米国大統領が決まり、中国の習近平主席も決まりました


◆このメールマガジンは、松島克守が、東京大学教授、そして(社)俯瞰工学研究所の代表としてこれまでに名刺交換やメール交換をさせて頂いた方々に送らせて頂いております。またこのようなMLはメールボックスのご迷惑と感じられる方もあるかと思います。ご遠慮なく不要のお申し出を下さるようお願いします。また、内容等についてもご遠慮なくご意見を頂ければ幸いです。過去の俯瞰メールは俯瞰工学研究所のHPの「俯瞰メールのアーカイブ」にあります。http://www.fukan.jp/また、ご友人、ご家族に転送して頂くことは大歓迎です。このマガジンは長いので添付のpdfファイルを保存しておいてiPad等でゆっくりお読み頂くこともできます。



皆様

◆季節のご挨拶◆
やっと秋らしくなりました。紅葉の季節ですが、まだ東京は緑が多いですが、でも銀杏も少し色が付き始めました。神宮外苑の銀杏並木、本郷の東大の銀杏も例年見事で幻想的です。

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・米国大統領が決まり、中国の習近平主席も決まりました
・中国に関する6つの特集記事
・さあ、総選挙です
・宗像大社に行ってきました
・「地域新生のデザイン2」を電子版で出版しました。
・頭のよくなるクッキング9
・デジタル書斎の構築15
・書評 : 「コミュニティーデザインの時代」山崎 亮 中公新書 2012
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◆米国大統領が決まり、中国の習近平主席も決まりました◆

オバマ大統領が接戦を制して当選を決め、中国もかねての既定の習近平主席が決まりました。


世界がこれからどう変化するのか、かたずをのむ気持ちです。特に中国は権力闘争が激しくまだ極めて不安定だということは、求心力をいつものナショナリズムに求めてくる危険があり日中関係、尖閣が予断を許しません。


米中関係も緊張からスタートですね。最初の訪問地にミャンマーを選んだオバマ大統領は習近平体制に外交的な先制攻撃すなわち、中国のインド洋進出に断固として対抗するという意思表示でしょうか。カンボジア、タイ・・むろん米国企業にこの最後のアジア新興市場進出の地ならしという行動でもありますが。


尖閣について一歩明確な立場をオバマ次期政権がとるかが気になります。となると普天間の処理が緊要課題になりますが、鳩山由紀夫の、米国をはずした親中国の東アジア共同体構想という妄想は日本外交と国益に想定以上の傷を残しました。まだ選挙に出馬するのでしょうか。少しも廉恥の心はないのでしょうか。オバマ再選後の論評も興味深いですが、選挙戦でのICTの活用は特に興味をそそります。


中国の新体制が決まりましたが、予想以上に江沢民系ですね。いわゆる太子党が圧倒的で保守路線です。改革を進めて所得格差を解消し、内需拡大と社会改革はあまり進みそうもないというのが大勢の予想です。江沢民は反日で権力を固めた人ですから対日の強硬路線も継続でしょうか。中国民族の復権を第一声に入れていますから予断を許しません。中国危機を共有する、インド、ベトナム、フィリピンそして米国との賢い連携が必須です。先進国から見れば成長が鈍化したといっても7%の成長は高成長ですが、かつての2ケタ成長の時代が終焉して、米国を抜いて世界一のGDPになるという話も当分は夢で終わるかもしれません。日本もかつてJapan as No.1と言われた時がありましたね。


中国は所得格差、特権層の腐敗で人民の怒りが相当に膨らんで、盤石と思われていた共産党の支配力に赤信号すら灯っていますからこれも対日強硬路線の推進につながる可能性があります。


問題は今後の日本政権の対応です。右傾した新政権が日本に成立し、結果として中国のナショナリズムの応援団になるリスクを感じます。何よりも賢い政治家が見当たらないのが真に残念です。


宗像大社


北九州近郊を中心に神社および周辺風景の撮影日記



◆「地域新生のデザイン2」を電子版で出版しました。◆

2005年に出版した「地域新生のデザイン」のその後の研究成果の報告書です。本書はネットワーク分析による地域クラスターの分析・評価とそれに基づいた地域経済新生のモデル構築の試行を目的としています。北海道から沖縄に至る、青森県、山形県、長野県、浜松市、近畿圏、北九州という18地域の特徴の洗い出し、ネットワーク分析を行い、ネットワーク分析による各地域の比較評価を紹介しています。そしてネットワーク分析による地域クラスターの構造分析の手法も紹介しています。さらに青森県、浜松市においてクラスター形成に直接携わり、クラスター形成のプロジェクトマネジメントのあり方も紹介しています。


東京大学の俯瞰工学研究所研究室の10年のクラスター研究の成果の報告です。この研究で地域クラスターの発展の状態を定量的に評価でき、これにより地域政策の実効と進捗が客観的に評価できる手法を開発できたと思います。そしてこの研究成果は東京大学のイノベーション政策研究センターに引き継がれているはずです。地域クラスター関係者はぜひお読みください。


紀伊国屋の電子書店大日本印刷系のhontoで販売しています。


◆頭のよくなるクッキング9◆

慢性炎症という言葉を知っていますか。いわゆる炎症は急性炎症です。体の内部で低レベルの炎症が進行し持続する現象です。文部科学省の先端科学の重点テーマを追求するJSTの「CREST」と「さきがけ」でも22年度からプロジェクトが開始されています。


簡単に言うと脂肪細胞、特に内臓脂肪が万病のもととなる毒を体内にまき散らすという事です。その図解モデルを俯瞰工学研究所のサイトの「俯瞰メール補完資料」に上げておきましょう。


メタボと肥満が寿命を縮めます。癌、糖尿病、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、この全ては肥満メタボが原因のようです。血管についた汚れは元に戻せないようですから、時間的に今から間に合う人は何とか頑張ってください。論文を読むと戻れない話は「脂肪細胞のリモデリング」という表現でした。組織が変質して元に戻れませんが、心を入れ替えて食生活を改善すると少し縮小するようです。血管というパイプを綺麗にしましょう。


結論から言えば、悪い油はとらない!とるべき油は積極的に取る。過剰な糖質は取らない。毒を撒き散らす内臓脂肪になるからです。摂ってはいけない脂肪は動物性の脂肪とマーガリン、ショートニング、酸化した油です。摂ってもいい脂肪はオメガ6脂肪酸のバージンオリーブオイルで、積極的にとるべき油はエゴマオイル、亜麻オイルのオメガ3脂肪酸のオイルです。詳細は俯瞰工学研究所のサイトの俯瞰工学研究所の俯瞰健康学を参照してください。


慢性炎症と脂肪組織炎症説明図



慢性炎症の研究プロジェクト
http://www.inflammation.jst.go.jp/outline/index.html
http://www.inflam.jst.go.jp/about/index.html



俯瞰健康学



◆デジタル書斎の構築15◆
Windows8をインストールしました。一見新しいように見えますが、ある意味Windows7にスタート画面のカバーをかけたようなものですので、Windows 7を上書きするとほとんどのアプリケーションはそのまま動きます。デバイスドライバーでデバイスのドライバーの書き換えをするとネット上から探してきてインストールしますから、移行の時間は正味時間1時間くらいでしょうか。


Windows8 の操作はキビキビしています。コピーは速くなりました。Windows Essentials を別途インストールしておくと写真と動画の編集ができます。 むろん無料です。SKYDiveというクラウドコンピューティングサービスもこれに含まれます。Windows8 proの場合は、1月31日まではWindows8 の機能追加で、DVDを見るソフトをダウンロードしてインストールできます。


IE10はかなり機能アップしているようですが、Evernote の Clearly が使えませんので今まで通りChrome を使っています。Evernote の Clearly はWebページの広告を取り除いてすっきり保存するアドオンで、お勧めです。USB3.0が正式サポートとか色々機能拡張はあるようですが、手持ちのHDDを複数接続して、一つの記憶域として管理でき、HDDが複数であれば双方向ミラーでRAIDのようにエラーリカバリーができる、記憶域プールは新規の目玉のようですが、まだ使っていません。むろん、デスクトップのパソコンですから、タッチパネルの操作はできませんが、通常の液晶にかぶせるアタッチメントがAmazonで販売されていました。


PCオーディの続きですが、本当に高音質の音楽が無料で楽しめます。聞き流すのであればもうCDを買う必要はないという感じです。クラシックではLINNのサイトは高音質です。JAZZも様々なというより無数の高音質サイトがります。下記のサイトは参考になります。そこで紹介されているAMP2という無料のプレイヤーソフトはビットレート でソートしてくれるので高音質のラジオ局が容易に探せます。


クラッシクのサイト紹介


AMP2について



◆書評◆
今月のご紹介は、「コミュニティーデザインの時代」 山崎 亮 中公新書 2012です。


本書は、コミュニティーづくりに興味がある方には大変参考になります。 第1章は何故、今コミュニティーかという解説です。そして何故このような仕事を始めたかという話です。第2章ではコミュニティーデザインの時代変化を3段階で解説しています。第1段階は」ニュータウンなど住宅地のデザインの時代で、ハード整備によってコミュニティーを作り出すという発想であったといいます。第2段階は第1段階が専門家だけで行われたのに対し、住民もこれに参加すべきだという住民参加型のまちづくりになったが基本的にはハード整備であったと言います。第3段階はハード整備が目的でなく、ワークショップ主体で、地域の課題解決や生活を楽しむ人のネットワークづくりという、コミュニティーデザインになったとのことです。まさに現在私たちが想定しているコミュニティーのデザインですね。


第3章にはさまざまのコミュニティーのプロジェクトの紹介です。ここはとても面白いですし参考になります。


第4章は現在筆者がおこなっているコミュニティーデザインの手法の解説ですが、豊富な実践の経験から来ていますので極めて実戦的で、これは大いに参考になります。コミュニティーデザインの教科書は書けないと云いながら結構具体的に手法を公開しています。その手法は、
1.ヒヤリング
2.ワークショップ
3.チームビルディング
4.活動支援
の4段階です。各段階のポイントも丁寧に解説してあります。


ヒヤリングの要点は人間関係の星座を描くことであり、最終的には相手と友達になることだそうです。


ワークショップはこちらのアイディアを話すのではなく、ブレーンストーミングやKJ法、マインドマップ等の手法を使ってプランを参加使者が作っていくことで、ファシリテーターがコミュニティーデザイナーの仕事になります。ファシリテーターをするためには沢山の事例を知っている必要があるとのことです。


チームビルディングは参加者が出したアイディア具体的な行動計画に落とし込み、キャラクターや才能を考慮して具体的なチーム作りをします。


活動支援は初期の段階で体制づくりの支援をすることです。たとえば行政からの支援を引き出すとかプロジェクトに必要な知識や情報を習得するセミナーなどです。実はこの手法は、30年以上前からIBMが企業情報システムのプロジェクトの立ち上げに使っているCPS(Customer Planning Session)と全く同じです。この手法は極めて有効で、個人的に関係したプロジェクトはこれで全て成功できました。お勧めです。


コミュニティーづくりに興味があるかには一読をお勧めします。



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◆俯瞰 MAIL 0023号(2012年11月19日)
発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL: http://fukan.jp
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※本記事は松島克守氏の許諾を得て、再録したものです。


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