◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2010/10/06 http://dndi.jp/

老舗の出版社、中堅の広告社:50年の歴史に幕

 ・「工業調査会」と「中央宣興」の破綻事情
 ・「東京CRO」創業者、西山氏の志と挑戦
 ・10周年ビジネスモデル学会詳報の予告
〜速報〜
 ・ノーベル化学賞に北海道大学の鈴木章氏ら2人
〜コラム・連載〜
 ・黒川清氏「湘南藤沢キャンパスで初講義」
 ・橋本正洋氏「社会人博士の時代」
 ・石黒憲彦氏「医療機器産業の振興と医療の情報化」
 ・比嘉照夫氏「東大寺の鏡池がEM技術で甦った!」
 ・山城宗久氏「神宮が呼んでいる」
 ・張輝氏「中国の人口大国から人材強国への転換」
〜一押し情報〜
【一押しトピック】
・経産省が5日「グリーンITアワード2010」発表

DNDメディア局の出口です。白い曼珠沙華が今月に入ってやっと遅れて咲いた。呼び名は、いろいろあって彼岸花が一般的です。花は赤が多い。寺の境内や農家の土手などに群生しているのを見ると、一面燃えているようで不気味です。今頃咲くのは、これも夏の暑さのせいという。花は、家の裏庭でひっそりと咲いて、逆光の中で優雅に淡く輝いていた。花の命は、その姿をとどめてはいません。萎れると、花の先が変色しその毒花の本性をあらわにするから、触っちゃいけないのだという。


曼珠沙華ふしぎは茎のみどりかな     長谷川双魚


ほんとうにそうなのね。すっと伸びる太い緑の茎、土の中の球根が殻を破って芽を出したら、あれよという間にヒュルヒュルと一気に成長しました。写真でお見せしますね。そして曼珠沙華が終わると、今度は、金木犀の橙色の花がふくらんで周辺に甘い香りを漂わせています。数ミリの小さな花がびっしり枝に絡まっていま満開となっています。季節のうれしさは、次から次と眼先を変えてくれるところにあるのかもしれません。


さわやかな秋晴れ、味覚、温泉、旅情…いつもなら、さ〜て、どこに出かけますか、とご挨拶するのですが、しかし、今年はこの夏以降極端に景気が暗転し事情がまるで違って見えます。わが国の中小企業が沈没の危機に瀕しているのです。もはや、これまでのビジネスが通用しなくなっているのではないか。このまま経営を続けてもじり貧状態で、そこから抜け出る妙案はみあたらない。借金は膨らむし、給料も支払えない。いつ破綻の決断を下すか、もうこれ以上経営を続けられない…そんな悲嘆の声が響いてくるようです。私の考えすぎかもしれないが、巷間、絶望の嵐が渦を巻いている。


東京・小伝馬町や馬喰横山町の問屋街にある数少ない老舗の食事処「埼玉家」がこの夏に店を閉めた。地下1階から地上7階の延べ床約240坪の店舗兼オフィスは、次の借り手を待つ。が、その埼玉家から数軒隣の讃岐うどんは、この春に数人の家族経営で開店、埼玉家の店じまいを尻目にいま客が列をなしている。間口1軒余りで10坪に満たない店が繁盛し、てんぷら、幕の内弁当、寿司、うなぎといった日本食をそろえた老舗は、問屋街の商談場所に重宝がられたが、倒れた。なぜ、老舗が潰れたか、まあ、ここはそれを深く掘り下げる場面じゃないので省きます。


この埼玉家の閉店と同じ時期に、科学技術系の専門出版を手掛ける「工業調査会」が8月31日で突如破綻した。部数の落ち込みと広告収入の激減、それにクライアントとなる製造業の海外移転が響いて売上が低迷していた、という。負債総額約6億円、1953年創業の老舗格で、「機械と工具」、「電子材料」、「プラスチック」などの月刊誌に加え、先端技術などを題材にした出版事業で、大学の研究者とモノづくり系の製造業をつないできた。個人的に社長とは面識があり、社員の何人かとも付き合いがありました。残念だが、従業員ら40人余りは路頭に迷うことになります。惜しい出版社を失った、と思います。印刷や紙屋さんの連鎖の影響も心配されています。


最近になると、中堅の広告代理店「中央宣興」の経営が行き詰まり、10月5日付で解散に追い込まれました。負債総額76億円を超えていました。東京商工リサーチの調査によると、1954年の創業で業歴50年を超える老舗の総合広告代理店でした。


セールスプロモーションをはじめテレビ、ラジオなどのCM、新聞、雑誌などの広告代理全般を手掛けていた。大手企業の広告を担当するなど長年の実績で業界中堅として知名度を有し、ピークとなった平成3年2月期には年商376億2100万円をあげていた。また、早くから海外市場への進出に積極的で、中央宣興アジアネットワークとしてアジア各国に現地事務所や現地法人を設立、日系企業の広告、販促活動を展開していた。


しかし、バブル崩壊以降の長期にわたる市況の低迷から企業の広告宣伝費も減少、これに伴い受注環境も悪化し平成22年2月期には年商約202億5800万円にとどまっていた。今期も厳しい業況が続くなか、子会社の中宣メディアの電波事業部門を譲り受けるなど事業再構築に努めていたが奏功せず、ここにきて資金繰りも限界に達し今回の措置となった、という。中央宣興は、先に倒産したサラリーローンの「武富士」の代理店としてTVCMなどで実績をあげていました。武富士の倒産の影響があったのか、どうか。社員は102人。社員のひとりに私の大学の後輩がいて、マスコミ志望だった彼が学生のころ、マスコミ就職のための作文添削をしてあげた。会社は破綻したが、自身が破綻したわけじゃない。これからの奮闘を願わざるを得ません。まあ、人生考えようです。新たなチャンスが訪れるに違いありません。


さて、そんな折も折り、西山利巳氏らが帝人からスピンオフして起業した医薬品や医療機器の開発業務受託機関の東京CROが、株主で大手プラント会社の「日揮」に事実上買収された。東京CROの全株式が譲渡され、9月17日付で新会社「日揮ファーマサービス」を発足させていた。薬事の専門「薬事日報ウエブサイト」によると、経営難が伝えられていた東京CROは5月にCSO小会社の東京メディカルサポート、6月にデータマネージメント・統計解析事業を譲渡しCRO事業の再建を進めていたが、最終的に大株主の日揮に買収される形で決着した、という。西山氏は、帝人時代米国に留学し博士号を取得、帰国してから帝人の医薬分野の社内ベンチャーに携わり成果を挙げました。大学発バイオベンチャー協会設立に関しては、LTTバイオファーマ創業者で元参議院議員、初代会長の故・水島裕氏の番頭格で裏方に徹し、日本メディカルライター協会の設立など専門分野を多くの人に分かりやすく伝えるライターの存在にも目配りし、常に「科学技術創造立国」に軸足を置きながら、ライフサイエンス・ベンチャーの育成に尽力してきた第一人者です。


1996年、55歳からの挑戦でした。医薬品の開発を国際的かつ科学的な共通基準で行うという趣旨で改正された「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(新GCP)の動きをにらんだ新事業の立ち上げで、製薬会社から臨床試験のサポート・モニタリングを受託する体制をいち早く敷いていました。業務は順調に拡大した。わずか10年そこそこでCRO業界NO.3までに成長し、株式上場の準備にも入っていたが、サブプライムやリーマン・ショックでここ数年新興市場が低迷し、そのタイミングを逸した。


西山氏には、これまでの経験を生かし持前のバイタリティーで捲土重来を期待したい。まあ、東京CROが破綻したわけではないし、事業分野は日揮に継承され新たな体制で再スタートを切ったわけですから、企業のあり様としては一つの選択肢だったと思います。


◇ビジネスモデル学会10周年大会の詳報予告
 さて、デフレ脱却に向けた日銀のゼロ金利復活の量的緩和策、政府の年度補正で盛り込む緊急経済対策が相次いで打ち出されます。その即効的なカンフル剤が、どれほど効果があるか。いずれにしても景気の浮揚策は、待ったなしです。雇用を意図するなら、新規創業、ベンチャー創出の流れを止めてはいけません。起業に挑戦する人材が少ない、と言われたのはつい10年前、すでに起業、創業のベンチャーに挑む機運はむしろ高まってきていることを知るべきです。が、世の中が、劇的な変化を遂げています。いま何が、どのように変わろうとしているのか―その辺の具体的な動きを、この10月2日に東京大学・本郷キャンパスで開かれた「ビジネスモデル学会創立10周年記念大会」のプレゼンや議論から浮かび上がらせたいと準備しています。


ほんとうは、本日のメルマガで紹介する予定でした。が、いやはや、iPhonやiPadショック、Evernoteのビジネスモデルを聞くに及んで、基調講演の中村伊地哉氏、ITジャーナリストの林信行氏、紅1点で京都花街をビジネスモデルとしてとらえた西尾久美子さんらのミラクルなプレゼンや、ときめくシリコバレーの今を伝えたEvernoteCEOのPhil Libin氏と外村仁氏らからの刺激的なメッセージは、強烈でした。会長の松島克守教授は闊達で終始上機嫌でしたし、ゲストの小宮山宏・三菱総研理事長で元東京大学総長の基調講演「課題先進国日本のビジネスモデルを考える」は、目から鱗状態でした。


確かに、松島会長が前宣伝でおっしゃっていた「この1日で1年分の勉強が出来る」と指摘していた通りのメニューでした。司会役で実行委員の中谷幸俊氏の絶妙なコメントを交えながら、和気あいあいとした懇親会の模様にも触れるつもりです。ご期待ください。


◇           ◇            ◇


■速報!【ノーベル化学賞に鈴木章・北海道大学名誉教授ら2人の日本人】
 NHKが今夜7時過ぎに速報で流しました。NHKニュースから。
 ≪ことしのノーベル化学賞の受賞者に、2種類の有機物を結合させる化学反応を発見し、医薬品など幅広い分野に貢献した北海道大学名誉教授の鈴木章さんら2人の日本人が選ばれました。日本人がノーベル賞を受賞するのはこれで18人となり、化学賞は、おととしの下村脩さんに続いてあわせて7人となります。鈴木さんは北海道むかわ町の出身で80歳。北海道大学大学院を修了したあと、北海道大学の助教授を経て、昭和38年から2年間、アメリカのパデュー大学で、のちにノーベル化学賞を受賞したハーバート・ブラウン博士から有機合成化学について指導を受けました。帰国したあと、北海道大学で2種類の有機物どうしを結合させる「クロスカップリング反応」に関する研究を重ね、独自の手法で化学反応を起こす方法を発見しました。この方法は「鈴木カップリング」と呼ばれ、ドイツやアメリカの製薬会社がこの手法を用いて血圧降下剤などの医薬品を開発したほか、液晶テレビといった工業製品の分野でも活用されています。クロスカップリング反応は昭和40年代ごろから本格的に研究が始まった分野で、当時は、結合させる2種類の有機物の一方にニッケルなどを使うのが主流でした。これに対し、鈴木さんは、結合には向いていないとされていた「有機ホウ素化合物」を使い、また両者を結合させる仲立ちの役割をする触媒を加えて有機物どうしをより安定的に結びつけることに初めて成功しました。こうした功績が認められて、鈴木さんは平成元年に日本化学会賞を受賞し、平成16年に日本学士院賞を受賞しています。また、アメリカのパデュー大学教授の根岸英一さんも選ばれ、日本人がノーベル賞を受賞するのは、アメリカ国籍を取得している南部陽一郎さんを含め18人となり、化学賞は、おととしの下村脩さんに続いてあわせて7人となります。≫


◇湘南藤沢キャンパスで初講義は、いわば"授業仕分け"
【コラム】黒川清氏の『学術の風』:10月3日最新のコラムは「慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で、Global・Science and Innovationの講義始まる」で、黒川先生がこの秋学期に講義を持つというお話です。素晴らしいことですね、できることなら私も学生に戻りたい。その講義の初回は9月29日、この日は顔見せ的なもので、興味のある学生が出席して、いわば先生の話を事前におさらいして「登録」するかどうか、決めるのだそうだ。この授業は、もうこの授業をウェブで見ることが出来ます。


以下は、先生の所感です。
 ≪参加するのは1-4年の学部生ですから、半数以上がBerlinの壁が崩壊し、北京で天安門事件が起こり、日経株価が3.9万円の最高値をつけたバブル経済崩壊前年の1989年以後に生まれた人たちです。幼稚園の頃から日本の経済成長は止まったままなのです。ご両親の年齢からは、この学生さんたちの物心ついていらいの育ってきた時代がどんな社会情勢に囲まれていたのかも、考える必要があります。皆さん、あの「9/11」のときはまだ小学生だったのです。かなりの学生さんが海外生活の経験があるようで、これは楽しみです。何人の学生さんが参加してくれるでしょうか?ちょっと不安です。「授業仕分け」です。これが「Open Education」、「ウェブ時代の教育」の、先生たちにとっては怖いところなのです≫


◇社会人博士の時代、平成20年に5598人(34%超)
【連載】特許庁審査業務部長の橋本正洋氏『イノベーション戦略と知財』の第32回「社会人博士の取り方、実践編その3」です。先月、電通大で2日間にわたった「UNITT」で、橋本さんが名刺交換した理化学研究所の高橋真木子さんの名刺に「工学博士」と刷り込んであるのを見逃さずその辺を取材していました。なんと、東北大学の教授の原山優子さんが指導教官で、社会人博士課程を修了、学位を取得したことが書かれていました。ちょうどその日が卒業式でUNITT出席のため学位記は受け取っていないのだそうです。まあ、これがイントロでした。


内容は、「学位授与後」のエピソードで、NEDOの村田成二理事長や同僚らが祝福してくれたそうです。家族からもお祝いしてもらったというから、さぞ、円満なご家族なのだなあ、と想像してしまいます。ただ、故郷の母上が当初は「いまさら何をやってるの」といぶかっていたらしい。が、「博士になったよ」と報告すると、機械工場を経営していた祖父は若い頃蔵前の工業学校に修行に行ったことがあったはず、工学博士と聞けばきっと喜んだでしょうにねぇ」と褒めてくれたそうです。工学博士の道は、親孝行にも通じるのですね。


内容は、次に「「社会人博士のメリット」、「社会人博士の動向」と続きます。その動向に興味深いデータが示されていました。


≪平成元年に、博士課程に占める社会人学生の入学者の割合は3.9%(社会人入学者288名)であったものが、平成15年には21.8%と大幅に増加し、平成20年には34.3%(5598名)に達しています≫


◇医療機器産業の振興と医療の情報化
【連載】経済産業省商務情報政策局長の石黒憲彦氏『志本主義のススメ』は第151回「医療機器産業の振興と医療の情報化」です。新たな成長戦略を練る立場から、予算要求中の大事な二つの政策の紹介です。


最初は、「課題解決型医療機器の開発・改良に向けた病院・企業間の連携支援事業」です。中小のものづくり技術を生かした実例としてこんな事例を紹介しています。


≪岡野工業(東京都、資本金1千万円、従業員6名)の「痛くない注射針」があります。これは同社が持つ極薄の板をプレス加工しながら丸める「深絞り」という技術を使って、テルモ株式会社と共同で世界一細い先端外径0.2mmの針を作ったものです。外径も内径も先にいくほど細くなる構造によって痛みを和らげる刺しやすい針を実現しました≫


≪ナカシマメディカル株式会社(岡山県、資本金5千万円、従業員153人)は、鋳造、曲面加工、高精度の研磨といったタンカー等のプロペラ製造技術を活かして日本人の体格、生活様式に適した人工関節を作りました≫。


そこで、さらに成功事例を生む必要から、厚生労働省、文部科学省と連携して、医療機関や学会から、具体的な課題とニーズを出してもらい、これに応える開発テーマに技術に覚えのある中小企業に公募する形で1件当たり数千万から1億円の開発補助事業を数十件実施していくことを考えている、という。


新型インフルエンザの診断キットやワクチン専用注射器、移動可能で屋外使用可能な小型人工呼吸器、低温プラズマ滅菌器なんどのアイディアが出てきた、というから楽しみです。大学発ベンチャーにも医療機器に関して、この辺に手を上げられる技術が相当ありますね。


もう一つは、医療の情報化です。「新成長戦略」と内閣総理大臣を本部長とする「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)」による「新たな情報通信技術戦略」において「どこでもMY病院構想」と「シームレスな地域医療連携」を弊省が厚生労働省と連携して推進することとなっている、という。



◇東大寺の鏡池がEM技術で甦った!
◇口蹄疫の防疫措置に尽力と、農水相が比嘉先生に感謝状
【連載】名桜大学教授の比嘉照夫教授の『緊急提言、甦れ!食と健康と地球環境』の第33回は「EM技術による文化財環境の保護」です。


僅か1年余りで、こんなに池が澄んで鏡のようになるものですか!驚きでした。EMで水質改善に効果があった東大寺の鏡池の事例です。19年10月の使用前は、泥沼状態でした。その1年後、鏡池は、まさに水面が周辺の景色をくっきり写して鏡のようです。


≪東大寺の境内は、120Mもの高低差がある傾斜地に位置するため、大雨の毎に土砂の流亡が激しく、場所によっては、樹木の根がむき出しになっている。関係者の話によると、酸性雨の被害が注目され始めた30年くらい前、金銅製の八角灯籠の劣化とともに樹木の勢いが衰え、中門の前にある鏡池の汚染がひどくなり始めたとのことである≫


≪その後、樹木の枯死が目立つようになり、南大門から中門の間の松も著しく衰弱し、松喰い虫対策を含め、様々な対策を行なってきたが、年々劣化の一途をたどってきたとのことである。同時に境内の池の汚染も深刻となり、ヘドロの除去やエアレーション(通気法)等々の効果も上がらず、鏡池とは名ばかりで、薄茶色で悪臭を発し、鹿の糞尿による悪臭や池の汚染も頭痛の種となっていた。4年程前に、東大寺の担当執事であった狭川氏は、奈良市河川課がEM技術によって市内の河川の浄化に取り組んでいることを知り、EMのボランティアの協力を得て長池などでEMの活用を試みたところ、確かな手ごたえがあり、平成19年の12月から東大寺として本格的に取り組むことになったのである≫。


比嘉先生の原稿には、東大寺のEM培養と施設の概要、東大寺のEM活用事例が図表で示されています。詳しくは本文をお読みください。


なお、比嘉先生に山田正彦農林水産大臣から口蹄疫対策で感謝状が贈呈されました。感謝状は9月7日付で、宮崎県で発生した口蹄疫のまん延を防止するため防疫措置の実施に尽力された功績はまことに大なるものでした―とありました。
http://dndi.jp/data/higa-commendation.pdf


◇神宮が呼んでいる
【連載】東京大学産学連携本部副本部長の山城宗久氏の『一隅を照らすの記』は第29回「神宮が呼んでいる」です。


いやあ、その眼で"歴史的瞬間"に立ち会っていたのですね。凄い、凄い。東京6大学野球の一戦、常勝・早稲田が弱小・東大に雪辱負けを喫したのをご記憶ありますか。相手は、ハンケチ王子の斉藤投手でした。その実況は、本文に譲ります。が、祝杯をあげた勝利の女神とのやり取りは、読ませました。


≪その夜、勝利を祝しての乾杯をしながら家内とスポーツ談義をしましたが、彼女の「人間のポテンシャルってそんなに違わないのではないかしら。」という言葉が特に心に残りました。確かにそうなのかもしれません。本人自身の努力と他者からの導きや支えが、人間のポテンシャルを開花させることに大きな影響を与えるのでしょう。野球では無名の高校出身者ばかりながら、プロ入りするような選手を擁するチームに勝ち、試合後は大型バスで引き上げていく他大学と違って、外苑前から地下鉄で帰っていく東大野球部の選手たち、すっかりにわかファンになってしまいました。翌日は早大との2回戦を一人で応援に行き、選抜優勝投手の福井投手からいきなり2点を先制して盛り上がりましたが、前日には無かった守備の乱れと四球連発で逆転負けを喫しました。勝利の女神を同行しなかったのがいけなかったのでしょうか。さあ、残る立教戦と法政戦も神宮へ≫


◇中国の人口大国から人材強国へのモデルチェンジ
【連載】張輝氏の『中国のイノベーション』は第36回「『人口大国』から『人材強国』への戦略」です。


冒頭、私のメルマガで書いたビジネスモデル学会10周年記念大会に触れています。張さんは、運営委員の一人として受付や会場のアテンド、写真撮影と忙しく、それでいてにこやかに活躍されていました。素晴らしい人柄です。 その懇親会で、橋本正洋さんが乾杯のあいさつをされたことなどを紹介していました。


本文は、一橋大学教授で国際派の石倉洋子さんが「世界へ飛躍のチャンスに」という論文を9月30日付の日経の「経済教室」に書かれていたことを紹介し、その3つポイントを解説しながら人材戦略に言及しています。


≪「国内か海外か」、「事業活動を自前でするか、外部の組織と協働するか」、「日本人の正社員か外国人のプロフェッショナルのどちらか」などと「OR」で考える選択ではなく、いかに日本と世界を「AND」で結び付けて、新たな形で事業を展開するか。本当に実力ある外国人を見極める力をつけ、優れた人材を集めよ、という。このように同氏の人材戦略に関わる視点には、私も強く共感を持っている≫と。


そして本題へ。今年6月に1万9000字からなる中国初の「国家中長期人材発展規画綱要」(2010年〜2020年)が発表されたことに言及しています。「人口大国」から「人材強国」へという人材戦略の本格化や、中国における経済発展モデルのチェンジに直結させようとしている、という。


◇             ◇


【一押しトピック】
◇経済産業省が「グリーンITアワード2010」発表
 経済産業省は、5日「グリーンITアワード2010」の受賞者を発表しました。
■経済産業大臣賞:≪〜"IT機器の大幅な省電力に貢献する量子ドットを用いた半導体レーザ/株式会社QDレーザ、富士通株式会社・国立大学法人東京大学"と "グリーンフロント堺におけるITシステムを活用した省エネ/シャープ株式会社、株式会社関電エネルギーソリューション、横河電機株式会社" ≫


■商務情報政策局長賞:≪「シミュレーションとエアフロー改善によるデータセンタ/サーバルームの温熱環境改善と省エネルギーの実現」/株式会社山武 −「ユーザー企業における『グリーン・クラウド・コンピューティング』の実現」/小島プレス工業株式会社≫


グリーンITアワードは、「ITの省エネ」及び「ITによる社会の省エネ」を両輪とする「グリーンIT」の取組みをより一層加速するために、IT機器・ソフトウエア又はそれを活用したサービスやソリューション等を開発・普及させたこと又は利用したことにより、社会におけるエネルギー使用量を削減させた場合等において、当該IT機器等を表彰することにより、エネルギー削減量の評価方法も含むグリーンITの活動を広く社会に浸透させ、環境保護と経済成長が両立する社会の実現に繋げることを目的に20年度から開始されたもの。


「ITの省エネ」部門と「ITによる社会の省エネ」部門に多数の応募が寄せられ、それぞれ5件(経済産業大臣賞1件、商務情報政策局長賞1件、グリーンIT推進協議会長賞1件、審査員特別賞2件)ずつ、計10件を選出した。


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