第2回 京都と言ったら!
前回、つまり連載初回の訪問先は、東京新宿のデパートでした。シリーズタイトルが、「列島巡礼 西へ東へ」という割には、安近短ではないかとの御指摘もありましょう。確かに、東京近郊ネタだけでシリーズ化出来るのは、地井武男さんの「ちい散歩」位でしょう。
ということで、今回は、京都です。この時期の京都というと、産学連携関係者には、ピンと来ますよね。そうです、6月20日、21日の両日開催された、「産学官連携推進会議」別名「京都サミット」に行ってきました。
ここで、クイズを一つ。京都で開催される会議で最も出席者が多い会議は? 答えは、なんと「産学連携推進会議」です。京都で開催される会議は、山ほどありますが、その中で最もBIGな会議なのです。
本会議も回を重ねるに従って、参加者も増え、第8回である今回は、4530名の方が参加されたそうです。京都会議の詳細なレポートは、他の方が既に多数配信されておられますので、簡単に紹介させていただきます。
まず、当日、会場の受付を入って、メイン会場へ辿り着くのも大変な位の人に驚きました。オープニングセッションはメイン会場だけでは収容できずに、会場内の他の会議室にて、メイン会場からのテレビ中継をご覧にならないといけない状況です。
私自身は、京都会議は7年前の第一回以来の参加です。第一回会合では、ともかく産学連携活動を盛り上げると言うことで、青色LEDで著名な、中村修二先生が、日本の大学とアメリカの大学の文化の違いを、熱っぽく、また独特のストレートなご批判も交えて語っておられました。
本会議を過去全て参加されている方に感想を伺うと、「京都会議もしばらく中弛みだったけど、今回の盛り上がりは凄いですね。」とのこと。世界最先端研究開発プロジェクトや、産学連携拠点など、新たなメニューも増えたことも影響しているのでしょうか。しかし、産官学連携活動が定着してきたことが大きいと思います。
会場横の事務局関係者のオペレーションルームも覗いてみました。このような大規模な会議になると、準備や当日の作業も大変。しかし、過去の蓄積でしょうか、ほとんど混乱もなく順調に議事が進行されていました。
講演だけではなく、会場の中では、いたるところで各大学などの展示スペースもございます。京都大学の松本紘総長は、京大の展示ブースを視察された際に、他の大学のように、のぼりを立てろと檄を飛ばされていました。総長自ら、ブースのディスプレイまで陣頭指揮をされ、大学も変わったなと、感慨深いものがありました。
といっても、まだまだ、産学連携活動自体は、発展途上の段階。これまでの、形から入った産学連携から、成果の出せる産学連携や、地域発のアイデアによる産学連携に移っております。日本中から産学連携関係者が集まられるので、現場の第一線で産学連携を支えておられる、産学連携コーディネーターの方等のお話がたくさん伺える機会があるといいと思ったのですが、自由時間の割には人の波で人を捜すのも大変でした。
会場で配布されていた、文部科学省研究環境・産業連携課編の「産学官連携コーディネーターの成功・失敗事例に学ぶ」では、豊富な事例を紹介されています。「シーズ発掘・ニーズ把握」から「人材育成」まで、10のカテゴリー別に、整理されたケーススタディが掲載されております。
このようなテキストを材料に、産官学連携コーディネーター、特許流通アドバイザー、NEDOフェロー、地方自治体、金融機関、地域経済産業局など、全国ベースでも、地域の拠点ベースでも、今後の改善点について話合ができる機会があれば、良いですね。既に多くの地域で実施されていることとは思いますが、意外と各種コーディネーターの方の活動を把握し、更に相互に補完や、力の統合を働きかける機能が少ないように思います。
いずれにせよ、少し前の刑事映画ではありませんが、「事件は現場で起こっているんだ!」と同じく、「産学連携は現場で起こっている!」ことが基本です。
次回の産学連携関係の大きなイベントとしては、大学技術移転協議会主催の「産学連携実務者ネットワーキング」がございます。9月11日(金)、12日(土)に、慶應三田キャンパスです。この場でも、文字通り実務者による活発な議論が展開されますので、楽しみにしております。
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