◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2008/11/05 http://dndi.jp/

美しい峠の里、奈川に結ぶ夢(前編)

 〜信州・松本市奈川の健光ツーリズムの体験記〜

DNDメディア局の出口です。山の小道に、立ち枯れた草花が淡い色をつけて 風に揺れていました。その黄色い綿のような花の名前って、なんと呼んでいた のでしょうか。すっかり記憶の欠片もない。いやあ、あれこれと繰り返し聞い てメモしたつもりなのだが、ネットで調べても同じような格好の花が並んで、 今度は画像とメモが一致しない。


時が過ぎれば、どんな記憶も徐々に薄れてきます。しかし、まあ、消えるも のなら消えてもいいのではないか、と開き直れば、きっと、記憶の中の芯のよ うなものが残って、逆にそこから何かが浮かび上がってくるのかもしれない。


心静かに目を閉じると、消え残る風景の中から、女優似のあの人、いぶし銀 のこの人、その道一筋の達人らの顔が、次々に、それも鮮明に思い起こされて きます。そして意識を集中すると、そのテキパキとした身のこなし、憂いの表 情や誠実な語り口が、記憶の中で甦って動き始め、そして笑い声すら耳元に響 いてくるから不思議です。


憧れの白樺峠のタカの渡り、それを企画する「信州・松本市奈川の健光ツー リズム」(※1)に行ってきました。その2泊3日のツアーは、自然と己の再発 見の、そして癒しの旅となりました。これはその報告です。
※1http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm081008.html




写真:森の貴婦人、白樺が白粉を塗ったようにやわらかですー白樺峠付近


あれから、そんなに月日が経っていないのに、北アルプスの峰々を仰ぐ信 州・松本の、奈川(ながわ・旧奈川村)は、もうその周辺の装いを一変させて いる、という。晴れた日は、青く映える穂高岳や乗鞍岳の山頂は、この数日の 冷え込みと雨ですっかり冠雪し、やわらかな色調の紅葉と絶妙なコントラスを 描いていることでしょう。早足の冬の木枯らし童子は、誰にも気付かれぬよう に、その深山の色を少しずつ消しつつあるのかもしれません。


さ〜て、10月23日の初日の天候は、日が差してきたかと思うとにわかにパラ パラときて、安定しません。健光ツーリズムの集合場所は、西側の松本駅アル プス口でした。参加者は全部で12人。もう常連さんもいる。迎えのマイクロバ スに乗って、国道158号線を梓川沿いに南下し、一路、岐阜県境の峠の里、奈 川を目指すことになります。いやあ、ワクワクしてきます。


皆さん、ハイカーの装備は万全で、登山靴にリュック、帽子にレインコート 姿、そのスタイルからしてかなりの健脚と見た。しかも、人生経験が豊かなご 婦人が圧倒していました。どんな方たちなのでしょうか、軽く会釈はしたもの の、なんだか最初はやや緊張ムードでした。これから、どういう風にみんなが 気心の通う間柄になっていくか、その後の展開は想像できますか?


運転は、宿泊先のひとつ、「ロッジ木の実」のオーナー、平沢恒昭さんでし た。お迎え役は、松本市商工観光部の新産業連携担当の課長補佐、柏澤由紀一 さん、同係長の堀洋一さんらでした。「ご無沙汰です」とにこやかな柏澤さん、 車内では、マイクを持ってガイドに専念していました。声もよく通って、名調 子でしたね。


松本市は昨年市制100年を迎えました〜そうか、このツアーは松本市の企画 でした。ここはちゃんと聞きましょう。柏澤さんによれば、特徴はおおよそ40 0年の歴史を誇る城下町で、3つの「ガク都」があり、まず重文で日本最古の 旧開智学校に象徴される「学都」、次に3,000メートル級の日本アルプスを擁 する「岳都」、そして鈴木メソッド発祥として知られる音楽の「楽都」だ、と いう。


国宝・松本城が控える松本市は、日本一美しい清潔な街であることは確かだ とおもいます。車中での柏澤さんの解説は、なお続きます。野麦峠の歴史、文 学から、名所旧跡、伝統産業まで、まるで歴史探訪の趣でした。ずっと僕は、 それらを揺れる後部座席で、メモしているんです。ふ〜む、途中、道の駅の 「風穴の里」に立ち寄って一時休憩をとりました。


外に出ると、空は晴れ上がっていました。が、またすぐ陰ってしまう。ここ は、岩肌深く伏流水が走り、それが夏場の食糧の保存に適している、という。 近くを流れる梓川の渓谷は、一面の紅葉で、針葉樹の緑にモミジの赤、ブナの 黄色が山頂から谷川まで一気に下って、ひと山全体を染め上げている。


柏澤さんのガイドは、そして信州のおそば談義に。先の松本市の新蕎麦祭り では、郷土自慢のそばの屋台が23店舗を数え、それぞれ味を競ったそうだ。期 間中3日間でざっと6万食も売りさばいたというから凄い。なかでも一番人気が、 その「奈川そば」でざっと4700食完売というトップの成績を記録した、という。


「奈川そば」は、初めて聞く名前です。信州でさえ、まぼろしのそばといわ れるそうだ。新粉はキロ1800〜2000円と普通のそばの倍の値段だという。 このツアーの最終日には、皆さんが、ご自分で打って、ご賞味できるそば打ち 体験のプログラムも用意されているので、どうぞ、ご期待ください、と柏澤さ ん。いやあ、最終日までおあずけですか〜ゴックンと喉がなる!


そば談義は、時代が下って寛永年間に飛びました。時の藩主、松平直政が松 本藩から転封し、出雲国松江藩の初代藩主に着任した時、松本からそば職人を 一緒に連れていったことで、その後の出雲そばが生まれたのだ、と説明してい ました。う〜む、この夏に訪問した「だんだん」の里、出雲そばの、丸い漆器 に盛った割子の、色の濃いそばのルーツは、へえぇ〜信州だったのですか。


柏澤さんの蘊蓄で、もうたっぷり信州気分。マイクロバスはどんどん山道を 駆け上がっていきます。ダムの湖面に映える紅葉を眺め、そして野麦峠のトン ネルを抜けていくと、川沿いに奈川支所、旧奈川村役場がありました。その川 が、大示川(だいじがわ)という。よーくその字を見てください。「大示」を ぎゅっと押しつぶすと、「奈」の字になる、そこから「奈川」となったといわ れています。ふ〜む。


さて、そこで関西からのご夫婦らマイカー組をピックアップし、新奈川温泉 街から細い山道を分け入った渓谷で、お昼をとるという。その先をさらに北上 すると、タカ見の広場のある、白樺峠らしい。


その奈川の第一歩は、安曇漁協生産組合が運営する、イワナの養殖センター でした。入り口に深紅のモミジ、周辺に目をやれば、黄色、緑、薄茶のグラ デーションの落葉松が色づいている。時折、イワナがパシャッと銀鱗を跳ね上 げる。雲間から光が差してきた。のびのびしていい光景だわ。



写真:周辺は、落葉松の紅葉、黒川の渓流を引き込んだイワナの養殖場


養殖といっても、すぐ脇を流れる黒川の渓流から清流を引き込んでいるか ら、天然と変わらない。その源流は、北アルプスだという。そのひとつの生け 簀に、体長30aほどのイワナが勢いよく泳ぎまわっている。それを塩焼きにし てくれる、という。野外の焼き小屋の囲炉裏に火が入り、串刺しのイワナから 香ばしい臭いが立ち込めてきました。おにぎりに野沢菜が添えられていました。


火の勢いに注意を払っているのは、ここのセンターの責任者で、この道30年 の牛丸繁夫さん。イワナの生き字引でした。年齢を聞くと、75歳、「後期高齢 者ですよ、いやな響きだねぇ」と苦笑い。そして「いつまでやれるかわかりま せん。来年、それもどうだか〜」という。その裏事情は知りえないが、後継者 問題なのかもしれないが、あんまりここで突っ込んで聞けない。


年間出荷量は、14万〜15万尾にもなり、この地域の数少ない産業のひとつで もある。いまの時期は採卵に忙しく、イワナの塩焼きは休日しか営業していな いのだが、本日は、特別でした。


こんがり焼けて塩を吹いているのに辛くない。塩加減が絶妙です。川魚特有 の臭みはない。しかも、しっとりとやわらかで味わい深い。う〜む、これは天 然の鯛に近い味だ。それもメダイのように上品だ。そばで、ツアーのご婦人の 一人が「いやあ、いたれりつくせりですね」と嬉しさを素直に言葉にしていま した。ほんと!


すると、牛丸さんが、なにやら含み笑いを浮かべて近づいてきました。そし て、「少しだけど、珍しいものを…」って器に盛り付けてくれたのが、イワナ の卵の塩漬けでした。イワナのイクラだ。大根おろしで食べる。うす味で、プ リッと小粒のイクラがはじけると、口の中に甘味がとろけました。いやあ、こ こは冷酒でしょう〜と、ひとり口ごもっていました。



写真:香ばしいイワナの炭火焼と、イクラの珍味が用意された初日の昼食。


う〜む、たまりませんなぁ〜。うま〜い、と声を上げると、名人がこちらを みながら静かに笑っていました。このイクラも旦那さんの手製ですか?と聞く と、「えぇ、まあ、」と照れる。続いて、この空の青さはどうなさったの?と たたみかけると、「えぇ、まあ、ちょっと空に話しておきましたけれど…」と 茶目っ気たっぷりの言葉が返ってきました。なんと洒脱な人なのしょう。美し い自然の中で、こんな贅沢はない。


しかし、ここだってひとたび、大雨が降れば、川が氾濫して濁流が押し寄せ てくる。そうなると生け簀が泥水や雑木で汚れ、大きな被害を招くかもしれま せん。豪雨の夏もドカ雪の冬も、生き物を扱うビジネスは、その一瞬たりとも 気を抜くわけにはいかないのが現実ですね。自然を享受する、その裏返しに、 自然と対峙する覚悟も必要ということでしょうか。教えられますね。


いやあ、満足して囲炉裏の火を眺めていると、それまで細やかな気遣いを見 せていた女性が声を張り上げて、「みなさん、山から情報が入り、峠の空は晴 れて、いまタカが飛んでいるそうで〜す。良かったですね〜」と知らせてくれ ました。


松久美也さん、「ながわ観光協会」(旅館など42施設で構成)の会長で、僕 がふた晩お世話になる「ヒュッテ不思議童子」のオーナーでした。このツアー のコーディネータの手配や受け入れの段取りを細かく調整されていたようです。 いやあ、快活で明瞭、情の機微を知る、京美人でした。


そこからは、松久さんの案内で、タカ渡りのウッオチングに向かうことにな ります。いよいよだ〜。北から南へ越冬するタカの群れに、果たして遭遇でき るだろうか。それを思うと、気持ちが高ぶって、じっとしていられない。


上高地乗鞍スーパー林道を抜けて、登山口の樺池付近まで一気に車で走りま した。そこから歩いて標高1663メートルの白樺峠の山頂を目指しました。その 小道はやや急な坂道でした。松久さんから、よそに目をやる時は歩みを止めて、 そしてみてください。足を踏み外さないように…と繰り返し注意が飛ぶ。右に 左にジグザグに折れながら縦一列にゆっくり、松久さんの歩みに歩調を合わせ ながら、進んでいきました。いやあ、白樺の幹が純白のそれから、ダケカンバ のやや淡いピンクに色を変えてきました。



写真:登山口から落ち葉の小道をゆっくり縦一列になって進むー白樺峠付近


そこはなんという景色なのでしょう。標高1500〜1600メートル付近は、山の 向こうも、近場の木々も、足元の草花も、いずれもパステル画のやさしい色調 の世界でした。サクッサクッと落ち葉を踏むと、その臭いが立ち上ってきそう だ。草花が重なっている。これは自然の生け花のようです。白樺峠は、色彩の 詩人かもしれない。詩を詠み、メロディーを奏で、その瞬間をカンバスに切り 取る、ここにそんな芸術家がいても不思議じゃない趣でした。



写真:天を衝くような白樺の樹林ー逆光で、こんなコントラストに


とっさに、お気に入りのミュージシャン、ツルノリヒロさんのCD「Voyage」 の「新しい出会」(I'll Follow You,Will You Follow Me?)のメロディーが 浮かんできました。気持ちがなごむ、どこまで行っても至福の光景が続いてい ました。


どうぞ、数枚の写真をサイトにアップしましたのでご覧になってください。 とっても癒されるでしょう。


道端に、立ち枯れたドライフラワーが、その最後の力を振り絞って誇らしげ に見えました。松久さんが、この黄色の綿のような花を指さして、マルバタケ ブキと呼びます。フキの葉に似ているでしょう、そしてこっちは、オヤマボク チといって、この葉は繊維質に富んで、たとえば蕎麦のつなぎにもなるのです よーと説明してくれました。どんな野草にも名前がついている。それを、よく 知っていらっしゃる。



写真:道端に黄色い綿毛のドライフラワーは、マルバタケブキだという。


もう30分ほど歩いたでしょうか。いつの間にか、軽々とタカ見の広場に着き ました。いやあ、頂上付近はなだらかで、タカが飛んでくる北東に向かって木 の切り株が並んでいる。そこに腰をかけて見物をする、という。



写真:ついに、タカ見の広場に立つ。いやあ、絶景でした。


空気は澄んで、深呼吸ひとつでリフレッシュするし、空は広く伸びやかで、 眼下に雲が流れていく。しばらく正面にそびえる鉢盛山の稜線を眺めていると、 疲れ目の凝りが少しずつ和らいでくるのがわかる。


そこで松久さんが紹介してくれたのが、中村照男さんでした。その名刺には、 「木登り師」と刷られていました。タカが渡る、毎年9月から10月にかけて毎 日、山に登って、タカの定点観測を仲間と行っている。それに動向調査を実施 している信州大学の調査グループの貴重な協力者でもある。


幼鳥を捕獲し、足輪や発信器を取り付けて、どういうルートで、どこまで飛 んで、どのコースを辿って帰ってくるか―などを調べ挙げているのだ、という。 そのため、高い木の上に登って捕獲用に餌を仕掛けたり、蜂の巣をとったりな どを生業とする、とても器用な人なのだ。


登山口の樺池周辺に車を止めて自炊しながら寝泊まりすることも多い。訪れ る年間約2000人のファンのために、周辺の雑木を伐採し、広場の管理も任され ている、という。



写真:写真を持っているのが達人の中村照男さん(右)、そばに松久美也さん。


中村さんが、「さっきまで飛んできていたのだが…」と言って何気なく目を 松本平方向に向けると、その時でした。「きた、きた、1羽、来ましたね〜」 と指を差して、そして、あれはタカの種類のなかでもノスリというタカです、 という。


ちょうどこちらの目の高さぐらいの位置で、こちらの白樺峠の方向に向かっ てくる。すーっと飛来して、ゆらり、谷間の梓川に沿って南に抜けて行きそう だ。が、宙で静止した瞬間、気流に翼をあずけたまま、大きくゆるやかに旋回 し、そのまま少しずつ上昇していく。それを何度も何度も繰り返し、もう相当 の高いところまで上りつくと、ついにはタカ見の広場の裏側へ回って、その姿 を消していきました。この周辺の気流を捉まえて、それを助走にして一気に遠 くへ飛んで行こう、という習性らしい。この気流のお陰で、タカが群れてくる ようだ。さて、そんな空高く舞い上がるタカの、その視界からはこちらの方は、 どのように見えるのかしら、ね。


このノスリは、他のタカ、例えば、多く群れるサシバと違って、単独か、あ るいはペアーでしか、飛ばないのだそうだ。中村さんは、ご自分で撮影したタ カの実物大の写真を見せながら、その見分け方や特徴を説明してくれました。


ふ〜む。孤独なタカもいるんだ〜と、感心していると、ご一緒していた参加 者のご婦人の一人から、「そうすると今見たのは、なんというタカですか?」 と聞く。ドッと笑いが起こり、楽しげな歓声が山合いに響きました。


しかし、その後、いくら待っても後にも先にもタカ渡りのパフォーマンスは その1羽でした。それでも満足でした。今年は、9月に、日に1000羽近い飛来が あって、年々そのタカ渡りの時期が9月中旬ごろに集中する傾向があり、ここ 数年、見物客は増えているが、肝心のタカ群れの数は減りつつある、という。


そもそも、なぜ、白樺峠なのか。そしてなぜ、中村さんはここにいるのか? という直截的な疑問をぶつけるのは、この私。それはもう17、8年前の事でし た。埼玉からタカの群れを見にきて、信州・安曇野の険しい有明山で道に迷い、 その脱出のため、高い木に登って周辺を伺うと、なんと白樺峠付近にタカ渡り の群れを偶然、発見したのだ。タカ渡りのビューポイントを発見したご本人だ ったのです。いやあ、タカの生態を知悉する、峠の名人でした。


さて、空がやや怪しくなってきました。そしてぐっと冷え込んできました。 帰り路は、別のルートを通って急ぎました。参加者の皆さんは全員、元気に山 を下りました。その雄大な、山のパノラマの風景にとても満足している様子で した。70近い女性も顔を紅潮させていました。お疲れになりませんでしたか、 とお聞きすると、この程度はまったく大丈夫です、と笑顔で返してくれました。


そこから再びバスで下界に降りて、その次は、野麦峠自然学校(五十嵐千夏 夫校長)の五十嵐さんのご案内で、松本カヌー協会の、誰でも作れるカヌー工 房でカヌー製作の説明を受けました。横浜から訪れる親子4人の家族が、春か ら半年かけて制作した、完成間近のカヌーがそこに鎮座していました。指導料、 材料込みで40数万円という。うらやましい。


さて、カヌー工房を出る時は、雨が本格的に降ってきました。よくここまで 持ちこたえたものです。そして、その夕刻は、観察の森などの施設がある「ウ ッディ・もっく」で、健康と栄養学の講座がありました。講師は、福島県のご 出身で松本大学人間健康学部の栄養管理士、水野尚子さん。ここ信州の方言の 「ずくを出す」を例に、健康の秘訣を端的に「こまめに動くこと」だという。 そして、「昔は、人は足から老いるといわれたが、実は人は血管から老いる」 と指摘し、その予防と食生活工夫を分かりやすく講義してくれました。とくに 「そばと健康」の項では、そばには毛細血管を強くする栄養素、ルチンが含ま れている、そこで、そばとごまだれで動脈硬化の予防になる、と具体的に指導 していました。


ふ〜む、水野さんの講義で学んだことを実践しているのが、ガイド役の柏澤 さん、ご自身のこの半年のご体験で、体重は85キロから73キロに減量した、と スリムになったお腹まわりをさすって自慢気でした。夜9時以降の食事はとら ない。毎日の晩酌を週に2回、必ず休肝日にしている、という。


さ〜て、いっぱい動いたから、そして栄養の話をたっぷり聞いたから、お腹 がグーグーなってきました。そして、全員で食事のテーブルにつきました。料 理してくれるのは、なぜか江戸っ子で「ウッディ・もっく」の支配人、「なが わ観光協会」の副会長を務める亘亘さん、「わたり・わたる」と読みます。


つき出しの「茄子のみょうが醤油」に青こしょうがピリッと利いて、そばの 薄焼風は、奈川そばを薄く焼いてねぎ味噌で食す。茶碗蒸しやと土佐豆腐、五 目サラダ、イワナのあんかけ、炊き込みご飯などの、いずれにも地元で採れた 天然のキノコがふんだんに使われていました。美味でしたね。こんなに食べて 大丈夫?なんて言いながら、みんな楽しげでした。


この日最後のイベントは夜の星の観察でした。が、雨で延期となりました。 晴れれば、夜空に満天の星がふりそそぐのだ、という。


ああ、もう眠くなってきました。ここから、宿の「ヒュッテ不思議童子」へ 移動します。外は、漆黒の闇、静寂で雨が降り続いています。さ〜て、明日の 天気はどうでしょうか。そして、どんな達人が待っているのでしょうか。で、 この後は、次回に続けます。  


◇        ◇          ◇


■連載は、経済産業省の石黒憲彦さんの「志本主義のススメ」121回は、「今 般経済対策の意義と効果」の力作です。メディアの「専ら政治的文脈の論評」 に釘を差し、「きちんと評価されてこそ景気対策が心理的にも効果を持つわけ で、財政制約の中で積み上げたせっかくの対策ですから、今回は私なりの注目 点を取り上げ、解説、評価を述べたい」という理路整然とした論文で、政府の 経済政策のひとつひとつに解釈を加え、その経済的効果の見通しを語られてい ました。世評、なんだか選挙対策だの、ばら蒔きだのという批判は批判として 受け止めなければならないが、この種の真っ当な経済批評は、滅多におめにか かれませんでした。こういう玉稿を扱えるのは、編集子として生きがいです。 どうぞ、じっくりお読みください。そして、ご自身の生活や会社経営にとって どうすればよいのかのご参考にしていただければ、筆者冥利に尽きるというも のだと思います。


■黒川清先生の「学術の風」のコラムは、「ワタミの渡邉美樹社長、教育、そ して農業特区」で、渡邉社長の情熱に触れて、カンボジアなどでの教育支援の 活動を絶賛されています。いつも刺激的なメッセージを発信されています。っ て、ちょうど、このメルマガを打っている時に、先生からメールが入りました。 米国大統領に民主党のオバマ氏が選出されたことを受けて、わが国も、内側か らの改革、まさにイノベーションを押し進める必要がある、と強烈なメッセー ジを伝えてくれていました。パリの空港からでした。




記憶を記録に!DNDメディア塾
http://dndi.jp/media/index.html

このコラムへのご意見や、感想は以下のメールアドレスまでご連絡をお願いします。
DND(デジタルニューディール事務局)メルマガ担当 dndmail@dndi.jp