第12回 安全・安心な国を作る


 皆さんが出口さんの呼びかけでどんどん熱い討論に参加するので、私も久方ぶりに参戦することにいたしました。もう一つの理由は、来週出口さんとお会いするので、その前に原稿をアップしたほうが気が楽だという不純な理由?もあります。やはり、直接顔を合わすと逃げ道がないので、原稿催促には最適ですね。出口さん!

 既に、黒川先生、原山先生、石黒さん、橋本さん、塩沢さんという常連組がどんどん情報を発信しております。私は、皆さん、日本でも最も忙しい人たちなのに、何故こんなに原稿を書けるのか、不思議でなりません。正直、ボヤキが出てしまいます(一体いつ寝ているのでしょう??)。

 しかし、いい時代だと思いませんか?政策を立案・企画・実行しているトップの方たちの気持ちがこんなにストレートに伝わってきて、どうしたいかが分かる。こんなことは、今までにありましたでしょうか?政府広報の担当の方には、申し訳ないですが、面白くない・お役所言葉で書かれて、できる限り分からないようにしようというのが、政府の関係の方というイメージがありましたが、今や大きく変貌しています。むしろ、大学や学部の中のほうが、風通しが悪く、トップが何を考えているのか、分かりにくいかもしれません(大阪大学のことではありませんので、念の為)。

 これこそ、25年後のイノベーションかもしれません?25年前に科学技術首相顧問が誕生し、政府の基本政策に科学技術立国が盛り込まれ、トップの方の自由な意見が国民の目に触れる、こんなことが想像できたでしょうか?

 さて、本題のイノベーション25です。光栄なことに?、安倍総理の個別分野の例として、一番最初に医薬が出てきます。これは、日本政府が医薬品開発を国家の目的として定めた初めてのケースです。安全・安心な国を作る、そのためには、国民の役に立つ薬が必要だということを明らかにした意味で、私は歴史に残ると思います。

 では、25年後の医薬品はどうなっているでしょうか?ITにおいても、なかなか想像するのも困難ですが、医薬にもおいても同様です。薬に関しては、開発が10-15年はかかりますので、ITよりは予測しやすいので、今研究段階にあるものがいくつかは現実になっているでしょう。

私の予測としては
1)テーラーメード医療の実現
2)遺伝子治療の実用化
3)再生医療の実用化(自己ES細胞による)
4)DDSによるピンポイントがん治療の実現
5)感染症に対するDNAワクチン
6)核酸医薬による難病克服(アンチセンス、デコイ、RNAiなど)
7)月一回投与による生活習慣病の治療薬(高血圧、糖尿病など)
8)脳血管性痴呆・アルツハイマーの予防と画期的治療薬の開発
などを上げたいと思います。

 こうしてあげるとアイデア貧困な気がします(予測がつきそうだというつぶやきが、聞こえてきます)。何か、もっと画期的なことはないでしょうか?不老不死の実現、いえいえ、多くの方の夢である「ぴんぴんころり」の実現、これぐらいまでは行きたいですね。

 10年後ですと、それほど難しいとは思いませんが、25年といわれると難しいですね。皆さんのアイデアはいかがでしょうか?

 どのような目標が出るかは分かりませんが、それを達成するための5年、10年という時間軸の計画も大変重要です。しっかりとしたアクション・プランとチェック体制と司令塔の機能、これらもそろえないと意味がなくなってしまいます。 イノベーションによってどのような社会が実現するか?長生きが楽しみになってきませんか?

大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学教授
知的財産戦略本部 本部員
アンジェスMG社取締役
森下竜一