◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2007/01/17 http://dndi.jp/

グーグル革命の衝撃

〜検索が人生を変える!

DND事務局の出口です。う〜む、知っていましたか?Googleの検索の裏技 のひとつ〜。英語を日本語に訳すときは、「英和 ○○」、日本語を英語に訳す なら、「和英 ○○」とすればいい、との説明があったので、トライしてみまし た。まあ、それを使いこなしている人にとっては、技でも奥義でもなく、ごく一 般的で単なる「検索」なのかもしれませんが、知らない僕にとっては、文字通り、 有難い。すると〜。


「和英 加速」と入力すると、加速acceleration、該当件数は662と表示され て、用語の例が並んでいました。例えば、驚異的加速は、tremendous−、劇的加 速は、dramatic−、社会変革の加速は、accelerated social change、地域協 力の進展の加速は、accelerating pace of regional cooperationという具合で す。


いわば、一般的には、アクセルの意味なんですが、この機能は参考になるし、 文字を目で追うだけでも学習効果があるようです。素晴らしい。


なぜ、加速なのか?といえば、NHK衛星放送での正月番組、The proposal for the future.未来への提言(再放送)で、発明家のレイ・カーツワイルさん (57)は、急速なスピードで進化するテクノロジー、そして猛烈な勢いで革新を遂 げるコンピューター技術が、我々の社会をどう変えていくのか、10年後、何が実 現可能か、それを見極めなければならない、と提言し、未来を切り拓く手がかり としてのキーワードが、その「acceleration」(加速)でした。


 知識の、技術の、進化の、そして逆説的には、知らない世界の、その加速のス ピードを見つめながら、これから起りうる未来の姿を予測しているんですね。


 興味深い具体例をひとつ。ナノテクとバイオが融合した極小ロボットを「ナノ ロボット」と呼び、人体内部を駆け巡る先端医療の研究が米国の大学などで進め られている、という。すでに動物実験が始まっており、20年以内には、血管に注 入して体内に送り、血液の中で薬を放出して病気を治し、老化を防ぐ。そして、 遺伝子エラーを修復し、がん細胞を取り除いてくれる、という遺伝子レベルの治 療が実現し、25年後には、脳の中の医療機能として活躍し、家のリフォームのよ うに修復して機能を維持していくことになるだろうーと指摘していました。


そういう時代になると、もう手術する医者は必要がなくなる、という予測もあ りました。2045年には、恩恵と同じくらい、新しい危機が生まれ、人工知能が人 類の知を超え、私たちの知性が低下し逆にサイボーグ化し、人類が未知の領域に 突入するスピードは、劇的で圧倒的な反面、ソフトウエアウイルスへの防御やバ イオテロの脅威など、その課題も多く、知らない世界も増える、と警告もしてい ました。何だか、凄いことが起きていることだけは、実感できます。


カーツワイルさんのミッションと同様の問題提起は、偶然にもアンジェスMG 創業者で阪大教授、医師の森下竜一さんが、内閣特別顧問の黒川清さんが座長を 務めるイノベーション25戦略会議の分科会を担当する科学者としての論議から、 今週、DNDサイトの緊急提言「イノベーション25戦略会議」上で、「イノベー ティブなイノベーション政策」の論文を発表し、「2025年までの予測は大変困難 です。われわれはどうなっているのでしょうか?アルツハイマーの根治療法、H IVの根治?あるいは在宅医療の実現?(中略)過去25年で起ったITでの大変動 が、医療の上でも起るのではないか!」と予測し、その実現のためのイノベーテ ィブな政策のアプローチを提言していました。


NHKの未来への提言は、その再放送に続いて、その3日はスペシャルとして、 未来学者のアルビン・トフラーさんをゲストに迎えていました。インタビュアー は、経済評論家の田中直毅さん。ナレーションは、2007年の世界は、多くの課題 を抱えて、その解決方法を見出せない現実を指摘し、やはり、今世紀中、人間が サイボーグ化し、機械が人工知能を得て人間化する、という現実化の認識は、発 明家のカーツワイルさんと同じ見識を披露していました。そして、価値観と経済 発展の基準を変えなくてはならない、知識の経済とは、女性の能力を生かすこと である、と断じていたのは、斬新でしたね。


で、代表的な著作のひとつ「第3の波」を出版して数年後にNHKの特集番組 に登場していたトフラーさん、その番組は僕にとっては衝撃的な印象でしたが、 25年前を振り返って、その予測がことごとく的中したことを論証しつつも、この 先の25年後については、知識を基盤とする変革、驚異的な加速、予測不可能な段 階に突入している、として、「予測が難しい」と率直に話していました。


共通するのは、これは東大総長の小宮山宏さんの十八番ですが、「知識の爆 発」は、そのスピードをさらに加速し、未来学者とて予測困難な事態というのは、 遥か人智を超えた次元に足を踏み入れている、という裏返しなのでしょうか。


トフラーさんが語る、いくつかの事例は興味深いものがありました。ナノテク とバイオ、それにインターネットテクノロジーが融合する現場、米ロチェスター 大学医学部で取組んでいる、センサーがついた絆創膏の開発は、病原菌を感知す ると色が変わる仕組みで、この絆創膏を貼るだけで、エイズウイルス、妊娠検査 が可能で、自宅で検査ができるようになれば、予防と医療費削減など経済の波及 効果は大きい、という。貼るはサロンパス、というCMは記憶に新しいが、すで に特許を取得し実用化を急いでいるらしい。また、診断歯ブラシの研究もあって、 歯や唾液、それをバイオセンサーで病気の物質を特定する仕組みという。森下さ んが指摘する、在宅医療は、もうその輪郭が見えてきている感じですね。課題は あるが、それらの進展や普及を阻む社会的要因は、あんまり考えなくてもいい。 というのは、技術の進展を拒否する動きはどこもつきまとうが、進化からの恩恵 が圧倒的である以上、変化に抵抗することは難しく、技術は、その変化のスピー ドをゆるめることはないーとは、カーツワイルさんでした。


せっかくなので、トフラー夫妻の近著『富の未来』(Revolutionary Wealth、 講談社)を少し触れましょうか。第1章「富の最先端」は、冒頭から挑発的で、 知識の社会的生産基盤が急速に変化し、世界で17億人が利用する携帯電話を捨て る日が来ると考えている人がいるだろうか、との提起は、かつて、航空機が飛ぶ はずがない、と主張した専門家が多かったし、ロンドン・タイムズ紙が「電話」 と呼ばれる機器が発明されたという報道について、「アメリカ流の馬鹿話の最新 例」だと伝えたこともあったーという事例を引用し、これからどのような未来が 生まれるか、誰も確実なことはいえない、という。「イノベーションが生むイノ ベーション」という項目もあって、森下さんのタイトルと符号しているなあ、と 感じました。


その上巻5章に「速度の違い」の項があり、変化の速度に言及し、時速100キ ロの最速は企業で、以下、90キロが社会団体(無数の草の根NGO)など、3番 目の60キロは、家族、家族の関するさまざまな側面が急速に変化している、とい う。時速30キロは、労働組合。さらに低速の25キロが、政府の官僚機構と規制機 関。ひとつの変化を数十年も遅らせる術を心得ているらしい。アメリカの場合‥ 官僚機構はそれ自体が遅いだけでなく、時速100キロで疾走する企業が市場環境 の急速な変化に対応するのも遅らせている、と辛らつで、具体例として、食品医 薬品局は新薬の試験と承認にいや、というほど時間をかけて、その間、新薬があ れば助かる患者が待たされ、時には死んでいく、と。官僚機構の車ですら、バッ クミラーにさらに遅い車の姿がうつっている、という。


タイヤはパンクし、ラジエターから蒸気が噴出し、後ろから来る車に迷惑をか けている−のは、アメリカの公教育制度だという。まだまだのろい車があって、 時速5キロは、国際連合、国際通貨基金、世界貿易機関で、国境を越える活動の 規制を制定している、という。時速3キロは、国の政治機構で、今の政治制度は、 知識経済の複雑さと猛烈なペースを扱えるように設計されていない、と、スピー ドの格付けをしていました。テレビでもさらっと触れていました。あくまで米国 の例ですが、わが国にもあてはまる、ところも少なくない感じがしますね。特に 教育制度〜。


トフラーさんは、その教育について、NHKのその番組で、途上国のスラム街 でこんな取り組みをした事を紹介していました。石の壁にパソコンをはめ込み、 スクリーンとキーボードにふれられるようにすると、子供たちがパソコンに触れ、 教えていないのにインターネットやゲームを楽しんでした、という。国際的な経 済開発フォーラムが1台100ドルのパソコン(現在は150ドルまで安価に)を作っ て配り、スラム街の子供がコンピューターにアクセスすることで、貧困を救お うーという運動が始まっている、という。トフラーさんは、教育制度の転換の核 心がここにある、と断じて、教育者の役割は、(知識を教える事ではなく)、必 要な情報をどのように得るか、その使い方の理解を助けることにある−と語って いました。いろんなテクノロジーの引き出しを持って、必要な時に、必要な情報 や知識を引っ張り出せればいいのかもしれませんね。なるほど、納得ですね。


そこで、冒頭のGoogleの検索術。知らないうちに、教育の現場を一変させうる ような新しい段階に入っていることに気がつきます。言葉の意味を知りたいとき は、「○○とは」、読み方を知りたいときは「○○と読む」、ある土地の名物や トピックを知りたいときは、「○○(地名)といえば」、会社や個人の情報、曲 の歌詞、料理のレピシ、商品の評判、安い商品、あるいは、冬休みの宿題で過去 の天気を調べたいときは、「冬休み 天気」と検索すればいい−というのは、 「特選街」(マキノ出版・特選街出版)の2月号「Google丸分かりっ!」の特集 で、活用しまくりのGoole完全攻略ガイドでした。


まあ、ゲーム攻略と一緒で、なんでも触って自分で試して憶える、という賢い 若者と違って、まず攻略本を買いに走るところが、まだ、僕なんかアナログなん ですなあ〜。


そこで、その巨大IT企業、グーグルが快進撃を続ける、検索サービスの裏舞 台をNHKが来週の21日(日)夜9時から(再放送は23日深夜零時から)、NH Kスペシャルで放映します。グーグル革命の衝撃〜あなたの人生を"検索"が変 える〜です。NHKによると、グーグルが急成長を続けている理由は、インター ネットの情報検索サービスで、世界でグーグルの「検索」が利用されている回数 は、1日に10億回ともいわれ、「検索」は、われわれの暮らしをどう変えようと しているのかが主題で、そして、どの店で、どの病院で、どの商品をという消費 行動の前に、検索結果を参考にする人が増えており、企業のなかでも「検索」の 結果、自社の名前やホームページが何番目に挙がるかを気にするところがでてき て、その「検索」をめぐるビジネスも登場してきた、という。


番組では、グーグル内部の撮影に成功し、エリック・シュミット最高経営責任 者へのインタビューも見ものです。番組予告で、「検索」で上位15位以内に入っ ていなければ、それは存在しないことと同じだ−のメッセージは、インパクトが ありましたね。


さて、新年のお年玉は、昨日で締め切り、全国から大勢の方からお申込が舞い 込みました。DNDメルマガへの激励も賜り、嬉しく感じました。ありがとうご ざいます。今週末に抽選を行ないます。当該商品の抽選に外れても招待チケット が当たるケースがあります。まあ、お米は、申し込んだ皆さんに進呈したい気持 ちです。名古屋のイーエム総合ネットの宮澤敏夫社長にお願いしてみようかしら ‥。どうぞ、お楽しみに!なお、ユーザー新規登録9000人が突破し、8999人、90 00人、9001人の前後を入れた方々にも何らかのお祝いを差し上げたい、と思って おりますので、こちらもご期待ください。


最後なりましたが、1・17阪神大震災から12年目の本日、伊丹市の昆陽池公 園で、犠牲者と同じ数の6434本のろうそくを灯して、真実を見つめる「瞳」を描 いた追悼が小雨降る昨夜から行なわれました。今年のテーマは「真実」だそうで す。犠牲になられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。


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