第5回 キーパーソン集会プレミア(1)
キーパーソン集会プレミア会合
キーパーソン(KP)集会プレミアなる会合が6月7日に開催されました。全国及び九州から自薦他薦の地域活性化で活躍するキーパーソンの集会です。
今回は、東北震災復興の取組みの紹介と今年度のKP集会の予定地が集合し、抱負を語るもので、200人弱が集まりました。
トップバッターは、復興支援メディア隊の報告でした。その代表榎田竜路氏は、アースボイスプロジェクト代表、横浜アートプロジェクト代表、北京電影学院客員教授等。被災各地での絶望の縁から希望の花が咲くようなドラマをインタヴューと映像とワンフレーズで綴っていく。正に言語を超える映像の共感力を痛感します。BS12で土曜深夜から放映されていますが、アースボイスプロジェクトのHPでもYou Tube でも見られます。
榎田氏は、情報発信ではなく、情報運用を提唱しています。情報発信は、ゴルフの打ちっぱなしのようなもので、これでは利害関係者にしか伝わらない。先方がどう受け止めて、他にどう波及するのかを考えて、情報運用にしていかなければならない、と言う。そのためには、価値観や共感を呼ぶストーリーを組み込まんだ、コンテンツを作ることが大事だと。
東北のために九州で何ができるのか。パルチザンの山崎氏をナビゲーターに、経済産業省サービス政策課から応援買いプロジェクトやアジア太平洋大学(APU)から今村氏(立命館震災対策室長)が国際学生らの風評被害払拭のための海外拠点に情報発信を行うプロジェクトの紹介がありました。また、口蹄疫、鳥インフルエンザ、新燃岳と災害の続く宮崎から、マキノデザインの牧野剛己氏が復興事業や観光振興の紹介、風評被害への対処法などの経験が語られました。
更に、サプライズゲストとして、会津の本田勝之助氏が登場するに至っては、会場の参加者すべてが、震災対応という共通言語を持つことになりました。さらに特別参加の経済産業省クールジャパン室渡辺室長からのクールジャパンで復興支援のメッセージ。先般、報告書が出たところです。
第二部は、KPからの活動報告。
トム・ヴィンセント氏は、「PingMag(東京発ものづくりデザイン)」のブログは、ピーク100万人の読者がいて、欧米では最も読まれていた日本発のブログだったとか。トノループネットワークを立ち上げて、地域の良きもの、伝統工芸職人さんから革新的技術、郷土の昔物語まで取り上げて、世界に発信し、販売していく。今回、九州初上陸とか。
林弘樹監督は、福岡での進捗を報告。
福岡西部副都心まちづくり団体で、映画によるまちづくりをテーマにシンポジウムや一日映画作りワークショップを開催してきました。
実は、私もワークショップに参加しましたが、連帯を作るには最高の場ではないかと思います。知らない者同士が自分を語り、まちの宝物について語り合い、映画はどう作るのかという講習を受け、あらすじをひねり、脚本を作る。そして、撮影、上映会という流れです。おまけを言えば、4組の中で我々のチームがグランプリを取りました。
海外進出企業累計(1986年〜2009年)では、1042件で、全国の4.8%のシェアということだそうで、全国の1割経済という九州からみるとぱっとした数字ではありませんね。でも実は、90年代の盛んに海外展開した企業もあったが、中国進出の不調とアジア通貨危機で海外展開に失敗した企業も多く、その後慎重になったという話もよく聞きます。
先日もふるさとがえりのKP試写会が行われ、会場が感動ですすり泣きました。ふるさとがえりは、岐阜県恵那市12市町村の心の合併プロジェクト。構想から6年半かけて、5万6千人市民全員参加して、俳優養成講座や映画作りワークショップ、撮影の裏方などに参加してきたそうです。まさに、地域密着型映画なのです。
さらに、鹿児島市天文館商店街で建設予定の天文館シネマで榎田氏とともに協力する話も進んでいます。
次に登場した、産学連携の第一人者である信州の上だ繊維科学振興会(AREC)岡田基幸氏も、九州ではお馴染になってきました。今回の催しが契機となって、9月には、林監督とのコンビで、長崎に再上陸することとなったようです。
最後に登場した高知の四万十ドラマの畔地氏は、六次産業化モデルの老舗として、その存在感が、農業王国、九州においても、羨望の眼差しによって迎えられました。
キーパーソン(KP)研究会とは
キーパーソンとは、いわゆる有識者や肩書きではなく、地域と国を想い、利他的に行動する人であり、企画力、実践力、影響力を持つ実戦配備度の高い人です。地域の活性化の鍵は、現場でプロデュースし、実践するKPの存在であり、KPの活動に支援を行ったり、KPを他地域に派遣し、そこのKPと連携することにより化学反応を起こすことをねらいにしています。
経済産業省地域経済産業政策グループ(いわゆる地域G)で22年9月に研究会を立ち上げ、KPを派遣した事例、KPを活かした施策が議論されました。これまでにも「地域おこしに燃える人の会」や「地域活性化伝道師」、「観光カリスマ」といった支援人材制度がありますが、支援人材をどう運用していくか、という資産運用的な観点が重要で、KP政策の中でもこれらの制度を活用して行きたいと思っています。
KP活用は、九州成長戦略アクションプランにも位置づけました。九州内外のKPネットワークを作り、地域毎、分野毎の政策の活性度を上げていくことに力点をおきました。各地域で、各種団体や産学官連携の場で、中小企業支援の場で活躍するKPが地域毎、分野毎の政策・ビジネスプラットフォームを活性化するのです。その際、士業、地域プロデュース人材等の集まりである「九州志士の会」と連携することとしました。
記事一覧へ
|