第68回 EMコンクリートの耐久性について
EMの建築への応用が始まって25年余が経過した。EMが私的、公的建築に活用されることに関し、全く違法性がないという判決が下されたのは7年前である。その判決が下るのに5年余の時間を要したが、裁判が長期になったのは、訴える側の勘違いによる主張である。すなわち、コンクリートに封じ込められたEMは、堆肥に見られるように、その中で生き続けて増殖することが不可能なため、効果がないと言うものであった。
この裁判は、旧具志川市の川崎小学校にEMを導入した校舎建築に対してなされたもので、EMを推進する市長に反対する選挙がらみのもので、裁判所も原告の主張に対する判断が出来ず和解を進めてきたのである。「EMが建築物に効果があるのは生物触媒として機能するからであって、
コンクリートの中にEMが生きているか死んでいるかは、全く関係が無い」というのが正しい見解である。ましてやEMが、堆肥に施用された場合のようにコンクリートの中で増え続けることはない。
この裁判に当っては、それ以前のEM建築の事例を何件も調査し、川崎小学校の校舎建築に当っても、前もってEMコンクリートのテストピースを作り、その強度が従来品同等以上というデーターもあり、法的に何ら問題も生じない手段を踏んでいたのである。訴えた側は、その経過を十分に認識した上で、コンクリートの中で、EMが生きて増えることが出来ないため、EMの効果はなく、EMを使用したのは無効で、公共の建築に使ったことは、余分な損害を与えたというものであった。
裁判所には、これまでのEM建築の強度向上の事例や、それを証明する複数の研究機関のデータも提出され、EMを活用する方が圧倒的に有利ということも示されたが「EMがコンクリートの中で増えない」という相手の主張に判断しかねて和解を進めてきたのである。困り果てた弁護士が、私に相談に来た返事が上記のカギかっこの中に述べている見解である。裁判は急転直下、相手の主張に訴えの根拠がないということになり、EM側の全面勝訴になったが、裁判所も釈注付けで次のような判決を下したのである。
すなわち、EMの建築への効果は十分に明らかであるが、裁判所では、EMの活用に違法性があるか否かを判断するもので、EMに効果ありと認めるものではない。EM建築物への活用は、私的であれ、公的であれ違法性は全く無いという判決である。
EMは、これまで、ごみ処理や水産関係を含む、かなりの数の裁判を経験したが、すべて訴える側の勘違いやEM潰しを狙ったもので、1件たりとも負けたことも和解に応じたこともなく、すべて全面勝訴であり、最近は、この手の論争は皆無である。
EMの建築への応用や東日本大震災後の活用に対する提案等々は、本誌(DND)の第31、32、44、45回にも述べた通りであるが、61回で述べた放射能対策の新知見等を踏まえると、被災地はもとより、これからの建造物にEM技術を活用することは、国策的にも経済的にも、環境や健康、省エネという見地からも、EM技術を積極的に活用すべきである。
今回提示する資料は、200年住宅を保証することを明確にし、営業を始めた(有)新環境創造研究所(現在 新環境創造株式会社)のEMコンクリート建築物に対する調査報告書である。この報告書からも明らかなように、材料や構造、施工法等への配慮、地震や気温、湿度等の 外的要因及び維持管理の方法を意識した設計施工をすることで、EMコンクリートの寿命は786年、実用的に厳しくみても546年ということになる。
この場合、後々のメンテナンスを行わない場合である。本誌第32回でも述べたようにEMは古い建築物の強度を蘇生的に増強する力がある。したがって、EMコンクリート建造物は、EMによる洗浄や塗装等の管理を行えば、建造物の劣化は完全に抑制できるため1000年以上の寿命にするのも容易である。この技術はコンクリートの寿命が懸念されている原子力発電所の石棺、その他、放射線量の高い地域の建造物にも応用が可能である。
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