◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2009/09/30 http://dndi.jp/

御意見無用、切り捨て御免のマニフェスト

 ・八面六臂の「マエハラ頑張れ!」の声援
 ・景気暗転し、囁かれる大失業時代の悪夢
 ・ベンチャー経営者からの「覚悟の手紙」
 ・補正予算の見直し、10月2日が期限
 ・山城宗久氏の新「一隅を照らすの記」
 ・服部健一氏の「北朝鮮と鳩山政権」
 ・橋本正洋氏の「UNITT2009ルポ」
 ・比嘉照夫氏の「中東でのEM活用術」

DNDメディア局の出口です。黒煙を巻き上げて走るSLの機関車のように、力 強く、一直線に突き進む。そんな凄まじい勢いの新政権の改革姿勢にすっかり 目を奪われて、ある種の高揚感というか、次は何に大ナタを振るうのか、と、 やや期待をもって連日の報道にくぎ付けです。新聞の声の欄に茨城県在住の71 歳のご婦人が、「政治が身近になり毎日わくわくの連続で、政治から目が離せ ない」と、私と同じ気持ちを投稿(28日付、朝日)していました。そういう風 に感じている人が多いということですね。この際、戦後から続いた保守政権下 の淀んだ澱を一掃し、次世代のために風通しのよい政治を、という期待の現れ かもしれません。


ご婦人の指摘の通り、新聞メディアは「政権交代関連ニュース」で溢れ返っ ています。凄い記事の量ですから、項目別に筋道を整理しておかないと、わか らなくなってしまいます。国民からの命令書だからと、マニフェスト通りやる のか、やらないのか、少しやるけど全部じゃないとか、「大臣の私が決める」 とか、いくらか曲折があって、それでどうなっちゃうのでしょうか。


ちょっと、目をそらすと、たちまち見失ってしまいそうです。夫婦が別々の 姓を名乗る選択的別姓を導入する、と言うし、子供の名前はどっち?借金返済 を猶予するモラトリアムという措置の行方も微妙でテレビのコメンテーターや 閣僚仲間からは不評をかっているが、街中の評判はすこぶる、よい。また、辞 令をひっくり返して、血祭り状態の独法の幹部ポストを公募にする、というの も官僚らの怨念が渦巻いていそうで、後味が悪そう。


まあ、いくつかの法案が提出されて、臨時国会で審議されないとはじまらな いものもあるでしょう。その対立軸となる野党といえば、せっかくの景気回復 の施策もバラバラにされ、さっぱり影の薄い存在になってしまいました。与党 の閣僚がこぞってアラカンなのだから、自民はアラフォで勝負しなきゃ、と思 うのですが。そちらもあちらもアラカン、恐怖のネズミ年生まれ。下野すると、 もう秋の風が吹いて、こんなに寂しくなってしまうものなのですね。下野して も、夢は枯れ野をかけめぐる、くらいであって欲しい。野党時代の民主の若手 の勢いを思い出してほしいものです。


これほどの激変は、きっと終戦直後以来、メディアにとって初めての出来事 かもしれません。記者ならきっと武者震いを堪えて機関銃のように、ペンを走 らせていることでしょう。新しい歴史を記録しているわけですから。


さて、新総理の鳩山由紀夫さん夫妻の外交デビューは、華やかで英語のス ピーチもまずまずでした。人の痛みをわが痛みと感じる、という友愛精神、そ れに訪問先で見せた笑顔の幸さんの即興の歌声は、共感を得られていました。 お二人の運命の出会いは、この晴れ舞台のためにあったのではないか、と羨む ほどです。名門、スタンフォード大学に留学経験のある理系の元学者で、スタ イリストの鳩山さん、各国の要人と並んで少しも見劣りはしませんでした。


舞台に立つ人物のstyleによって、こんなにも日本の評価が変わるものなの でしょうか。強いリーダーシップを感じさせてくれました。オバマ大統領のメ ッセージじゃありませんが、All this we can do, all this we will doとい うことで、それは日本の私たち一人ひとりの努力が求められることを意識せず にはいられません。


よみうり時事川柳で「マエハラがガンバレの声を待っている」という句が秀 作に選ばれていました。新閣僚の中で、逆風の中を踏みこんでいるのは、就任 早々から八面六臂の活躍の前原国土建設相でした。八ッ場ダムの住民や、地元 の県知事から「独裁者」と非難されても、そのダム建設中止の決定にぶれはみ られませんでした。


川柳は、オリンピック水泳200m平泳ぎで日本人初の金メダルを取った前畑秀 子さんをなぞっているのはご承知の通りです。うまいことを言うものです。 「マエハタ頑張れ」と絶叫したNHKのアナウンサーの実況は、いまなお伝説的 なのですから、それと同じくらい、いま全国から「マエハラ頑張れ」の声がわ き上がっているのではないか、と思います。


八ッ場ダムなど列島の山間部に張り付く143のダム建設工事計画の見直しに 着手するという。143もあったのですね。数も金額も、その計画当初の額と、 その後の数字が、10倍以上というのも驚きでした。何をやっているのだか。ダ ム建設の名を借りた建設業者へのバラマキ支援なのでしょう。また、経営再建 中のJALに間髪を入れず企業再生の専門チームを差し向けたと思えば、事故調 査委の情報漏洩問題が発覚したJR西日本幹部には「言語道断」と一喝し、高速 道路計画を促進する"国幹会議"の廃止を明言するなど、矢継ぎ早に案件を次々 と処理していくのです。いま一番働き者の大臣ではないか、その目まぐるしさ といったらない。この10日余りで、数年分の仕事をしたのではないでしょうか。 それにしても、いつも変わらぬ、あのマエハラさんの涼しい顔は、いったいな んなのでしょう。


少々意地悪をいえば、この一連の新政権のマニフェスト改革に、それでもな お、どこか、ほんの少しの胸騒ぎというか、一抹の不安がよぎるのです。


大胆な方針を定めた後の、荒療治を公的責任が問われない一部に丸投げして いるからなのか、あまりに劇的なので"強権発動"のイメージがついて回るから か、また、この改革を推し進めていった先のグランドデザインが、ぼんやりし か見えてこないからか。この先、本当に増税なしで、うまくやれるのだろうか。


「税金の無駄」、「官僚の天下り根絶」、「ダム建設中止」、それに「補正 予算の凍結」という一連の錦の御旗の下で、いったいどれだけの人が直接影響 を受けるのでしょうか。手続きを踏んで合法的に決定していた第2の勤め先が、 天下りのレッテルを貼られて取り消しに。補正だからという理由で、予定の仕 事が突然、打ち切られる。こんな切り捨て御免、ご意見無用では、困りますね。 マニフェストは、共産党宣言や毛沢東語録じゃないのですから。ダム建設は、 大いに問題ありだけど、マニラ市内を襲った台風の洪水のような被害が、起こ らないことを祈るしかありません。


まあ、しかし、いまを新政権の産みの苦しみと捉え、我慢を強いるのもわか らないわけではない。が、ここにきて、せっかく上向きになった景気回復の ムードが、にわかに暗転し、未曾有の大失業時代に突入しそうな雲行きを心配 するのです。


今、必要なのは、内閣の承認を得た補正予算をそっくり実行し、さらなる追 加の財政出動、という主張には説得力があるように思います。


緊急の経済再生のための補正予算がいきなりストップし、その行方すら見え ていないのですから、不安が募ります。「25%削減の国際公約」、「最低賃金 平均1000円」、「製造業への派遣禁止」など、そのどれをとっても会社経営や 雇用を脅かす材料です。公募事業に応募して、その採用通知を待ちながら徹夜 続きで納入の準備をし、「今年もなんとか正月を迎えられそうだ」と期待して いたモノづくり系の中小企業は、いま事業の執行が凍結されると聞いて、奈落 の底に突き落とされたような、身も心もフリーズ状態にある、というのです。


会社経営をやってみればわかるのですが、新規事業の見通しが突然狂ってし まうと、それを元に戻すのにはそれまでの倍以上の負荷がかかってしまいます。 落胆と疲労感、期待が大きかっただけにそのショックも小さくない。


未曾有の金融危機の影響が、今頃になってさらに追い打ちをかけており、ベ ンチャー企業への投資額が、ほとんどゼロに近いくらい極端に激減している、 という状況下では、もう絶望以外の言葉がみつからないのです。


新しい時代を拓く先端技術開発によるイノベーションとて、未来のホンダや ソニーとなるハイテクベンチャーなどの企業群が、あっちこっちから澎湃を湧 き上がってこなければ、新規事業も雇用も創出されず、わが国は豊かになって いかない、ことを理解していただきたいものです。


ボーナスや給料が減り、リストラの影も忍び寄り…景気悪化による収入減で、 住宅ローンの返済に苦しむ人が増えている。思い出の詰まった我が家を競売な どで失う例も多い―との記述は、今朝の朝日新聞埼玉版に掲載された「水曜 発」の特集の書き出しでした。


地方の現場で、いま、何が起きているか、それを見事にすくいあげた出色の 記事だと思います。新政権の改革は、その方向性は間違いないと信じます。が、 その改革の余波で、職を、仕事を、会社を、あるいは、明日への希望を失いか けている人たちの、かすかな呻き声を拾ってあげてくれませんか。


自公政権のかつての主様も、霞が関の官僚、地方の行政担当、それに新政権 閣僚だって、いま誰ひとりとして困ってはいない、という構図が皮肉なのです。 政権交代による、被害者といえば言葉が悪いが、影響を受けているのは誰なの か。いつも政治やお役所の、理不尽な変節で泣きを見るのは、社会的に高潔に 生きる起業家や、社会的に立場の弱い地方の寡黙な人たちであることを知しめ たい。



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【DND読者からの手紙】
 さて、その女性経営者は、私に、どんな思いでお手紙を綴られたのでしょ う。わが国の将来を技術分野で開拓していこう、という気概があるからこそ、 その無念さがこちらにも伝わってきたのかもしれません。DNDメルマガの古く からの読者という滋賀県在住のハイテクベンチャー経営者からのお手紙を紹介 したいと思います。補正予算の凍結や執行停止などの措置のあおりで、末端の 中小企業が、どんな覚悟でこの難局を乗り越えようとしているか、その現場の 苦悩ぶりが偲ばれます。
 初めまして、株式会社光子発生技術研究所の代表、山田礼子と申します。 貴DND大学発ベンチャー支援情報のメルマガは初めからずっと愛読しており ます。弊社は1997年に立命館大学発ベンチャーとして創業しました。
 超小型の放射光装置を研究・開発・製造しております。どんな内容かは一度 弊社のウェブサイト(www.photon-production.co.jp)をご覧いただけました ら幸いです。
 さて、マガジンが届くと毎回、あれも言いたいこれも聞きたいと思うのです が、お忙しい出口様を最小限に煩わせるには私の筆の力ではなかなか・と今ま で機会がありませんでした。でも民主党の勝利が、思ってもみない結果として こんな零細なベンチャーに影響し始めたとき、一言聞いていただきたいと心か ら願いました。
 出口様、
 昨年の春から投資資金が全く動かなくなって1年半、大方の大学発ベンチ ャーは、この環境下では廃業か、冬眠するしかないことはご存知のとおりです。 弊社がそれでも今日まで頑張ったのは、ひたすら世界初の技術を世に出したい という創業者(立命館大学教授、弊社CTO山田廣成)の思いからです。
 創業から数年、もくもくと頑張って顔を上げれば、世の中、産学協同とか、 もっと大学発ベンチャーをとかの掛け声の渦、弊社も国の資金を頂戴して、よ り小型化と利用別に特化した3台の装置を開発してきました。スタンフォード 大学発ベンチャーが唯一の競合で、そこに負けないように走り続け、ようやく 世界中から注目されて、買い手が現れ始めたのが昨年です。
 そこにあの世界同時不況でした。購入予定者はことごとく予算が取れなくな り、先延ばしになってしまいました。そうなると忽ち資金繰りに窮します。大 手企業すら大変な状況の中で、実は、政府の中小企業向け経済対策(セーフテ ィーネット)は、弊社のようなベンチャー企業には、実績が無い、購入予定の 確証が無い、という理由で及びませんでした。
 そこで、あらゆる手段を講じてきました。親はもとより親戚・友人に出資を 求め、保険を取り崩し、家屋を担保に借り入れをしました。勿論、補助金申請 は適合する全てに精力的に行いました。支援者(新連携、県内の産業協会 等々)は「この会社をつぶしては大きな損失」と色々と手を打ってくれました。
 それらの結果、経産省からものづくり高度化認定を頂き、サポインに採用さ れました。数年かかりの最大手製造企業と自社製品「みらくる」を試用する共 同研究が10月から始まります。また、独立行政法人の研究所が補正予算で「み らくる」の購入を視野に手続きを開始しました。さらに、某道路公団と橋桁の 非破壊検査で共同研究をすることになりました。加えて、EUが「みらくる」導 入のための調査費を5カ国7者で構成するプロジェクトに計2億円強助成し現在 進行中で、EU以外(立命館と弊社)に支出するのは初めて、ということです。
 こういったことで、何とか経営を繋げていける目途がたった矢先に、この度 の補正予算の凍結です。TVでは、独立行政法人の研究所が名指しで補正予算の 見直しを告げられていますし、担当者からもそのように連絡が入りました。こ の案件は現製品の売却ですし、最大手研究所への納入実績は弊社にとっては大 変ありがたいものだったのです。もともと小船のような弊社が、単独で進める には、あまりにもアイデアと技術が壮大すぎるのですが、それにしても荒波に 木の葉、これ以上持ちこたえることが出来なくなりそうです。
 私たちは日本が変わらなければならないと思っておりますし、そのために痛 みを伴うことも承知しています。ですから、この困惑はどこにもぶつけようが 無いのです。ちなみにスタンフォード発のベンチャーは米国のNIHからの補助 金(計8 億円)で賄って来たようですが、今年度も1.5億円の補助金を別の省 からもらっています。
 日頃の経営力不足を棚に上げて、愚痴ととられても仕方ないですが、マガジ ンの読者の中には成功例ではないこのような会社もあり、その声を参考にして いただきたいと思います。最後に、日本の大学発ベンチャー企業の行く末に果 たす貴社の役割は大変大きいと思います。貴社の発展を祈念いたしております。
  以上
【補正予算の見直し、10月2日が期限】
 お読みになって、皆様、いかがでしょうか。光子発生技術研究所の代表の山 田さんの心中をお察しすると、胸が痛みます。どうか、この局面を凌いでいた だきたい、と念じるばかりでございます。このような初めてのメールに、私も 頑張らねば、と逆に山田さんに勇気をいただいた次第です。どうか、この現場 の苦悩を知っていただきたいと思いました。
   現在、鳩山内閣は、麻生内閣が編成した約14兆円に及ぶ09年度の補正予算の 執行の一部を見直し、その中の「無駄」を洗い出す作業が大詰めで、10月2日 の期限まで約2兆円を超える額を確保し、来年度創設の「子ども手当」などの 財源当てる、という考えです。すでに各省からの削減や見直しの具体案が出そ ろいつつあり、「無駄削減」の優先順位をめぐって厳しいチェックが行われて いる、と報道されています。
 どこをどう削るかは、悩ましい作業になっているようで、地方自治体向けを 除く基金事業の10年度以降の執行分は停止し、独立行政法人・国立大学法人向 けの施設整備事業と官庁の施設整備事業、官庁の環境対応車と地デジ対応テレ ビの購入は停止を基本として見直す(朝日新聞)という方針という。
 が、低迷が続く地域経済への悪影響が懸念される場合や、見直しで現場の混 乱が避けられない場合は慎重に対応する、考えです。直嶋正行経済産業相は、 この24日の記者会見で経済産業省予算(1兆3390億円)について、その3割以上 がエコポイントとエコカー補助金の関連、総額4千億円近い4つの基金も中小企 業支援策などで、ご本人は「必要がないというものはないんじゃないか」と述 べていたという。昨日は、つくば市の産創研に出向いて、ここに割り振られて いる補正予算の365億円について、太陽光パネルの性能評価やロボットの安全 性など、その主な必要性の説明を受けた、と、NHKラジオのニュースは、伝え ていました。現場に行って実感されている姿勢は、大事なことと思います。
 また、大学・研究者らの間で最も関心が高いのが、「最先端研究開発支援プ ログラム」に盛り込まれた補正予算の2700億円の扱いです。研究者30人に平均 で90億円ずつ配り、3-5年かけてグローバルなトップ1を目指すという趣旨です。 朝日新聞は28日の社説で、この補正予算を取り上げて、「一部に偏った人選が 行われており、若手の自由な発想を生かした研究を進めてこそ、思いがけない ような画期的な成果が生まれてくる」という趣旨で「視野を広げて見直しを」 と提言していました。科学技術分野やイノベーションの促進には、国家戦略担 当相の菅直人さんが、その道に精通してこともあり、学術関係者からの期待は 少なくありません。研究は促進したいが、財源も取り戻したいーさて、この悩 ましい先端研究支援はどういう結末を迎えるか、関係者らが息を潜めて見守っ ています。
【参考】
 09年度の補正予算の主な省庁別内訳は次の通りです。
合計13兆9255億円
厚生労働省:3兆4151億円
内閣府(警察庁・金融庁を含む):2兆6152億円、国土交通省:2兆3523億円、
文部科学省:1兆3148億円、農林水産省:9925億円、財務省:9790億円、
総務省:3954億円、環境省:1870億円、防衛省:1303億円、法務省:1104億円、
外務省:536億円、その他(国会など)403億円。

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【連載】米国弁護士、服部健一氏の『日米特許最前線』の第49回は、「北朝鮮 と鳩山政権」の、とても日本の外交のあり方に示唆をあたえる秀逸なコラムと いうより、新政権への提言です。北朝鮮のミサイル発射やジャーナリストの逮 捕、それにクリントン元大統領の救出劇を引き合いに出し、ここで見逃しては ならないのは「北朝鮮の頑張りである」と断じ、こう続けているのです。
 「確かに独裁政権であり、いつ戦争になるのかわからない恐怖はあるものの、 一独立国として主張すべきことはアメリカに対してだけでなく、世界を相手に しても行うという姿勢は確かに評価されてよい」と。
 服部さんは、ひるがえって鳩山新内閣が打ち出した、今後はアメリカ離れを してアジアを重視していくという政策について論評を加え、これに対して米国 から非難の声があがったそうです。しかし、と一呼吸置いて、鳩山政権が臆せ ず姿勢を変えずにいると、次にアメリカは大物政治家を日本に派遣して日本と 話しあう、説得するという姿勢に変わってきた、と指摘、「この微妙な変化ほ ど日本にとって重要なものはない」と述べ、アメリカ離れをすることはアメリ カと喧嘩することではなく、独立国として当たり前の主張をすることだけであ る、と、言い切っているのです。なかなか痛快な論調でした。
【連載】特許庁審査業務部長の橋本正洋氏の『イノベーション戦略と知財』の 第4回「ナショナル・イノベーション・システムと知財政策その3」と、第5回 「イノベーション・ネットワークの重要性〜UNITT(産学連携実務者ネット ワーキング2009)に行ってきました」の2本立てです。
 その第4回は、ご退任前の9月14日に麻生太郎首相が特許庁をご視察された時 の模様を写真付きで紹介しています。「総理は、鳩山民主党党首との引き継ぎ 会合の直後でしたが、当方の説明にもにこやかに頷かれて、リラックスされた ご様子でした。特許、意匠、商標の審査現場においでいただき、担当者からそ れぞれの制度の概要、最近の活用事例などをご紹介しました」と。
 5回は、産学連携の各フィールドで実践的な活動を展開している実務者らの ネットワークとして知られているUNITTの紹介です。東大教授の渡部俊也さん や、東大TLO社長の山本貴文さんらが創設したこの研究会も回を重ねて年々充 実している様子が感じられます。全国から500人を超える産学連携の関係者が 集まった、というのですから驚きです。
 橋本さんは、DNDメルマガのようにと、前置きしているから、何かと思いき や、産業再生機構の西山圭太執行役員(前経済産業省産業構造課長)のご講演 の後の質疑の様子や、モデレータの山本社長の差配の巧みさを実況し、参加者 の顔ぶれを細かく紹介しているのでした。
 産業革新機構の英語の読み方が、Innovation Network Corporation of Japa nだそうでUNITTのネットワーキングと重なっているのです。前東京医科歯科大 学の技術移転センター長だった前田裕子さんが転身されたところが、全国イノ ベーション推進機関ネットワークで、いまや「ネットワークばやりなのでしょ うか」と自問し、そこからネットワークモデルの理論に言及されていました。 なかなかうまい導き方です。
 この秋、発売の一橋ビジネスレビューの特集がやはりそれで、ネットワーク 論の著書が多い一橋大学の西口敏宏教授が編纂し、東大の坂田一郎教授、梶川 裕矢特任講師がそこで、地域クラスターの構造解析を論文にして発表している ことも紹介していました。日経記者からの転身の東京農工大学TLO社長の伊藤 伸さん、コマツから青木建設の欧州担当役員をされていた金沢大学のTLOで活 躍の平野武嗣社長、山口大学の知財部門長の佐田洋一教授、慶應義塾大学教授 で重責の知的資産センター所長の羽鳥賢一さん、佐田さんと羽鳥さんは経産省 のOBで、よく知られています。まあ、ともかく、さまざまな橋本人脈に連なる 方々が登場します。中には、東大TLOの素敵な女性陣も、写真付き登場してい ます。
 懐かしい顔ぶれには、DNDで今回から連載を開始された、というか再開とい うか、経産省から東京大学産学連携本部副本部長にご就任の山城宗久さんの名 前も散見されました。山城さんについては、この次の項で紹介します。
【連載】山城宗久さんの『一隅を照らすの記』が、今回からスタートしました。 山城さんは、以前、近畿経済局の地域経済部長当時、DNDで「もっと!関西」 を担当し、近畿エリアのさまざまな地域発信に努められました。それから3年 ぶりの再登場となったわけです。その記念すべき第1回は「"鉄分の日"の巻 き」です。現在、東京大学総合研究博物館で開催の「鉄 137億年の宇宙誌」 という展示の紹介です。いわく、地球は、水の惑星といわれるが実は、鉄の惑 星でもある、と。地球の3分の1が鉄で、鉄が地球の中核にあることで、生命体 が存在できる環境が整っているのだそうだ。展示は、世界最高純度の鉄などの 珍しい陳列品もご覧になれる、という。この企画には、前東大総長の小宮山宏 先生も参画され、小宮山先生のインタビューがビデオで見られる、という。10 月31日まで。場所は、本郷キャンパスの南西の隅っこの、懐徳門が目印のよう です。あんまり馴染みのない懐徳門は、その鉄の門に年代物のレンガの塊が異 様な雰囲気をもたらしています。記述に、この煉瓦の塊は、平成 6年(1994) に総合研究資料館の増築に伴う発掘調査で発見された、旧前田侯爵邸(懐徳 館)西洋館の基礎の一部である、という。
 一隅を照らすの意味からすれば、滑り出し好調というところでしょうか。タ イトルは、山城さんご自身のアイデアで、デザインはDNDのベテランデザイ ナー杉山期さんの作品です。
【連載】比嘉照夫氏の緊急提言『甦れ!食と健康と地球環境』の第14回目「中 東でのEM活用の近況」報告です。安価で、誰でもどこでも使える安全で、安価、 まさにローコスト、ハイクオリティーの環境技術EMの各国での実践的報告です。 今回も驚きの事例が満載でした。前回は、エジプトの砂漠の生産緑地と塩害対 策に効果があるEMの取り組みを紹介しました。
 続いて、カイロ市の生ゴミの有機肥料化、廃水の浄化、生活の快適化などに 役立てられています。カウンターパートは、環境省のDrアーマード局長で、 カイロ大学の日本語学科に比嘉先生の著書「地球を救う大変革」のシリーズを テキストにすることを提案した、のだそうです。
 汚染のひどいカイロ市のマリオット湖、この浄化にこれまで様々な技術が挑 んできたが、まったくの無力だったそうで、このため比嘉先生のEMに期待が寄 せられ、1週間に600トンのEMを培養するシステムを比嘉先生から紹介された環 境省の幹部は、EMを使った浄化に取り組むことになったという。
 どうぞ、世界への挑戦、羽ばたくEM技術の様子を是非、お読みください。



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