第2回 「みちのく二人旅」の巻
南九州出身の私にとりまして、昔から、東北地方への旅は、旅情をより強く感じるものでありました。東北新幹線ができ、かつ、上野始発でもなくなった今でも、変わりはありません。先だっての5連休、5日間普通列車乗り放題という、まさに打って付けのJR東日本の企画切符を有難く活用し、家内ともども旅情を感じに行って参りました。
これまで、秋の東北の旅の際には、しばしば豪雨に遭遇したものですから心配していましたが、天気は上々、さあ出発。ところが、最初の宇都宮行きの快速電車が走行途中に異物に接触したとのことで、急停車。異常が見つからなかったのは良かったのですが、20分弱停車していたため、宇都宮で乗り換え予定の次の電車にいきなり乗り遅れてしまいました。こういう場合、都心に向かう旅の場合には傷が広がらずにすむことが多いのですが、地方に向かう場合には大変なことになることがままあります。私は、勝手に、"ローカル線におけるエントロピー増大現象"と呼んでいますが、今回は、最初のたった20分弱の遅れのため、行程を変更せざるを得ませんでした。実は、当初予定では、本年の大河ドラマで注目の米沢で、美味しい牛肉のランチを頂こうと思っていたのですが、福島から米沢に行く普通列車に接続できなくなったのです。
素晴らしい企画切符を発売してくれているJR東日本に文句を言うわけではありませんが、東北を旅していると、新幹線がある区間は在来線には乗るなと言わんばかりのダイヤ編成だなと感じることが結構あります。不便だから鉄道を利用しない→ますます赤字になるというスパイラルが続き、結局廃止という構図が続いてしまうと危惧します。確かに、新幹線は、ビジネスや旅行には便利ですが、地域の側から見ると、停車駅になれなかった在来線の沿線の都市は寂れてしまっているという印象を、特に、東北本線沿線を旅していると、拭えません。おっと、このままでは、大好きな鉄道論まっしぐらになりそうなので、話を元に戻しまして、福島→米沢間の次の普通電車が夕方までないので、結局、仙台経由の大回りで、初日の宿泊先かみのやま温泉に到着しました。
私は知らなかったのですが、このかみのやま温泉には、アカデミー賞を獲得した「おくりびと」の主人公の家として撮影に使われた建物があるということで、翌朝、旅館の方に駅に送って頂く際に寄ってもらいました。映画を見ていなかったので、その時は、へーという感じでしたが、有難いことに、その翌日の宿泊先で、「おくりびと」のTV放映を見ることができ、「おお、確かにこれだ!」と感激しました。
目指す米沢には行けなかったけれど、偶然にアカデミー賞映画のロケ地に行けて、かつ、その翌日にその映画を見ることができたというこういう現象も、セレンディピティと呼べるのでしょうか?ちなみに、狙っていって外すこともありますねえ。かつて、北海道で、「北の国から」の最新作がTV放映される日に、それをロケ地で見ようと考え、富良野の素敵なペンションに宿泊したことがあります。雰囲気良し、食事も美味しかったのですが。。。
テレビがなかったんです、そのペンション。
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