第84回 EMによる創造的な農業生産(5)
例年7月に広島EM普及協会による「EMオープンワールド」と冠し、私の講演会が行われている。広島県の神石高原町では、農業や畜産、環境浄化にEMが幅広く使われており、独創的な成果を上げているが、2年前の7月に今回紹介する(株)中国開発の「(農)高原の里まき」の神石エコファームの養豚場を訪ねたことがある。
スーパーやコンビニから発生する食品残渣を微生物で発酵処理し、EM管理を徹底して行っており、豚の健康や成長、肉質に驚異的な成果を上げていたのである。敷料には、山林からのチップを使い、汚水は全く出ず、良質の完熟した堆肥を生産し、アスパラガスをはじめ、様々な作物に使用し、過疎になった中山間地帯の産業振興にチャレンジし、刮目すべき成果を上げ始めていた頃であった。
当時から、子豚は数ヶ所以上の繁殖場から仕入れており、豚の疫病のことを考えると、そのようなことは非常識で無茶苦茶だという警告が出されていたにもかかわらず、何の問題も発生しなかったのである。40人余の雇用を確保し、地域農業を活性化し、様々な関連分野が育ちつつあり、まさにEMによる創造的な農業生産の道を歩み始めている。来る7月19日の私の講演に先立って、神石エコファームの担当責任者の池田さんから次のような報告を頂いた。
特に注目すべきは、昨年後半から全国的に問題となったウイルス性の子豚の下痢(PED)に対するEM効果と、多収高品質のアスパラ生産に対する池田さんの見解である。EMは、口蹄疫、トリインフルエンザ、ブタインフルエンザ、エビや魚のウイルス病に対し、顕著な効果があることは、疑う余地のないレベルに達している。本稿と前回の83回と併せて読んでもらえば、EMの力をより深く理解し得るものである。
神石エコファームも無事4年目に突入いたしました。
これも、EM技術のおかげだと思っております。
豚は全国的に、流行性下痢が猛威をふるい、弊社は肥育のため、小豚の入荷が不能となりつつあり、唯一、4月からPED発生農場から、小豚を譲り受ける事となりましたが、県家畜保健所に報告しましたら、当然入荷をあきらめるよう、強く説得されましたが、小豚を手に入れる為、強引に入荷を行ないました。
当然、周りの消毒は行ない、豚房はEMを、散布し、しばらく隔離を行ない2週間後に、検査を行なったところ、陰性でした、他の豚にも伝染の様子は有りません、5月の入荷後も順調です、後で聞いた話で、発生農場では500頭以上(公表)死亡したようです。先に聞いていたら、躊躇していたでしょう。
弊社農場はウイルス系には強いようです。屠殺場での、検査では、病理が極めて少ないようです。驚く事に、3年間で6農場から小豚を仕入れての結果です、各農場の悪い菌を駆逐しています。
購入先の社長から、本当に死んでいないのか、病気はでていないのかと、問合せがあったようです。信じられないようです。
検査は家畜保健所が行っているので、過ちはないと思います。
今回のPEDは弊社農場が大変な反対を、押し切って実験を行なってしまったのですが、今後のウイルス対策の参考となると思われます。
畜ふんは、相変わらず、臭気がなく、驚くスピードで発酵し完熟堆肥として、リピート客が増えています。成分等の分析数値は、栄養的にはかなり低くアンバランスのように思えますが(表1)500gほど、密封袋に入れて、酸素と反応させると、4000ppmのCO2が発生し、30分太陽光に当てると、最高で15000ppmまで発生します、もちろん無臭です。そのまま、太陽光に当てていると膨らんでいたものが、光合成微生物によって使われてしまい熱くても小さくなり、1週間もすれば、わずかに緑色になります。光合成の最中にCO2量が土より大量に発生すれば限界突破となり、天候不順でも土の中の微生物が光合成している様子が観察されます。自然に望ましい有機栽培が出来ています。EMの本質が良くわかります。
今度7月に広島EMフォーラムin世羅がありますが、弊社堆肥は世羅町小国の合同会社アグリコルWESTに700tも使用してくださっています。予定より、出荷時期、量とも、1年前倒し状態で病害虫も少なく順調に行っています。生産された、アスパラガスを分析したら、通常の抗酸化力の2倍以上の数値がでました。(添付します。)不思議とモグラの発生が見られません。
(図-1)
世羅アグリコルの農園写真を添付します。
とても綺麗な畝となっています。
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写真1 | 写真2 |
モグラが発生しないので、畝が乱れません。雑草も全く生えないそうです。除草剤を撒いたわけではないのですが、アスパラの幹も綺麗です。光を受けると、表面が高温となり、芽が焼けるようです。
土の中はエネルギーが平均に伝わり、不良アスパラが少なく、良品ばかり
になります。
比嘉先生のDNDの農業生産シリーズを読ませていただき、弊社堆肥がその、領域に入ってきたと思えます。
フォーラムには比嘉先生にお会い出来る事を、楽しみにしております。
比嘉照夫 先生
樺國開發 専務 池田博信 (神石EM普及協会事務局長)
農)高原の里まき 営業担当理事
神石高原有機農業協議会員
農地水環境保全、中山間直接支払、農用地利用組合各代表等
農業に関する事に関わっています。
平成26年6月9日
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