第7回 「京都再び」の巻
久しぶりに京都に出張してきました。日本と米国と欧州の特許庁長官が特許制度のハーモナイゼーション等について協議する三極特許庁長官会合の一環で開催された、三極の特許庁長官が特許制度のユーザーである企業及び大学からの声を聞き、議論を行うという趣旨のシンポジウムに出席するためです。京都は、近畿経済産業局在勤中、公私併せると平均週一回くらいのペースで訪れたところで、特に11月に限っては、プライベートだけでも確実に週一ペースで訪ねていましたので、京都駅に降り立つや否や感じた、きりりとした空気を皮切りに、さまざまな懐かしい再会を果たすことができました。その中から、特に心を動かされた二つの再会について、今回は書こうと思います。
その一つ目は、夜間拝観した青蓮院。この寺院が蔵する国宝「青不動明王二童子像」が、創建以来初めて御開帳されているのを拝みに行きました。拝観時に頂いた淡青(東大のスクールカラー!)の紙には、"今、時代は政治も経済も共に混迷を極め、また道徳心は荒廃しさまざまな事件が後を絶ちません。この混迷の時代に、青不動の強いお力により、世の中を少しでも良い方向、真に豊かな社会に導いていただきたいと考え、このたび、ご開帳を行うことにいたしました。"と書かれていました。拝観順路で"一隅を照らす"という言葉を目にしてニコニコしつつ、青不動の前へ。ゆっくりと時間をかけ、平安の世より伝えられてきた尊像を有難く拝観致しました。その後、ライトアップされた庭園に下りて散策しましたが、青色LEDと思しきものが点々と埋め込まれたお庭の美しさは、心にしみいるよう。LEDがゆったりとした周期で点滅し、取り囲む寺院の外壁も周期的に青く照らされる情景は、5年前に初めて訪れた際にも目にしたはずなのですが、今回は、青不動像から頂いたより良く感動する心のせいなのか、呆然とするような思いで見とれてしまいました。
二つ目は、(株)ナベルの南部邦男代表取締役との再会です。南部社長については、「もっと関西!」の「近畿知財戦略本部って面白い!」の巻で御紹介しておりますので、御参照頂ければと思いますが、鶏卵の自動選別包装システムで国内断トツのシェアを誇り、海外にも30カ国以上に輸出している企業を率いておられる方です。京都駅近くの新本社でお会いするとすぐに、「魔笛、読みましたよ。」と言われ、感激。それから、色々とお話を伺い、楽しく過ごしましたが、特に嬉しく思ったのは、以下のお話でした。「私は、仕事の中で、様々な国の政府の人間と接触してきましたが、日本の官僚ほど、優れた、かつ、クリーンなものはありません。特許庁の職員研修などに呼ばれて講師をするような際には、このことを必ず言うようにしているんですよ。誇りを持って、元気に仕事をしてもらわなくてはいけませんよね。」私自身、久々に、元気を頂いた思いがしました。帰ってきたばかりなのですが、既にこんな気持ちです。"そうだ、また、京都行こう。"
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