◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2009/04/01 http://dndi.jp/

注文住宅の「桧家住宅」の環境技術戦略

 ・創業の黒須新治郎氏から近藤昭氏へ 
 ・省エネ住宅の究極は「魔法瓶style」
 ・太陽光発電ブーム、環境ベンチャーに光
 ・米国特許弁護士、服部さんの「WBCと日本経済」
 ・黒川清先生の「学術の風」に最新コラム
 ・投稿「大磯の旧吉田邸焼失に思う」:北澤仁氏 
 ・国立大学長等人事(文部科学省4月1日付

DNDメディア局の出口です。木々の葉の先々から新しい芽が伸び、庭の土を じっくり眺めれば、名も知らぬ双葉が顔をのぞかせています。つい最近、一輪 咲いて二つほど蕾をもっていたサクラ草の黄色い花は、いっせいに花開いて数 えきれません。隅田川のサクラ並木は、うっすら紅色の霞がかかる5分咲きに なっていました。街は、めっきり春の装いです。


4月1日。さて、新年度がスタートしました。東京・江戸通りぞいの問屋街で は真新しいスーツに身を包んだ新入社員らが、店頭に並んでいました。これか ら入社式があるのでしょうか。春とはいえ、戸外はまだ、ひんやり花冷えが体 を震わせます。


このなんとも清新の風を感じながら、毎年、それなりに決意をし、希望をふ くらませて、今年こそ、なんとしても、とその一歩を刻むのです。いま求めら れるのは、我慢比べか、知恵比べか、あるいは何を優先するか、その価値比べ なのかもしれません。


激化する競争、問われる社会的責任、多様化するニーズ、押し寄せるグロー バル化、不透明な市場環境、イノベーションの波、矢継ぎ早の経済対策や法制 度改革、そして緊迫する政局…いやはや、いまの経済環境や政治動向を読み解 くのは容易じゃありません。モノの見方は、その立場で色がついて回ります。 変転目まぐるしい世相を映して、ひと月前と今とでは、その風景がまったく違 ってみえます。その中でモノ事の本質にどう迫るか、やはり実情を正確に認識 していないと、判断に狂いが生じる恐れがあるということでしょうか。


こんな混迷の時期の社長交代となれば、譲る方も受ける側もしんどいに違い ない。新聞を見ると、ANA、ソニー、パイオニアなど業績不振に伴う、心機一 転の人事刷新が行われ、新任社長は、この日からスタートを切り、新人を迎え る入社式で、どんなメッセージを伝えたのでしょう。業績が順調なところでも 創業者が後継に譲って会長職に退くというケースもあります。本来の引き継ぎ はそう願いたいものです。本日のメルマガは、ある上場企業の社長交代劇に接 する機会を得ましたので、その覚悟の禅譲の一端をご紹介します。


埼玉県加須市に本社を置く注文住宅の「桧家住宅」です。画期的な自由設計 で、なにより価格が見える注文住宅を実現し、名前の通り、檜4寸角にヒバの 土台など丈夫で価値の高い国産材料にこだわり、「100年愛される家づくり」 の軸がぶれないところなどが、この低迷基調の業界にあって躍進を遂げている 理由なのかもしれません。そして、この時世をチャンスと見て、積極的なM&A や北関東エリアを中心に積極経営に乗り出しているのです。資本金3億8990万 円、従業員数455人(昨年12月現在)、2007年名証2部上場、そして昨年秋に創 業20年の節目を迎えたばかりでした。
http://www.hinokiya.jp/


その新年の総決起大会が1月21日午後、住宅関連のパートナー企業や取引先、 銀行、証券の来賓、それに社員らを含め約1300人を一堂に集めて開催されまし た。厳寒の1月。1000人を超えると、会場は熱気に包まれるのですね。私は、 ゲストのひとりとして壇上で挨拶の順番を待つことになるのです。しかし、こ んな大勢の前で話すのはさすがに気が引けました。その時間が近づくにつれて 心臓の高鳴りが激しくなり、徐々に足に震えがきていました。


ご記憶にありますでしょうか。その日の午前2時過ぎには、米国の第44代と なるオバマ氏の大統領就任式がテレビで中継されていました。オバマさんと一 緒の記念日、これもメモリアルな総決起大会になりそうです。そう思っている と、驚きの場面が連続することになるのでした。予感は的中でした。こんな地 味な田舎(失礼!)だって、雇用を守り、社会貢献を意図し、地球環境を保全 しようと、必死に涙ぐましい努力を重ねていることに、少なからず感動を憶え ていたのです。Think locally、Act Globally−地域を念頭に国際的にア クションを起こす、という黒川清先生のメッセージが身にしみてきます。


控室では、もっぱらオバマ新大統領の話題で持ちきりでした。米国大統領就 任式と同じ日のめぐり合わせに、社長の黒須新治郎さんは、うちの総決起大会 の日取りは、もう一年も前の予約だったし、オバマさんというけれど、わが社 の所在地は、加須市の南小浜、南のオバマと呼ぶのです、と上機嫌で洒落て周 辺を笑わせていました。


そして総決起大会は定時に始まりました。式次第に沿って進行し開会の挨拶 に続いて、次に黒須さんが挨拶に立ち、いつも通り冷静に淡々とした口調で話 し始めました。


「来賓、並びにお取引の皆様…」と丁寧にお礼の言葉を伝え、そしていきな り本題に。〜100年に一度の世界同時不況は、社会構造や仕組みを変える一方、 新しい価値感が創造されていることを理解すべきじゃないでしょうか、と述べ て、「いまこそ勇気を出して未知なる道を切り開いていく時です。ピンチをチ ャンスに変える、絶好の時なのです。桧家住宅グループの総力を挙げて、英知 を出し、生き残りをかけた盤石な体制を創っていこうではありませんか」と訴 えていました。


ここまでは社長の決意としてそれほど珍しいことではありません。会場にざ わめきが起こったのは、それから間もなくでした。


〜私、黒須新治郎は平成21年3月31日をもって代表取締役社長を退くことに しました、と勇退宣言をしたのです。続けて、「かねてより、創業20年を節目 の時と決めていました。思えば、融資交渉の重大局面など幾度となく困難を乗 り切り、今日このように健康でこの場に立てるのは、ひとえに励ましご支援し てくださった皆様のお陰と感謝いたします。特に、黒須建設の実兄からは経営 の厳しさを、そして姉からはいたわりの心と優しさを教わりました。そして、 有言実行、注文住宅で1番という夢を描き、ついに一昨年は念願の株式上場を 果たすことができました」と語り、社史「20年の歩み」に触れて、創業当初か ら苦労を共にした同僚や専門業者、それに取引先の友人らの名前をひとりひと り挙げて、「多くの仲間が支えてくれました」と謝辞を伝えていました。少し、 うるうるする場面でした。


そして、誰もが固唾をのんで見守った、その次の言葉が、後継の名前でした。 黒須さんは、「私の後任には、近藤昭氏を指名します」と述べたのです。その 時の肩書は、副社長ですから、いずれはという期待はあったと思います。


昭和42年4月22日生まれの42歳、外資系からの転身で、入社してからは「社 内の近代化を進め、体制づくりに貢献しました」と評価していました。


で、黒須さんの挨拶は、クライマックスに近づいてきました。そこで「新任 の社長に私から贈り物があります」と、言うじゃありませんか。メモリアルな 記念日にふさわしく、ブルガリの時計か、いやいやポルシェの一台ぐらい、ポ ケットマネーでポーンと贈るのだろうか−。その次の言葉を待っていると、な んと、それは…。


「贈り物」は、2年以内に社長として、総売上300億円越え、経常利益10億円 のそれぞれの達成で、さらに「課題」として8年後は総額1000億円の売上、50 億円の経常利益を近藤新社長に託したい。8年後は、近藤さんは50歳になりま すねーと涼しい顔の黒須さん、そう言い切るのになんらためらいを見せません でした。そして、「大変な時期、まったく不透明な経済状況、その時に経営の かじ取りができるというのは、近藤さんは社長として「幸せ者」というのです。 そして、これまたごく普通に「末長く、よろしくお願いします」と会釈し、何 事もなかったかのような表情で席に戻りました。


さあ、大変、有言実行は桧家住宅の矜持です。会場は、一瞬、水を打ったよ うに静まり返り、8年後に1000億円と聞いて、ドワッとどよめきが起きるほど でした。いやあ、なんという贈り物なのでしょう。獅子は、わが子を千尋の谷 に突き落とす、というが、そのたとえ通り、近藤さんは、それを前面に受け止 めることになるのです。


180p近い長身でスリム、細面の顔のそのどこに、そんなパワーがみなぎっ ているのでしょうか。近藤さんは、演台に進んで、開口一番、「後継の指名を 受けました近藤です。世界的大不況のこの時期に、若輩者の私にとりまして大 変重責ではありますが、人生最大のチャンスをいただいたことに感謝し、社員、 関係者、そして株主の皆様のご期待に添うるよう、全力で職務を全うしてまい ります」と力強く決意を述べたのです。まさに魂魄をとどめる、といった全身 から熱意が迸るような見事な宣言でした。誰の目からも、素晴らしい後継が育 ったものだ、と映ったに違いありません。凄い経営者が誕生したものです。


近藤さんは、入社当時を振り返り、ユートピアホーム事業の立ち上げ、桧家 住宅ちばの分社化、株式上場、昨年の建設会社のM&Aと、それに伴う不動産事 業への新規参入などを経て、現在は営業を統括し展示場の企画・設計、広報宣 伝といった営業戦略全般を担当し、不動産子会社の社長を兼務している、とそ の役割を紹介していました。


そこで多くの参加者の心に響いたのが、黒須社長から受けた数々の薫陶の記 憶でした。黒須社長からは、会社経営についての考え方や将来の夢、社長とし ての気構えや言動、そのひとつひとつをたたき込まれてきたのです。


「生き様そのものが経営である社長です。いつも大変な迫力と説得力があり ます。数多くの言葉が私の心に刻まれていますが、真っ先に浮かぶのは…」と 言って、次に紹介した黒須社長の言葉が、以下のものでした。


「会社を潰すことが一番よくないことです。長く続けることが一番大切なん です」


経営者じゃなければ、生まれない真実だと感じ入りました。どんな高邁な経 済哲学を論じても、黒須社長の経営現場から掴んだ哲学には、かなうものはな いような気がしてきます。近藤さんは、この言葉の意味を最初は、当たり前だ と聞き流していたそうです。が、最近は、この言葉の持つ重さを深く受け止め るようになった、と述懐されるのです。


黒須社長を評して、「強さとスピードと緻密さ、そして懐の深さを併せ持つ 偉大な経営者」と云い、成功者となっても決して奢らず偉ぶらない人格者でも ある、と、堂々と会場の隅々まで通る声で云い切っていたのです。このステー ジで見せた社長交代のシーンは、まるで厳粛な儀式のように感じました。


近藤さんは、その行動指針として、夢と感動、そして原価管理の徹底を訴え ていました。そしてもうひとつ、私が感心した点は、近藤さんの次の考え方で した。


100年愛される家づくり―これが私どもの使命、ミッションとしたいと思う、 創業以来の桧家イズム、それが「資産価値の高い家づくり」、そして「さわや か健康100年住宅」を継承し、発展させた言葉だという。


その意味は、住宅は「住む人の命を守る器であり、街の風景そのものであり、 街を形成する重要な要素でもある」という考え方でした。良い家はよい街をつ くり、よい街は良い都市をつくり、そして良い都市は良い国をつくる。住宅の 財産価値が上がれば、国の価値も上がるーという理念も確かですね。


そして、機能、性能、それにデザインにも優れ、世代や住人が変わっても長 く大切に住み続けられる家づくり、このミッションを通じて、地球環境にもや さしい社会的役割の一端を担っていくーと断言していました。具体的には、新 商品の「省エネECO仕様」、それに発泡ウレタンを吹き付ける「アクアフォー ム」なのですね。戸建住宅として最高レベルの断熱気密性能を低コストで実現 しているのです。いやはや、近藤新社長の奮闘が楽しみです。


こう考えると、住宅業界の成長、発展は、大工や左官、瓦職人やサッシ、材 木、外壁内装、電気工事、配管、家電、家具やカーテン、土地、銀行などその すそ野が広いし雇用対策には効果テキメンだし、経済の波及効果も少なくあり ませんね。そして現下のCO2削減など地球温暖化対策の切り札とも言えるかも しれません。とても大事な産業のひとつですね。


テレビや新聞でご活躍の東大の前総長の小宮山宏さん、その自慢のご自宅を 「魔法瓶ハウス」と呼んでいました。ご専門の地球環境工学のお立場から工夫 を凝らした省エネ住宅は、省エネ新エネの技術が散りばめられていました。桧 家住宅も、その「魔法瓶ハウス」に似た仕様の例えば、"魔法瓶style"の技術 を売りにする、環境対策の極めつけ技術を取り込んでいるのです。


現在、桧家住宅が力を注いでいるのが、この2月にグループ化した日本アク ア(中村文隆社長)の断熱技術です。説明を聞くと、これは地球温暖化の原因 になる従来型のフロンガスを使わず、またアレルギーの原因となる有害物質を も発生させない極めて安心な硬いウレタンフォームだという。それを水の力で 発泡させて外壁と内壁のすきまに吹きつける方法です。すっぽり家全体を覆う ので熱のロスがなく、夏涼しく冬温かく、暖冷房費は120uクラスの住宅で年 間10万円お得という試算があります。冬場のトイレや浴室で懸念される脳梗塞 などのヒートショックはこれで解消します。湿気をシャットアウトするため結 露を防止し、建物の耐久性を高めるうえ、工期がわずか2日とあって施工費が 格安で、しかもCo2の排出量を削減し、地球温暖化防止に貢献する、次世代省 エネ基準適合住宅評定(IBEC)取得済みの工法という。少し、宣伝しちゃいま したが、この4月から木造住宅向けに拡販し、リフォームも展開しているよう です。


いやあ、我が家なんか、自慢じゃありませんが、すきま風がピューピューで、 各部屋にエアコンがなきゃ生活できないもんね。この1月に桧家住宅の栃木県 大平町の住宅展示場に足を運んできました。木造2階建てで2階から3階にロフ トが用意されている住宅でしたが、なんとエアコンは1階に1台あるだけでした。 戸外は栃木名物の男体おろしの北風が吹き荒れているのに、家丸ごとまさに魔 法瓶styleでした。


黒須さん率いる桧家住宅との関わりは、昨年12月の埼玉県チャレンジベンチ ャー交流サロンで、その講師に黒須さんをお招きしたのでした。埼玉の加須市 からそれも注文住宅の業界で上場を果たすというのは、いったいどういう成功 の秘策があるのか、ベンチャー支援を生業にする私の興味は、そこに集中し、 執拗に桧家住宅をウオッチすることになるのです。


この住宅・分譲・不動産全般が、世界不況のあおりで上場企業といえども破 綻が相次いでいる業界です。それなのに、埼玉、千葉、茨城、群馬、栃木そし て東京の関東近県を中心に営業を展開し、平成20年12月期も前年比30.5%の増 益で、売上も188億円(前年比14.2%増)と増収増益を確保しました。その飛躍 の背景に何があるか。53ヶ所を数える展示場での接客が、とても大事だという ことはわかります。デベロッパーの住宅会社にありがちな中間マージンを排除 することによって15−20%もリーズナブルで高品質なモデルを構築し、しかも 価格をガラス張りに公開、それにきめ細かい省エネ技術の採用や万全の強度や 耐震性を重視し、「100年愛される家づくり」をモットーにしていることもそ の要因でしょう


しかし、それだけでこの難局を乗り越えられたのでしょうか。戦略のベース は埼玉です。が、このほど新社屋の落成をした「桧家住宅とちぎ」本社の拠点 がある栃木市をはさんで、国道50号線を東西に延伸すると東が茨城県のひたち なか市、西が群馬県の高崎市で、この東西の要所を結んだ点をクロスポイント にして地域戦略を練っているのです。いずれも成績優秀な32歳の若き支店長を 配置し、その陣列で栃木県から北上し、福島県、そして仙台へとその営業エリ アを拡大していく戦略途上です。いかんせん、高品質の割には低価格であるた め、自ずと安い土地という条件が顧客の要望にフィットしているようです。


そして、昨年2月には分譲住宅を手掛ける不動産会社を買収しました。それ も意味あることで、桧家住宅の展示場に足を運ぶお客の7割近くが土地を所有 していないというデータから、必要に迫られるように不動産部門への参入のた め買収を進めるという経緯があるのです。そして、一度ご覧になればお気づき のように住宅展示場の住宅は、敷地の坪数が60坪、中には100坪というのもあ ります。しかし、実際の住宅購入希望者は、30坪前後というのが平均的です。 そこで、より堅実的でリアルな敷地面積の住宅展示も手掛けるように意識した、 というのです。現実的な営業戦略は、いずれも顧客の視点から構築されている ことがわかります。商品提供の上で欠かせないアイディアの宝庫という認識が、 桧家住宅の成長の秘訣でありどこよりも知恵者なのだと思います。また、桧家 住宅の事業戦略には、安・近・短という最近売れ筋のキーワードが散りばめら れている気がしてきます。


さて、4月1日は、2代目近藤さんの社長デビュー初日です。入社式で、どん なメッセージを社員に伝えたのでしょう。これから私も近藤さんから、いろい ろ学ばなくてはなりません。太陽光発電、風力発電などの新エネ省エネ関連の 提携や共同研究など、具体的なアライアンスのテーマがあるのでしょうか、そ の際は、どうぞ、ご関心のある方はお声かけください。


住宅業界は、ご存知の通り、平成17年11月に始まった耐震強度偽装事件の影 響で平成19年6月20日に改正建築基準法が施行されると、建築確認手続きの厳 格化という審査の遅れで現場が混乱、建築確認が大幅に遅れるというダメージ を被りました。新設住宅着工数が06年の128万戸から07年は103戸に激減しまし た。いわゆる、官製不況と呼ばれるものです。それが、見直しによる緩和措置 などで新設住宅着工数は2年ぶりに増加し、109万3千戸(前年比3.1%増)とな り、持家の着工数がそのうち31万8千戸(前年比1.2%)という状況です。


さて、そこで太陽光発電の普及目的で政府は1月から設置の際の補助制度を 復活させました。自治体はまた独自に補助制度を実施するので、その組み合わ せや、電力会社への売電などでも効果が期待できます。今朝の新聞でも、わが 国は太陽光発電ブームなのだそうです。政府は、30年までに現在の40倍の5300 万キロワットまで増やす計画で、発電した電気を電力会社が一定額で買い上げ る「固定価格買い取り制度」導入にも踏み切った(朝日)という。東芝とシ ャープが配電・パネル相互提供でアライアンスを組みました。ホンダも新規参 入してきます。大手の住宅メーカーなどのデータでは、新築住宅の4−5割に太 陽光発電が設置されている、といいますから、政府の狙い通り、太陽光発電の 普及は一気に加速するのでしょう。


また家庭用燃料電池の実用化、商品化の動きも急展開で、「エネルギー」と 「ファーム」(農場)の造語で付けられた「エネファーム」が5月に発売にな ります。これには、ENEOSセルテック、Panasonic、EBARABALLARD、TOSHIBAの4 社が世界に先駆けて販売を開始するものです。どのメーカーも「エネファー ム」という共通の名前で呼んで、「競争」から「共創」といったモデルの転換 がはかられているのです。販売価格は1台300万円から350万円で、年間の光熱 費節約は5−6万円の効果が期待できるという。環境対策と経費の節減は、あら ゆる省エネ技術の組み合わせによって飛躍的に大きなメリットが享受できそう です。また、マイホーム実現を税制面から支援する住宅ローン減税が大幅に拡 充されます。対象は、今年年頭の入居からで、ローンの残高500万円を上限に1 0年間にわたって減税される効果は、住宅業界に追い風になることでしょう。 経済効果は4兆円と試算されています。また年間150棟以上の住宅を手掛ける業 者に義務付けられる省エネ改正法は、桧家住宅など技術面で省エネの"独自技 術"会社にとっては、これまたビジネスチャンスととらえられています。


省エネ新エネに関しては、普段、ご教示いただいている内閣府参事官の安藤 晴彦さんによると、新エネ産業は我が国の中核産業で、その柱は太陽電池、蓄 電池、そして燃料電池だそうです。それを武器に世界に誇る環境大国を実現す る、という意気込みです。また、昨年7月の洞爺湖サミットでお披露目された 小型風力発電の「ゼファー」(伊藤瞭介社長)は注目株で、2005年に創業の大 学発ベンチャー「ALGAN」(社長兼CEO・人羅俊実氏、研究オフィス・京大ベン チャービジネスラボラトリー)は、その名の通りAlGaN(窒化アルミニウム・ガ リウム)などの半導体デバイス装置の開発販売に取り組み、近年は従来のデバ イスより圧倒的な耐久性が保証される干渉フィルター不要の紫外線センサーの 開発に成功しています。また、球状太陽電池など独創的な技術分野を切り開く 「京セミ」(社長・中田仗祐氏)など環境関連のベンチャーがここにきてにわ かに活気づいているという。環境テック関連のベンチャーへの投資は、今後ど んな動きになっていくのか、それはDNDにとってウオッチしなくてはならない 課題の一つと思います。


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【連載】米国特許弁護士、服部健一さんの久々の投稿は、「米国特許最前線」 45回、その番街編「WBCと日本経済」。ご覧になりましたでしょう、熱狂の2連 覇、その観戦記は、米国の解説者や韓国の応援団らの言動やスケッチを交えて の解説です。岩隈投手のお見事なピッチングを絶賛し、内川選手のミラクルキ ャッチに言及し、と縦横無尽の論評は、切れ味抜群です。そして、単なる運動 解説じゃないところが、服部さんらしいところで、それから何を学ぶか、とい ったら、監督差配にみるリーダー論であり、日本の製造業の原点を思い起こさ せるような現場主義の重要性なのです。そして、もっと日本人は誇りを!との メッセージはうれしい限りです。


【コラム】「学術の風」の黒川清先生は、さて、いまはどちらで精力的に活動 されているのでしょう。最新のコラムは、Kauffman財団とUCSD(University o f California San Diego)の共催で京都、そして東京・六本木の政策大学院大 学などで開かれた会議に参加されていたのですね。テーマは"What Industry W ants from Universities"。産学連携で繰り返し議論されている内容です。大 学は産業界にどう応えるのか、まあ、産業界は大学に何を求めるか、というこ とで、大学側のあり方が問われているのでしょうか。米国、英国、日本、カナ ダの4カ国で2日間の会議で、各国から数名ずつ参加し、プログラムの内容もな かなかで、有意義な会でした、と黒川先生。写真は、日本からの参加者の、GR IPS教授の角南篤さん、東北大学大学院教授の原山優子さんら、懐かしいとい うか、親しくさせていただいている方々でした。黒川先生にとっては、「これ は珍しいメンバーですね。皆さん、ここ数年は日本で仕事をしていますが、海 外で教育を受けたりキャリアを積んだ人たちばかりでした」とコメントしてい ました。


【投稿】「大磯の旧吉田邸焼失に思う」:財団法人吉田茂国際基金監事の北澤仁氏から。(一部省略)
 財団・吉田茂国際基金の関係ですが、先般大磯の旧吉田邸焼失事件がありま した。私自身は3月22日朝のニュースで知り、自分の車で大磯の現場に駆け つけました。11時ころでしたので報道陣も多数駆け付けておりました。まだ 煙がくすぶって鎮火には至らず木造でしたので既に大半全焼の様子でした。小 生も吉田さん存命中、父故北澤直吉(筑波出身衆議院議員)と何回もうかがっ たところでしたので残念で言葉もありませんでした。


戦後の数多くの外国首脳との交流写真や貴重な外国からの贈り物が数多くあ り、それらが灰になったかと思うとまさに国民的損失大と感じました。当吉田 邸については吉田さん死後西武鉄道所有になっており一般公開も限定しており ましたが建物の老朽化はいかんともしがたく、また昨今の西武グループ経営問 題より地元神奈川県が来年度以降3年の計画で県民公園として吉田邸を譲り受 け(約28憶円)再整備して歴史的建造物ゾーンとして町おこしの目玉にする 予定でした。松沢神奈川県知事も2年前この件でお会いしたとき「私は吉田さ んの崇拝者ですのでご心配なく」と力強い言葉をいただいていました。当日松 沢知事も鎮火後午後1時ごろ現場に来られ視察後の記者会見で「誠に無念だ。 この件の予算はまさに来年度予算として県議会可決寸前です、残った施設等も あり由緒ある庭園等も生かし、地元とも協議し吉田さんを記念する趣旨で再検 討してゆきたい」と語っておられました。個人の所有物という段階の問題もあ りますが行政側の前広な歴史的建造物の調査、指定、管理の何らかの方策が求 められるのではないかと考えます。松沢知事もこれらの点について問題意識高 く県内に百数十か所の価値ある歴史的建造物があり、今後早急に管理強化を考 えると言ってました。


【学長人事】全国の国公立大学の学長らの4月1日付の人事です。
http://dndi.jp/dndinn/dnd002.html


記憶を記録に!DNDメディア塾
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