久しぶりのCalifornia -3、Stanford大学で講演



 翌6日は、朝からあまりぱっとしない天気、ポチポチと雨も。まず、Enhance IncのMs Shizu Munekata(「シズさん」とでも呼ばれているのでしょうか?)とお会いし、いろいろなお話を伺いましたが、これもなかなか楽しいひと時でした。それからランチ、3年ぶりぐらいでしょうか久しぶりですが、バイオべンチャーでは伝説になりつつある金子さん梅田望夫さん 、の「ウェブ時代をゆく」にも出てきますが)、そしてblogや「ヒューマン2.0」などのワタナベチカさんと。みんな初対面のような気がしないのも変な気分ですね。ランチの後は、Silicon Valleyベースの循環器系バイオの米国の方とお会いしましたが、その会社の役員やらなにやらに共通の友人が何人もゾロゾロ出てくるのです。世の中、これが楽しいのです。どこで、だれに会うかわからない、そこから一人ひとりの評判が、いつの間にかひろがり、ヨコ、つまり「フラット」な社会に定着していく、これがグローバル時代の「個人力」「信用」になっているのです。誰がどうつながっていくかわからない。だからこそ気をつけましょう。いつも誠実に、真摯に、そのつど自分のベストを尽くし、能力を磨くことです。

 午後3時からProf DasherさんとStanfordへ。歩く距離によって傘がいるかいらないかという、グズグズした雨になりました。彼のオフィスへ寄った後、4時過ぎから「アジアのイノベーション」シリーズの「トリ」で呼ばれたのです。学生ばかりでありません、日本からの留学生や会場でも何人かの方に紹介されましたが、教員も、学外からも、またご当地の著名な方も何人かおられました。


写真1: セミナーの講堂でDasherさんと。

 セミナーですが、私のタイトルは「Innovate Japan」です(写真1)。日本人ですから、まず「天気が悪くて、でも来て頂いてありがとう」的な、言葉からして低姿勢、そして日本語でしゃべるとなぜなんとなくあやまり言葉から始めるのか、というところからはじめました。話のポイントは、以前にもご紹介したものですが(こちらはウェブキャスト)、さらに2006年2007年のNobel平和賞がグローバリゼーション時代のイノベーションブームの鍵を示している、ということと、枠にとらわれない発想の源泉である、ここSilicon Valleyが、いまや、「クリーン、グリーンテク」のメッカ「クリーン、グリーンバレー」になりつつある、ということです。このセミナーはいづれウェブで見れますから、内容、質疑の様子などはその時までお待ちください。


写真2: セミナーの後で参加の皆さんの一部と。

 しかし、このことこそが情報時代の恐ろしいところなのですね、世界中で、誰でも映像で見れるのです。ここが本質的に「グローバル時代」の恐ろしいところなのです。講演録という文字よりはるかにインパクトがある、「ナマ」と同じで隠せない、多くの場合ほぼリアルタイムでも見れる、見える、知れる、そしてその積み重ねが、「フラット」「平ら」で誰でも見ている、誰からでも見られているところで、あの人は誰?どんな人?何ができるの?どの程度に?ということが知れて、いつも間にか、世界に広く知れ渡ってしまうのです。肩書きが通用しなくなっているのです。国境を越えた「個人力」の価値、これが私と石倉さんの本「世界級キャリアの作り方」 でのメッセージのエッセンスともいえるのですね。日本の社会での「えらい」肩書きの価値も、どの程度のものか、みんな世界に知れ渡っているのです。どこにいっても、何を言っても、これは隠せないのです。社会的地位の高い肩書きほど「実力との乖離」があれば、グローバル時代のそのひと個人、属している組織、そして社会、国家の信用にかかわってくるのです。

 私も実は怖いですよ、見るのが。でも実はこれが勉強になるのです。人から、学生から、相手からフィードバックをもらう、自分で自分を見てみる、そこで学ぶ、つぎに生かす、これが大事だと思います。自分を見つめ、そこから謙虚に学ぶ、次のステップへ向かう、という「自己研鑽」のプロセスです。

 講演のあとは、いくつも質問が出てよかったです。それも終わって、いつものようにみんなで、わいわいがやがやと(写真2)。日本の企業(主に大企業ですが、がんばってね)や大学からの若い方たちも何人かが来ておられました。近所の高校生の女生徒が一人来ていて、今度、学校にも来て話してほしいといわれましたので、次の機会にね、とメールしました。参加の皆さん、あいにくのお天気でしたが来ていただいてありがとう。皆さんに感謝。

 IMAnet の八木さんもこられ、さっそくblogにこの日のことを書いてくれました。Thank you。