少ない「投資」資金、新成長産業が伸びない日本
どちらかといえば新興企業を扱うJASDAQに招かれ、講演しました。700人ほどでしょうか、熱気に溢れていましたが、もっと元気でもいいのでは、とちょっと感じました。おとなしい感じがします。なぜか、よく分かりませんが。主宰者JASDAQ社長の筒井さん、またパネルのザインTHineの飯塚さん、(飯塚さんのインタビュー記事はこちら)とは、先日ご紹介した大連でも一緒でした。パネルは筒井さんの司会で、日本マクドナルドホールディングス社長の原田泳幸さん、ジュピターテレコム副社長の福田峰夫さん、ザインエレクトロニクス社長の飯塚哲哉さん、そして私というメンバーでした。
日本は新産業、成長産業を盛り上げるお金が、OECDなど経済の大きな国としては極端に少ない国です(図1、2: どうしてこの図表がもっと広く使われ、メデイアなどで知られないのでしょうか)。1960年代から30余年にわたる大量の規格製品、石油という安いエネルギー源(1974年のオイルショックまで)、消費文化、供給者側の論理で引っ張られたFreeman and Perezのいう「第4のパラダイム」のもとでの経済成長で「緩んで」しまっている感じがします。特にこの数年のアジアの成長ともに到来した景気回復があるので、なおさらですね、基本的な構造改革はまだまだなのに、です。危険ですね。富山和彦さんが最近の著書「会社は頭から腐る」、「指一本の執念が勝負を決める」などで指摘されているとうりです。世界は急激に変化しているのに、成功体験が邪魔になって変われないのです。特に過去の成功体験をもった既得権者が高い地位に多すぎて、大抵抗勢力になっているのです。現場はまだまだ強いのに、企業はそれを生かしきれていない、と思います。
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この辺の社会背景については、最近のサイトにいろいろメッセージがありますし、また私の講演等 、を見たり、聞いてください。この40数年、日本と米欧の3極の枠ですんでいたものが、アジアの急成長でアジアの日本が追いまくられている、という構図です。慢心も安心も、決してあってはなりません。
「投資」は国のお金、また税制だけではないのです。これらは政策としての一つの誘い水です。日本の「政産官」の「既得権の大きいところ」が過去の成功体験、大銀行による中央集権的間接金融などに慣れてしまって、「融資」は考えても、「投資」ができない精神構造になっているのでしょう。起業家精神溢れる「出る杭」たちが、日本社会にはあまりにもすくないのです。これでは新しい産業は出てきません、新しいグローバル時代のパラダイムでの産業構造と経済成長の競争は難しいです。産業革命以来の、産業と経済の歴史が繰り返し示すところです。新世代(年齢に関わらず)が出てくるのが大事です。
情報が広がるこの時代、世界は「よーく」知っています、日本の状況を。添付した二つの図をどう解釈しますか? どうすればいいのか、一人ひとりが考えてください。多分、いつものように自己の狭い過去体験にとらわれた、縦割りの論理で「Too little, too late」の政策、戦略しか打てないのではないか、と危惧しています。変れないのですね、所詮は。最近、日本孤立、日本沈没論が出始めていますが、そうでしょうね。できない理由ばかりいう、ガチンコ勝負を経験したことのない人ばかりが上にいるのですから。
海外のムードは、世界第2の経済ですが、日本はどうでもいいや、世界の課題では日本は「irrelevant」、関係ないね、という感じです。パッシングです。2010年には中国がGDPで日本を追い越す予測です。
優秀な、高い理想を追いかけようとする人たちは世界へと出て行くようになるでしょう。情けないことですが、これがグローバル時代なのです。
公演が終わって成田へ、いつもの夜行便でパリへ出発しました。
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