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「マルチメディア時代の新聞経営」:DNDアーカイブ

 ・新聞に見る「インターネットの黎明期」と「ソーシャルメディア誕生」の原風景
【お祝い】
 ・黒川清氏にクールな栄誉「ACCJ 2010 Person of the Year」:本日授賞式
〜連載〜
 ・石黒憲彦氏の「人づくりのお手伝い」と新政策
 ・渡部俊也氏「沙漠の中のMENA の知財戦略」

DNDメディア局の出口です。インターネットの黎明期を知るひとりとして、 今日のソーシャルメディアの登場とその鮮やかな普及のスピードは、いやはや、 冷静に考えてみ見れば、案外それほど驚くべき事態ではない。なぜなら、物事 の成否は、おおよそ凡人の予測を裏切り、そして遥か凌駕して余りあるものだ からです。今を驚いてはこの先の革命的イノベーションの現実を認識するのに より一層困難になるからです。


 しかし、先が見えないとしても、カンが冴えてスーットと霧が晴れる。そん な気づきに恵まれることもある。突如、彗星のごとく現れたGoogleの成功を持 ち出すまでもなく、その検索最大手の巨人Googleの存在を脅かすのが、いまや 世界で6億人が活用するfacebookの出現という。Googleの上場が2004年、その 年の2月4日に産声を上げたというのも何かの因縁かもしれない。


 検索を制すればWebを制する、と言われていたのはつい最近のこと。それが いま検索からソーシャルネットワークへ主役が交代し始めているという。


 いつでも、時代が劇的に変わる時、そこに新しい言葉を育むものです。日本 でインターネットが本格的に実用化されて、17、18年が経ちます。その結果、 ネットは、線から面へ、そして猛スピードで立体へとその様相を一変させてい るのです。瞬く間にワープロが一掃され、デジカメが席巻するなど、その変化 が見えるうちはまだ救われていました。それが、まったく不透明な異次元の世 界へ突入し始めているのではないか。


 ネットの歴史を考えてみれば、それだってまだ黎明期の後半で、次の始動期 には入っておらず、そのとば口にやっと差し掛かったところなのではないか、 と。政変劇を演出するのですから、このネットの勢いは、どこまで行くのか。 その先を知りたいと思いませんか。ソーシャルネットのfacebookの魅力を感じ てみてください。映像配信が手軽に無料で可能なUstreamの臨場感を味わって みてはどうか。それを阻む理由なんか、ないと思うのですが、どうなのでしょ うか。


 その、何かが胎動し始める時、なにやら居ても立ってもいられない気分にさ せられることがあります。そう、きっと幕末の志士らが世界の異変にたまりか ねたような、その落ち着きのなさ。すぐに走りださねばならないような胸騒ぎ がしてきます。


 インターネットの夜明け前もそうでした。かつてマスコミの末席を汚した立 場から、今のソーシャルメディアの勢いにもある種の巨大化するモンスターの うごめく気配を感じてしまうのです。


 以下の記事は、DNDアーカイブと称してもいいかも知れない。日本の新聞メ ディアが、活字媒体から電子媒体への一歩を模索していた時期、まさにイン ターネットという世界的ネットワークの存在が、やがてその実像を露わにする 寸前の、その言うに言われぬ落ち着かない気配を感じていた時期の私のレポー ト『マルチメディア時代の新聞経営―どうなる電子新聞』です。


 本日は、これを紹介します。1994年7月のものですが、その新年早々、私は 産経新聞の編集から経営戦略部門に異動し、その直後、羽佐間重明社長から部 屋に呼ばれ、「どうも、今度のマルチメディアの動きは、その前のニューメデ ィアと様相が違ってみえる。ついては、新聞社を含め、フジサンケイグループ のマルチメディア戦略を考えてくれないか」との御下問があった。新聞社が向 かうべき先にインターネットというモンスターが潜んでいるとは、誰も想像し なかった。が、羽佐間さんは違った。ポニーキャニオン、ニッポン放送、フジ テレビ、フジサンケイグループ代表、そして産経新聞社長とメディアをトータ ルに知る羽佐間さんのこの「様相が違って見える」という"直感"がなければ、 今日のデジタル産経の展開は、相当、他社に遅れを取っていたに違いない。


 さて、産経新聞。清原武彦会長、住田良能社長ら、現在の最高幹部は、当時 の電子新聞設立に直接関わっており、電子メディア室設置の人選や、それにか かる経費のねん出等は住田編集局長が、差配していました。まあ、面白い話が 豊富ですが、詳しいことはまた別の機会に譲りましょう。


 ◇             ◇             ◇


 「特別寄稿」AGFILE:1994年7月1日号
 産経新聞社総合企画室 出口俊一
「マルチメディア時代の新聞経営‐どうなる新聞経営」


 何から、どういう風に手を付けたらいいのか―。この難解な原稿の「テー マ」のことではない。日々、新聞紙上をにぎわす「マルチメディア時代」の到 来を見込んで、先頃、わが社・産経新聞社内にも「電子新聞研究会」が発足し た。専務取締役(前編集局長)を座長に11人の若手記者、社員を委員に選び、 私は同研究会の事務担当を受け持つ事になった。


 電子新聞の研究は、やはり、21世紀に活躍の舞台が待ち受けているであろう 20代〜30代の若手に委ねられなければならない。


 「21世紀の新聞が、どのように変わっていくのか、そのために今、何をしな ければならないのか」−が、当面の課題ではあるのだが、つまり、そこで冒頭 の疑問である。何から、どういう風に手をつける?


 産経新聞社内にも―の「にも」というのは、正直にいって産経は、後発なの である。朝日新聞は1月に「マルチメディアの研究会」、読売新聞は2月に「マ ルチメディア研究会」、毎日新聞は3月に「マルチメディア委員会」、日本経 済新聞は4月に「マルチメディア研究開発委員会」をそれぞれ発足している。 新聞各社が一様に足並みをそろえた格好の「マルチメディア」の研究は、紙に 印刷した宅配新聞に変わる「電子新聞」を視野に入れている事は確かだ。


 情報化社会の根幹を担うコンピューターが、文字や数字だけでなく、情報量 の多い音声や動画までも処理し、新たな通信網を通して、いつでも、どこから でも、自由に情報交換ができる。コンピューター、テレビ、電話など「複数の 媒体」(マルチメディア)が融合する時代社会の到来が、家庭を職場をどのよ うに変えるのかーその中での電子新聞は、実はマルチメディア時代における情 報提供のほんの一つのサービスにすぎないのだが、従来の新聞経営をガラリと 変えてしまうほどの可能性を秘めている。電子新聞とはどういうものか、それ は本当に実現するのか?


 電子メディアを利用して読者の端末にオンラインで新聞情報を届ける「電子 新聞」の研究は、すでにアメリカで広がっている。音声、画像、文字情報をデ ジタル化し、情報の送り手と受け手が双方向のやり取りをするマルチメディア 技術の進歩で、研究に勢いがついている。現在、実用化されているシステムは、 ほぼ共通しており、パソコン画面でニュースを検索し、その日の朝刊から読み たい記事を引き出すことができるうえ、過去の記事の検索も可能だ。あるいは、 必要とする記事を集めて自分だけの紙面をつくることもできる。


 1992年5月、トリビューン社がアメリカ全国で利用できる最初のローカル・ オンライン・ニュース・サービス「シカゴ・オンライン」を始め、次いで93年 5月、ナイト・リッダー社のサンノゼでの「マーキュリー・センター」が第2号 となった。同センターでの情報サービスは、パソコン通信を使った方式だ。読 者がパソコン画面で「ニュース」の項目を引くと、見出しが表示され、そこか ら欲しい記事を選ぶ。記事には、コード番号がついており、この番号を引くと その記事の関連情報を取り出せる。「チャット・ルーム」と名付けたコーナー では、編集部の人と対話ができる。


 首都・ワシントンや近郊で80万部を発行する有力紙ワシントン・ポストでは、 この夏からパソコンを使った電子新聞事業を開始する。内容は、その日に発行 された新聞の記事のほか、紙面に掲載できなかったビジネス、スポーツ、教育、 娯楽関連の記事も提供する。


 さらに、日米貿易問題などをテーマにしたパソコン討議やゲーム大会、記者 への電子メールサービスも含まれる。同紙では、パソコンと通信に必要なモデ ムをもっている世帯が15万世帯あり、「十分に商売として成り立つ」とみてい る。同様のサービスは、117万部を誇る「ニューヨーク・タイムズ」も後発な がら記事情報サービスの準備を急いでおり、「ロスアンゼルス・タイムズ」な ども近く始める予定だ。


 印刷メディアと違い、コンピューターに蓄積される情報量は過去にさかのぼ って膨大であるうえ、その検索も簡単だ。毎朝、郵便受けに一部、100円程度 の新聞を届ける、いわゆる宅配制度に伴う人件費、それに印刷代、輸送費、用 紙費もかからない。新聞社にとっては、これほどの魅力はない。


 米国新聞協会の調べでは、新聞社の新聞製作費にかかる50-60%が用紙費を含 めた印刷費といわれ、92年では、60億ドル(約7800億円)に上っている。制作 費用の圧縮は、新聞経営の最大の課題であり、ならばさっそく実用にーと心が 動くのだが、新聞の形態が印刷から電子に一気に変わるーことはない。印刷に よる従来の紙の新聞が、すべてなくなるとは、誰も予想しないであろうし、近 い将来、電子新聞が主流を占めているのかどうかの検討もつかないというの がー現段階の認識である。


 米国での電子新聞、いわゆる一般向けのオンライン・ニュース・サービスは 十数社が実施している。ニューヨーク・・タイムズによると、大手新聞が意図 する電子新聞の背景には、大規模な新聞であるが故に、小規模の地方紙に譲っ てきたローカル・ニュース、たとえば、町の短信、小さな事件、地方政治、リ トル・リーグの結果などを電子新聞でもとりあげて「地域の復権」を目指して いるーと解説する。


 米国の動向がすぐに日本にでも適応するのかーといえば、やはりそこには日 米におけるメディア環境の違いを理解しなくてはならない。


 まず、電子新聞の利用に不可欠なパソコンの普及率。92年のデータでは、全 米9200万世帯のうち、パソコンを所有しているのは2500万世帯で約27%、3年後 (95年)には35%になると予測されている。日本の世帯におけるパソコンの普 及率は、いまのところデータはないが、「年間250万台〜300万台の出荷があ る」とはいえ、それがオフィスでの買い替え需要か、一般家庭での個人的需要 なのかはっきりしないそうだ。近年、パソコンの需要が大きく伸びているとい っても、わずか全世帯の数%という状況ではなかなか難しい。


 このほか、米国では、市や町のローカルで新聞が発行されており、日本の全 国紙のような700万〜1000万の部数を誇る新聞社は皆無だ。また、一軒一軒配 達する宅配率が米国では低いーというような実情が電子新聞実用の背景になっ ている。


 米新聞界の大手ナイト・リッダー社が作った未来の新聞を考える情報デザイ ン研究所のロジャー・フィドラー所長。日本では、電子新聞の行く末などにつ いて講演をし、電子新聞の権威のような存在でなじみが深い人だが、このフィ ドラー所長は、「米国では、紙の新聞と情報端末で読む電子新聞は、10年以内 に同じ割合になる」と電子新聞に自信満々だ。さらに、「情報スーパーハイウ ェーで自由競争が進む米国では、電子新聞の購読料(検索料)が劇的に値段が 下がって、21世紀には、今の新聞並の値段になるはずだ。通信の規制が強い日 本では、世界の大きな流れから取り残されるかもしれない」と警告する。


 フィドラー所長が指摘する「情報スーパーファイウェー構想」とは、まさに マルチメディア時代を演出する米国の情報通信基盤整備計画である。2000年ま でに全米のすべての学校、図書館、病院、企業、家庭などを光ファイバー、無 線、電話線、ケーブルなどで結んで行動なネットワークをつくり、電話、テレ ビ、パソコンなどの情報機器をつなぐ壮大な計画である。総額1000億ドル(11 兆円)との試算がある。テレビや電話などを融合した新サービスで、従来のメ ディアの枠を超えた新しい情報産業が生まれる可能性が検討されている。つま り、「通信と放送の融合」を初めとして、従来の法律や規制を緩和しながら、 「新たなメディア社会」を構築している、という内容だ。


 同構想の「行動アジェンダ」では、21世紀には「家庭とオフィスがネット ワークで結ばれ、住みたい場所に住めるようになる」、「学生は場所、距離、 財産、身体的障害に関係なく最高の学校、教師、授業をうけられる」、「医療 サービスを必要な時に必要な場所で順番をまつまでもなくオンラインで利用で きる」と具体的に述べている。


 米国の「情報スーパーハイウェー構想」に刺激された日本では、次世代通信 網整備計画が急がれ、各種の実験が本格的に動き出している。


 この5月の電気通信審議会答申では、「20世紀のモノ、エネルギーの時代か ら情報・知識の時代へとパラダイムの変化が進みつつあり、21世紀の知的社会 では、情報・知識が社会的・経済的試算として自由に創造、流通、共有される ことが重要である」と前置きして、「高度化された新たな情報通信基盤は、我 国の諸問題を解決し、21世紀の知的社会を構築していくうえで、最も重要な社 会資本となっていく」とマルチメディア時代への移行を明確な指針として打ち 出した。


 また、この答申を支持する形で発表された郵政省の1994年版通信白書では、 情報通信のマルチメディア化が今後の生活、経済、社会の各分野にどのような 変化をもたらすかを分析し、「21世紀の向けた社会目標の実現に貢献する」と、


 その積極的役割を強調。マルチメディア情報通信の本格的な普及のためには、 @高速・大容量の光ファイバー網など情報通信基盤の整備、A安い通信料の低 尺をはじめとする料金体系の見直しB低価格の家庭用端末機器の開発が不可 欠ーと提言している。


 つい最近、この夏から実験が始まる関西文化学術研究都市に出掛けて、光フ ァイバーによる情報通信サービスの各種実験の説明をうけた。同様の実験を早 くからてがけるNTT横須賀実験センターにも足を運んだ。東京都でも平成8年の 都市博覧会の開催にあわせて、臨海副都心で、やはり次世代通信網実験を実施 する。この実験に電子新聞の分野で参画するかどうかーが、源氏あ、私たちの 「電子新聞研究会」の検討の一つに入っている。


 これら一連のマルチメディアの実験や研究は、マルチメディア時代という未 来予測の不確かなてごたえと「乗り遅れまい」とする競争原理によって支えら れているような気がする。


 もう一つ、2010年には、マルチメディアの市場規模は123兆円に膨れ上がり、 240万人の雇用を生み出すーと郵政省の試算がある。が、本当にそうか?と疑問 を抱けば、疑問が疑惑にまで広がり、逆に、楽観的に見れば、「あれもこれも できる」というバラ色の未来が膨らんでくる。


 マルチメディア時代の実現と同様に、その一部分にすぎない電子新聞という 新しいメディアが実現するのか、どうかーその可能性は、それを利用する読者 側の判断によるのだが、商品を作らないで営業はできない。リスクが大きい事 は事実だろう。


 マルチメディア元年。知ってか知らずか、身の回りの多くの人が、いつの間 にか、マルチメディアに心を奪われている。


 ◇            ◇            ◇


≪お知らせ≫
■黒川清氏「ACCJ 2010 Person of the Year」で本日授賞式

※本日は、私は福岡に出張です。このメルマガが配信されることを福岡のハイ アット・リージェンシーで講演の最中と思います。また尊敬する「学術の風」 のコラムを執筆の黒川清さんは、本日、栄誉あるACCJ 2010 Person of the Yearを授賞し、その晴れの授賞式でいつもの軽妙でさわやかなスピートをさ れていることだと思います。


 先生のブログによると、ACCJとは、「American Chamber of Commerce in Japan」 の略で、「日本にある米国商工会議所」です。「なぜ、私が?」と ご謙遜されながら、こんな受賞の言葉を披瀝されています。


 ≪わたしをこんな人間であると認識して選んでくれたACCJに感謝しています。 そして、これを名誉ではなく、私に与えられた1つの任務として、日米ばかり でなく、日本と世界をつなぐことで、ACCJの活動を通して、私が出来ることを していこう、と考えています。例えば、`今までの大学での活動や「Think Tank」強化のほかにも、最近立ち上げた「Impact Japan」 の活動とか、いろ いろ考えられます≫


 詳しくは、以下のURLから。
ACCJ 2010 Person of the Year、なぜわたしが?


 黒川先生は、歯に衣着せぬ物言いで、時代の蒙昧やいたずらな紛争などに厳 しい視線を向けます。その姿勢は、ジャーナリストというか、私心を捨ててひ とりで立ち向かっていくところは現代のドン・キホーテかもしれません。若者 に優しく、常に激励を忘れません。周辺にたくさん、黒川ファンがいます。私 もそのひとりで、黒川ウオッチャーを自認しているのですから、本来なら準備 や写真撮影などに裏方をさせていただきたかった。惜しまれます。


 黒川先生、ACCJ 2010 Person of the Yearの受賞、おめでとうございます。 どこか、先生のお人柄にふさわしい賞のような気がします。かっこいいです。 ご盛会をお祈りします。ご招待ありがとうございます。嬉しく思いました。


 ◇


■石黒憲彦氏の「人づくりのお手伝い」と新政策

【連載】経済産業省商務情報政策局長、石黒憲彦氏の『志本主義のススメ』の 第159回「人づくりのお手伝い」です。石黒さんの部署でさえ、やはり人材育 成や研修、その他、あらゆる手だてを講じて人材育成に専心されていることが 行間からにじみ出ています。省内での研修の様子や、昔の追憶、民間企業のそ れと、海外の企業の実際の取り組みなどを事例として挙げています。また最近 では、こういったグローバル人材の育成、採用・斡旋をビジネスとして捉えて いる会社もあるらしく、「中長期の日本の国際競争力の要諦は人材育成」とす るならば、これらを「新政策」の一つとしてどうお手伝いできるか、その辺の 取り組みにも目配りされていることが伺えます。文章の中で、教える側も教え られる側からの評価の対象になっている下りがあり、「石黒局長は真っ当に仕 事をしている」と書く"猛者"もいるというエピソードなども面白い。どうぞ、 研修を考えていらっしゃる方々にお役に立つと思います。


■渡部俊也氏「沙漠の中のMENA の知財戦略」

【連載】東京大学教授、渡部俊也氏『新興国の知財戦略』は第6回「砂漠に知 財創出拠点が次々と出現するMENA の知財戦略(後編)」です。サウジ経済の 拠点ジッダ。そのイスラムの聖地メッカの中継地の地理的特性を説明しながら、 世界1高い噴水であるキング・ファハド噴水など丹念に街の様子をルポする。 これはやはり現地に足を運ばないと描けないシーンです。その街がいかに近代 化しているか、しかし、車で1時間も走ると、砂漠に。さらにそこから80キロ を行くと、延々と続く塀があるのだそうだ。ここが、ただモノではないのです。 こんな砂漠の真ん中に現出した巨大な施設は、何か。


 2万人を超す学生や研究者、スタップ、それに家族らが暮らす、化学と生命 科学、コンピューターサイエンス、応用物理等の最先端の施設「King Abdullah University of Science and Technology(アッブドーラ国王科学技術,KAUST) なのです。ここがいかに凄いか、その都市計画と産業創生のプログラムの全貌 を描き切る、渡部さんのジャーナリステックな一面を、どうぞ、ご堪能くださ い。これもサウジの新しい一面だと思います。知りませんでした。凄いところ を行っていらっしゃる。しかし、ジッダって、暑そうですね。

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