第8回 商店街(マーケット)の散策(その2)
家の近くにあるDefence Colony Marketのすぐ隣を走っている大通りをこえた反対側に渡ると比較的小さな家が密集した地域があります。その中を入って行くと住宅が密集した地域があり、その中に非常に大きな商店街(Kotla Market)があります。ただ、ここは道路も舗装されておらず、Defence Colonyの住民と比べると比較的低所得な人たち(インドでは標準的な所得の人たちということかもしれません)が多く住んでいるところであることがわかります。見ている限り家にエアコンなどないと思われます。商店街の周りの住宅が倒れこんでくるように並んでおり、道路の周りに店が所狭しと並んでいます。当然のことながら、店を見てもエアコンの効いた店はありません。
この中で、ブタ肉屋さんを見つけたので入ってみてみることにしました。入ってみると、カウンターのようなところがあり、そこに豚肉の大きなかたまりが並んでいます。何よりもびっくりさせられるのが、冷蔵設備が一つもないことです。つまり、常温の状態で、豚肉がそのまま置かれているのです。ただ、客はいっぱい入っており、次から次へと肉を買っていきます。おそらく、本日殺したての豚肉を売っているのだと思いますが、冷蔵されてパックに入った肉しか買ったことのない私にとっては、この肉を買うのは大変な勇気がいることです。店主は、カウンターの向こう側に座っており、客がリブの肉を1kgと注文すると、あばら骨の部分の肉のかたまりを持ち上げ、それを店主の目の前にある木の切り株(本当に木の切り株です。まな板として使っているのです。)の上に置き、包丁をグサッと振り下ろします。そして、秤の中に肉を入れ、重さをはかるという感じです。重さを調整したら、切り株の上でぶつ切りに切るのですが、包丁を振り下ろして切るので、すごく迫力があります。また、振り下ろして切るたびに、少し肉片や脂片が周りに飛び散り、客にもかかるのですが、客も店主も全く動じません。ここで買うには、もう少しインドでの生活に慣れる必要があるようです。
ブタ肉屋を出て、通りを奥に進むと、道端で食事を売っているところ、子供のおもちゃ屋、鍵屋、水道の蛇口屋、衣服屋、マットレス屋などがいっぱい並んでいます。店もほとんどが1畳ぐらいの広さの店です。通りには、いっぱい人がいて、自転車リキシャーやオートバイも多く走っています。まさに、雑踏とはこのことを指すのだなという感じがします。Defence Colony Marketと場所は道路を隔ててほとんど離れていないのですが、来ている客層は全然違うことに気づきます。
Defence Colonyの道路を隔てた西側にあるKotla Market。ものすごく大勢の人でにぎわっています。
インド人は、立ち食いするような店で食事をするとその時に使った使い捨ての食器とかをそのまま道路に捨てる人が多いので、道路はすぐにゴミでいっぱいになってきます。ただ、よく見ていると、大きな袋をもってゴミを拾って歩いている人がいます。また、生ごみのきついにおいがするなと思うと、生ごみが山のように集められているところがあるのですが、よく見てみるとそのゴミの山をかき分けてどうも分別している人がいます。誰かがこの人たちにお金を払っているとしか考えられないのですが、どのような仕組みなっているのか全く想像がつきません。日本では、3Kとして決して働く人が集まらないと思うのですが、インドではどうやっているのでしょうか。いつかインド人の信頼が得られたら、聞いてみようと思います。
このような商店街(マーケット)がある一方で、家から車で20分ほど行ったところには、サケットという名前のモールがあります。モールの中に入るためには、空港にあるような金属探知機の中をくぐる必要があります。中に入ると、これまで見てきたマーケットとは全く異なり、まさに先進国にある非常にきれいなショッピングモールになっていることに気づきます。店も、ユニバーサルなブランドショップもいっぱい入っていますし、インド発のブランドのため名前を見たことのない店もいっぱいあります。モールの中はものすごく多くの人でごった返しています。ここにきている人たちは、これまで見てきたマーケットに来ている人たちとは違い所得も相当高いのだと考えられるのですが、年配の人だけではなく若い人も本当に多くいます。
このようにいくつかのショッピング街について説明をしましたが、どこも人があふれていて活気があり、伸び行く市場という感じがひしひしと伝わってきます。
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