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第8回 「日本社会の国際化と知的頭脳の導入」
●日本の国力の衰退傾向
日本の国技である相撲でまたまたモンゴル出身の朝青龍が優勝した。そして、それに負けずに活躍したのは、やはりモンゴル出身の白鵬である。魁皇も何とか体面を保ったものの、日本人力士の勢いはほとんど感じられず、武双山に至っては引退に追い込まれてしまった。
外国勢に追い込まれているのはスポーツだけでなく、外交でも欧米どころか、中国、韓国、北朝鮮にさえも押されっぱなしだ。一方、内政面では、経済的には相変わらず泥沼不況を完全に脱出しているとは言えず、ダイエーも崩壊の憂き身にあり、あの西武さえもどうなるかわからない。社会的には子供や弱者に対する異常犯罪がはびこっている。海外からみていても、一体日本はどうなって行くのだろうという危惧が出る。
●あらゆる分野で市場は国際化しつつある
しかし、ここで悲観的になってはいけない。こういう現象は日本だけではないのだ。テニスやゴルフでイギリス人がウィンブルドンで勝ったのは何十年前だろうか。フランス人はもっとひどい。ところが巨人アメリカでも同じなのである。最近のゴルフで優勝するのはビージェイ・シング(フィジー)とかエルスやグーセン(南ア)であり、アメリカ人のタイガーやミケルソンではない。テニスもロシア人が米国でも世界でも勝っている。野球も最近の超一流のプレーヤーにはドミニカとかプエルトリコという南米の出身者が非常に多い。
これは世界が一つの市場になりつつあることを示しているのだ。スポーツそして政経の全社会面で世界で最も強い者が勝つようになっている。そこに国や人種の区別はない。相撲で日本力士が勝てないのは、それだけ日本が、そして相撲が国際化しているという証拠なのである。 経済問題にしても、日本の不況も、10年前のバブル時代に比べるから不況なのであり、他の諸外国と比べたら生活水準や豊かさ、安全さもこれほど良い国はそうはない。夜の銀座や新宿はネオンで輝くばかりの明るさで、若い連中が夜遅くまで飲み歩き、またケータイ至っては中学生位の子が持っているのは当然になりつつある。
アメリカで夜ネオンが輝やいているのはニューヨークのマンハッタン位のものであり、残りの大都市では夕方以降は真っ暗といってよい。小さな子供がケータイを使っているのはとても考えられない。
アメリカから日本へ出張すると、一体日本は本当に不況なのだろうか、と疑わざるを得ない。犯罪はアメリカの方がはるかに多く、残忍である。欧米以外の国では至るところに戦争や紛争がある。しかもこういう国や民族間の争いも、ほとんどは欧米諸国の武器が出回っているから余計にひどくなっている。つまり、何々かにやといいながら欧米諸国は社会の裏でマッチ・ポンプをやっているのだ。そう考えると日本はずっとましな国といえる。
●日本は国際化した特許市場で40%のシェアをもつ
知的財産もそうである。ここ10年ほどこそアメリカにおける特許取得が最も多い企業はIBMだが、その前の10数年間のトップ企業はずっと日本企業だったのだ。現在でもトップ10のうちの半分は日本企業である。すると、日本企業がアメリカ企業に特許の重要性を啓発してきたともいえる。
ただ、日本の特許は日本でも世界でもまだまだ財産を生み出すように利用されていないが、それは知的財産の利用に対する認識が歴史的にあまりに遅かったからだ。21世紀は天然資源の枯渇から必ず知的財産の時代になる。特許の数では世界の40%を占める日本の未来は決して暗くはないはずだ。
平均年齢の老齢化、労働力の減少が懸念される21世紀の日本にとって、最も重要なのは、世界の若い知的頭脳を日本に導入することだろう。世界一安全で平和な日本にはその魅力はあり、可能なはずだ。
アメリカは過去200年間そういう人材の移民で今日の地位を築いたのである。今の日本は外国から知的頭脳ではなく、犯罪頭脳が流入することが目立っている。これをいかに変えていくかが急務であろう。
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