EM技術による東日本復興計画への提案1
1.ケガレチやイヤシロチに対する理解の重要性
前回は仮設住宅やヘドロ等を片付け、消毒剤を散布した家屋等で起るシックハウス現象に対するEMの活用法について述べたが、EMは使う量が多く、使った期間が長い程、その累積効果は高まり、最終的には、すべての場をイヤシロチとする力を持っている。
イヤシロチとは、簡単に言えば、すべてのものを、いやし、健全にする力を持っている場のことである。風水学的な見地からすると、極めて限られた場所で、古来より、霊験あらたかな神社や仏閣等々の殆んどが、イヤシロチに建てられている。現代流にいえば、パワースポットとも言えるが風水学的に言えば、イヤシロチ、すなわちパワースポットに家を建てると、住む人は健康になり、運気が高まることになる。レストランやお店を建てると、同じ材料でも料理がおいしくなり、品物の質も何となくよくなり、そのレストランやお店は、何となく居心地が良いため、千客万来で繁盛するといわれている。
その対極にあるのが、ケガレチである。すなわち、穢れた土地、汚染された土地のことで、風水学的には、自然界のマイナス現象が集約する場所である。不幸にして、このような土地に家を建てると、病人が絶えず、運気が悪くなり、何をやっても、うまくいかないような状況が多発するようになる。レストランをやると、料理がなんとなく、まずくなり、食中毒が発生しやすくなる。一度でも食中毒が発生すると、いくら消毒を徹底しても、再発する事例が多く、商売をやっても、客足は右肩下りとなる。農地だと病害虫が多発し、味が悪く、健康を損ねるような作物となる。
犯罪や交通事故の多発する場所も、典型的なケガレチである。ごみを埋め立てケガレチとなった場所に、学校を建てると児童生徒の怪我が増えたり、いじめや、保護者とのトラブルはもとより、教師をなやます、様々な問題が発生する。
古来、建設にかかわる行事として「清めやお祓い、安全等々」を願って地鎮祭を行なうのは当たり前となっている。関係者の心を一つに祈願するということは、それなりの効果があり、迷信だから、神だのみは止めようという業者は皆無であり、建設業界では、何となく、安全祈願だけでない、ご利益を感じており、伝統的なマナーとなっている。
子細は省略するが、EMを活用すると、あらゆる場で蘇生的な現象が現れるため、いつの間にか土木建築分野にEMが活用されるようになり、ケガレチにEMを徹底して使うとイヤシロチに変わるという事例が増えてきたのである。霊能者と称される人々や化学物質や電磁波等々に過敏な人々からも、同様な話が寄せられたが、当事はEMの余得として受け止めていた。
事情が一変したのは、ごみ焼却灰の処理や産業廃棄物処理場での二次汚染の問題にEMを活用するようになってからである。
我が国でも、1980年代の前半までは、ごみの処理は都市ごみコンポスト(堆肥)としてリサイクルする方法が試みられ、全国のごみ処理場で実施されたことがある、しかしながら、そのコンポストにガラス、金属、プラスチックの他に様々な化学物質が含まれていたため、農業には全く使えないシロモノであった。そのため、ごみ処理場のコンポストの山は巨大になり、遂には焼却する以外に方法がなくなったのである。
また当時は、各家庭でも、学校でも、可能な限り、ごみを燃すことが、ごみ減量化の決め手として大々的に普及され、その焼却灰は無機肥料として使うように奨励されたり、全国の至るところに中小型のごみ焼却場ができ、ごみ問題は解決したかのようになった。その上、焼却灰は他の産業廃棄物とともに、山の谷間や低地や海等の埋立地に使われるようになったのである。
1990年代の初め頃から、投棄された様々なごみの二次的な汚染や、それに伴う健康被害が現れてきた。その主犯は、ダイオキシンであったことは改めて述べるまでもないが、我が国は一兆円近いお金を使い、ダイオキシンが発生しない高温焼却炉と溶融炉を併設し、この問題の解決を図ったが、問題は耐用年数を含めた維持管理コストであり、多くの自治体の重物となっており、過去に投棄されたダイオキシンの大半も土中に埋まったままである。
自然界には、そのダイオキシンを飼化(エサにする)する放線菌などの微生物が存在するが、このグループの微生物は、有機物の汚染が残っている土壌では増殖せず、人工的に増殖して、大量に土壌に施用しても、全く効果を発揮しないのが通例である。しかしながら、そのような汚染土壌にEMを撒き続けると、いつの間にか、土壌中の有機および無機の汚染は消失し、同時にダイオキシンを分解する微生物が増えるようになり、時間の経過とともに、ダイオキシンも消滅することが明らかとなっている。
このようなことから、現在でも、かつて焼却灰を廃棄した所で、ダイオキシンが見つかった場所にEMを散布し、それなりの効果が認められているが、このような場所に建てられた建築物や住宅は、土台から劣化し、木が枯れるような雰囲気で建物がだめになるという典型的なケガレチとなっている。
ごみ処理場の跡地や、長年畜舎や衛生処理施設のあった場所や、降雨時にまわりの汚染が混入する地域も、例外なくケガレチである。
今回の大津波では、トイレ、化学物質、石油、汚泥等々が流れ込み、地域全体が悪臭を発し、ケガレチとなっている。このような、土地を元の状態に戻すためには、3〜4年もかかると言われるがイヤシロチに変えることは不可能である。なぜならば、土中に含まれた塩分は水田や畑地と異なり、多量の水が使われることがないからである。
そのような場所に基礎を打ち、建物を作っても、塩分や、その他の汚染による強烈な酸化作用が触媒的に続き、また、人間が生活し、様々な化学物質を使い、電化製品による有害な電磁波等のマイナスの相乗効果が現れるとケガレの度合いが更に上乗せされるからである。
2.ケガレチをイヤシロチにするためには
住宅の場合、一般的には床下の部分を、木炭やゼオライトなどのように有害物を吸収したり、触媒的に分解する材料を10cm以上の厚さに敷いたり、電気的にマイナスイオンが発生する仕組を取り付けたり、または様々な方法で作られた活性水を注入し、土中の酸化反応(フリーラジカル)を消す等々の手法が有効とされている。
確かに、それは、それなりの効果があるが地域全体の浄化を考えると、すでに、このシリーズで何回も述べたように、EMを空気や水の如く、あらゆる場に撒きまくる以外に方法はないと考えるべきである。
特に、瓦礫や汚泥を埋め立てに使ったり、瓦礫で森林公園を作る計画も提案されているが、このような場所は、間違いなくケガレチとなる、と言っても過言ではない。本DNDの「第30回EM技術による自前でできる危機管理」で述べたように、各市町村でEMの活性液を大量に作り、農業にEMを使い、地域全体にEMを散布し、特に瓦礫や廃棄物を埋め立てる場所には、意識的に大量のEM(活性液)を注入すべきである。
EM研究機構では、この件に関するEMの種菌は無料で提供することになっており、すでに各地で大量のEMが使われているが、ボランティア頼みの現状から、希望する市町村に対し、自前でできるEMの大量培養法の技術指導も無償で行っている。
福島県における放射能汚染は、ごみ埋立地やダイオキシン汚染とは原因が異なるとは言えども、強烈な酸化現象という共通項から見れば、広域のケガレチ化である。時間の経過とともにその酸化力で地下水や河川はサビだらけにし、川や海の生態系も貧弱になり、地域全体がサビたようになる。このような状況になると、遅きに失することになるため早めに、EM活性液を散布すべきである。
EMによる放射能汚染対策については、本DNDの前々回にすでに述べた通りであるが、EMを使用している農家の畑の放射線量は低いという結果が確認されており、EMを撒いた土壌の放射能が1〜2週間で20〜30%も減ったという報告も寄せられている。今後は、この事実を、いかに活用するかということになるが、結論的には、EMは使い続ければ、放射能で汚染された土地もイヤシロチに変える力があるということである。
また、政府が強制移住をさせた地域は、政府と東京電力の責任であるが、問題は隣接するグレーゾーンの対応である。グレーゾーンとなった地域では、東京電力から賠償してもらえる保証はなく、政府も何の責任も負わないことになりかねない状況にある。このような地域ではこの際、覚悟を決めて農業はもとより、あらゆる場において本DNDの30回で述べたように、EMを水や空気の如く使うシステムをつくり、地域全体をイヤシロチ化することも、天の声と受け止めて実行すべきであり、住民の健康や地域の産業を守る行政の義務と考えるべきである。