第4回 インドでの運転の仕方


 今回は、インドでの運転の仕方について紹介させていただこうと思います。私は、インドに赴任するにあたって、職場から、自分で運転はせず、運転手に運転してもらうようにとの指示を受けたので、Raviに運転を任せることとし自分で運転することはしないようにしました。日本では、特に週末はいつも運転していたので、最初はなぜ自分で運転したらダメなのかと思っていたのですが、インドに着くや否やなるほどと感じました。運転の仕方が日本人と大きく異なるのです。いくつか紹介します。


 まず初めに気づくのが、車線を全く気にせずに走るということです。ニューデリーの大通りは結構広く片道2〜3車線のところが多いのですが、道が混んでいようがなかろうが、車を運転する人は車線をほとんど気にしないように見えます。すなわち、車線と車線の間にしっかりと収まって運転することもありますが、車線をまたいで運転していることも多いのです。その理由としては、幌付きの三輪オートバイで客を運ぶリキシャーが多く走っているのですが、これらの車の車幅が小さくまた走るのが遅くそれらを追い越す時に車線をまたいでしまうことが多いということが関係しているのかなとも考えたのですが、現時点ではよくわかりません。また、対向車が来ているにもかかわらず、対向車線に出て運転することも多く見かけます。そのほか、車線変更の多さや警笛を鳴らすことの多さにも最初はびっくりさせられます。


 次に、大通りに右折や左折して入ろうとするときのタイミングが日本と大きく異なります。日本では、直進車もしくはより大きな通りを走っている車が優先ですが、どうもインドではそのような概念がなさそうです。この感覚が日本と一番異なるので、車に乗っているときに一番怖い思いをするのはこの時です。日本であれば、信号のない十字路で大通りを突っ切る、若しくは右折、左折をしようとするときには、左右を見て近づいてくる車との距離が十分にあることを確認して初めて大通りに入ろうとするのですが、インドでは気にせず渡ろうとします。その結果、近づいてくる車は停車もしくは減速を余儀なくされるのですが、停車もしくは減速させられた車はそれほど不快には感じていいないようです。また、信号のない十字路を左折もしくは右折すべきところを間違って直進してしまった場合には、日本であれば、直進した先でUターンして戻ってくるのが当たり前ですが、インドでは直後に車が続いていない限り、バックして戻ろうとします。日本では、必ず相手の運転手の迷惑にならないように行動しようとするのですが、インドでは、どうも違う行動原理で動いているのだなと感じました。


 第3に、警笛を鳴らすことやパッシング(ライトを小刻みに照らすこと)をすることが多く、日本人はその運転の仕方やそれへの対応に慣れていません。あまりにも、警笛の数やパッシングの数が多いので、何のために鳴らしているのかわからないときも結構あります。日本人にとっては、警笛を鳴らしたり、パッシングをするというのはよほどの時でないとしませんが、インドでは、「自分の車が近づいているからあぶないぞ。よけてくれ」とあいさつ程度の気分で鳴らしているようにも思われます。ところで、私の事務所のシディキさんに、インド人は警笛を鳴らされて気分を害さないのか、日本人は警笛が大嫌いなので安易に鳴らすとけんかになるのだがと聞いたところ、インド人も警笛が嫌いな人は多い、最近は警笛をならさないようにしようという運動も一部では起こっているとのことでした。 このように、インドでの運転の仕方は、日本での運転の仕方と大きく異なるのですが、これらの運転ルールの中にも両国の文化の違いの一端が表れているのではないかと感じました。




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