第25回 「金曜日の君たちへpart2」の巻
猛暑の先週金曜日、母校(宮崎県立宮崎大宮高校)の1年生及び2年生計27名の皆さんが、東京大学に訪ねてこられたので、話をしました。事前に約15問の質問を頂いていましたが、それに答える前に、進路という切り口から、社会人になるまでの経験を話しました。具体的には、
(1)小5の時に広島で平和記念資料館に訪れて衝撃を受け、それを契機に、日本が平和裡に繁栄していくことに役立てるような公的な仕事に就きたいと思うようになったこと
(2)高1の時点では文系志望だったが、進路判定テストの結果は、適性のある仕事は医者等の理系のものばかりとなり、進路指導の先生の指導を踏まえ、理系志望に変えたこと
(3)大学工学部3年の夏にメーカーに企業実習に行き、技術者としてはやっていけないと痛感したこと
(4)経済学部への学士入学も視野に入れつつ、大学3年の冬に経済学を独学し始めたこと
(5)半年の独学の後受験した国家公務員試験に合格し、通産省に入省したこと
を話しました。
それから、彼らの質問への回答に移りました。東京大学に入って良かったことは?との問いに対しては、まず、自分にとり勉強になったり励みになったりする友人、先輩に出会えたことと答えました。それから、東京大学は、その歴史と伝統を反映して、社会から信頼・期待をされている大学であり、そこに入ったことにより、その信頼・期待に応えうるような人間になろうという思いが持てたことと答えつつ、ノブレス・オブリージュという言葉を後輩の皆さんに紹介しました。このあたり、格調高く話せていたと思うのですが、大学時代に勉強以外に取り組まれたことは?という問いに、ハンドボールと麻雀と答え、特に麻雀について少し喋りすぎたかなと反省。麻雀は、世界で最も面白いゲームだと私は思っており、また、麻雀を通じて得た友人達は貴重だと思っているのですが、一方で大学時代に麻雀に取り組んだ時間を別のことに振り向けていたらという思いはあります。
"今の若者(高校生)に対して何か言いたいことはないですか?アドバイスをお願いします。"という問いに対しては、色々なことを語りました。まずは、今年、宮崎県を襲った口蹄疫も例に取りつつ、広く、社会、世界に目を向けることを。それから、そうすることによって、「やるべきこと」を考え、その「やるべきこと」の中から自分で「やりたいこと」を選び、その選び出したことが自分の「やれること」かどうかを考え、やれない部分があれば、そこをやれるようにしていくことに注力するという方法を提案。さらに、私の高校時代と比べて現在は、インターネットや携帯というものがあり、情報は溢れかえっているが、であるからこそ、時にはそれらの情報を遮断して、自らリアルな体験をし、自らの頭でじっくり考える時間を作ることが大切だと思うと言いました。また、新興国がめざましく発展し、世界における日本の経済力は相対的に落ちていく中で、多様な価値観を持つ人々と協力しながら物事を成し遂げていく場面により多く遭遇するであろう君たちは、大学時代のうちに、(1)海外を旅して歩く (2)内外の古典を読む (3)歴史、特に、日本の近代以降の歴史を学ぶ ということを是非やったら良い、自分がもし大学生活をもう一度できるならば是非これらをしたいけれど、と語りました。そして、最後に宿題を一つ出しつつ締めました。米国のケネディ大統領の就任演説の中で、日本語だと、「あなた方は、国があなた方に対して何をやってくれるのかを求めるのではなく、あなた方が国のために何ができるかを問え。」という趣旨の言葉があるので、それの英語原文を調べて下さい。そして、"国"に当たる部分を、国以外にも友人、家族、高校とか色々置き換えつつ、これからの人生を送ってくれたらと思います。
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