識を与える。
地域経済の活性化は日本のみならず世界中で重大な政策課題である。欧米では地域の企業がネットワークを形成し地域経済の競争力を高めるクラスターという政策が成果を上げていた。日本でも経済産業省は産業クラスター、文部科学省は知的クラスターという政策を2000年代初め推進した。
これに関連して、東大時代の俯瞰工学研究室では、国内外のクラスターのフィールドスタディを行い、その結果から重要な政策を抽出する研究を行った。詳細は省略するが、フィールドスタディの結果からクラスター形成には、研究開発機能、技術移転機能、特殊な需要・顧客、優良なサプライヤ、競争環境、共同環境、人材の集積、資金供給、物流インフラという機能が重要であることが判明した。
次に、これらのクラスター機能がベンチャー企業にどのような影響を与えるかを評価するために各地域、各業種にまたがるようにベンチャー企業500社を抽出しメールとfaxでアンケート調査を行った。アンケートは、で(1)から(7)は10%刻みで答えてもらった。
(1)昨年度の売上高の中、県内への販売比率はどの程度でしたか?
(2)昨年度の仕入れの中、県内からの仕入れの比率はどの程度でしたか?
(3)昨年度の原価率はどの程度でしたか?
(4)採用活動において、県内からの採用数の占める割合はどの程度ですか?
(5)昨年度のマーケティングコストはどの程度でしたか?(対売上高比)
(6)昨年度の原材料費はどの程度でしたか?(対売上高比)
(7)昨年度のR&D投資はどの程度でしたか?(対売上高比)
(8)昨年度に開発した新製品の数はどの程度でしたか?
(9)昨年度に出願した特許数はどの程度でしたか?
(10)提携企業は県内に何社ありますか?
(11)競合企業は県内に何社ありますか?
145社から回答を得ることができた。
通常、アンケート調査は、棒グラフや円グラフで分析結果を示すことが多いが、ここでは統計学の重回帰分析と呼ばれる分析をした。新製品、特許、成長率が先に示したクラスターの機能にどの程度関係しているかを統計学で分析した。専門的になるが、新製品、特許、成長率を被説明変数といい、10個のクラスター機能を説明変数という。例えば、新製品開発にとってクラスター機能のどれが重要かを評価するのである。
結果は表1で示すが、新製品開発には技術移転機能、特殊な需要、競争環境、共同環境、専門技術者の集積が重要であることがわかる。特殊な需要というのは、その地域に強力な購買力を有する企業が存在することである。三河地区におけるトヨタ自動車のような存在である。共同環境とは地域内の相互支援機能である。
特許出願には研究開発機能、技術移転機能、専門技術者の集積、資金源が重要で、売り上げの成長率には特殊な顧客・需要、共同環境が重要であることが判明した。
そして、重回帰分析の結果として、「共同環境」と「専門技術者の集積」、「特殊な需要・顧客」は1%有意水準で、極めて重要な機能であることが判明した。1%有意水準とはその仮説は100回に1回しか誤りでないことを意味し、5%有意水準とはその仮説が20回に1回、即ち極めて信頼度が高い仮説であること示している。単に情報をグラフとして見える化による認識よりはるかに高度な俯瞰的認識が可能となる。そして、以上の統計分析はExcelで簡単にできる。最近では、回帰分析は「機械学習」の技法と位置づけされています。
この記事は「産業新潮」に連載された記事を少し手直ししたものです。文体もメルマガとは異なります。
◆俯瞰サロン(第47回ー第49回)◆
10月の俯瞰サロン(第47回)は、東大・松島研究室の卒業生であるデータサイエンティストの高橋建人氏に「デジタルマーケティングの現在と未来。ビッグデータと機械学習の活用最前線」を伺いました。
11月第48回は、組織の在り方の新潮流として注目され始めているteal型組織について、その研究の第一人者である嘉村賢州氏に「自己組織化する組織 tealとは?」を伺います。
日時:11月28日(火)18時30分より
詳細および参加お申し込みは、https://www.fukan.jp/俯瞰サロン/
11/20(月)の午後より申込受付を開始する予定ですので、上記webをご覧ください。
12月第49回目は、フィンテックの英国法人EQUITY X LTD.の創業者で、欧州の2017 Startup of the Yearを受賞された倉田章雄氏に依頼しています。
日時:12月19日(月)18時30分より
詳細および参加お申し込みは、https://www.fukan.jp/俯瞰サロン/
12/1(木)の午後より申込受付を開始する予定ですので、上記webをご覧ください。
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◆編集後記◆
自民党も謙虚、丁寧と口にしながら、質問時間を議席数で配分とは、強引な本性をさらけ出しています。
アメリカ、ロシア、中国の三つ巴の冷戦の時代になりました。
アメリカが引いた後の東南アジアでは中国の存在感が強まりました。
この情勢では安倍首相も南シナ海よりも日中関係回復を優先します。
アメリカが引いた中近東が極めて不安定化し、イスラエル、イラン、そしてサウジと核武装に進んでいるようにみえます。
異次元の経済圏に旧世紀の税制が問題を起こしています。
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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更
下記まで webmaster@fukan.jp
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◆俯瞰 MAIL 0073号(2017年11月18日)
発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行人: 松島克守
編集長: 松島克守
URL: http://fukan.jp
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※本記事は松島克守氏の許諾を得て、再録したものです。
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