脱原発の議論の前に福島の汚染水の処理を!


◆このメールマガジンは、松島克守が、東京大学教授、そして(社)俯瞰工学研究所 の代表としてこれまでに名刺交換やメール交換をさせて頂いた方々に送らせて頂いて おります。またこのようなメールマガジンはメールボックスのご迷惑と感じられる方 もあるかと思います。ご遠慮なく不要のお申し出を下さるようお願いします。また、 内容等についてもご遠慮なくご意見を頂ければ幸いです。 過去の俯瞰メールは俯瞰工学研究所のHPの「俯瞰メールのアーカイブ」にあります。 http://www.fukan.jp/ また、ご友人、ご家族に転送して頂くことは大歓迎です。このマガジンは長いので添 付のpdfファイルを保存しておいてタブレット等でゆっくりお読み頂くこともできます。




皆様

◆時候ご挨拶◆
新年おめでとうございます。皆様にとって昨年が良いお年で、本年もさらに良いお年となりますよう祈念いたします。この俯瞰メールマガジンは始めて4年目に入りました。これはひとえに、皆様にお読み頂いている、という思いが励みになり続けてこられました。最初はそれまでの数千枚の名刺をOCRで乱暴に処理して読み取ったアドレスの1194人から始めましたがその後に交換の名刺は丁寧にメールアドレスを抽出して今日現在は4017人に配信しております。3年間に3000人近い方々と名刺交換をさせて頂いたのでしょうか。今後とも宜しくお付き合いをお願いします。このメールマガジンに記事の投稿をご希望の方は是非原稿をお寄せください。

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・脱原発の議論の前に福島の汚染水の処理を!
・第一次大戦から100年の歴史を俯瞰的に理解しないと
・米国の韓国ロビーの活動に対抗できるか
・二子玉川クリエイティブ・シティ・フォーラム2014開催
・ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内
・頭のよくなるクッキング23
・デジタル書斎の構築29
・書評 「被曝と発がんの真実」中川恵一 KKベストセラーズ 2012
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◆脱原発の議論の前に福島の汚染水の処理を!◆

都知事選挙の争点が脱原発になるようですが、東京都には原発はなく、福島と新潟 の原発からの送電で東京都民は繁栄を謳歌してきたわけです。その福島で汚染水の 問題が終息できていません。脱原発の議論の前に東京都民は福島の汚染水の解決に 何ができるか議論すべきではないでしょうか。


むろん政府も東電に任せるのではなく巨額の予算を投じて凍土遮水壁の建設で汚染 水を閉じ込めるというプロジェクトも推進しています。ただこれには大きな技術的 な課題があるといわれています。


長年日本は科学技術立国を標榜し、技術力を誇示してきました。イノベーションと いう成長戦略にも力を入れています。今、日本が誇る科学技術の人材と知識を汚染 水の処理というイノベーションに集中して解決すべきだと思います。このイノベー ションは間違いなく成長戦略にもなります。関連するすべての科学者、技術者がこ の1点に集中すべきでしょう。日露戦争の203高地です。ただ技術だけを追求しても 汚染水の問題は解決しないようです。ニューズウィークに寄稿された米国の専門家 の助言は聞くに値すると思います。


下記にその記事のいくつかのフレーズを紹介したいと思います。まず”日本のマス コミが報道しているほど事態は悪くない”と指摘しています。“マスコミの偏った 報道がたびたび世間を騒がせ、国民の不安に拍車を掛けている。”ということを指 摘しています。まず、“汚染水漏れや現場作業員の被曝、近海の魚から検出された 放射能など悲観的な話題が多いのは事実だが、冷静に考えてみれば状況はそれほど 悪くない。安倍晋三首相が9月のIOC総会で状況は「コントロールできている」 と宣言したのも、あながち根拠なき主張ではない。”


そして、“当面の重要問題は汚染水漏れだ。しばしば混同されていることだが、地 下水によって運ばれる放射能汚染の問題と、タンクなどからの漏水問題は性質が異 なる問題だ。 地下水、雨、潮の干満など天然の水の作用で引き起こされる水の汚 染は通常、放射能の濃度が比較的低いが、水の総量は非常に多い。一方、タンクや 処理システムからの漏水では、汚染水の量は少ないが、放射能の濃度は前出の天然 の水のケースより高い。この2つの問題には異なる種類の困難があり、別々の解決 法が必要だ。“とあります。続けて、“タンク内の汚染水のほとんどは、セシウム 除去のフィルターを通して(完全な除去はできないにしても)放射能のレベルを大 幅に減少させた後のものだ。それにこれらのタンクは海から何百メートルも離れて いるから、タンクからの漏水で海水が汚染される可能性も低い。”とあります。


凍土遮水壁の建設については、“そのコストおよび必要となる労働力を勘案して総 合的に評価すると、日本政府が320億円を投じようとしている凍土遮水壁の建設 には疑問を呈さざるを得ない。遮水壁がこれほどの規模で造られた例は過去になく、 その有効性を疑う専門家もいる。”と指摘しています。


さらに続けて、“もう1つ、議論が必要なのは汚染水をためておくか海に放出する かという問題だ。政府は国民を安心させるために厳しい環境基準を設定したが、結 果として期待値を非現実的なレベルにまで上げることになった。現行基準の達成に は、大変な困難と莫大な出費が伴うだろう。”


安全安心の議論も重要ですが、国際基準から見ても厳しすぎる基準が問題を大きく しているとも指摘しています。“期待値をあまりに高く設定すると実現が困難にな るし、そこまで達成しない限り失敗とされてしまう。現状では、飲料水と同じくら い厳しい基準を満たさないと汚染水を放出することは許されない。日本の飲料水の セシウムの安全基準は、1リットルにつき10ベクレル以下となっている。ところが、 福島の地下水を海に放出するためには、セシウムの量が1リットル当たり1ベクレ ル以下でなくてはならない。それ以外の水の放出基準は、25ベクレル/リットル以 下に設定されている。”


要するに、“地下水の放出基準を国際的な基準に合う程度まで緩和することを議論 してもいいだろう。それによって少しは汚染水対策の重荷を減らせる。労働力を もっと重要なプロジェクトに集中させることで、水漏れを防ぐ役に立つかもしれな い。”“日本政府は汚染水対策への技術的提案について国際社会に助言を求めた。 だが、他の汚染された地域における研究を基に、福島のケースに適合するように考 慮されたより合理的な放出基準を設定するための勧告を求めたほうが、ずっと役に 立つかもしれない。”


汚染水の語られざる現実1

汚染水の語られざる現実2



◆第一次大戦から100年の歴史を俯瞰的に理解しないと◆

今年は第一次世界大戦から100年ということで、この100年の歴史を改めて解釈し、 今日の不安定な世界情勢を理解して、そしてその情勢の中における日本の行動を考 えることが重要だという気がしてきました。これに関していろいろな見解が発表さ れていますが、 1つの見方は、第一次大戦の背景の一つに、「世界最大の海軍国英 国と世界最大の陸軍国ドイツ」の覇権争いがあり、そして現在は太平洋の大国とし ての米国に中国が挑戦する構図であるとする見方です。


ただ、今の米国は、超大国ではなく、一つの大国でかつてのような力はなく、大統 領の資質や国内状況もあって、指導的役割を果たせないので、英国のように覇権を 失うというシナリオもあり得ます。ですから世界情勢は急速に流動化しているので しょう。英国のメディアではこの視点で、米国と大英帝国、中国と帝政ドイツ、そ してなんと日本とフランスという例えをしています。フランスですか?


日本人の見方としては下記にあります、山崎正和氏の見識は1つの視点を与えてく れます。氏の見解として第一次世界大戦の文明史的な意味は、まず西欧中心の世界 が崩壊し代わって米国が台頭した。またオーストリアのハプスブルグ家、ドイツの ホーエンツォレルン家、トルコのオスマン帝国、ロシアのロマノフ王朝という4つ の帝国が終焉した、としています。さらに広義のグローバリズムの始まりです。こ のグローバリズムの対極にあるのがナショナリズムでその対立が戦争を引き起こす と指摘しています。そしてこのナショナリズム台頭が大きなリスクであるという見 解です。第二次大戦はドイツと日本のナショナリズムが欧米のグローバリズムに挑 戦して引き起こされたという認識です。


中国、インド、アジア、中東、アフリカ、南米・・・・ナショナリズムが紛争を生 んでいます。この第一次世界大戦100年の歴史をこれからじっくり勉強するつもり です。


第一次大戦百年後の今日性

第一次大戦から100年

戦争から考える2014年 山崎正和氏



◆米国の韓国ロビーの活動に対抗できるか◆

韓国政府の慰安婦問題を掲げた反日行動はますます強化されていますが、問題は米 国内の強力な韓国ロビーが無視できない勢力を米国国会に持つようになったことです。


もともと慰安婦問題は第一次安倍政権の河野官房長官談話で折り合いをつけたこと になっているのですが、韓国は強力な韓国ロビーを使って2007年、米国下院外交委 員会において賛成39 票、反対2票で可決させました。そして本会議で10人程の議員 の出席で、投票ではなく声による反対意見無しが確認された上で、満場一致で採択 されました。これは米国議会の慣習を巧妙に使った結果です。確か米国国会では3時 以降の退席が許されていますが、投票権は議場に委任です、ですからこの議題は韓 国ロビーの力で最後の議題とされほとんど韓国ロビーの議員だけが残っている状態 で採択されたということです。


昨年の12月にはバージニア州で公立学校の教科書に”日本海”に合わせて韓国が主 張する”東海”を表記させることに成功しています。これは以前にも紹介しました が、これは連邦政府は拒否しています。


さらに最近ではこの慰安婦問題に対して政府が行動をとるように、米国の歳出法案 の中に書き込ませることに成功しています。法的な強制力はありませんが、法案の 中に対応をすべき、と明示されていますから米国政府も何らかの対応をするかもし れません。日本の地方議員団もアメリカでアピールしていますが、とても韓国ロビ ーの敵ではありません。一方米国国内でも慰安婦の像を立てているロサンゼルス郊 外の町対し撤去する署名を10万人集めたという話もありますが、日本ロビーの活躍 とはとても言えません。日本は韓国ロビーに対抗するようなロビー活動が必要であ ると思います。場合によっては民間ベースで米国の新聞に日本の主張を記事広告と して出すことも選択肢の1つかもしれません。これをやれば日韓関係は最悪になり ますが、ただ大人の我慢だけではかえって良くないかもしれません。


アメリカ合衆国下院121号決議

韓国系ロビー、米議会動かす

日本海・東海併記の動き 公立学校教科書

米歳出法案の中に「慰安婦謝罪」

慰安婦像撤去へ地方議員が米国でアピール

慰安婦像の撤去、アメリカで請願署名10万超す



◆二子玉川クリエイティブ・シティ・フォーラム2014開催◆

GoodLifeのあり方についてみなさんと考えるトークショーを開催いたします。 CCCの増田宗昭さんが、代官山T-SITEの先にあるもの、という講演で二子玉川に計 画中の新しいプロジェクトのお話があります。ぜひこの機会に二子玉川から吹く新し い時代の息吹を感じてください。
申込み:http://creative-city.jp/ccf2014.html


主催:クリエイティブ・シティ・コンソーシアム
日時:2014年2月15日(土)13:40-20:00
会場:二子玉川ライズ・オフィス8階 カタリストBA



・総合司会 福満景子 元NHKキャスター、フリーアナウンサー
・オープニング 13:40- コンソーシアム副会長 松島克守
・『幸福途上国ニッポン -幸福なお金の使いかた-』目崎雅昭氏
  国際文化アナリスト・幸福研究家、日本メガソーラー整備事業(株)代表取締役社長
・『世田谷から実践する里山資本主義』東大史氏
  一般社団法人上山集落監事(元・美作市地域おこし協力隊)、村楽LLP(地域おこ   し協力隊全国ネットワーク)参謀/事業プロデューサー
・『鯖がつなぐ食のコミュニケーション』池田陽子氏・小林崇亮氏
  全日本さば連合会
★『GOODLIFE -代官山T-SITEの先にあるもの-(仮)』増田宗昭氏
  カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)代表取締役社長兼CEO




◆ビジネスモデル学会 イブニングセッションのご案内◆

運動をすれば、細胞レベルから脳と身体が若返るといいう科学の実証研究の発表です、 これを聞かないでどうしますか!

“新しい健康科学の考え方-身体をつくる細胞と制御する脳、適応・進化から考える”
講師:跡見順子 東京大学名誉教授
日時:1月28日(火) 19:00-21:30
場所:霞ヶ関ナレッジスクエア エクスパート倶楽部
講演要旨:
進展が著しい生命科学は、iPSにノーベル賞が与えられたことからも分かるように、生 命の単位である「細胞」が大きな適応力をもつことをあきらかにした。医療だけではな く多細胞/脊椎動物/哺乳類/霊長類の仲間である人間の健康についても細胞から考える メリットは大きい。また他の動物と異なり巨大な脳を発達させ、科学を発達させ、独 自な文化を生み出した人間について、脳により制御される60兆の細胞から成る人の身 体や動きに着目して身心を健康にする考え方を紹介する。

詳細・お申し込みはこちら
http://bit.ly/1hUw7fR




◆頭のよくなるクッキング23◆

年頭にあたって食習慣の再設計をしませんか。健康は生活習慣、すなわち食と運動が 全てですから。これまで何回か食すべき食材について紹介してきましたが、 3年経ち ましたのでここで改めてまとめてご紹介しましょう。


まず、1990年「デザイナーズフーズ」が発表されています。3段階に分かれています が、最上位のランクは、ニンニク、キャベツ、甘草、大豆、生姜、セリ科(人参、 セロリ、バースニップ)です。甘草は漢方で有名です。バースニップはヨーロッパで 栽培されている白人参です。この下の第2ランクは玉ねぎ、茶、ターメリック、玄米、 全粒小麦、亜麻、柑橘類(オレンジ、レモン、グレープフルーツ)、ナス科(トマト、 ナス、ピーマン)、アブラナ科(ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ)です。 第3レベルはハーブ類です。いかがですか。


次は「食すべきトップテン」というレポートです。それによると、第1位はリンゴで す。第2位はアーモンド、第3位はブロッコリー、第4位はブルーベリー、第5位は魚油、 第6位は緑の葉菜、第7位はサツマイモ、第8位は小麦胚芽、第9位はアボガド、第10位 はオートミールです。日本ではオートミールは麦ごはんか玄米食でしょうか。


ちなみに、私は、朝食に野菜ジュースとして人参、セロリ、レモンを取り、果物とし てこの季節はリンゴ、ミカンを、そして通年でブルーベリー(冷凍)をコーヒーカッ プ1杯、そして納豆、野菜としてトマトを取り、日によってはニラ卵いため、やキャ ベツ炒め、軽く蒸したブロッコリー、ほうれん草お浸し、アボガドを取っています。 夕食は刺身と、焼き魚か煮魚、野菜料理、味噌汁(キノコ)、ご飯は時々は玄米を食 しています。ニンニクと生姜は常備してよく使います。肉は10日に1-2回、鶏肉、 牛赤身を食します。外食が多いので夕食は管理が難しいですね。


油について、
摂取してはいけない油:マーガリン、ショートニング(安いケーキやクッキー)酸化 した油(外食等の古い油の揚げ物)これらトランス脂肪酸は動脈硬化を引き起こし心 臓や血管に有害です。
摂取を避ける油:動物性脂肪、乳脂肪、ヤシ油、ココナッツ油、これらは飽和脂肪酸 でコレステロールを増やし動脈硬化を引き起こします。


摂取可の油:大豆油、コーン油、綿実油、ごま油、菜種油、紅花油、ひまわり油これ らは多不飽和脂肪酸で、いわゆるオメガ6のリノール酸が多く含まれています。一時 摂取が推奨されましたが、これが多すぎるとアトピーの原因とか、酸化しやすい上、 悪玉コレステロールを減らしますが善玉コレステロールも減らすといわれています。 また精製の過程で化学品を使用するので少量有害なトランス脂肪酸を含みます。


摂取お勧めの油:オメガ9のオレイン酸が多い、キャノーラ油、オリーブ油です。出 来ればエクストラバージンオリーブ油。化学品で抽出したオリーブ油は避けます。


積極的に摂取すべき油:オメガ3脂肪酸です。オメガ3脂肪酸は限られた植物油にしか 含まれません。現代人には不足してこれが色々問題を起こしていると言われています。 この不足するオメガ3脂肪酸を含む油は、エゴマ油、シソ油、亜麻仁油です。ただし 酸化に敏感なため決して加熱しないで、生で摂取すると同時に冷暗所に保存する事。 食物ではクルミ、そしてサケ、イワシ、サバ、ニシンという冷たい海の魚はオメガ 3脂肪酸を造るEPAやDHAを豊富に含みます。


注意、菜種油とキャノーラ油は別物でキャノーラ油は品種改良されて有害なエルカ酸 を無くしたものでこれは摂取してもよいと言われています。青森産の菜種油は品種改 良されたものです。紅花油も品種改良されてオレイン酸を多く含むものは摂取してい いです。ピーナッツ油は避けます、これは発がん物質のアフラトキシンを含んでいる 可能性がありますので。私は、サラダオイルとしては品種改良された缶入りの紅花油、 バージンオリーブオイルを複数、生野菜用にエゴマ油、シソ油、亜麻仁油のいずれか です。ゴマ油は香りづけに少し。


魚は良質の蛋白源であることは自明ですが、とりわけ期待されているのが「血液サラ サラ効果」のEPAとDHAです。これは植物性脂肪の必須のオメガ3脂肪酸のα-リノレン 酸に対応する脂肪酸です。そのEPAとDHAはどの魚種にあるのかを調べてみました。


多くは頭や内臓、皮にありますが殆ど捨てられていますから、可食部の含有量で比較 した情報が日本食品脂溶成分表というものにあるようですが、それを引用している ニッスイのサイトで見てみました。圧倒的に多いのは本マグロのトロですが、これは あまり口に入りませんね。赤身になるとガックリ下がります。EPAとDHAの多い魚は (可食部100gに含まれるmg)、

マイワシ     EPA1381 DHA1136 計2517
本マグロ(トロ) EPA1288 DHA2877 計4165
サバ       EPA1214 DHA1781 計2995
マダイ      EPA1085 DHA1830 計2915
ブリ       EPA 899 DHA1785 計2684
サンマ      EPA 844 DHA1398 計2242
サケ       EPA 492 DHA 820 計1312
アジ       EPA 408 DHA 748 計1156


です。あとの魚種、カレイ(計412)、ヒラメ(計284)、マグロの赤身(計142)・・ はかなり落ちます。鮭はこれとは別に強力な抗酸化成分のアスタキサンチンがありま すから積極的に食すべき魚です。特に紅鮭は養殖がなく天然ですから養殖魚の抗生物 質のリスクがありませんね。私は、マグロ、イワシ、ブリ、タイ、サンマ、サケ、サ バで出来るだけ天然ものを選びます。


雑誌の特集で「今年こそ、自分で健康になる食習慣、医者いらずの食べ方」(日経お となのOFF)がありましたのでご参考にご紹介しましょう。


有名な順天堂大学の白澤教授は5つのルールを提案しています。 1. 炭水化物を制限、 2.良質のタンパク質をしっかりとる、3.質の良い脂質を取る、 4. .野菜を多く取 る、5.甘いお菓子は絶対ダメ。そして朝食に野菜ジュースを勧めています。


癌の治療で有名な西台クリニック院長の済陽先生は、リンゴ、はちみつ、レモン、 ヨーグルトを勧めていますが特に野菜ジュースを勧めています。癌治療に大きな効果 を上げているといいます。そして食材としてキノコ、卵、玄米、ニラ、あしたば、モ ロヘイヤなどクセのある野菜、海藻、タマネギ、ネギ、魚介類、大豆食品、芋類、ニ ンニク、鶏肉を「癌を防ぐスープ」の食材として勧めています。


新宿溝口クリニック院長の溝口先生は50代以降足りなくなる栄養素として、オメガ3 脂肪酸系の良い油、肉魚豆というタンパク質、ビタミンB、ミネラルを上げています。 以上ご参考になりましたか。食習慣をデザインする、どうでしょう。


マクガバンレポートから「デザイナーズフーズ」

フードピラミッド

健康に良い食べ物ベストテン1

健康に良い食べ物ベストテン2


◆デジタル書斎の構築29◆

腕に着けて一日の活動を記録でき、仲間と情報共有もできるセンサーを搭載して、活 動量などをスマホなどで確認できるウエアラブルという製品が様々発表・発売されて います。ジョウボーンやフィットビットなど米ベンチャー企業が開発したもの、米ナ イキなども発売しています。 Apple Storeやビックカメラでも販売しています。この 市場は今かなり熱いと思います。


複数の友人もこれに関連した起業を考えています。まさに健康産業花盛りです。前回 の書評で書きましたが、運動は体を健康にする以上に脳を健康にするということなの で、書斎にルームランナーを買って、このウエアラブルの手首のバンドも買って、一 日の運動量すなわち歩数、夜の睡眠時間の管理をしてみました。ルームランナーでは 時速5キロで約45分運動します。ウォームアップ5分、クールダウン5分、20分後から 有酸素運動を20分します。心拍数は110-120です。睡眠時間の管理も面白くて、深く 眠っている時間と、浅く眠っている時間が検出されます。


このほかにタニタの体重計で体重と同時にいろんなデータが取れます。この数年この 体重計のおかげでBMI 23 、体脂肪率21をほぼ維持できています。


ここで問題です。各社各様の情報規格のため一元的に管理できません。特に日本の体 重計や血圧計は極めて上質ですが、ハードウェア単体で高機能化し、閉じた世界で情 報管理していますから総合的な管理が出来ません。つまりタニタの体重計とオムロン の血圧計、ウエアラブルの歩数、睡眠時間が一元化できません。メーカーの担当執行 役員と話しましたがこれはインテルにおまかせとのことでした。


統合できると新しいサービスが創出されるのですがこれができない、やらない、これ が日本の製造業という文化でしょうか。多分すぐにもここをチャンスと見て賢いベン チャー企業が解決してくれること期待しています。
個人的な課題はこの運動習慣がいつまで続くかということです。




◆書評◆

今月の、ご紹介は「被曝と発がんの真実」中川恵一 KKベストセラーズ 2012 です。


この本の著者は長年放射線による癌治療行ってきた東大病院の放射線科の専門医です。 最近では福島の飯舘村に定期的に調査に行って地域の方々に正しい放射線と癌の関係 について情報提供しています。あまりにも、放射線と発がんの関係についての正しい 知識が国民に提供がされていないという思いが強く出ています。


重要な言明は広島と長崎の真実、チェルノブイリの真実という人類の貴重なデータか ら、行き過ぎた放射能と癌のリスクのいわば風評のリスクについて述べているところ です。広島と長崎の被爆者を永年調査した結果から、100ミリシーベルト以下では発 癌のリスクは極めて低いと言明しています。すなわち100ミリシーベルト以下で発癌 をしたという科学的な事例はないというのです。むしろ危険を強調し続け、ストレス を抱えて生活習慣を悪化させ病気になるということです。また内部被曝は外部被曝に 比べ極めて危険だということもないということです。


100ないし200ミリシーベルトという値は福島第一原発で作業をする人たちが受ける被 曝量ですが、喫煙はその10倍以上の発がん率を高め、受動喫煙ですら100ミリシーベル トの被曝に近い影響があると言います広島と長崎の真実では非常に興味深い事実が紹 介されています。広島では原爆の破壊力や熱線、放射線によって9万から16万人が被 爆後4ヶ月以内に死亡しました。長崎では6万から8万人が死亡しています。ただ死因の 内訳は、爆風による外傷が20%、放射線による障害が20%、熱線と二次的な火災によ る熱傷が60%です。 2000年までに放射線による被曝で発症した癌の総数は1,900と推 定されています。この広島と長崎のデータから100ミリシーベルト以上の被曝では発 癌のリスクが上昇することがわかったのです。ただ子供の発症率は数倍に上がります。 当然ですが被爆者の子供に何の影響もありません。爆弾投下の2週間以内に爆心地から 2キロ以内に入った人を「入市被害者」といいます。ただ驚くことにこの「入市被害 者」の平均寿命調べると日本の平均より長いのです。特に広島市の女性の平均寿命は 日本一長い(2005年)ということです。この人たちは原爆手帳を支給され、病院に原 則無料で掛ることができます。このため非常に充実した医療の効果で全国平均を上 回ったのです。


チェルノブイリの真実では重大な事実が判明しています。チェルノブイリ原発は福島 の原発を違って容器がない形です。ですからものすごい量の放射性物質が放出されま した。


まず決死隊として飛び込んだ所員や消防士の134人は1000から8000シーベルトの大量 の放射線を被曝したと推定されています。うち28人は事故から3ヶ月間の間に死亡し ています。残りの 20人が事故から25年の間に死亡しています。突入した134人中、原 発事故で亡くなった人は50人ということです。決死隊とは別に事故処理の作業者や一 般市民50万人が記録を取られていますが、このうち198人が事故から25年経つ間に白 血病で亡くなっています。小児甲状腺がんは増えています。これは人災です。本来ソ 連政府は直ちに乳製品の摂取を止めさせ、ヨウ素を配布すべきでしたがこれを怠って います。従って甲状腺癌を発症した小児は2006年時点で5,000人に上り、このうち9人 が死亡しました。2011年では6000人が癌の手術を受けうち15人が死亡しています。


福島では牛乳や食品の摂取制限が行われチェルノブイリのようなことが起こっていま せん。すなわちチェルノブイリの住民に確認されている健康被害は小児の甲状腺癌だ けです。


重大な事実は、チェルノブイリでは平均寿命がその後著しく低下しています。事故が 原因での死亡者と推定されるものは、原発に飛び込んだ50人と事故処理に関わった作 業員で、白血病で死亡した80人、一般市民で甲状腺癌を発症した6,000人のうちの15 人だけですから、これは平均寿命を下げるものでありません。平均寿命を下げた原因 は、原発事故によって人生に絶望したり、強制的な避難で職を失ったり、コミュニ ティーを失ったりした結果から生じたストレス、生活習慣の乱れ、とりわけ高齢男性 者の精神的ダメージ、で短命なったという事実です。


チェルノブイリの教訓は、精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、経済活動 の制限といった事故に伴う副次的な影響の方が、放射線被曝よりもはるかに大きな損 害をもたらすことが明らかになったことです。チェルノブイリでは年間の被曝線量が 5ミリシーベルトを以上となる地域の住民に強制避難区域になりました。これは福島 の計画的避難区域の年間20ミリシーベルトの4倍の厳しい基準です。1ミリシーベルト を20シーベルトに変更することに抗議して涙の記者会見をした、内閣参与の東大教授 もいますが。


この広島・長崎とチェルノブイリの教訓を、現在の福島の問題にきちっと生かしてい く必要があるとつくづく認識しました。 いま食品売り場にいくと福島の野菜は殆どありませんが、茨城産や宮城産の野菜が他 に比べ低価格で売られています。まさに風評被害です。茨城産の野菜、宮城県産の野 菜はこの本を読んでから何のためらいもなく買うことが出来るようになりました。 この本は新書ですので簡単に読めます。ぜひご一読を。





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◆俯瞰 MAIL 0037号(2014年1月20日)
発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行人:   松島克守
編集長:   松島克守
URL: http://fukan.jp
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※本記事は松島克守氏の許諾を得て、再録したものです。


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