第48回 福島県におけるEMによる放射能対策の成果(中間報告)


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 前回は、津波で被災した地域の除塩対策の成果について述べたが、本DNDの39回と40、41、42、46回と船井幸雄.com(4月11日、5月10日、6月10日)、Webエコピュア等々でEMによる放射能対策や内部被曝の解決策について、多数の情報を発信し続けてきた。


 放射能は逃げも隠れもせず、EMを撒いた後に経時的に計れば分かること、といっても、関係の行政は全く動く気配がなかったため、計画的避難区域となった飯舘村のブルーベリー園(24a)で、公式に関係者の了解の下に、EMによる放射能対策の試験を行った。


 同時に福島県内のEMボランティアに協力してもらい、校庭や自宅などにEMを散布し、自主防衛的な放射能対策を実施した。更に福島県には、かなり以前からEMを活用している農家が多数あり、放射線量の高い地域の農家に協力してもらい、その結果に基づいて、効率の良い放射能対策を確立することになった。私は8月5日に現地入りし、関係者との情報交換を行った。今回は、これまで得られた成果を報告し、今後の放射能汚染の根本的な対策に寄与したい。


1.飯舘村の結果
 細かいデータは9月か10月の最終段階で報告したいが、実験の概略は以下の通りである。約24aのブルーベリー園を、EM処理区と無処理区に分け、EM処理区は光合成細菌を20%添加したEM活性液を週に2回、10a当り換算で100L散布する区と、同じ量のEMを撒いた区に、EMの繁殖を促進するために10a当り250kgの米ヌカを施用した。実験は5月の第2週に開始した。


 調査の結果、現地の放射性セシウム濃度が土1kg当たり20,000ベクレル以上もあったため、数ヶ月で水田の作付け制限基準値の5,000ベクレル以下になることを目標とし、EMの施用回数は万全を期すために週2回とした。今回の結果は19回目の散布後のものである。土壌のサンプリングは、文部科学省の環境試料採取法に従い、放射性セシウム濃度の測定は公的機関がその信頼度を認めている同位体研究所に依頼した。



(1)飯舘村の実験圃場


 先ずは、その結果である。当初20,000ベクレルあった土壌の放射線量は、1ヶ月で40%下がり、2ヶ月目には75%減、すなわち4分の1の5,000ベクレルまで下がり、当初目標とした水田の作付け制限基準値を達成したのである。すなわち農業をやってもいいというレベルである。


 セシウム137の半減期は30年である。自然に放置すると実験に使った圃場は、理論的には30年経過しても10,000ベクレルの放射性セシウムが残っており、更に30年、つまり60年経過して、やっと5,000ベクレルに達するのである。この値を水田の基準でみると、60年経過して、やっと稲作をしてもよいという制限最高値になるということである。


 稲作以外の作物については、圃場の作付け制限基準値は示されていないが、生産物の放射性セシウム濃度が500ベクレル/kg以下なら、出荷が可能であるが、理想は検出限界以下となることである。



(2)たわわに実ったブルーベリー(出荷可)


 今回の実験に使ったブルーベリーの果実は、EM区がkg当り341ベクレル、EMプラス米ヌカ区は更に下がり203ベクレルであったのに対し、無処理区は出荷停止の500ベクレルを超えた値であった。


2.「アグリSCMふくしま」グループのEM農家の結果
 前述の飯舘村のブルーベリーは、これまで1回もEMを使ったことのない圃場での試験であり、しかも、20,000ベクレルという高濃度汚染地域で作物の栽培が禁止されている所である。それでも、EMを多めに使うようにすれば、数ヶ月で、すべての安全基準をクリヤーすることが明らかとなった。この結果から、EM処理による放射能汚染対策に万全を期すことが可能であるといえるが、福島県には、伊達市を中心に15年以上も前からEMを使っている農家が多く、その中に幕田武広さんの指導でサプライ・チェーンマネージメント(SCM)を構成している「アグリSCMふくしま」に契約している50軒のEM契約農家がある。津波や地震などで農業を続けられなくなった農家は10軒もあり、現在は40軒とのことである。


 幕田さんは、風評被害に対抗するために、同位体研究所に分析を依頼したところ、すべての農家が検出限界以下という結果を得た。幕田さんの話によれば、汚染の比較的低い地域の農産物でもEMを使ってない場合は、出荷停止ラインに達する例もあるとのことであった。その他に郡山、福島などのEM農家の農産物の放射線量は、すべて例外なく検出限界以下となっており、それらの結果から判断すると、農地の放射能汚染は、すべてEM農法を実行することによって解決できるという結論になる。


 次に、EMを使うと放射能は有害なことばかりでないという事例を紹介したい。2000年のベラルーシの実験終了後、私は次のようなコメントを出したのである。「放射能汚染地域でEMを徹底して使うと、放射性物質は作物に吸収されず、同時に、作物はEMによって、土中の放射線を太陽光と同じように、エネルギー源としても使えるようになるため収量も増えるはずだ」確かにベラルーシの立ち入り禁止地区の小麦は品種が違うくらいに良く育っていたのである。


 この件については、ベラルーシの隣接で被災したロシアで検証されたが、福島でも似たような現象が起こっている。福島の今年の天候は雨が多く、日照不足で、モモなどにとっては最悪の条件である。それにもかかわらず、EM農家の果物は例年よりも病害虫の発生も少なく、最良のものとなったが、買ってくれる人が限られているので困っているとのことであった。同じことは、キュウリやトマト、軟弱野菜などにも現れている。このような背景を考えると、放射能はEMを介することによって、エネルギー肥料として使える可能性があり、その生産物は健康にとっても望ましいものになると言っても過言ではない。


3.南相馬市鹿島地区のEMヒマワリプロジェクト
 本DND第46回に、放射能汚染除去プロジェクトの一環として、南相馬市の鹿島地区でのEMヒマワリプロジェクトについて述べたが、連日の雨で水びたしになった畑が多く、生育にもかなりのムラが認められた。鹿島地区の土壌の放射線量は800ベクレル程度である。協議の結果、この程度のレベルであれば、数回のEM施用で検出限界以下にすることも容易であることから、秋に再度EMを撒いて、ヒマワリや雑草を全量すき込んで発酵させ、有機肥料として活用し、次年度から高品質多収のEM栽培に切り替えることになった。そのため、油脂に関するプロジェクトは行わないことに決定した。次年度の成果が楽しみである。



(3)南相馬鹿島地区のヒマワリ畑


4.EMボランティアからの報告
 校庭や自分の庭にEM活性液を散布しているボランティアは、各々で計測器を持っており、その結果が報告された。EMを散布した当初は、何となく良くなったような雰囲気であったが、回数を増やし時間が数ヶ月も経過したら、毎時6マイクロシーベルトもあった土壌表面の放射線量の強さが0.5マイクロシーベルトになっていたとか、検出限界に達していたとか、アスファルトの放射線量が半分以下になったとか、否定的な報告は全くなく、中には、子供や孫の夏休みの理科の宿題にしたいという話も出て、EMで放射能対策が自力でできるという自信に満ちた空気がみなぎっていた。



(4)福島県の農家やボランティアの方々と放射能対策についての情報交換


 地球環境・共生ネットワーク(U-ネット)では、現在の「EMエコ郡山」の活動を更に強化し、福島県全体に8ヶ所〜10ヶ所の拠点を作り、福島県商工会女性部やEMボランティアの協力を得て、全県にEMによる放射能の除染体勢を整えており、すでにその大半が動き始めている。


5.高濃度汚染の汚泥対策について
 本件は福島からの情報ではなく、8月5日に岩手県花巻市にある岩手コンポストから寄せられたものである。岩手コンポストは、建物から処理のシステムのすべてがEM仕様となっており、15年余の実績がある。EMで重金属やダイオキシンや様々な化学物質を無害化したり、EMの密度が極めて高いコンポストを作っている。


 今回の大震災では、EM研究機構やEM生活社およびU-ネットの後方支援を受け、500トン余りのEMを作り、タンク車で被災地に無償で配送した会社であり、今でも、その活動は岩手県全体に続けられている。岩手コンポストのEMコンポスト(コスモグリーン)は、ボカシなみの効果があるため、避難所のトイレの悪臭や大量の水産廃棄物の臭気対策にもその威力をいかんなく発揮し、同時に塩害を受けた多くの田畑にも使われている。


 この岩手コンポストに搬入される200ベクレル程度の汚泥の放射能は30日のプロセスですべて検出不能となっている。岩手コンポストの堆肥化システムのEMの密度は、飯舘村で劇的に放射能を減らしたレベルとは、比較にならないくらい、はるかに高い密度を保っている。


 このような背景を考えると、現在、大問題となり、解決の道筋の見えない、5万ベクレル以上にも達する高濃度の放射能汚染汚泥でも30日程度の発酵プロセスで最良の有機肥料にすることが可能である。この件についてはテストをすればすぐわかることである。


 以上、1〜5の項目すべて農林水産省に報告されることになっており、国の今後の対応に期待したい。



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