「イノベーティヴな人」の条件、「フロネシスPhronesis」とはなにか?
今日の午前は、昨日の産学官サミットのゲストで来日された(今年もう3回目の来日ということです)、もとStanford大学副学長の William Millerさんの訪問を受け、楽しい1時間を過ごしました。原山さんもちょうどこられたので、スタッフの佐藤くん、是永くんたちと参加したいただきました(写真)。夕方から総合科学技術会議の本会議が官邸でありました。今日のセッションはなかなかよかったです。そのあと、デンマーク大使館でデンマーク首相Rasmussen歓迎のレセプションに行きました。東京工業大学長の相沢学長にお会いしましたが、Rasmussen首相は明日は朝から東工大で学生さんを相手に、首相がまず数分のお話をして討論に入るそうです。楽しそうですね。
今日は、久しぶりに格調高い、哲学的思索の入った「イノベーティヴな人」、「イノベーティヴなマインド」についての考え方を伺いました。原山さんの「イノベーティブなひと」とは?(*です。
さすがに、ヨーロッパの高等教育を受け、仕事をされていた人ですね、感心しました。ちょうど出たばかりの日本学術会議の「学術の動向」11月号、ジェンダー特集に上野千鶴子さんが寄稿した文を読んでいたら http://www.scj.go.jp で「学術の動向」をクリックしてください、11月号はもうすぐ掲載されるでしょう)、ここで原山さんとおなじく言語学者ソシュール(Saussure)の同じ本が引用されていたのでびっくりしました。
でも、出ましたね、原山さん、ここでも「フロネシスPronesis」が。私の2006/11/14のカラムで、そしてDNDメールマガジン2006/10/25 Vol. 196でも取り上げていただいている言葉ですが。
野中郁次郎先生(本当にすごい先生です)の提示されるこの言葉「フロネシスPhronesis」の意味ですが、原山さんのからのまたの引用ですが、「この言葉の意味の重要性、あまり聞きなれない概念なので定義を引用すると「個別具体的な場面のなかで、全体の善のために、意思決定し行動すべき最善の振る舞い方を見出す能力」となります。ここでキーとなるのが主観であり、 その主観がよりどころとする価値体系の構成要素である倫理観、歴史観、社会観、政治観、美的感覚 なのです。科学的知識と実践的知識を融合してアクションを取るイノベーティブなひとには規範的な側面においても卓越していることが求められるのではないでしょうか。」と。いい文章ですね。素晴らしい。
野中先生が例として挙げられる方に、先週に生誕100年だった本田宗一郎さんがいますが、ほかにも私にはソニーの井深さん、盛田さん、トヨタの豊田喜一郎さん、クロネコヤマトの小倉昌男さんたちがすぐに浮かぶのです。
このような哲学、思想にこそ、社会の変化をもたらすイノベーションを起こす「イノベーティヴな人」、「イノベーティヴなマインド」には深く無意識下に内在するのだと私は思います。
イノベーションについてこのような理解が広がると、本当に活気のある、素晴らしい社会変革が起こるでしょう。いや、そのような認識こそが広がってこそ、社会イノベーションが起こる「活気のあふれる」、「品格ある国家」になるのであろうと、と考えるのです。予算委員会などの答弁などを聞いていると、安倍総理はこのような認識をどこかにもっておられると、わたしは感じていますが。
写真:Stanford大学のMillerさん、原山さんと。
*編集注:URLから元記事タイトルに改変。
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