◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2007/04/11 http://dndi.jp/

熱烈歓迎!温家宝首相来日


DND事務局の出口です。熱烈歓迎!というのがふさわしいのでしょうか。中国 の温家宝首相がきょうの午後来日します。さっそく安倍晋三首相との首脳会談、 夜の晩さん会と13日午後の帰国まで、天皇陛下との会見、各党党首らとの会談、 立命館大学の学生との野球にも興じる、というスケジュールをこなし、京都・嵐 山を訪ねて帰国の途につく、という。


桜舞う京都・嵐山。そこには、故周恩来元首相の詩碑があり、温家宝首相はそ こで献花するという。その詩句は、「雨中嵐山」。


 雨中二次遊嵐山,
  両岸蒼松,挟着幾株櫻。
  到尽処突見一山高,
  流出泉水緑如許,繞石照人。
  瀟瀟雨,霧濛濃;
  一線陽光穿雲出,愈見嬌妍。
  人間的万象真理,愈求愈模糊;
  模糊中偶然見着一点光明,
  真愈覚嬌妍。


21歳の中国からの留学生、周恩来が京都・嵐山を訪れて読んだのは1919年4月 だった。「瀟瀟(しょうしょう)たる雨,霧濛濃(もうのう)たり」と続く詩句 には失意に伴う春愁の気配がある―というのは、本日の日経新聞のコラム「春 秋」でした。真理を探究し、揺れ動く現実から一つの光明を見出そうとする、周 青年の若き日の苦悶の姿が想像されます。


「一点光明」。京都から、多事多難の中国の将来を憂いつつ、その指導的立場 を担う覚悟を決めていたのかもしれません。こうした周恩来元首相と同じ旅程を 辿るのは、温家宝首相が、天津の南開中学で周恩来元首相の後輩にあたる、とい う深い縁からなのでしょうか。日中の国交回復前の1968年9月の日中国交正常化提言発表で注目され、その後の訪中以来、周恩来元首相と友誼を結ぶ創価学会の池田大作名誉会長との会談も予定されています。周恩来元首相を偲びながら、どんな会話が弾むのでしょうか。「庶民派総理」と人気の温家宝首相、その信義を尊ぶ、誠実な人柄の一端がそれらの動静から読み取れます。


さて、オフィスの窓から外に目を移すと、神田川に並ぶ、赤や緑の屋形船がひ しめいています。そこを縫うように流れる薄紅の花筏(はないかだ)、絹の衣み たいに浮き沈みしています。いま、美しく春うらら。温家宝首相の来日記念と銘 打って、中国関連新企画を3つ、ご紹介します。


●「イノベーション25戦略会議」緊急提言に中国語版がスタート
 【謹向日本"創新25戦略会議"緊急建議 集中連載、高級論壇】黒川 清
日本内閣特別顧問(科学、技術、創新)。当今世界,"創新(Innovation)"一詞 頻頻登場。在Google上略作検索便会被大量出現的信息所圧倒。〜安倍総理在施政 方針中明確表示了"創新25"(現在〜2025年的以創新促成長的長期戦略)公約,高 市大臣(日本内閣特命担当大臣、部長級)為主管大臣。似乎有点突然,我被任命 為内閣特別顧問,全面負責"創新25戦略会議"的工作〜。


 念のために、これは文字化けではありません。「"創新25戦略会議"緊急建 議」"―内閣特別顧問、黒川清さんが座長の政府の「イノベーション25戦略会 議」へのDND緊急提言の、これはその中国語バージョンです。サービス運用の一 部が本日スタートしました。コンテンツは順次、増やします。これで日本語、英 文、それに中文の3つが整う事になります。


よ〜く、これらの漢字の配列をご覧になってください。括弧内の文中の「創 新」はイノベーションで、戦略は戦略、緊急建議は、緊急提言の意味で文字通り です。「創新」とは、「電脳」と同様、ズバッとその本質を表現していて、切れ 味がいいですね。イノベーションを技術革新って訳すのではそれ自体、意を尽く せませんから「創新」とすればなんだかその語感から、イノベーターが蠢くよう な印象をも伝わってきます。


どうでしょうか。中国語のフォント、「繁体字」か「簡体字」、日本の旧字体 と字体をやや同じくしている「繁体字」を使っています。台湾、香港の人たちも 読むことができます。これは暫定的な対応で、様子を見てソフト購入を急いで、 「簡体字」に移行していく予定ですが、「繁体字」だから、私たちも少しは理解 できませんか。


以下の中文は、その趣旨と意義に触れた(株)技術経営創研の代表で、翻訳の 労を取ってくださった友人の張輝さんの挨拶の書き出し部分です。「在温家宝総 理訪問日本的春暖花開之時…DND"緊急建議"専欄中文版的一部分開始公開於衆。 此挙値得記念,同時要深深地感謝Digital New Deal研究所所長、DND網站総編出 口俊一先生!


デザインも素敵でしょう、力作です。デザイナーは、杉山一期さんです。もう なんといっても20年近くご一緒ですから、気心も知れて、ここ一番という時は、 決まってシンプルに仕上げてくれます。配色や文字のバランス、やっぱ、上手い なあ。


このトップ画像を見て、その張さんは、いいですね、書体は、柔らかな隷書で おしゃれです。DNDのイノベーションへ緊急提言のパーワーを感じさせてくれて います。さすがに、やはりプロの方は違いますね、って絶賛でした。


張さんは、その原稿で僕のことをこんな風に紹介してくれています。


〜出口先生是我結識的日本友人中極富個性的能人之一。他身材高大、声音洪亮有 魅力,処事効率、正義感強。因為是大記者出身,国内外採訪的各種経歴使他那敏 鋭的眼光和繊細的筆風通過毎星期的DND電子週刊感化着近万名各行各業的読者〜。


あんまり褒めると木に登ってしまいます。我流で中文風に感想を述べると、 「之我文章読、褒我少々照、願入穴恥強、世間皆声同、驚毛生心臓、態度顔大…」。ウムッ、少し変(デタラメ)だけれど…。先生というのは、中国で男性の敬称「様」の意味です。


その一方、中文の開設に寄せて、と題した僕の挨拶文で、今度は僕が張さんを 以下のように紹介しました。中文の訳は、張さんです。


〜令人尊敬的張輝博士。我和張先生有縁認識己近5年,交談中時感志同道合。 張先生説:如今在日本有関中国的各種日語信息層出不尽,而在中国有関日本的各 種中文信息還並非豊富,這不利於日中之間真正的相互了解和発展関係。鑑此,今 天的日本正朝何処走去?今天的日本正以何為目標?


 続けて、中文のスタートに際して、連日連夜汗を流してくれた関係者に謝辞を 述べ、DNDの目指す「夢」、「志」そして「仲間」をメッセージとして添えまし た。そうすると、こんな風な訳になります。


〜由張輝先生負責中文的編選、翻譯、注解,Artshop的杉山一期先生負責美工 設計,Digital New Deal研究所的董事出口清志先生負責網站管理来共同制作DND 網站"緊急建議"専欄的中文版。這正和DND所信的"夢"、"雄心"、"朋友"之三足鼎 立之志向完全合拍!


気持ちが通じて、息が会うと、スピーディーに動いて質の良い成果が得られる のでしょうか。2月下旬のたった1回の打ち合わせで、もうこんな日を迎えてしま いました。張さんは、もう4〜5年のお付き合いになるのに、まだ一度も一緒に 食事をしたことがありません。今度は、是非、ですね、張さん。


実は、張さんがメルマガに登場するのは、これで4回目です。その昔、メルマ ガで張さんを取り上げたことがあります。DND人名検索で「張」さんの欄を開い て、最初のNO.57回にご注目してください。2003年11月19日配信のメルマガでし た。タイトルが「がんばれ!張さん」でした。少し紹介します。


●4年前のメルマガ「がんばれ!張さん」追記
 DND事務局の出口です。うれしいメールが届きました。「風邪の方は、もう 大丈夫でしょうか?」との気遣いに続いて、「いつも、メルマガを愛読していま す。お陰さまで、ついに、起業しました。これからが大変、覚悟していきます」 とありました。(中略)。


張輝(ちょう・き)さん42歳。15年前に来日し、立教大学で法学博士を取 得、テーマが「国際的技術ライセンス規制研究―米国・日本・中国の比較を通じ て」。シンクタンクや経営コンサル会社で関連省庁などの調査研究、戦略策定に 携わってきました。それこそ、手前味噌になりますが、メルマガのファンの一人 で、出会いのきっかけは、「近く出版します。ついては、その本に、出口さんの メルマガを引用させてください」とのメールを戴いてからでした。まあ、一度、 お会いしましょう―となった訳です。


著書は「図解・入門 テクノビジネス・ストラテジー」(東京布井出版、25 00円)。本文の後半には、小生のメルマガが「感動・繋ぐ・協創」というタイ トルで3本掲載されています。(中略)「科学を政策に、技術を経営に、知的財 産をビジネスに」を理念に掲げています。設立日は、10月23日日中国交回復 の条約批准25周年の記念日ですから、日本と中国の掛け橋にーとの思いが込め られているようです。やはり、ここでも「志」の一文字が輝きを放っています〜 と、まあこんな具合でした。その時設立した会社が、現在の「技術経営創研」な んです。技術経営(MOT)と創研、イノベーションというイメージですね。それ から4年〜。


なんか、とってもいい出会いでしょう。ネットというツールが、技術やビジネ スのマッチングをプロデュースし、そして、人と人を結ぶ。実は、そこからは、 それぞれの人間性が問われることになるのかもしれませんが、メルマガが縁で張 さんと出会って、このような企画が、温家宝首相来日という絶好のタイミングで スタートできたことは、何より嬉しいことと感じております。


●新連載「中国のイノベーション」開始
 そしてもうひとつ新企画があります。張さん執筆による、新連載がスタートし ました。中国全土を俯瞰しながら現場の動きをリアルに伝える『中国のイノベー ション』です。


〜中国における53の国家ハイテク産業開発ゾーン、40余りの国家大学サイエン スパーク、29の国家ソフトウェア産業基地、135の国家インキュベータ・・・は一体 どういう背景で、何を戦略に、どこまでイノベーションし、どこへ向かっている のか、日中間のどこがなぜどう違うのか、日本にとって参考になる点はないの か・・・日中間の戦略的な互恵関係の具現化に資すれば喜ばしい、と張さんは綴っ ています。困難と思われた勢いのある中国のハイテク産業、大学発ベンチャーな どの全体を俯瞰しながら、足で稼いだ生情報をお届けできると確信いたします。 どうぞ、ご期待ください。さらにもう一つ。


●新企画「日中ネットシンポジウム」で中国ハイテク産業など特集
「中国における技術型ベンチャー及びその成長の道」と題し、「中国ハイテク産 業」を特集した日中テクノビジネスフォーラム主催、NPO日本ビジネスモデル学 会など後援、DND研究所など協力で立ち上がった『第3回日中ネットシンポジウ ム』が完成し、堂々DNDサイトにも一挙公開という運びになりました。これも詳 細を本文でご確認ください。


プログラムには、中国科学技術省火炬高技術産業開発センター副センター長、 張志宏さんの「ハイテク産業の集積からイノベーションの集積へ」が冒頭にあり、 NEDO企画調整部長の橋本正洋さん、前産総研ベンチャー戦略開発センター次長で 東京工業大学大学院特任教授の渡辺孝さん、そして、JSTの中国総合研究セン ター長の馬場錬成さんが「躍進する中国、技術集約型国家への助走が始まっ た!」という興味深い論文を寄せています。そして、現地、北京、上海、武漢、 深センなどからの事例報告もあり、勿論、このシンポジウムの企画・編集責任者 の張さんは、「序言」を書き、僕も事例報告としてメルマガの一端を紹介してい ます。ネットシンポですから、いつでもどこでもご覧になれます。アイディアで すね。


「中国」を題材にした、この3つの特別企画は、実は昨年の暮れから準備して きたものですが、偶然、ここにきて温家宝首相来日というタイミングにセットで きたことはなによりでした。温家宝首相を熱烈歓迎し、そして6年半ぶりとなる 日中首相会談の成功を祈りつつ、中国と日本の大学発ベンチャーの発展、両国の イノベーションの進展に役に立って、より一層の相互理解と信頼醸成が進むこと を念じております。


さて、中文の翻訳をつらつら読みながら、同じ漢字文化圏、そして一衣帯水の 日本と中国の深い関係に思いを巡らせていました。漢字をめぐる両国の結びつき は、ざっと2000年に及び、意識する、しないに拘わらず、発音は違っても使う文 字は、ほぼ一緒、連綿と続く漢字文化の歴史的な背景に「恩返し」の心が潜んで いる、ようです。中国の多くの人に、日本の確かな動向を伝えたい―という張さ んの思いは、それは張さんの故国への「恩返し」なのかもしれません。


※【訂正とお知らせ】
その1:前回のメルマガ「出直し責任メディア・朝日新聞の本気度」中、「職 場は禁煙、原稿はすべてデジタル化、ワードじゃないと処理できない状況になっ ているはずです。そんな中で、」というくだりを、「職場は禁煙、原稿はすべて デジタル化、専用のPCで原稿を打っているはずです。そんな中で、」という風に 差し替えます。


読者から「デジタル化は、当たり前だろうと思いますが、どんな新聞社でも、 『ワードでないと処理できない』ということはないと思います。逆に、そんなま どろっこしいシステムになっていたら、処理できない。10年以上前から、多くの 新聞社では活字が消え、デジタルで入稿するようになっていますが、一分一秒を 争うので、word を添付ファイルでやりとりするようなシステムにはなっていま せん」という指摘を受けました。ご指摘の通りでございます。


その2:はやり、前回のメルマガで、「官僚って、そんなに悪い利権屋なのでし ょうか。じっと声をひそめて悔しい思いをしながら、事の成行きを見守る彼らの、 現場の声も聞いてあげてください。」と指摘しました。


朝日新聞の本日11日付朝刊4面「天下り規制対立激化」の記事を読むと、「省庁の不安、党側へ圧力」、「関心は『実際に機能するか』」という霞が関の「不安の声」を取り上げていました。「我々は抵抗勢力のように言われているが、人材バンクに反対ではない。『実際に機能するようにしてください』という一点に尽きる。その納得が得られていない」というある省庁の人事担当課長の話に触れて、肩たたき幹部の再就職に反発する事態や天下り先での居座りなどの課題を指摘していました。きめ細かな現場取材に敬意を表したいと思います。


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