◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2009/12/09 http://dndi.jp/

朝日の投稿「かたえくぼ」の切れ味

 ・命名は、高田装束の市川三郎氏という説 
 ・『異史明治天皇伝』の中の「時局風刺史」
 ・政権交代による革命は「2回目の敗戦」
 ・「民主秘書」を名乗って潜入ルポ
 ・連載:橋本正洋氏、塩沢文朗氏、山城宗久氏

DNDメディア局の出口です。窓から雲がおおう冬の空が見えます。時間が止 まったように静寂なのに、心持ちせわしない師走です。その雲の白さに雪の匂 いを感じるのは、北国生まれだからでしょうか。ふるさとを離れてもう40年近 くになるというのに、いまだ未練を引きずっているらしい。


 探し物しては師走の書を移す   松本旭
   泣きふして声こそしのべ竹の雪  蕪村

 あれもこれもと思うことが山積みで、どれもこれも一向にはかどらず消化不 良気味です。ご近所の不祝儀のお手伝いや病気の見舞い、家族の介護などに気 を削がれ、やるべきことが次第におろそかになってしまう。これも人生のひと つの節目なのかもしれません。あせらずにひとつひとつ、やれるところからや ればいい、と言いきかせています。


さて、この一年、皆様はどう総括されますか。


流行語大賞2009に、これら政治用語がふさわしいか、どうかは別にして、年 間大賞にやはり「政権交代」、鳩山首相はこの時ばかりは「しょっちゅうあっ ては困りますが…」と軽いジョークを飛ばす余裕も。一斉を風靡した感のある 「事業仕分け」がぎりぎりに滑り込んで、そしてマニフェストの重要なミッシ ョンである「脱官僚」など、新政権のキーワード3つがトップ10入りました。 よく今の世相を反映しているじゃありませんか。


時代の風を読む、それは決してメディアの専売特許じゃないわけで、灯台下 暗しの如く、あまりに取材対象に近いため、前のめりになってその本質を見失 ってしまうこともあります。ほどほどの距離感が大事ということです。


このところずっと感心して見ている新聞のコーナーがあります。朝、新聞配 達のバイクの音がブアーンって近づいて家の前で止まり、その間、ブブブブブ ブッというアイドリングの音が響いて、間もなく「カチッ」というクラッチを 踏む音とともに再び、ブアーンっというエンジン音をふかして去っていく〜。 毎朝早く、その新聞配達のバイク音を待って、バイクが去るや否や、新聞受け に新聞を取りにいくのです。そのお目当ての小さなコーナーは中面の「読者の ページ」にある、『かたえくぼ』という読者からの投稿欄のひとつです。それ は、朝日新聞です。


鳩山政権誕生から100日あまり、その歩みを中心にこの欄に目を向けて、そ の投稿から世相を読んでみましょう。いやあ、何が面白いか、といえば、わず か数行で時代の風を読み切ってしまう、ズバリ本質を突く極め技があり、ひと 言で済ませる省略の妙、そして、ニヤリとさせうるひねくりの切れ味というか、 トンチというか、だじゃれの極意というか、ともかく風刺が効いて面白い。


まず、その一発目!
『連立かき乱す亀井氏』
シズカにして!
―民主党(千曲・かじか):12月7日


秀逸ですね。政治主導というのは、民主主導ということじゃない。三党連立 は対等である!と、鼻息の荒い国民新党の亀井静香代表。菅直人副総理と激し いバトルが展開されたらしいが、「与党の一員として協力してもらいたい」と 諫めるのは、この閣僚の顔ぶれでは、菅さんしかいないのでしょう。勇気ある 発言だと思います。その一方で、鳩山首相は、「3党重視で…」というしかな いのだから、相変わらず煮え切らない。


ちょっと前になりますが、ふたつ続けてどうぞ。
『機密費』
あるのね―妻
言えない―夫 
 (狛江・セッポー):11月10日

『官房機密費』
こりゃこたえられない
 ―官房長官 
  (茅ヶ崎・マーちゃん):11月22日

う〜む。思わず、唸ってしまいますね。使い道を公開する、って言っていな がら、政権取ったら掌を返したように、新政権ではや1億2千万円の官房機密費 をちゃっかり使っていました。使用目的を聞かれて、「答えられない」という のと、領収書のいらない機密費、湯水の如く使えるというのは、「こたえられ ないねぇ」と。こんな解説では、面白みが半減するどころか、しらけてしまい そうで、野暮でした。


凄いのが、次の作品でした。
『教育費』
いつまでも掛かります
―鳩山首相の母
 (昭島・トンガリ)

ふ〜む。鳩山家の月額1500万円に及ぶ総額9億円の子ども手当。弟の鳩山邦 夫元総務相は、贈与税を払うことを表明していましたが、いずれも偽装献金で あり、政治とカネの問題の根の深さを露呈した感があります。笑っては済まさ れないところかもしれません。でも、笑っちゃいました。


鳩山首相にからんでもう一つ。
『友愛外交』
 ここに幸あり!
―首相
 (前橋・少林寺):9月26日

なるほど、でしょう。首相夫人の語学に歌声、そしてなにより笑顔ですね。 友愛外交の内助の功です。これほど頼もしいものはありません、ね。


次は、前原国土交通大臣が頭を悩ませる課題のひとつ、JALの経営再建。
『企業年金減額』
 鶴に恩返しか
  ―OB
(藤沢・かかし):11月26日
さて、公的資金注入の条件となる、企業年金減額は、どうなっていくのでし ょう。OBの抵抗も激しさを増しているようです。JALのマークはその昔、ツル の絵が描かれていました〜この説明もヤボというものでしょうか。


『聖域なき見直し』
 マニフェストも対象に
 ―国民
 (上尾・あの爺):11月20日
 投稿の「あの爺」さんの指摘の通り、マニフェストも見直しが入っており、 中小企業の法人税減額が見送りの公算です。が、見直しするのは、「子ども手 当」だと思うのですが、どうでしょう。本日の新聞は、国債残高600兆円超 すーとあり、今年度の税収見通しだって、当初予算比9兆2000億円減の36兆900 0億円という厳しい状況。そこで国債発行額が53兆5000億円と税収を上回る事 態は、戦後以来63年ぶりだというのだから、こんな瀕死の財政事情をしり目に、 年間5兆円規模の「子ども手当」をやる、という料簡がわからない。いまこの 時期にですよ。円高とデフレに二番底の懸念が広がって来年度の景気や税収の 見込みも見えてこないわけですから、ここは無理しない方がいいのでは…。こ もままでは、「日本が駄目になる」という悲鳴すら聞こえてくるようです。


こんなのも目に留まりました。
『年賀状』
この人は廃止
この人は継続…
 ―仕分け人
(流山・チバラキ):11月30日

 署名のチバラキって、流山という場所が、千葉と茨城の両県に接している、 ということかしら。流山市は、千葉県です。が、近年、つくばエクスプレス (TX)の開業で、都心にも筑波にもグーンと近くなった流山です。街は、建設 ラッシュで活況を呈していました。


『対等な日米関係』
 タイトな関係では?
 ―オバマ大統領
 (鹿嶋・葛)

 普天間基地移転をめぐる政府の対応で、こちらは連立の社民党の揺さぶりで 混迷の度を深めております。福島党首の「重大な決意をしなくてはならない」 との発言は波紋を呼びました。では、どうする、具体的にどこへ、というのが みえてこない。鳩山首相は、連立も大事、日米の公約も大事、沖縄県民の気持 ちも大事と、周辺にいいそぶりをみせてはいるが、もう限界です。岡田外相が 気の毒なくらい日増しに表情が険しくなってきています。手順を踏んで、納得 して進める慎重な岡田さんが、「日米関係は危険な状態」といい、ルース駐日 米国大使は「普天間がこのままなら、日米合意が壊れる」と表明したとされま す。まさにタイトな関係です。いつまでも、八方美人ではだれも相手にしなく なりはしませんか。 


久々に自民党に触れて…。
『日歯、民主に急接近』
 歯ぎしりしている
 ―自民党
 (千曲・かじか):10月21日

 「かじか」さんは、常連なのですね。それにしても、自民は、実力の議員を 使いこなせていないのではないか、と思いますね。石原伸晃氏や石破茂氏のほ か、林芳正氏、茂木敏充氏、後藤田正純氏…。演説がうまい、清廉である。な によりよく勉強されています。若手の論客をどうしてもっと前面に押し出さな いのか、その理由が分かりません。テレビで渡りあうと、その辺の実力がよく 分かります。しかし、いまの体制じゃ、押しつぶされるのでしょうか。この国 難に力を温存しているのは、もったいない気がします。与野党超えて、知恵を 出してもらいたい。


さあて、「かたえくぼ」は、政治ネタばかりじゃありません。
『浮気発覚』
シッポをつかまれた!
 ―タイガー
(長野・野菊):12月6日
ふ〜む。

『天国』
シルクロード経由です
 ―平山郁夫
 (北海道・あのね):12月5日

『失敗後に五輪行事』
 あとの祭り
―東京都
 (千曲・かじか):10月27日
やっぱ、常連なんですね。「かじか」さん。

『F1撤退』
 リタイアです
 ―ブリジストン
 (小田原・小判):11月11日

『我が世の春』
 さくらが最多
 ―賞金女王
 (町田・マグマ)

 女子プロは最終戦までもつれました。最終6アンダーですでにホールアウト していた横峯さくらさんは、念願の賞金女王。「最多」と「さいた」、わかっ ているってさ。女王を目指す、との宣言通りの見事な勝利でした。


そして、本日12月9日の「かたえくぼ」は…。
『賞金王』
もはや王子ではない
 ―石川遼選手
 (鹿嶋・葛)

 男子プロも観客を沸かせてくれました。ひとり、遼君のお手柄です。観客動 員数もウナギ登りで50万人を超えたそうです。弱冠18歳、確かにすでに王者の 雰囲気です。それにしても、よく飛びますね。埼玉県出身で我が家と近い。勉 強は大丈夫なのかしら。こんな息子、娘が欲しいと、ギャラリーから声が飛ん でいるようです。人生なんてゴルフと一緒で上がってナンボ、終わってみない と分かりませんよ。ハイ!


「かたえくぼ」の投稿に、いったいどれくらの数が毎日届くのでしょうか。 朝日の知り合いに聞いて、調べてもらいました。それによると、日に数100を 超える投稿が寄せられている。その中から、ひとつ、朝日の「声」編集部の担 当者4−5人が合議で決めている、という。世の中のスピードが激しいので、ハ ガキを投函して届くまでにネタが古くなったり、事実がひっくり返ったり、と いうこともあるのでしょうか。


その「かたえくぼ」なる風刺のコーナーは、いつごろから始まったか、ご存 じですか。戦後まもなくのことで、作家の飯沢匡さんがその著作『異史明治天 皇伝』(新潮社)で、その辺の経緯に触れています。


「アサヒグラフ」の副編集長だった飯沢さんは、進駐軍の検閲の網の目を潜 って、そのグラフに「玉名集」という風刺文学の欄を見開きで作り、そこに詩 人や戯曲者、パロディストなどを集めて時局風刺を展開する一方、朝日新聞が ジョーク欄「かたえくぼ」を開設するにあたって、門田勲編集局長の命令で、 市川三郎氏を推薦した、と記述していました。


市川さんは、そのコーナーを開設して暫くニュースを題材にサンプルを続け、 読者が要領を覚えたら、一般募集に移すという考えでした。そのため、編集局 内に椅子と机を与えられて約3ケ月ほど、ジョーク作製に従事した、という。


「かたえくぼ」の命名は、市川さんで、その名を提案した場面に立ち会った 飯沢さんは、そこに門田氏、扇谷正造氏もいた、と綴っていました。どうも、 あと後になって、「命名したのは私」と名乗り出る人が複数いたというから、 おかしいですね。


この市川さんという人物、なぜ、この『異史明治天皇伝』に登場するのか、 といえば、この人が宮内庁儀典課とおおいに関係の深い「高田装束店」の総支 配人だったからです。高田装束店といえば、宮廷服の衣冠束帯、十二単などを 謹製する、いわば宮内庁御用達です。市川さんは、とっても不思議な人で、当 時から、時局風刺を投稿するマニアの中ではかなり知られており、「かたえく ぼ」の開設をまかされた後、「サンデー毎日」で「只今笑談中」という戯文を 10年以上連載していました。その語り口が江戸商人の粋人ぶりを思わせるよう な風情を醸し出していた、という。


実は、この『異史明治天皇伝』は、親しくさせていただいている「吉田茂国 際基金」の監事の北澤仁氏から送っていただきました。人に歴史あり、新聞の コラムとて、それを提案した人や育てた人の思いが詰まっているにちがいあり ません。この「かたえくぼ」の投稿から60年に及ぶ歴史の変遷を眺めみても、 面白いかもしれません。


考えてみれば、政権交代の前と後、その日を境にドラスチックな変化が起こ りました。わが国の政治が様変わりし始めています。旧政権下の"既得権益"に メスが入り、独法絡みの大半がその存在すら否定され、独法経由という理屈で 科学技術予算も産学連携事業もバッタバッタとなぎ倒されました。まるで天地 がひっくりかえるような騒ぎです。


いやあ、この仕分け作業を国民の7割近くが支持するのですから、テレビで 見た多くの人は、水戸黄門の印籠のように映ったに違いありません。事業仕分 け人が「廃止」と通告する度に溜飲をさげ、さぞ日頃のうっ憤を晴らしたこと でしょう。


政権交代の余波。期待と不安、そして絶頂とどん底などが激しく交錯し、そ の嵐が、新政権誕生から100日過ぎた今も列島に吹き荒れているように感じら れます。事務次官会議の廃止、続いて、事務次官の職制そのものにも牙を向け 始めています。鳩山さんがいみじくも、「無血の平成維新」であると表現され たように、ひょっとしてこれは明治維新に次ぐ「政治革命」であり、第2次世 界大戦後の激変に次ぐ、「第2の敗戦」と受け止めた方が正確かも知れません。


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■「秘書」を名乗って潜入取材の官僚潰しのジャーナリスト
 しかし、悲しいですね。世間がやんやの喝采を送っている仕分け会場の陰で、 理工系大学修士2年の25歳の男性は、傍聴をしていて愕然とした、と今週のア エラの「ニッポン科学、滅亡の道」で紹介していました。日本学術振興会が博 士課程の学生らに月額20万円程度を給付している「特別研究員事業」がヤリ玉 にあげられ、仕分け人から「縮減」の裁定が下ったからでした。
 この特別研究員は、「優秀な博士課程の学生が経済的不安なく研究に専念し、 能力を向上できる」ようにするために、大学院生の4割が生活費相当の支援を 受けている米国にならって1985年に創設された制度です。
 その仕分け人は、「生活保護のようなシステムはやめるべき。本人にとって も不幸だ」と発言した。その言葉を聞いた男性は、体から力が抜けるほどショ ックを受けたという。
 事業仕分けという手法は、それなりの評価はしなくてはなりません。事業の 趣旨や効果を第3者の目で、きちっとヒヤリングをしその必要性をチェックす ることは正しい。それは極めて斬新ですね。が、仕分け人の資質や見識をどう 担保するか、問題は、そこですね。
 これはその悪しき一例かもしれません。前回のメルマガで指摘した官僚潰し の急先鋒のジャーナリスト、若林亜紀さんが、仕分け人で民主・参院議員の尾 立源幸氏から10月下旬に電話で、「雇用能力開発機構を潰すから、手伝ってく れ」と言われたというテレビ発言を紹介しました。
 問題は、11月5日に行政刷新会議第2WGの尾立氏と、代議士の菊田真紀子氏が 神奈川県相模原市にある職業能力開発総合大学を視察した際に起こっていたの です。
 尾立氏らは、職業大学4階の会議室で、職業大学関係者からのヒヤリングを 行いました。尾立氏ら一行は、菊田代議士、内閣府参事官、それに秘書のI氏 の計4人に、なぜか、そこに若林さんが参加していたのです。若林さんは、尾 立氏から「秘書」と紹介されていました。会議は、マスコミや報道陣をシャッ トアウトした非公開で、午後14時ごろから約2時間にわたり、突っ込んだ質疑 が行われました。そこで若林さんは、尾立氏さんらと一緒に質問をしていたの です。質疑の後、一行は、尾立氏からの申し出に沿って実習場などの視察を行 い、そこに若林さんも同行していました。
 若林さんに関する話が、もしこれが事実なら、「秘書」の肩書を詐称して非 公開の場に入って取材をしていたことになります。
 一方、メディア関係者は、シャットアウトされていました。取材ができたの は、この視察の後、管理棟前で、尾立氏、菊田代議士らによるぶら下がり会見 でした。
 若林さんは、この視察などの"取材"で、11月26日号の『週刊文春』に手記を 寄せていました。その記事に「事実誤認が随分と散見されている」と関係者は 指摘しています。
 百歩譲って、その突撃取材の意気込みやよし、としましょう。しかし、尾立 氏が、職業大学の関係者に若林さんを「秘書」と偽って同席させたとなれば、 これは、政治家としての見識が疑われます。雇用能力開発機構を潰す、と言っ て若林さんを誘い、秘書を装って視察や質疑の場に同席させて、そして週刊誌 の取材に協力する―という一連のやり方は、フェアじゃないですね。

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【連載】は、橋本正洋氏の『イノベーション戦略と知財』の第9回「イノベー ションの共通基盤、サイエンス・コモンズ」(その1)。これは奥の深い、し かもとても大事な概念ですので、どうぞ、心してお読みください。
 きっかけは、黒川清先生のお声かけで、CREATIVE COMMONSのCEO、Mr.Joichi Itoと SCIENCE COMMMONSの方とお話しするお誘いがあったことですーと橋本 さん。
 主題は、その「サイエンス・コモンズ」で、科学技術論文やデータなど、科 学を目的とした情報に関して、従来の知財権、特に著作権に基づいて囲い込み ばかりを強調するアプローチは適切ではなく、共有化を促進して科学技術、さ らにはイノベーションを推進すべき(そのために、ライセンスその他の必要な ツールを最大限活用すべき)、という考えの下に提唱されているものです、と いう。詳しくは、どうぞ、続きを本文でお読みください。
 私の頭の中では、このCREATIVE COMMONSを日本語に訳すとすれば、どんな言 葉が適切か、しばし、考えあぐねてしまいました。新しい概念の普及には、そ れなりの造語の誕生が期待されます。

【連載】は、塩沢文朗さんの『原点回帰の旅』第59回目「続々「90年比25%削 減」、そして『事業仕分け』」です。厳しい指摘をされながら、その根拠を明 快に示してくださるところが、塩澤さんの真骨頂というところでしょうか。
 今回はテーマが複数含まれています。ひとつは、『温室効果ガスの「90年比 25%削減」の家計への影響の試算作業』に見られる誤謬、科学的な分析が政治 圧力で捻じ曲げられる懸念を伝えています。もうひとつは、COP15の対応です。 「国民負担、具体的な方策が何も示されていない」として、これでは外交交渉 にならないと指摘しています。
 次に「Climate gate事件」。IPCCの報告書のとりまとめにあたった研究者が、 20世紀初頭からの気温上昇カーブを推定する際にデータを恣意的に選択したり、 修正係数を掛けたりして、地球温暖化を誇張したとの疑惑だという。
 そして、「事業仕分け」。冒頭、「『文部科学省が地域活性化策をする必要 はない』という指摘もありました。大学のミッションは、教育、研究だけでな く、研究成果の社会還元にもあることをご存知ないのでしょうか(国立大学法 人法第22条)。特に地域の大学では、大学の研究能力、成果を活用して地域の 活性化に貢献することは、その重要な役割ではないでしょうか」と切り出し、 そして、こう言い切っていらっしゃいます。
 その一部を紹介します。
 これまで、政策の企画立案が役人だけの論理や視点で行われてきたことの弊 害を廃し、国民の目線に立った政策に変えていく上で、今回の「仕分け」は意 義があったと思います。そして、確かに国の予算に無駄がないわけではありま せん。私も、予算に削減の余地はかなりあると思います。しかし、上述のよう に「仕分け」理由を冷静に見てみると、納得感が得られないことも事実です。 さらに、こんな議論で「廃止」と判定された事業の担当者や関係者の方々の口 惜しさも、よく理解できます。
 現場には、現場に行ってみないと分からない事情や問題があるものです。事 業のコンセプトなどの説明は聴かぬ。余計な説明には聴く耳をもたぬといった 姿勢は正し、施策の背景や文脈についても知ったうえで、国民の目線に立った 議論をすべきです、と。

【連載】は、山城宗久さんの『一隅を照らすの記』の10回は「交流しましょ う!」。まず、山城さんも「事業仕分け」が導入になって、「事業仕分けでは、 大学と地域との関係が俎上に上がりましたが、"大学が地域の活性化について 取り組む必要がある"ことだけは確かだと思います。大学はその所在地域のコ ミュニティの一員なのであり、また、多くの大学の成り立ちから言って、大学 はそれぞれの所在地域の発展もそのミッションとしており、加えて、大学がそ の有する知を地域の活性化に活用することは当然行われるべき事だと考えま す」と述べております。
 次に、山城さんが所属する産学連携本部でのユニークな制度のひとつ、「テ クノロジー・リエゾン・フェロー」(TLF)を紹介しています。地方自治体か ら1年間、研修生を受け入れ、東京大学教員へのインタビューによる産学連携 提案テーマの発掘等を行う実習を研修費無料で行うというもので、この発掘さ れたテーマは、現在、1800件。この10年で、29の都府県・市・区から、計59名 の方が参加されています。内容は、先日、研修生OBの方々による地域振興研究 会の話です。交流しましょう、の意味がそこで語られていました。 
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