第58回 「日本は必ず復興する」
神は何故こうも日本に大災害や大試練をもたらすのだろうか。関東大震災、2度の原爆、阪神・淡路大震災、そして今回の東日本大震災は超大地震に加えて大津波、そしてその上に原子力発電所の大破壊…。あまりに多すぎる。
そして、考えられる1つの答は、日本はこういう大災害にもめげずに必ず復興してくる、世界に模範を示せる…、神はそう考えて人類に自然が自然であることがいかに幸なのか、いかに普通の地球環境が素晴らしいことか、静かな地球は奇跡の星であるということを再確認させるためにあえて日本を選んでいる…。そうとでも考えなければ承服しがたい大災害である。
この考え方にそれなりの論理があるのは、世界のジャーナリズムが色々批判しながらも、一部は日本なら大丈夫だ、また何とか復興するだろうと報道し、また日本に住む外国人の一部も日本の冷静な対応、パニックや犯罪が少ない現象(全くないことはないが)で、この国は大丈夫だ、必ず何とかすると脱出を試みない者もかなりいることからも理解できる。しかし、地震や津波は一応収まり、原発もとりあえずの高熱化はしのいだものの、本格的対処はこれからであり、まだ完全に修理する見通しが立っていないのでやっかいである。
そして、アメリカから専門家チームが派遣されるらしいが、果たしてアメリカの専門家チームが日本の専門家チームより優秀か私は若干疑問を持っている。はやぶさがあれだけ苦労したことは、最も重要な部品であるリアクションホイールという一種のジャイロをアメリカ部品を使っていたことにあったことは以前の記事で記載したことである。
福島の第1、そして第2原発はGE社が絡んでいるので、それなりの期待はできるかもしれないが、今のアメリカの製造業の酷さをみると、果たしてアメリカ専門家チームがよいのか全くわからない。大体外国の専門家は軽率なところがあり、国際原子力機関(IAEA)も来日早々に福島県内の牛乳と茨城県内のホウレンソウから放射性物質が検出されたことから、「厚生労働省は福島県産の全ての食料品の販売停止を命じた」と誤報を世界に流してしまった。こういう軽率な誤報は世界にパニックをもたらすだけであり、迷惑千万といえる。
そして、これに関連して気になることは、「日本は真の情報を隠しているのではないか」という内外のジャーナリズムの推測的報道である。大体、これだけの大事故で「真の情報」というようなものは、そう簡単にわかるものではない。というより、本当の「真の情報」は、全てが終わったしばらく経った後に判明することがほとんどなのだ。
災害や原発事故をめぐる情報は、ありとあらゆるものがあることは疑いの余地もない。災害地や原発内部にさえ近づけない状態で「真の情報」を特定することは不可能なはずである。
政府関係者も、東京電力・日立・東芝の企業グループも、自衛隊も、警視庁も、消防庁も現場で生きるか死ぬかの環境で戦っている。彼らのほとんどは志願者である。これほどの高放射能の中で働くことを上司は簡単に「お前行け」とは命令できないからだろう。但し、自衛隊の特殊科学部隊は耐放射能がしっかりしているので、任務として働いているようだ。自衛隊がこれほど頼もしくみえることはなかったろう。これで日本人ももう少し自衛隊、そして防衛のことを真剣に考えることが期待される。
とにかく、こういう決死隊ともいえる部隊が分厚い完全防護服と手袋を身につけて、真っ暗闇の中で懐中電灯を使って働き、手探りで作業を続ける状態では、情報入手や分析より、とにかく最悪の事態を防ぐ事が優先されるべきである。
入手した全ての情報を流せば、確かに隠したとみられることは防げるが、情報は1人歩きするので、余計パニックをもたらすことがあり得るので、それは良くない。現場で体を張って必死に防いでいるプロにある程度任せ、修理可能な状態になってこそ「真の情報」が見えてくるのではないか。そして日本にいる外国人識者の一部には、そういう落ち着いた対応が見えるからこそ、「日本は大丈夫だ」というのであろう。
こうした中で、上記した企業グループの志願技術隊は内外から「フクシマ50勇士」として感動的評価を与えつつある。彼らは日本を原発の危機から救える者は、福島原発を設計し、技術に詳しい自分たちしかいないという使命感を持っている。日本人はやはり危機になると結束力と魂を発揮する。
対照的なのは中国で、彼らは日本から来た全日空の航空貨物便を「放射線量が高い」という理由で日本へそのままUターンさせた。しかも、放射線量が高いというデータを示さず、日本の要求に対して無視するという暴挙である。
世界中が日本を助けようと動いている中で、中国の役人は自分の国の安全性しか考えない行動をとっている。この国は今や自分の国さえよければよく、問題があれば経済制裁や軍事力で押さえつければよい、と考えているようだ。特に日本に対しては、それが強い。
尖閣列島の海底には石油のみならず、レアメタル等の資源が豊富であるが、万が一、日本がそれに手をつけると経済制裁だけでなく、軍事行動にでることは容易に考えられる。これに対し、今の日本は何もできないので世界の笑いものになるのではないか。だが、こういう高慢で独断的な一党体制の国が長続きするわけがない。中国の内部は一触即発の状況で、いつでもクーデターが生じる要因を持っている国である。中国人民自身による大災害がいつでもあり得る国だ。
但し、その中国でさえ「フクシマ50勇士」に感動したり、中国人研修生20名を先に非難させ、自らは行方不明になった日本人に感謝したというニュースが出ているので、一部の中国人民にも心はあるのだろうが、果たしてこれがどこまで中国の地方(反日感情が異常に強い)まで、伝わっているかはわからない。
非常識といえば、日本が外国投資を引き上げて円高なる事を見越して、円を買いまくる外国投資家は酷いものだ。要するに、金になるなら火事場泥棒も当たり前という人間である。石原都知事は本当はこういう連中を「我欲」に走る金の亡者と呼びたかったに違いない。
話がそれてしまったが、悲惨一方のニュースの中にも奇跡の救出が次々に出てきた。真っ暗闇の小学校の保健室の中で見知らぬ人が名前もあかさず手伝って赤子が生まれるのを助けたという明るいニュースは、正に日本人の「我欲」のないチームワークと精神力を示すものである。
第二次世界大戦で、約300万人の兵士と民間人が死に(但し、ソ連約2000万人、中国約1100万人、Wikipedia: World War II casualtiesより)、日本中が焼け野原になったときでさえ、瞬く間に復活した国である。日本は今回も必ずこの未曾有の大試練を克服し、再び世界に奇跡的復興を示せる国民であり、国であると信じている。
その理由の1つは、原発復興作業にみられる日本人の計画性の緻密さと安全性の高さである。「フクシマ50勇士」の作業員は、防護服に放射線探知機を付け、一定値に達するとさっと身を引き、近くに待機しているマイクロバスに乗って、新しい作業員と入れ替わるという細心の注意で安全を確認しながら働いている。今のところ、少なくとも被爆による作業員の犠牲者は出ていないようである。
この作業は、チェルノブイリの事故(広島に投下された原爆の400倍の放射性汚染)の後処理で80万人が動員され、放射線で6万人が死に、16万5000人が汚染で障害を負った(Wikipedia: Liquidator (Chernobyl)より)という理不尽な作業とは桁違いに異なる作業である。
こうした超安全な基準を適用しているため、一見すると進行は遅いように感じるかもしれないが、人命を重視する作業には必須の条件ともいえる。ジャーナリズムは推測的センセーショナルな情報よりも、こうした地道な努力を十分に流すべきである(但し、新聞等をよく読むとこうした記事はあることはあるが)。
日本が優れているのは、人権を無視するような人海戦術に頼らず、パニックに陥らず、着実に計画的に作業を進める点にある。
だからこそ私は必ず日本が復興すると信じている。
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