第3回 はじめての職場出勤
運転手のRaviさんには、朝9時に迎えに来てもらうことになっていたので、9時に家の前で待ちました。来る途中にRaviさんと少し話したら、あまり英語は通じないようでしたが、なんとか話し続けたところ、自宅は私の家から約1時間ほど離れたところに住んでいるとのことでした。すなわち、車は私の家の前の道路に路駐してあるのですが、運転手は車のところまで1時間ほどかけて通勤しているとのことがわかりました。家から職場までは車で20分くらいでした。
職場に着くと、今後私のパートナーとして仕事をしてもらえるシディキさん、経理・会計を担当してもらっている日本人女性の寺坂さん、受付をしていただいているPriyaさん、お茶くみをしてくれるスーラジさんが迎え出てくれました。寺坂さんは、3年前にインド人と結婚するまではずっと日本に住んでいた日本人なのですが、インド人と結婚してからインドで住んでおられ、3年ほど前から、事務所の仕事を手伝っていただいているとのことでした。
シディキさんは、博士号を持っており、米国に留学経験もあるインド人です。奥さんも大学の先生として働いているとのことであり、インドでは知識層に該当するのではないでしょうか。年齢は50歳を超えていますが、人当たりが非常に柔らかい感じの人でした。Priyaさんは、25歳くらいの女の子で、学校卒業して間もない感じの子です。英語も達者で受付業務のみならず、簡単な資料作りなども手伝ってもらえるようでした。スーラジさんは、男性で年齢も40歳くらいの物腰の非常に穏やかそうな人です。日本では、大の大人がお茶くみをしているのは非常に変な感じがするのですが、インドでは普通なのだそうです。
前任からそれぞれの職員に関する簡単な説明を受けている中で、1点日本と大きく違う点があることに気づきました。それは、職員の人たちの間の給与差です。日本では、単純労働作業とそうでない作業労働者の間の給与差よりもはるかに大きな給与差があるのです。たとえば、当事務所では、お茶くみをしてくれているスーラジさんと私のアシスタントをしてくれているシディキさんとの間では、約10倍の給与差があるのです。まだ、インドに来て日が浅いので、その理由はよくわからないのですが、お茶くみになる人はずっとお茶くみのまま、運転手はずっと運転手のままといった感じで働いているようです。では、どういった経緯でRaviさんは運転手になり、スーラジさんはお茶くみになったのか、いわゆるカースト制度が関係しているのか、いろいろな疑問がわいてきますが、聞き出すわけにもいかず、とりあえず謎のまま自分の中にしまっておくこととしました。
この1週間は、前任がいてくれる非常に貴重な1週間となるので、早速引き継ぎを猛スピードで開始することとしました。
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