戦場となったヨーロッパの混迷
◆このメールマガジンは、松島克守が、東京大学教授、そして(社)俯瞰工学研究所の代表として名刺交換やメール交換をさせて頂いた方々に送らせて頂いております。このようなメールマガジンはご迷惑と感じられる方もあるかと思います。ご遠慮なく不要のお申し出を下さるようお願いします。内容等についてもご遠慮なくご意見を頂ければ幸いです。お時間があれば章末のURLの元情報を読んでください。
過去の俯瞰メールは俯瞰工学研究所のHPの「俯瞰メールのアーカイブ」にあります。http://www.fukan.jp/
ご友人、ご家族に転送して頂くことは大歓迎です。このマガジンは長いので添付のpdfファイルを保存しておいてタブレット等でゆっくりお読み頂くこともできます。
また、このメールマガジンに記事の投稿をご希望の方は是非原稿をお寄せください。既に約5000人に配信していますので“小さなメディア”になりました。
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・ 戦場となったヨーロッパの混迷
・ カリスマ創業経営者の残念な退場
・ メディア言論統制を強める安倍政権の危険性
・ パナマ文書で暴かれる世界の不正
・ 超高速大量データ高速処理による業務の進化
・ 俯瞰のクッキング 1.5時間で準備したディナー
・ ニューウェーブの俯瞰 スマートホームがキーワード
・ 俯瞰の書棚 「右脳の空手」大坪英臣 風雲舎
・ 編集後記
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◆戦場となったヨーロッパの混迷◆
ブリュッセルのテロをきっかけに、ヨーロッパが混迷しています。ベルギーの当局が、トルコから提供されたテロリストに関する情報を適切に処理していなかったという批判があります。 ヨーロッパは既にISの戦場になった感があります。これをきっかけに英国のEU離脱の勢いが高まるのではないかという懸念が出てきました。仮にも英国がEUから離脱すれば、世界的に大きな経済的な混乱が予想されます。それでなくても、世界経済は極めて不安定な状況にあります。
一方、ドイツを中心に難民を広く受ける入れる動きがありましたが、今は完全に移民の流入を止めたいという動きになりました。 EUは巨額の資金をトルコに提供する見返りに、ギリシャに滞留する難民をトルコに引き取ってもらうということになりました。しかしトルコに難民を送り返した後、トルコはその難民をどうするつもりでしょうか。根本的な解決になるとは思いません。
ドイツのメルケル首相も苦悩の中にいると思いますが、彼女自身の人気はむしろ上がっています。ただ与党は選挙で苦戦しています。これをどう解釈すればいいのでしょうか。
元はと言えばアメリカのブッシュ元大統領が、石油利権欲しさに、イラクが大量破壊兵器を保有しているという理由でフセイン政権を倒したものの、その後の統治が全くできず、アルカイダの勢力を排除するどころか、イラク全体をテロリストの手に渡してしまったわけです。そして生まれたISがイラクとシリアで暴虐な統治を行った結果、大量の移民がシリアから出国することになったわけです。アメリカ介入後も混乱が続くアフガニスタンからも、難民がトルコそしてギリシャに向かっているわけです。
中国のAIISではあっさり長年の盟友の英国とそしてドイツからも裏切られた米国ですが、産油国になった途端に、長年の盟友のサウジアラビアとイスラエルをあっさり切り捨てるオバマ外交です。その結果中近東は大混乱になり、その隙にロシアがシリアの軍事的な利権を追求するという、何が起こってもいいような状態になっています。
これが、パリやブリュッセルのテロにつながり、この後どこでテロが発生してもおかしくないヨーロッパになってしまいました。 EUの理想だった域内での自由な人の移動は制限されるでしょう。そして英国のEU離脱が揺さぶりをかけます。
このような状況を、対岸の火事のように日本が見ていると大変なことになります。アメリカが世界の警察官をやめた今、日米同盟は重要ですが、それも日本の片思いになるかもしれません。トランプ候補の言動はある意味アメリカの本音でもあります。ともかく核武装してもいいから、自分で自分の国を守れとのことです。ですから日本も東アジアや南シナ海の緊張を不用意に高める行動は危険です。しかし、安倍政権は安保法制を背景にこれまでになく強い対応をしており、中国の反発も強まっています。
南シナ海における中国の強引な行動は東南アジア各国の反感を買い、中国が孤立化し、結果として、ある程度は行動を自制するかとも思いましたが、今のところその気配はありません。日中の対立もSUMMITを控えて先鋭化しています。
いずれにしろ、単に安保法制反対だけではなく、この日本を日本人がどう守っていくのか国民的な議論がなされるべきです。
ブリュッセル同時爆発攻撃、英国のEU離脱予想強まる
http://jp.reuters.com/article/brexit-brussel-idJPKCN0WO355
EU離脱、英国よりユーロ圏に大きなリスク
http://jp.wsj.com/articles/SB12748367622113273976104581646611116646114
非正規流入移民に関しEU=トルコが強制送還で合意
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/post-4666.php
条件を釣り上げるトルコ、難民問題に出口は見えず
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48149
メルケル独首相の支持率が今年最高に上昇
http://jp.reuters.com/article/germany-election-merkel-idJPKCN0WB0UL
第2次大戦前夜にそっくり!米国離れが加速する世界情勢
http://diamond.jp/articles/-/86785
中国、日本の名指しに抗議 安倍首相の南シナ海発言 サミット前に対立深刻化
http://www.sankei.com/world/news/160409/wor1604090029-n1.html
◆カリスマ創業経営者の残念な退場◆
セブンイレブンを創業し、日本にコンビニエンスストアという社会現象を起こした偉大な経営者が、残念な形で引退です。セブンイレブンの大きな発展は、学生の研究課題にもしてきました。先見性と高い戦略性は尊敬に値する経営でした。
ただ、強力な創業者が結果として残念な形で退場していくのは、これが初めてではありません。同じ小売業ではダイエーがあります。
よく言われることですが、人間引き際が難しいですね。晩節を汚す形で残念な退場をされた経営者は、常識的に見ても、殆ど居座りの感があります。悲しい人間の性を感じます。これに対して本田の創業者の本田宗一郎は、パートナーだった藤沢武夫と一緒に誠に潔く退場していきました。その後ホンダは世界的な企業に発展を続けます。
多くの場合は、最後に老害で会社、すなわち社員と株主に負の遺産を残したのに対し、今回の退場はその部分がありません。ですから、形が悪くても、ある意味潔い退場であったともいえます。ただ、その影に創業家の思惑や動きがあると言われていますから、後味の悪い話になりました。
一方では、指名委員会という高度なコーポレートガバナンスが効いた事例かもしれません。
過去には、ソニーや東芝のように、形だけの委員会制の企業が不祥事を起こしていますが、会社の形態としては本格的な委員会制にするべきでしょう。
流通のカリスマ退場 セブン&アイ鈴木氏「私の不徳」
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO99421390Y6A400C1EA2000/?n_cid=NMAIL001
◆メディア言論統制を強める安倍政権の危険性◆
テレビのキャスターが次々と交代をさせられています。いずれも安倍政権に辛口のコメントをしたキャスターです。官邸の強引な言論統制が透けて見えます。言論の自由こそが民主主義の大前提であり、一方独裁的な政治は、この言論の自由を敵視します。中国の習近平政権、プーチン政権は徹底した言論統制で政権を維持しようとしています。日本は成熟した立憲君主制の国です。安倍政権の推進する政策そのものは、一部に異論はあるものの国民が受け入れられる政策でもあり、それ以前の、決められない政権に不満を持っていた国民にとって一定の評価はされていると思いますが、それでも自分のやっている政策に自信がないのでしょうか。キャスターのコメントが怖いのでしょうか。それとも感情的に気に入らないということでしょうか。もし反対意見を許さないと言論を統制しようとするのであれば、由々しき一大事です。もっと自信を持って政治をして欲しいと思います。
次々と出てくる自民党議員や大臣の失態を見ていると、政権内部に、自民党内部に権力に酔った驕りと傲慢さが腐臭として匂います。これはじわっと選挙に聞いてくるでしょう。国民もバカではありませんから。
さらに消費増税の先送りの状況を作るためといわれる、ノーベル賞経済学者との懇談の内容も、政権に都合が良いように翻訳して発表するとは呆れます。さすがにノーベル賞経済学者です、クルーグマン教授が極秘会合の中身を暴露しました。この内容はオフレコにお願いします、と言ったそうですが、会話の内容があまりにもお粗末で、政権中枢の経済学の知的水準が疑われるようなものであったので、オフレコにとお願いしたのでしょうか。かえってこれでアベノミクスのお粗末な実態を暴露してしまった感があります。
また、放送電波を止めるぞと脅した高市早苗総務相が、経歴詐称ではないかという話があります。ジャーナリストの鳥越俊太郎氏は、「これ言っておかないといけない。高市早苗さんは、米国の議会立法調査官をやっていたという触れ込みで日本に帰ってきて、田原さんの“朝まで生テレビ!”に出たんですよ」「ところが、彼女は見習い待遇で、無給で、未契約のフェロー、つまりコピー取り程度、お茶くみ程度のことしかやっていない」「だから、経歴詐称だよね、僕に言わせれば。経歴詐称」と発言しています。彼女は国粋的な発言をしていますが、このような倫理観で国体を論じる資格があるのか疑問に感じます。
それにしても、あまりにも野党勢力がだらしのないのが、このような自民党政権のお粗末な状況を許しているとしか言えません。そしてその原因は、国民が政治に対して真摯に対峙していない日本の現状があると思います。夏には衆参同時選挙の話が進んでいますが、これも党利党略で、大義がありません。一昨年に増税の賛否を諮って衆議院を解散しています。それを先送りしようとしている今、また衆議院を解散?
国民はここでどこまで賢く、どこまでバカでいるのかその自覚が必要です。
辛口キャスター、交代の春 本人の意思・数字
http://digital.asahi.com/articles/ASJ1X5KC3J1XUTIL02Q.html?_requesturl=articles %2FASJ1X5KC3J1XUTIL02Q.html&rm=1225
NHKニュースウオッチ9「大越キャスター」突然の交代人事に官邸の気配
http://www.dailyshincho.jp/article/2015/01280800/?all=1
安倍首相赤っ恥 クルーグマン教授が極秘会合の中身を暴露
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178338
安倍政権に屈したテレビ局
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48001
強まる「同調圧力」。メディアは加担していないか。
http://www.buzzfeed.com/satoruishido/yuko-kuniya#.mh6njjEdw
NHK秘密のルール 政府に都合の悪い国会中継中止できる?
http://www.news-postseven.com/archives/20160408_399588.html
高市早苗総務相が経歴詐称か
http://news.livedoor.com/article/detail/11359520/
◆パナマ文書で暴かれる世界の不正◆
パナマ文書という情報のリークが世界政治を揺り動かしています。これまで闇の中にあったタックスヘイブンの実情が、正義感を持ってか、ある政治的な意図を持ってか、公開されました。下記のニューズウィークのサイトには。
“これまでに出ている情報によれば、発端は2014年末にある匿名の人物が南ドイツ新聞の記者に連絡をとり、パナマ文書のリークを申し出たこと。さながら「ディープスロート」のような人物から情報提供を受けた南ドイツ新聞は、米ワシントンに本拠を置く非営利組織「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」に話を持ちかけ、世界中のメディアを巻き込んで文書を分析することにした。文書データのサイズが2.6テラバイト、ファイル数にして1150万(480万の電子メール、100万の画像、210万のPDF)と莫大で、裏取りするのには、グローバルな調査報道体制を敷く必要があったからだ。”とあります。
そして、“ こうしてICIJの呼びかけで世界76カ国、100以上のメディアから記者370人以上が協力し、約1年かけて情報を分析していった。ICIJはプロジェクトに参加する記者だけがアクセスできるURLを作って、国をまたいで情報交換する仕組みを整えたという。この世界的な調査報道の成果が「パナマ文書」の衝撃だ。”とあります。日本からは朝日新聞が参画しています。
すでにアイスランドのグンロイグソン首相は国民の激しい非難の前に辞任しました。イギリスのキャメロン首相も、投資していたことを認めて苦しい立場に立っています。アルゼンチンのマイク大統領は捜査の対象になりました。パキスタンのシャリフ首相の一族、マレーシアのナジブ首相の息子、プーチン大統領の親友や、習近平主席の親族、その他、中国の最高首脳の親族等が告発されています。これはある意味テロです。しかし人類にとって、このような情報のリークは正義でもあります。
当然各国の税務当局は、この情報を精査していきますから、今後もいろいろな事件が起こってくるでしょう。そして各国の政権にも大きな影響が出る事は、間違いありません。中国では、厳しい報道管制がされていると言われていますが、今という時代では、情報は隠蔽できないでしょう。必ずしも安定状態にあるとは言えない習近平政権も、大きな衝撃を受ける可能性もあります。ロシアのプーチン政権も、そのリスクがあります。今のところ日本の政治家の名前は出ていませんが、国税庁が精査していくと、政治家に関連する企業が発覚することはあると思います。今後しばらく、これから目が離せません。
ただし、パナマやケイマンにSPC(特定目的会社)を設立する事は金融の世界では常識で、それ自体は違法性はありません。基本的に節税目的ですから、脱税とは紙一重です。
パナマ文書はどうやって世に出たのか
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/post-4850.php
NYタイムズですら蚊帳の外、「パナマ文書」に乗り遅れた米メディア
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/ny-5.php
パナマ文書「情報提供は犯罪行為止めたくて」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160407/k10010470761000.html
「パナマ文書」とは何なのかまとめ
http://gigazine.net/news/20160406-panama-papers/
タックスヘイブンを使ったのは誰かが検索できる、日本の住所も多数あり
http://gigazine.net/news/20130615-icij/
モサック・フォンセカのデータを世界のマップに落とし込んだ
https://briankilmartin.cartodb.com/viz/54ddb5c0-f80e-11e5-9a9c-0e5db1731f59/public_map
「パナマ文書」米司法省が調査 各国首脳ら、租税回避か
http://www.asahi.com/articles/ASJ455T1QJ45UHBI01B.html
「パナマ文書」スキャンダル、早わかりQ&A
http://jp.wsj.com/news/articles/SB12748367622113273976104581644460949815354? mod=djem_Japandaily_t
「パナマ文書」に焦る中国、封じ込めに躍起
http://jp.wsj.com/articles/SB11960924612531984379704581642702739099650
◆超高速大量データ高速処理による業務の進化◆
2000年に創立を支援したベンチャー企業の株式会社ターボデータラボラトリ-が、最新の応用事例を紹介するセミナーを開催します。
株式会社ターボデータラボラトリ-は、メモリ上に大量のデータを展開して処理することで画期的な高速処理を実現する技術を開発しました。そして特許を取得し、これを展開してきました。最初、スーパーコンピューターの部品表データを使い、製造業において非常に時間のかかる“所要量展開”という生産計画の計算に使ってみました。それまで数時間かかっていた処理をわずか数秒で処理できました。あの時は感動しました。むろんユーザーも感動して、すぐに導入を決めてくれました。
それからこつこつと技術開発を進めると同時に、この間クラウドコンピューティングのような当時考えられないような巨大なコンピューターを簡単に利用できる時代になりました。その先進的な事例を紹介するセミナーです。製造業はもとより、ビックデータを使う業務改善やマーケティングに興味を持つ人は、是非ご参加下さい。申し込みは下記です。
株式会社ターボデータラボラトリ-
http://turbo-data.co.jp/
◆俯瞰のクッキング 1.5時間で準備したディナー◆
3月のある日、3人の友人を食事に招待しました。その日は溜池山王で13時まで会議がありました。そして夕食の開始が16時でした。今回は、そのおもてなし料理の準備についてご紹介しましょう。
会議を足早に退席し、南北線で麻布十番まで移動しました。そして“日進”というスーパーマーケットに入った時は、すでに13時30分です。買い物カートに、まずベビー・リーフを2パック入れました。サラダです。ドレッシングは、いくつか面白いものを頂いておりましたから。そしてミニトマトを何パックか、パパイヤ1個、香菜(コリアンダー)一束、生ハム1パック。そして肉売り場に行って骨付きの豚のロースを1.2?の塊で買いました。これはメインのローストポークです。次に冷凍食品の売り場に行って、えびのカクテルのパーティーパックを2つ、家にあるケチャップとレモン、そしてタバスコでカクテルソースを作り、これを魚料理とします。さらに26匹入りのブラックタイガーの冷凍パックを買いました。このエビでトムヤムクンスープと、パエリアを作ります。ワインは自宅の備蓄を使います。これだけの荷物を両手に抱え、店前からタクシーで自宅まで移動しました。すでに14時30分です。
冷凍のブラックタイガーを、水道の流水で解凍し始めました。オーブンを200度で予熱します。
骨つきの豚のロース肉に塩胡椒をすり込み、ローリエやタイムと一緒にジップ袋に入れ、さらに料理用の日本酒を少し入れて手で揉みこみました。
米を2カップ洗ってザルに上げて、パエリアの準備をしました。
ベビー・リーフは洗って水を切り、大きなサラダボールに入れました。
解凍できたブラックタイガーの皮をむき、その皮をノンスティックのフライパンで軽く焼いて水を入れ、エビのスープを取ります。ここまでくると、ほっとします。時間は15時です。
すなわちこの日のメニューは、スタートがパパイヤの生ハム乗せ、トムヤムクンスープ、サラダ、次に魚料理としてシュリンプカクテルです。その後メインとして、ローストポークがあり、締めはパエリアです。
骨付きのかたまり肉を、脂身のほうから骨に届くくらい1センチ間隔で切り込を入れ、オーブンに入れてスイッチオンです。 10分後脂身が溶け出したら温度を180度に下げて1時間半ほどゆっくりローストします。 40分ぐらい経ったとき、洗った皮付きのジャガイモを人数分オーブンに追加します。このレシピは、ホルトハウス房子という有名な料理家のレシピです。私よりもずっと年上ですが、こういう方のレシピは年々シンプルになり、そしてそれが美味しいのです。
トムヤムクンスープを仕込みます。先に取ったエビの殻のスープに水を加えて人数分にし、鍋にかけます。顆粒の鶏ガラスープを入れます。薄切りのタマネギを入れます。これから先は順不同ですが、ベランダで栽培したレモングラス、こぶみかんの葉(レモンリーフ)と、カーいうハーブ、そして赤唐辛子を2本をいれ、さらに市販のトムヤムペーストを小さじ2杯程度入れます。 カピというエビペーストも小さじ1杯程度、ナンプラーで塩味を調整します。アクをすくって一旦火を止めます。食卓に出す直前に、エビと半分に切ったミニトマト絞ったレモン汁を入れ、さっと火を通して器に盛って、コリアンダーを入れます。
カクテルソースは、ケチャップに絞ったレモン汁を入れ、タバスコで辛味を調整します。
次はパエリアの仕込みです。米が2カップですから、スープは4カップになります。トマトジュースの缶詰を1缶、水を加えて4カップにします。これに顆粒の鶏ガラスープを大さじ2杯程度入れます。ターメリックを小さじ1杯程度入れて、高価なサフランはいれません。そしてしっかりと塩味をつけます。
パエリア鍋にオリーブオイルを多めに入れて、潰したニンニクを2?3片分いれます。いい香りがしてきたら、水分をぬぐったブラックタイガーを入れて炒めます。エビはいったん取り出し、ザルに上げておいた米を入れて軽く炒めます。そして用意したスープを注ぎ込みます。この日は赤ピーマンをエビと一緒に炒めて入れました。そしてエビを戻して、蓋をして弱火で40分、ただ放っておくだけです。
ここまでくると16時です。友人たちの到着です。玄関に出迎えて、スパークリングワインで乾杯して席に着いてもらいます。
ますパパイヤ生ハムを出して、ディナーのスタートです。次はトムヤムクンスープのハーブを取り除き、火を入れエビとミニトマトを入れ、味を確認して器に盛りコリアンダーを載せます。
次は、サラダボールから好みのドレッシングでベビー・リーフのサラダを食べてもらいます。まず野菜を食べるという事は、健康学の上では重要です。血糖値の上昇を抑えるからです。これは習慣にされると良いでしょう。野菜、魚、肉、そして炭水化物が健康のための順序です。フランス料理のコースはこれに沿っていますね。
次に解凍しておいたシュリンプカクテルをサービスします。カクテルソースはお好みでかけてもらいます。
ここまで来ると、オーブンのローストポークも焼き上がっていますから、取り出して切り分けて皿に盛り、焼きあがったジャガイモを半分くらいに切って添えます。マスタードを添えて出しました。
この間、適当に赤ワインを飲んでいますから、かなり雰囲気も盛り上がって、いつものように昔話で盛り上がっています。
いよいよ締めのパエリアです。弱火で40分が良いと思います。これは、蓋を取って少し火を強めて、チリチリという音がするくらいに少し鍋底を焦がして、オコゲを作るというテクニックもあります。
ここまで来ると既に18時を回っています。後はコーヒーその他で終わることになります。門までお客様を送って終わりです。洗い物は黙々とパートナーが深夜までこなします。私は酔払って寝ます。以上、ある日のドキュメンタリーです。
dancyu「いいレシピって、なんだ?」
http://yuriika3.exblog.jp/22610795/
◆ニューウェーブの俯瞰 スマートホームがキーワード ◆
今、私が買いたいものは、アマゾンのEchoです。残念ながら、日本ではまだ発売されていません。これは今アメリカで注目集めているようです。スマートホームと言って、家の中のいろんなデバイスを音声でコントロールしたり、コンシェルジュのようにいろんなことを質問すると、ネットから答えを探してきてくれるという、ともかく非常に優秀なコンシェルジュが家に常駐している状態になるようです。
キーテクノロジーは音声認識ですが、ネットの上には人工知能が控えることになるでしょう。いろいろなスマートデバイスが提案されていますが、ユーザーから見て手で操作しなくても、人に話しかけるように音声で操作できれば最も便利です。それがすでに実現出来ます。
そして今、この分野で1番注目を集めているものが、アマゾンのechoです。Appleの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアック氏も絶賛しています。そしてアマゾンのechoがあるとどんな生活になるかは、下記の週刊アスキーのサイトにあるYouTubeを見ると解ります。残念なことにこれも英語ですが、是非ご覧になるといいでしょう。
むろんGoogleもAppleも同じことを考えています。 ただGoogleもAppleもかなり遅れをとっているようです。キーテクノロジーの音声認識は、それぞれかなりの水準のアプリケーションを公開していますが、スマートホームというサービスではかなり遅れをとっているようです。音声認識の技術ではマイクロソフトも「コルタナ」という機能をWindows10に搭載していますから私の書斎のパソコンでも使えるはずですが、使っていません。 Appleのshiriは使いますが、実用的に全く問題ない水準だと思います。ちなみに何度もこのメルマガでもご紹介していますが、約1万2,000字のこのメールマガジンは、ほとんどすべてドラゴンスピーチというソフトウエアによる音声入力です。キーボードの操作に弱い私はミスタイプが多く、この音声認識ソフトに依って10倍以上の生産性を上げています。正答率は95%以上あると思います。意外と皆さん身近にある音声認識という時代のキーテクノロジーを活用していませんね。
日本の企業もスマートホームに注目しいてると思いますが、多分この分野ではAmazonやグーグル、 Appleに置いていかれるでしょう。特にAmazonは強力で、すでに家のリフォームも積水ハウスや大和ハウスと組んで、ネットで販売中です。もちろん家電製品の全てを取り扱っていますから、トータルなスマートホームを提案できます。アップルのスマートホームは、繋がる機器が現在の段階では極めて限定的で実用になりません。 Googleは詳細が把握できないほど出遅れです。
今産業界では、IoTすなわちモノのインターネットが注目集めています。すべてのものにセンサーがつけられ、そこからの情報を大量に収集して有効なサービスを創成しようというビジネスです。これは未来の話でなくテクノロジーとしては、ほとんど完成しています。普段、何気なく使っている交通カードもこのテクノロジーです。自動車もネットとつながってConnectedCarなっています。私も乗っています。このIoT から収集される膨大な情報はビックデータです。そしてこのビックデータはdeep learningできる人工知能で分析されるでしょう。繰り返しますがこれは未来ではなく、現在なんです。
日本の企業、産業界はセンサーを含めた機器に関する技術について、まったく問題ありませんが、顧客にとって本当に価値があるサービスを提供するシステムを商材として作り上げることができるか気になります。日本の企業で今自由にクラウドコンピューティングと人工知能をサービスビジネスに活用する、活用できる企業が私からは見えません。
いろんなところでお話していますが、日本の企業がもし元気でないとすれば、時代に付いて行っていないことだと思います。
私の周囲の学生や若い方には、まだガラケーを使っている人、モノづくりという言葉を連発する人、失われた20年という言葉を使う人の話を聞いてはいけない、と助言しています。こういう人たちは、物理的には2016年に生活しながら2000年以前の脳で暮らしています。あえて言いますと、日本の企業のトップの大半がこのセグメントに分類されるかもしれません。
俯瞰のニューウェーブというこのコラムは、ニューウェーブに意味があります。ニューウェーブとは、すでに起こっている近未来です。自分で未来を考えなくても、自分に向かって押し寄せてくる時代の波を見れば、自分が起こすべき行動はわかります。この時間差のマネージメントが、人生や企業業績を決定的に決めます。
アップル Siriより未来だ!Amazonの人工知能スピーカー『Echo』実機レビュー
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/350/350944/
ウォズニアック氏が「Amazon Echo」を大絶賛「次にくるのはこれだと思う」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1603/14/news100.html
GoogleやAppleを抑えて、スマートホーム市場を勝ち抜くAmazon Echo
http://readwrite.jp/trend/29435/
Amazon、音声制御のWi-Fiスピーカー「Echo」を199ドルで発売へ
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1411/07/news057.html
Amazonのハードウェア史上最大のヒット商品になった「Amazon Echo」
http://gigazine.net/news/20160405-amazon-echo-development/
HomeKit 対応アクセサリを iPhone、iPad、および iPod touch で使う
https://support.apple.com/ja-jp/HT204893
新生グーグルの象徴 Nestが大幅機能アップデートを発表
http://forbesjapan.com/articles/detail/8102
Google、音声認識APIを公開
http://jp.techcrunch.com/2016/03/24/20160323google-opens-access-to-its-speech-recognition-api-going-head-to-head-with-nuance/
マイクロソフトの音声認識「コルタナ」に「『シリ』ってどう?」と質問
http://diamond.jp/articles/-/51316
◆俯瞰の書棚◆
今回の紹介は「右脳の空手」大坪英臣 風雲舎 2015 です。
著者の大坪英臣教授(東京大学名誉教授)は、畏敬する私の先輩教授です。現役時代は工学部3号館の3階に教授室を並べていました。大坪英臣教授は、世界最高水準の構造力学の研究者でした。指導される修士論文は審査会でも圧倒的な高い水準の研究内容で、その高い研究内容を論文の中だけではなく企業の技術者が利用できるようにしたいと相談したこともあります。
この本は定年後、研究・教育に代わる何か打ち込むものを探して、探して、そして空手という世界に、それを見つけた話です。 65歳で空手を始める、これ自体、既に並の人間ではないことをお分り頂けるでしょう、65歳で最初の試合は、8年間も空手を鍛えている52歳が相手です。蹴られても殴られても、ただただひたすら突きを出し、前進していくというくだりは迫力を感じます。そしてなんとその試合で勝ちました。壮年の部で決勝戦では負けましたが準優勝です。
教育と研究に打ち込んできて、自分が作り上げた研究室を出て行くという定年後の生活は、寂寥感に襲われます。今思うと私も大学を定年で離れてから、1 -2年は精神的に不安定な状況にあったと思います。毎日が日曜日の生活は、打ち込むような趣味のない私にとって、戸惑いの時間でした。この本で、大坪教授とこの喪失感を共有しました。
最初やられた空手は、極真系の流れを汲む、フルコンタクトと呼ばれる実際に打ち合う空手です。骨折やケガが当たり前の格闘技だったそうです。
ある時運命の分かれ道に出会うことになります。真義館の麻山慎吾館長に出会ったことです。フルコンタクトの空手で厳しい修行を積み、その世界で生きてきた人です。鍛えすぎて体すら壊しています。
そして武術空手という、全く新しい空手の世界に到達したとあります。武術空手とは相手にダメージを与えることではなく、愛を与えるとあります。攻撃されても、愛を持って対峙すれば、相手が倒れるというのです。この辺は、とても私が説明できるものでないので、この本を読んでください。読めばわかります。練習は古伝の型です。武術空手は衝突の応酬がありませんので、一瞬で勝負は決まるとのことです。こんなことを書いていると、ますますこれを読んでいる人は混乱するでしょうが。
武術の神髄は「攻守一如」で、「観の目」と「入る」とあります。宮本武蔵も同じことを言っています。ここは説明が難しいところです。大坪教授は本の最後で、脳科学で説明されています。そして型の訓練によって、「自然体」という体の状態を作る術を獲得するとのことです。とても私が説明できることではないので、武術空手についての説明は、ここまでにします。
武術空手の到達点は、有名な伊藤一刀斎の「無想剣」です。そして維新の山岡鉄舟は、これを会得しました。この本によると山岡鉄舟は宮内庁に勤務していた時、月に1度の休日に、歩いて120キロ離れた三島の龍澤寺の星定和尚のもとに参禅に通い、 3年目に悟りを開いたとあります。悟りを開く前、山岡鉄舟は伊藤一刀斎の一刀流を正しく伝えるという浅利又七郎に、何度も試合を申し込みますが、全く歯が立ちませんでした。悟りを開いた後、浅利又七郎と試合をすると相手は木刀を捨て「段違いの腕前です、私がかなう相手ではありません」と言って伊藤一刀斎から受け継いだ「無想剣」の極意を伝えたそうです。このくだりを読んでいると、大坪教授が「師の麻山慎吾館長は現代の山岡鉄舟だ」と書きたい気持ちが伝わってきました。私はその一行を追加して読みました。
そして英国のパブリックスクールや、米国で教育を受けたご子息とコミュニケーションが上手に取れないで悩まれていたようですが、いちど道場に見学に来ないかと誘い、武術空手の稽古を施した時に、ご子息が終わった後正座をして入門をお願いされたというくだりでは涙が出ました。親と子、お互いにあまりにも深い愛情を持つ故に、心開く素直なコミュニケーションができません。その緊張関係を一瞬で溶かした瞬間でしたから。
なぜ「右脳空手」なのか、この解説は工学の研究者としての大坪教授らしい科学的な解説です。まず「観る」、「入る」の説明を脳科学の研究の「ベンジャミン・リベットの実験的研究-脳の0.5秒の騙し」で説明しています。これは、人は動き起こそうと脳で考える0.5秒前に、無意識に身体は動きを起こし始めている、それから0.5秒経って脳が動きの命令を出す、にもかかわらず脳は命令が出てから体が動いたと錯覚する、とのことです。この0.5秒の間に相手に入り込むと、相手は無抵抗に倒れるようです。この0.5秒は脳波トフォグラフィーとfMRIを使った実験で確認されているそうです。ただこの0.5秒の話は哲学的な論争を呼びます。自分の意思決定が実は自分が決めていない、自分はその結果であるということですが、ここではこれに立ち入りません。章末のURLで。
ですから「観る」力があれば、相手の脳が指令を出す前に、体が相手の中に「入る」動きができ、容易に相手を倒すことができるわけです。右脳が体を動かすのです。これが右脳空手の本質だと勝手に理解しましたが。
私たちは、2つの情報処理系を持っている事は確かです。ものを考えたり、話したり、書いたりする情報処理系は、意識下の中にあります。一方、鳥肌が立つ、震えが止まらない、飛んできたものを払う、といった身体的な動きは、私たちは意識して脳から指令を出していません。私たちの意識の外にある別の情報処理系があるはずです。その情報処理系は全身にある感覚器官からの情報を収集・分析して、独自に身体の各部に指令を出しているはずです。そして、この2つの情報処理系は情報の交換をしているはずです。
私は専門家ではありませんが、0.5秒の時間差は2つの情報処理系のデータ交換の処理時間ではないかと勝手に思い込みました。そうすると、右脳空手や山岡鉄舟の神業のような剣道、そして麻山慎吾館長の神技を理解できます。こういう私はやはり左脳人間ですか。
大坪教授は最後に「これに出会うために生きてきた」と結ばれています。こみ上げるような感動を覚えました。この本を読んで、自分が少し変わったと思います。もし心に迷いがあれば、この本を読んでみたらいかがでしょうか。大坪教授は論文ではなく、わかりやすい読み物として書かれています。
ユーザーイリュージョン 松岡正剛の千夜千冊
http://1000ya.isis.ne.jp/1509.html
http://1000ya.isis.ne.jp/file_path/1536_img05.jpg
◆編集後記◆
・ヨーロッパも不安定、アメリカの大統領選挙も大混乱、北朝鮮も異常と来れば、いつもニュースが気になります。
・パナマ文書は各国で政争の具として使われるでしょう。何か起こっても不思議ありません。ロシアはどうでしょう。日本も何か出てきてもおかしくありません。
・待機児童の問題も山尾議員の国会質問で火が付き、一見前に進んできましたが、検事出身にしてはガソリン代、事務所の会計処理の脇が甘いですね。甘利さんも良い仕事をしながら事務所の会計処理が残念です。
・80歳を超えての現役の経営者は、身体は衰えても、思考は問題ないと考えているのでしょうか。生理学的な脳はそれなりの劣化をしているという自覚がないのでしたら、それは認知症でしょう。
・0.5秒の時間差、初めて知りました。それにしても、松岡正剛は改めて見直しました。凄い!
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◆俯瞰 MAIL 0057号(2016年4月10日)
発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行人: 松島克守
編集長: 松島克守
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※本記事は松島克守氏の許諾を得て、再録したものです。
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