◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2006/6/21 http://dndi.jp/

うれしい、うれしい追憶の7日間

DND事務局の出口です。いつだってメーンじゃないし、それほどの役割がある わけでもないから、会場の隅で少し遠慮がちにしているのだけれど、その目論み はいつも逆方向に流れてしまいます。ちょっと大き目の、この顔が誰かを引き寄 せて、何かを招くに違いない。実は、意外と人見知りするタイプだなんて、誰も 思わないし、気づいてもくれない。


 こんな風に、その心模様の一端を綴れば、何が可笑しいのか、それって出口さ んのこと、冗談でしょう‐って笑い飛ばす、そんな不謹慎だが愛すべき人が誰か を、僕はちゃんと知っていますから(笑い)。


 「産学官連携は信頼から〜」というのは、それは確かな真実で、京都からスペ インでの学会の弾みで気がついたらフランクフルトへ、知らないうちに必勝を胸 にサムライブルーだったというWC日本初戦のリアルな現地ルポを躊躇わない勇気 の森下竜一さんの言葉を、信じたい。


 森下さんや古川勇二さん、原山優子さん、それに石黒憲彦さん、中西宏典さん、 山城宗久さん、あるいはワシントン在住の服部健一さんらDND連載の執筆者で常 連さんの肩書きは、毎回は書きません、いいですよね。


 でもね〜、心から尊敬もし、ぞっこん惚れこんだ人となら、何がどう動いても 流れのまま従ったっていいじゃないって、素直に思います。何より、うれしいこ ととは、人との心のふれ合い、って言うと、なんだか甘ったるい気分になりかね ませんが、もっとキザに構えれば、それを譬えると、冬のふるさとの雪のようで、 やわらかに降るから心に長くとどまって、そして胸の奥に深く沁み込んでくるの かもしれません。


 今回も少々長くなりますので、メニューを列記しますね。1.五十嵐伸吾さん のワークショップ、2.追憶の夕張、実は、太陽の子ぞ〜、3.山城宗久さんの 故・中田夕張市長の思い出、4.輝け!NEDOフェロー、5.九州大学知財本部の 流儀、6.群を抜く第4回日本知財学会の底力、7.日本MOT学会発足へ、初代会 長に元NEC社長、8.藤末議員の挑戦!20代起業の必勝ルール、9.埼玉県チャ レンジ・ベンチャー交流サロン本日開講〜。


 先週からの7日間、足を運んで見聞きした、とってもうれしい断面のアラカル ト、まずは、五十嵐伸吾さんと追憶の夕張から〜。



              1「WINWIN主宰の五十嵐伸吾さんのワークショップ」


 6月19日(月)18時〜22時半すぎ。新しいのに通い慣れた、というより ここしか知らない東京・丸の内の丸の内ビルは7階の三菱地所「東京21cクラ ブ」。VB情報交換の広場「WINWIN」のワークショップ。いつも議論が濃密で、プ ロフェッションのゲストを迎えての本音トーク、それでいてなんとも終始、ベン チャラスでフレンドリーなんです。その場に身を置くだけで心地がいい。


 この日のテーマは「日本のベンチャーファイナンスのあるべき姿、その2」、 「その2」というのは、昨年暮れ開催の拡大シンポジウムで積み残したいくつか の課題を引き継いで、連続3回のセッションという趣向ですから、5月の連休明 けに「その1」を、続いて今回、そして〆の「その3」は、7月7日に福岡での 開催が決まっています。この七夕セッションは、九州大学がホスト役で、遊びで はないのに遠足前夜の子供みたいになぜかワクワクしてきます。その開催要項は、 近々DNDサイトの産学連携情報に掲載する予定です。


 さて、証券取引法違反のホリエモンやインサイダーの村上ファンドなど世間を 騒がす事件を受けて感心が高まったのでしょうか、開会早々に満員御礼。係りの 人が椅子を運んで席を追加していました。


 基調講演やパネラーは、なかなかの顔ぶれで、このところ産学官連携のステー ジでわが国の進むべき指針を直言し、雑誌「ウェッジ」に連載「eye単純明解」 のコラムを始めている実力の国際派、デフタ・パートナーズ事業会社グループの 原丈人さん、大手ファンド会社から独立系のベンチャーキャピタルを立ち上げて 信頼と実績を誇るベンチャーキャピタリストは、日本テクノロジーベンチャー パートナーズ投資事業有限責任組合(NTVP)代表の村口和孝さん、ちょっと余談、 村口さんが主宰していたキャピタリスト養成の村口道場、その直伝セミナーでも う一度、気合を入れて欲しいのですが、最近は、中高生や若者向けの起業体験プ ログラムを全国で実践されていらっしゃいます。鉄は熱いうちに打て、というこ となのでしょうか。


 続いて、日立の技術力やネットワークをフルに活用した中小企業向けファンド を手がける、真摯なネクスト・ハンズオン・パートナーズの代表取締役社長の以 頭博之さん、そしてこの会の顔役で見識の監査法人トーマツ代表社員で公認会計 士の北地達明さん、さらに証券取引法の一部改正の狙いとベンチャーファンドが 前提とすべき要件という、うむ、こんな難解なテーマを涼しい顔でさらっとやっ ちゃう手腕の経済産業省産業資金課長の市川雅一さん〜。


 そしてそれらをプロデュースするのは、知的で信頼のコミュニティーWINWINを 主宰する九州大学VBL助教授で、(株)トランスサイエンス取締役の五十嵐伸吾 さんなんですね。五十嵐さんもそろそろ肩書き不要の仲間入りでしょうか。


 つい先日までシリコンバレーから移動してバブソン大学主催の起業家教育の国 際学会に参加して帰ったばかりなのに、いささかの疲れも見えません。先頭に立 って、いろんな人を引き連れて前に進み、なんでも軽々やって見せるから、まる でピーターパンみたい〜。その4時間に及ぶ議論の中味を深追いすると、日が暮 れてしまって終わらないから、省略。



  2「追憶の夕張〜♪川霧はれてつぐみ飛び交い〜」


 パネルの余韻を残して、懇親会に移り、ワインを片手に周辺の賑わいを感じて いると、「やあ、やあ〜」と人並みをかき分けて、「うれしい、うれしい〜」を 連発して近づいて、満面笑みで手を差し出してくれたのは、その主役の五十嵐さ んでした。そんな風な言葉を口にするから、こっちだって、とてもうれしくなる じゃないですかね。なんとストレートで、気分がいいのでしょうか。


 キャンパスで学生から人気があるのは、まず、第一にそういう誠実で優しい人 柄からくるのでしょうね。教壇に立つ人なら、その心の中を見せた方が学生は安 心だし、より親しみを感じるかもしれません。


 で、談たまたま郷里に触れて、「出口さんは北海道の何処ですか?」って聞く。 失念?しょうがないか、もう4年前ですから。石黒さんの紹介で初めて会った時 に、「五十嵐さんは北海道の何処ですか?」って聞いたら、夕張っていうから、 「えっ夕張の何処ですか?」って畳み掛けかけて、どんどん核心に迫る、そんな 緊張感を味わっていたから、今度は攻守逆転して、五十嵐さんが、「夕張の何処、 何処?」って、今度は五十嵐さんがドキドキしていらっしゃいましたね。


 それは、もう駅近くの向陽中学校、えっ!!僕は五十嵐さんの先輩でした。五 十嵐さんは、ふるさとの追憶を語れる、唯一の人です。で、同級生が今度A建設 の社長になったというと、えっ!僕たぶん、その弟と同級生だよ、きっと、6部 方面ですよね〜そんなキザローカルな会話が弾んで、クラス会やる時、是非、僕 にも声をかけて〜なんていうから、またうれしくなって涙がでそうになるじゃな いの。肩を組んで、校歌でも今度、声をあげましょうか。


♪川霧はれてつぐみ飛び交い 丘にかがやく我らが向陽
 大空仰ぐ身も心も 光を浴びてなおつよき
 太陽の子ぞ 我らみな〜


♪橇(そり)の鈴の音澄むところに 拓北の歌とひびくなり
 尊き足跡埋む雪の 真中に立ちて望み高き
 太陽の子ぞ 我らみな〜


   当時の校歌です。五十嵐さんも僕も太陽の子でした。しかし、素敵なこの校歌 はもう歌われていません。ちょうど20年前、近隣の登別中学と統合し、緑陽中学 校と校名を変えていました。あ〜真谷地西小学校も向陽中学もなくなってしまう から、郷愁が募ってくるじゃないですかね。電話すると、電話口に昨年、赴任し たばかりの橋本展晴教頭、DNDの説明をし、在校生だったことを告げて、その辺 の事情をお聞きしました。その橋本先生、「したら、送るからね」という。丁寧 にあまり時間をおかず、向陽中と現在の中学のふたつの校歌をファックスしてく れました。「ご活用いただければ幸いです」とのメッセージが寄せられていまし た。いまの校歌、どんなメロディーに乗せるのでしょうか。


♪この大地 続かん限り 伝統の 心つなぎて 燃えなん
 われら今 確かめん 命の日々を みがき合い 真理もとめて 実らん
 ああ緑陽 誇りなり われらが母校〜


 炭鉱町の閉山は、人も鉄道も街も、そして学校も、あらゆるものも消し去って しまいましたが、幼い頃の記憶は、いまだに鮮明です。その記憶を聞き取って、 夕張の街並みをコンピューター・グラフィックで再現したのは、確か、慶應大学 教授の杉山伸也さんでしたね。NHKのある番組で、紹介されていました。


 夕張炭鉱、その最後の清算に関わっていたのが、なんと旧通産省OBで現在、公 私共にお世話になっている(財)ベンチャー・エンター・プライズセンター理事 で事務局長の高橋芳徳さんでした。ピーンと張り詰めた混乱のヤマに入って、何 ヶ月もその対応に明け暮れていたのではないか、と推測します。高橋さんなら、 きっとひとりひとり丁寧に対応したに違いない。いやあ、時を経て不思議な縁を 感じます。DNDメルマガは、中学時代の同窓生も多く読んでくれているから、び っくりするかもしれませんね。北九州だってやはり炭鉱の閉山に伴う、その悲哀 は同じだったかもしれませんね。 



  3「山城宗久さんが綴る、故・中田鉄治夕張市長」


 夕張談義が続きます。「もっと!関西」を連載している近畿経済局の山城宗久 さんの本日の原稿、第9回の「地域ブランドって面白い!」には、近畿圏の地域 ブランドの商標をめぐる取り組みが紹介されています。


 和歌山の南高梅、みなべ町の南部高校の先生が研究した梅、その「南」部 「高」校の「梅」から命名されたそうです。いや、今年ももうすぐ和歌山からそ のブランド梅が届きますが、前回、南紅梅と間違って書いたかもしれません。い やいや、梅談義ではなく、山城さんが原稿の後半に、とっておきの夕張談義の続 きに心を込めてくださいました。山城さんもいい人だ〜。だって、こんな愛情い っぱいの表現で、夕張を紹介してくれているんですから。


 余談ですが、こう見ていくと、経済産業省、いやあ、霞が関の働き者の官僚の 多くは、実はとってもヒューマニストなんです。一部、マスコミの刷り込みで鉄 面皮なところをいじくるようですが、考えれば、人間への理解がなければ、ある いは法整備や省庁間の調整など、あのような専門的で高度な綱渡りは、そう誰に でもできるものではありません。55回目の連載を本日アップした石黒さんの「ワ シントンDC素描」は出色で、そのざっくばらんで誠実な人間性が滲み出ています。 こういう常盤新平さん風のインサイド物も書けるんですね。


 そうか、普段、味もない建物の霞ヶ関にいるから無機質な印象を与えてしまう けれど、DNDのようなところで何回も書いていくと、原稿が熟成してその人柄が いい具合にでてくるのかもしれません。


 先日、知人の結婚式でDNDメルマガユーザーがいて、5人の見知らぬ方々から 「爆発のメルマガ、読んでいますよ」って、激励をいただきましたが、その際に、 石黒さんの原稿は毎回、楽しみにしています、よろしくお伝えください、って万 座の席でにこやかに話されていました。これもうれしい、とってもうれしいこと です。


 で、話を戻します。山城さん、地域ブランドと言うと、私が真っ先に思い出す 方のことを〜と前置きして、「ゆるりとお休みのところ恐縮ながら、暫し天国か ら降り立って頂いてご登場いただくのは、中田鉄治元夕張市長です」と、なんと 心のこもった紹介でしょうか。続いて、そこには約10年前、山城さんが旧通産省 時代に夕張に随行した際の、気取りも飾りもない普段着の中田市長との、夕張メ ロンにまつわるユーモラスな思い出語りを、実に楽しげに描いていました。


 「あと一件」、「メロンでフルコースは〜」のオチもいい感じでした。厳冬の 2月に毎年開幕する夕張国際映画祭、これは余談ですが、ニッポン放送元社長で ニッポン放送中興の祖、とその名を今日に留める、石田達郎さんの執念の企画で した。ご本人も北海道出身で、当時のフジサンケイグループの議長、故・鹿内信 隆氏のご実家が夕張郡由仁町という縁もあって、夕張にはひとかたならぬ思入れ があったようで、それは代が変って時代が移っても連綿と引き継がれているんで す。これも中田市長さんの遺徳なのかもしれません。


 例えば、高倉健さん主演のあの名作は、小高い山あいに軒を連ねる炭鉱の長屋 住宅だから、よりいっそう際立ったのでしょう。澄み切った青空に黄色のハンケ チが揺れていました。そのクライマックスは、何度観ても画面が溢れる涙で霞ん でしまいます。そういう山の奥の、貧しい生活の記憶が、もう40年以上も昔のこ となのに、なぜ、こうも生々しく甦ってくるのか、不思議です。


 僕の家は、りんご屋でした。当時は、高価なバナナも店先に並んでいました。 小学校の遠足時、買い物のお小遣い枠は、50円でした。父が、善意で友達数人に バナナを持たしてくれましたが、先生に見つかって没収、当時1本70円でしたか ら、買ったわけじゃないけれど予算オーバーはルール違反でした。そのバナナ、 どこへ?


 さて、炭鉱の町からの再生、それは夕張メロンを主軸にした農業や観光で懸命 に踏ん張ってきたようですが、昨日20日の夕張市議会で、自治体の倒産にあたる 財政再建団体に転落することになってしまったようです。負債総額が540億円、0 5年度の当初予算約114億円の5倍の規模に膨らみ、金融機関から借りては返済す るという自転車操業が繰り返されていた、という。ある一面、ここまでよく耐え てきた、という裏返しかもしれません。


 04年度の決算は、約50万円の黒字だった、という。たった50万円という風には 思えません。逆に、その50万円の裏に市政を担う意識の高い地方公務員のなみな みならぬ努力というか、50万円を念出するために流した汗と涙を思うと、なぜか 胸が締め付けられてきます。市長の決断、苦渋の選択、その時の周辺の様子を知 りたい。世間は、利殖か激励かで大騒ぎで、いずれにしても腕を組んで1470万円 もの大金を懐にする、そういう偉い人もいるのも事実です。


 ああ〜なんだか、切ないなあ。セピア色のボタ山に哀愁が漂ってくるようです。 何か、故郷のためにできることは、ないのだろうか。


 さて、目先を変えて、いくつかのご報告をしなければなりません。京都での産 学官連携推進会議を終えて、それを総括する原稿が、内閣府大臣官房審議官の塩 沢文朗さん、古川さん、冒頭の森下さん、それに今週の休日に、原山さんが続い てくださいました。感謝です。それぞれ、「集中連載」のコーナーにもアップし ておりますのでご参考にしてください。



  4「産業技術人材輩出の宝庫、輝け!NEDOフェロー」


 その翌日12日は、産学官連携推進役の前科学技術担当大臣で代議士の尾身幸次 さんのお膝元で、産学官連携推進会議IN群馬が開催されていました。群馬は元気 ですね。続いて、やはり、群馬大学がホスト役で、先週の15日、16日には東京都 江戸川区のコラボ産学官を会場に、第4回産学連携学会が開催されていました。 会場提供の事務局長、江原さん、窓口対応の工藤真紀子さんらお疲れでした。講 演発表は、座長をまかされた関係もあって2階のB会場に居座っていました。出 色だったのは、東京CRO社長の西山利巳さんグループのプレゼン、それに若手人 材をどんどん輩出し、技術移転や起業など具体的な成果が目に見えてきている、 NEDOフェロー、(独)新エネルギー産業技術総合開発機構の産業技術フェローシ ップ事業の数々でした。西山さんの演題は、改めて別途、特集を考えていますの で、今回は見送ります。


 さて、NEDOフェロー。NEDOの研究開発推進部の四井健太さんによると、技術 シーズを実用につなげる、いわば産業技術人材の養成は、600人を超え、20代 後半から30代の博士、修士修了者、企業での研究開発経験者らをNEDOが雇用し、 そして受け入れ機関に派遣する、という仕組みがいい具合に回転し、指導担当者 が個別に細かく面談や指導を徹底、また知的財産に関する実務のスキルアップの ための研修や、実地での活動が効果を挙げている、という。そのセッションでは、 東北テクノアーチに派遣されている、多和田恭子さん、「目利きの観点」をどう 身につけられたかを体験的に紹介し、阪大先端科学イノベーションセンターVBL 部門に席を置くNEDOフェローの高橋佑嗣さん、京都大学国際イノベーション機構 知的財産部で活躍のNEDOフェローOGの松尾知佳さんらが、産学官連携の舞台には、 やはりスキルを磨く一方で、ハートの重要性を感じとっているようで、生き生き と発表していました。その座長は、やはりNEDOフェローで電気通信大学のTLOキ ャンパスクリエイトの吉田久美子さんでした。みんな仲がいい。



  5「九州大学知的財産本部のビッグ・ブラザーの流儀」


 で、その〆には、九州大学ビジネススクール助教授で知的財産本部技術移転の リーダーを務める、敏腕の高田仁さんの、若手人材育成の愛情を持った、そのス パルタともいうべき指導内容は〜。価値観が錯綜する産学連携の実務の現場では、 意志決定できる能力を重視し、先端技術や知財、法律への専門家たるべし、とい う考えより、それらはその専門家の力を借りれば済むケースもあって、むしろ 「産学連携によって、どのような社会的価値を創出できるかを客観的に判断し、 そのために必要なアクションを的確に取れる人材、そのアクションに必要なコミ ュニケーション能力やフットワーク、柔軟性を養う方が優先度は高い」と、明解 に言い切っていました。


 感度良く周辺を見回して、発言するNEDOフェローのポイントを整理し、的確に 言葉を選んで説明する、その様子は、現場から相当の仕事をこなしてこないとこ んな風には、なれるものじゃない。まあ、フェローをひとりひとり、よく見て、 その個性というか、能力を見事に引き出してみせていました。噂には聞いていま したが、高田さん、なかなか凄い。産学連携の舞台に、中堅クラスでハートの豊 かなこういう兄貴分が、いま一番重要なのかもしれません。いやあ、なんとも〜。


 なんで、そんなに部下の教育に熱心に頑張るの?って聞くと、「そうでなきゃ、 僕自身が楽できないから〜」と笑いながら、急ぎ、会場を出て、雨の中、次の仕 事に向かって走っていきました。


 余談ですが、実は、五十嵐さんのワークショップの懇親会で出会った素敵な 面々。長身で、ナイスな井上聡志さん、いい顔している、と思って名刺交換する と、九州大学の知的財産本部起業支援部門、そう高田塾門下でした。で、もうひ とり、九州電力特許グループに席を置く、垣岡武範さん、いまの部署につく前は 3年間、高田さんのところで薫陶を受けた、という。その彼、まもなく華燭の宴、 予定は7月7日だったものが、そう九州大学で五十嵐さんの「その3」のワークシ ョップの日と重なって、早めて7月3日に変更したそうです。


 そばに、その福岡の七夕ワークショップの会場を提供する、(株)麻生のグ ループ経営事務局長の馬場研二さん、若くないのに瞳が澄んでいてクール、五十 嵐さんや高田さんらの活動を側面的に応援していらっしゃる。もうひとり、アラ イアンス・コア代表の栗原啓志郎さん、実はDND草創の準備段階の頃、関係会 社の一員として関わっていらっしゃった、という経緯をお聞きして、にわかに親 近感を覚えました。というわけで、五十嵐さんや、その仲間の素敵な人たちに会 うために、7月7日はなんとしても福岡へ飛びます。みんな来てね。



  6「群を抜く第4回日本知財学会の底力」


 いやあ、もう限界かな〜せめて表題でも、報告させてください。17日、18日の 土日は、早稲田大学の大久保キャンパスで、第4回日本知財学会が開催されてい ました。濃密なプログラムを拝見して腰を抜かしそうになりました。一流の論客 揃い。基調講演も分科会も優れて先進的な課題を掘り下げていました。内容とい い、参加者の顔ぶれといい、松田岩夫大臣、片山さつき経済産業大臣政務官らの 出席も予定されていて、どれもこれも圧巻でしたね。日曜の午前、ふらっと会場 に足を運んで見てきました。


 東大教授で事務局長の渡部俊也さんがモデレータの産学連携・ベンチャー分科 会セッション「イノベーションに向かう産学知財マネジメントと国際的対応」と いうテーマでした。日立製作所から理化学研究所理事に転身されて、そのキャリ アを産学連携の舞台で十分に発揮されていらっしゃる、武田健二さん、こういっ ては申し訳ありませんが、もう4年ほどのお付き合いですが、いまの武田さんが 一番輝いて見えるのは、なぜでしょうか。武田さんが繰り返し力説していた点は、 世界に日本の大学から技術移転を考えるなら、フルスペックの万全の体制、用心 をしないと、狼に身包み剥がされてしまいますよ、という指摘でしたが、その傾 向と対策、知財の世界戦略というテーマだけでも充分、役に立つ。東大TLO代 表の山本貴史さん、東工大・知的財産部助教授の高橋真木子さん、野村総研の三 宅将之さん、コメンテーターに文部科学省技術移転推進室長の井上卓己さん、経 済産業省大学連携推進課長の中西宏典さん、会場からのシビアな意見もありまし た。このくらいですね。今度は、知財学会に入らないといけないかもしれない。



  7「日本MOT学会正式旗揚げ、初代会長に元NEC社長の金子氏」


 あれれっ。最後に、昨日20日午後は、この4月新装の芝浦工業大学豊洲キャン パスで、日本MOT学会が正式に旗揚げしました。発起人代表が古川勇二さんで、 その手際いい古川さんの司会で趣旨説明、設立宣言を満場一致で採択し、総会で は、初代会長に前NEC社長の金子尚志さん、副会長に芝浦工業大学教授の児玉 文雄さんが就任し、これまでMOT協議会に参画してきた九州大学、東京工業大 学、東京理科大学、日本大学、山口大学、それに東京農工大学から古川さんをは じめ理事に就任することになりました。詳細は、また別の機会に取り上げること にいたします。僕も参加します。ひとつ、特徴を述べれば、科学技術と経済の会 が協力し、松井好さんが理事に入り、柳田博明さんが会長を務める日本開発工学 会とも連携していく、という。同会の理事で、日本電子機器輸入協会専務理事の 中上崇さんも駆けつけて祝辞を述べていました。それと、日本ベンチャー学会の 会長で、個人的に大変、尊敬申し上げている早稲田大学ビジネススクール教授で 国際経営学専攻MOT担当の松田修一さんが監事に就任されていました。いやあ、 完璧に学会のクロスオーバー的融合が進んでいるんですね。古川さんもベンチ ャー学会の理事でしたから‥。日本知財学会、日本ベンチャー学会、それに日本 MOT学会、三位一体、いま産学官連携のエンジンとなって疾駆する〜そのいず れも参画しなければなりません。



  8「藤末議員の近著、挑戦!20代起業の必勝ルール」


 その来賓に久しぶりに懐かしい顔にお会いしました。元東京大学助教授でMOT や起業、ベンチャー政策に精通した国会議員の藤末健三さんでした。日本を変え る、そんな強い気概を周辺に印象付けていました。で、近著が「挑戦!20代起業 の必勝ルール」(河出書房新社)、丁寧でわかりやすく、起業家の先輩に学べと まず解いて、起業の条件、成功する心・技・分析力を的確なエピソードなどを織 り交ぜながら、書き綴っています。20代でなくても役に立つ、起業のノーハウが 満載です。どうぞ、お手にとって参考にしてみてください。



  9「埼玉県のチャレンジ・ベンチャー交流サロン、本日開講」


 さ〜て、忙しい毎日でした。本日午後から、起業・創業に全力を挙げる埼玉県 の産学交流プラザに行って、チャレンジ・ベンチャー交流サロンのコーディネー タの役回りです。県内の中堅企業の社長さんら20数名が参加し、今後一年間あま り、新たなEXITのための処方と覚悟を学ぶ、懇談形式のセミナーです。第1回は、 ゲストに新薬開発支援を手がける、鹿児島県に本社をもつ新日本科学社長兼CEO の永田良一氏が講師です。


 あ〜東の空が白々明けてきました。MOT学会の懇親会を終えてオフィスに帰っ てから、ずっとカブトムシのように机にへばりついて、キーを叩いていました。 もう限界です。唯一、お気に入りのCDが、この張り詰めた神経を癒し、孤独の夜 明けをシニカルに演出してくれます、それもまた、うれしい。



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