◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2007/10/10 http://dndi.jp/

早筆人の最新NEWS袈裟斬り

DND事務局の出口です。自称、早筆人を気取って、まず古今東西、森羅万象 のNEWSを袈裟斬りよろしく、ざっざっと斜め読みしてみました。やや長編のコラ ムは「韓国近代医学史に刻む佐藤剛蔵氏の足跡を訪ねて(前篇)」でこの後に続き ます。今回は2部構成です。何卒、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。


●ドイツで温暖化対策会議招集
 今朝のNHKニュースはベルリンからの報告がすっごく気になってしょうがない。 日本はカヤの外だったのでしょうか〜。現地特派員のレポートは、ドイツのメル ケル首相の地球温暖化対策の顧問を務める、シェルンフーバー教授が企画した温 暖化対策会議の模様です。ノーベル賞15人を含む、アメリカ、ヨーロッパ、それ にインドから自然科学や経済学の学者50人が参加して開催したシンポジウムでし た。メルケルさんは、京都議定書以降の温暖化対策会議の必要性を説いて、CO2 の排出権取引の国際システムの確立や途上国への配慮などを訴えていた、という。 ノーベル平和賞受賞のケニアの環境保護活動家、マータイさんは日本でもなじみ があって毎日新聞の音頭で「もったいない」運動を展開していましたが、その時 の柔和な表情はなく厳しい表情で、「キリマンジャロやケニアの山の雪が減って、 川が干し上がるような現象が起きている」と訴えていました。日本からどなたか が参加していらっしゃればいいのですが、NHKがフォローしていたのがせめての 救いでした。


お馴染みTBS系列の「みのもんた朝ズバッ!」。みのさん、風邪気味かしら、 声の調子がやや重でした。が、ミャンマーで取材中に銃撃されて死亡した長井健 司さんの両親のインタビューの模様を丁寧に流していました。母、道子さんは目 を伏せながら「あの引きずっている、(長井さんの遺体を)あれをみたらもう人の 扱いじゃない。人間として少し普通の国になってもらいたい」と話していました。 車椅子の父、秀夫さんは、「残念…それだけ、言ってもきかんから、意味ない」 と言葉少なに体を震わせていました。昨日は空路、愛媛県の松山に無言の帰郷で す。長井さんにやすらぎは訪れるのでしょうか。


●青木昌彦さんの「私の履歴書」を楽しみに読んで〜
 さて、日経新聞は終面の文化欄で連載の「私の履歴書」、本日10日で10回目、 筆者は、スタンフォード大学名誉教授で前経済産業研究所長の青木昌彦さんです。 注目度は高いでしょうね、毎朝、おいしいコーヒーを入れて楽しみに読んでいま す。今回は「巣鴨の拘置所」というタイトルで、「独房で読書ざんまい」、「戦 闘デモと一線、気分晴れず」との見出しでした。そんなに優雅だったのでしょう か、弱みを見せないという一種のダンディズム、あるいは、照れというか、洒落 かもしれませんね。まったく想像ですけれど…。


胸にぐっと迫ってきたのは、じっくり読んだという「宇野経済学」の本のこと でも、全学連・ブント幹部の演説でもなく、それは出所後に意外と平静だった両 親の記述であり、その裏にこんなエピソードがあったのですね。


〜事業家で、リベラルな思考の持ち主だった母方の祖父が、「老人の政治を正 すために若者が行動するのはよいことだ」と言って、自分の娘、つまり私の母の 動揺を支えてくれたからだ〜。


う〜む。これは大事なことを教えてくれています。僕もおじいちゃんになった らこんなセリフを吐いてみたいものです。事業家、そしてリベラルといえば、起 業家の生きざまそのものです。赤字だっていいじゃないの、ベンチャーが赤字を 覚悟しなかったら起業なんかやれません。自分で決断して、苦しくたって面白く やっているんだから、赤字だ赤字だって周辺が大騒ぎするのは、なんだか滑稽で す。日本はやっぱり嫉妬が渦巻く島国なのでしょうか。起業家へのリスペクトを 口にしながら、ベンチャーをどんどん隅においやって、それ販路が見えない、人 材がうんぬん、とどのつまり資金繰りがうまくいかない―って連呼するんですね。 少しはいいところを評価したらいい。教授が起業に挑む、経営は難しいが、しか し、何年もやっていると徐々に見えて蓄積されるものが大きい、という。実はこ のキャリアが重要なんです。人の苦しみがわかる、ここが大切なんですね。世間 の風評を気にせず、しっかりやり切る覚悟、そしてどんな場面に遭遇しても恐れ ず怯まず―ですね。


人生で、青木さんの祖父のような存在感が示せたら、世の中、もっと良くなる と思いますね。


●大学発ベンチャー日経調査 黒字経営46.3%の驚き!
   〜一年以内に上場を視野が3.6%〜
 続いて、もうひとつ日経の本日の朝刊は、大学発ベンチャーの日経の調査を3 面と15面に掲載しています。「大学発VB経営厳しく」という見出しを読むと、 1195社に調査票を送った回答が276社(23.1%)で、このうち06年度の経常損益が 赤字と答えたのが151社(54.7%)、05年度の経常赤字が45.4%で単純比較すれば 赤字の割合が約9ポイント上昇し、一社あたりの赤字額も拡大傾向にある、と分 析していました。まあ、05年度と06年度の調査のサンプルが同じだったらそうい うことがいえるかもしれないが、どうでしょうか。あるいは、125社の46.3%が 経常損益で黒字というのはちょっと驚きです。15面の記事中、株式上場の計画に ついては、未上場企業の5割が上場を計画し、一年以内に上場という回答があっ たのは3.6%という、この数字、どう読みますか?


ただ、気になったのは、上場企業の連結の赤字額だけを公表している点でした。 連結赤字の内容、財務諸表をつぶさに読んで、あるいはどこに赤字の原因がある のかを示さないとフェアーじゃない。なぜ赤字なのか、その理由を説明させてあ げなければ、余計な誤解を与えかねませんね。特にバイオベンチャーは研究開発 投資が毎年莫大な額になっているから単純に赤字だから厳しいという評定は、一 部あたっているがベンチャーにはあてはまらないのではないか、と思いますね。


 おしまいは、9日朝日新聞の「探究人」のコラムに(独)科学技術振興機構の理 事長に就任した北澤宏一さん(64)が取り上げられていました。パソコンに向かっ て笑顔を見せる写真も素敵でした。が、そのソフトな印象とは裏腹に、就任記者 会見では周辺をあっと驚かすような大胆発言が飛び出していたらしい。


「すぐにやってみる、という方針でいく。ダメだったら辞めることを潔しとす る」。朝令暮改、この忙しい時代、それは正しい判断でしょう。


 そして、「趣味は若者と論じること」と語り、「理科や科学技術で若者に夢 をもたせたい」という持論を披瀝していました。これからのJST戦略に注目して いきたいものです。北澤理事長とは、少し面識があるのですが、正直、朝日の記 事をみるまで気が付きませんでした。こんなんじゃ、いくら筆が早くてもアンテ ナが低いと役に立ちませんね。猛省。


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