◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2006/5/17 http://dndi.jp/

それぞれの舞台

-国際バイオEXPO、九州大学記念シンポなど

DND事務局の出口です。上がってしまう、ということは真剣という意味の裏 返しだから、それはそれで恥ずべきことではなく、大いに褒められることなのか もしれないよ、まあ、舞台を数こなせば慣れて自信がついて、逆にふてぶてしさ を抑え気味にしなければならなくなるんじゃないの〜。


 もうすぐ40歳になる、知り合って間もないベンチャー経営者が、どうも数人の 内輪の座談なら得意だが、大勢の前での講演やスピーチが苦手でステージに立つ と、つい上がってしまって思い通りにいかない。足は震えるし、手に汗は滲むし、 そしてノドはカラカラ‥やはり度胸がないのかなあ〜出口さんと違って、と、卑 下するように言うから、先輩風吹かして、そんな分かった風を装ったものの、こ んな巨顔の僕だっていつも見えないところで、足が小刻みに震えているんです、 実は‥。


 でも、いいじゃないですかね、「エ〜つまり、その〜」って朴訥な話し方であ っても、少し地方訛りがあったって、発音がクリアーじゃなくても、そんなこと 問題ではないし、気にする必要もない。雄弁って、テクニックじゃないわけだし、 それは相手の心の奥底にズーンと響いて、そうだね、そうかもしれない、という 風に聞き手から共感が得られれば、満足でしょうし、テレビショッピングの宣伝 や呼び込みじゃないわけですから、早口で立て板に水、ということがすべていい ことでもないかもしれません。


 しかし、今の若い世代、なんというのでしょう。どんな場面でも、晴れやかで、 臆するところが微塵もない。いつものまんまの自分を率直に表現するから、実に、 頼もしい感じがしてきます。その緊張とプレッシャーの国際的な舞台だって、そ れを逆に楽しんでいるかのように映ります。彼らの辞書に上がるって言う言葉は、 見あたらないようです。それらをサッカー選手にちなんで「黄金世代」と呼べば、 それだけで元気がでてきそうです。


 サッカーのW杯、その日本代表23人の顔ぶれが決まりました。復活の中村俊輔、 3大会連続となる中田英寿ら世界の舞台で活躍するベテラン組に加えて、99年の 世界ユース選手権準優勝を経験した小野伸二、遠藤保仁、小笠原満男ら「黄金世 代」のトリオも予想通り選ばれていました。


 そして、なんといっても話題をさらったのは、前評判ではギリギリの当落線上 にいた、ジェフ千葉の巻誠一郎でした。ジーコ監督が読み上げた23番目、その最 後の名前「巻」に、会場からどよめきが起こるほどでした。


 夢の切符を手にして、「僕らしく日本という国のために頑張りたい」、「僕ら しく見ている人が納得できるプレーをしたい」と、テレビカメラの前で、淡々と 自分らしさを強調していました。実家のある熊本の両親は、とくに父親は、「言 ったよね、確かに、名前を‥」という風に何度も念を押しながら、飛び上がって 喜んでいたのが印象的でした。


 4年に一度のW杯、そのドイツ大会は6月9日開幕し、日本チームの1次リーグ 初戦は、6月12日のオーストラリア戦が予定されています。さて、晴れ舞台、ど んな感動を伝えてくれるか、ゴールの雄叫びに列島が揺れることでしょう。


                  ☆国際バイオEXPO開幕☆   
 さて、産学官連携の晴れ舞台もいよいよ本番です。本日17日、東京ビッグサイ トで開幕したのが第5回国際バイオフォーラム(19日まで)です。アジア最大の バイオイベントの触れ込みで、基調講演を除く250の研究成果・技術発表、全講 演の受講は無料、「産学交流・情報交換の3日間」を盛り上げていく、という。


 バイオ関係の友人、知人も多く出展し、セッションにも登場するので、DND の産学連携情報一覧から参加登録を行って、DNDメルマガもすっかり市民権を 得ていますので、「わが国最強の電子媒体」を自負して、取材の要件をメールで 広報担当に伝えると、これにきちっと対応をしてくれたのが、主催のリードジャ パン(株)国際バイオEXPO広報、中島明日加さんでした。


 プログラムに大学のバイオ関係の参加が極めて多いので、「前回に比較しての 出展数、講演者数、参加大学数の増減を教えてください」という質問に対して、 「この度は、取材のご連絡を頂戴致しましてありがとうございます」と、さっそ く丁寧な回答を以下のように寄せてくれました。


 大学関係者を招いてのバイオアカディミックフォーラムは、今年で3回目を迎 え、大学・国公立研究所を対象にしたセッションは152件(前回100セッション)、 全体の出展者が533社(同465社)、それと商談に、あるいは案件のリサーチに足 を運ぶ来場者は、17000人を予想(同15406人)というから急増著しい。で、その 理由を問うと、「出口さまの方がお詳しいと思いますが‥」と、こんな嬉しくな るような文言も散らして、「国立大学の法人化から、研究成果の還元、私立大学 との競合意識等を理由に、ご出展のお申込みが相次いでおります」と説明してく れました。


 そして、それらのメールの後には、「詳細は、別途プレスルームにもご用意し ておりますので、会期中お越しになりました際には、中島までお声かけくださ い」と付け加えられていました。なんか、誠意が伝わってきます。


 嬉しいじゃないですか、媒体というと一般に新聞、雑誌、それに既存のテレビ 等の報道関係を主に対象にしていますから、DNDのような電子媒体は、年々そ の影響力を増しているとはいえ、メルマガでの掲載や情報の告知は、ひんぱんに 求められていますが、逆にこちらからの取材については、一般的に取材者という 扱いはしてくれません、勿論、プレスルームはご法度、特に新聞社系が主催する と、そういう傾向が強い。


 新聞社を離れて初めて、一般の取材の難しさを知りました。フリーでは、ほと んど個人情報を盾に取材ができにくいし、相手にされない。官庁や全国自治体の 一定スペースを一部マスコミだけが独占する記者クラブ制度もそうですが、いつ までも新聞社だけの特権というのも、そろそろいかがなものか?サイトやブログ、 それら電子媒体が猛烈な勢いで世の中を席巻している、こういう時代の「媒体」 の意味をもう一度、考え直さなければならないような気がします。という訳で、 DNDが取材関係者として初めて認知された媒体記念日となりました。これも中 島さんのお蔭です。


 それで手元にそのフォーラムの無料招待のプログラムがあります。本日、この フォーラムで発表する、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科教授の馬嶋秀行さん が過日、DNDオフィスに送ってくれたものです。昨晩もDNDオフィスに顔を 出してくれました。馬嶋さんの研究発表は、ハーバード大学で培った、ミトコン ドリア関連疾患の創薬を目的としたバイオ技術の開発がテーマです。


 まあ、民間主催のフォーラムは、その研究成果や技術をなんとしても具体的な 商談に結びつける、そういうビジネスへの構えが、ひと味違うようです。


 このフォーラムの趣旨について、「DNA・RNA、タンパク質、細胞といっ た基礎研究から、医薬・医療・食品・農業・環境・エネルギーといった応用分野 までの最新情報を発信し、バイオ分野の人的交流を促します」という意味の解説 をしていました。大学・研究機関の出展やセッションの参加費は招待のようでし たから、大学にとっては、絶好のビジネスチャンスかもしれません。


 出展大学・研究機関をざっと拾うと、東京大学、東京農工大学、鹿児島大学、 お茶の水女子大学、北里大学、京都大学、九州大学大学院、神戸大学、埼玉医科 大学、信州大学、千葉大学、東京電機大学、福井大学、三重大学、東北大学、放 射線医学総合研究所、東京都医学研究機構‥。


 また、メーンの特設のパビリオンは、大阪大学を始め、東京医科歯科大学、東 京工業大学、日本大学、三重大学、北海道大学、日本大学、早稲田大学、大阪府 立大学、鹿児島大学、東京工科大学、東京理科大学、北陸先端科学技術大学院大 学、弘前大学に加え、産総研、理化学研究所、農業生物資源研究所が開設してい ます。また、ジェネティックラボやサイバックスなどのバイオベンチャーによる 最新技術のセミナー、徳島地域の健康・医療クラスターや広島バイオクラスター など国内や欧米のバイオクラスターによるプレゼンも順次、開催されており、ま さに堂々たる国際バイオEXPOの趣きです。どうぞ、会場に足を運んで、その 感想などもお寄せください。


 18日からの基調講演(事前申込制)は、(財)癌研究会癌研究所の副所長、野 田哲生さんが「世界最高峰の癌診断とナノバイオ医療」をテーマに、抗がん剤感 受性や副作用の予測システム開発など、遺伝子の系統的解析技術を応用したオー ダーメイド治療に向けての道筋を示す、というから興味深い。


 19日は徳島大学ゲノム機能研究センター分子機能解析分野教授の塩見春彦さん が、複雑な生命の陰のプログラムといわれる「ncRNA」の多種多様な解析から、 新産業創成に役立つ科学技術の開拓、その新しい世界を展望した最新の研究成果 を披瀝します。


 その他、血圧トクホ「アミールSの成功と新たな機能性食品及び素材展開」と 題してカルピス(株)執行役員で健康・機能性食品開発研究所長の江澤邦夫さん が、機能性ペプチドと機能性乳酸菌で新たなブルー・オーシャンを目指す、その 取り組みを報告、同じく乳酸菌を活用した機能性食品開発の現場から「整腸から 免疫へ」と題して、カゴメ(株)総合研究所部長の矢嶋信浩さんが、乳酸菌の整 腸効果から一歩重点を移して、免疫研究関連へとその生理機能を解説するーとい う。カルピスVSカゴメ、これは、業界を代表するリーディングカンパニーの機 能性食品市場をめぐる、次ぎの戦略を占う意味で、見逃せないかもしれません。


 今回の特徴をもう一点付け加えると、国内外のバイオ・創薬ベンチャーや、バ イオ関連企業が一堂に会した独自技術の発表、ライセンシング、あるいはパート ナリングへの商談を行うフォーラムを新設したことです。


 主要な製薬メーカーとのビジネスマッチングや資金調達が現実的に展開するこ とが期待されています。いやあ、こんな風に興味は尽きません。まあ、バイオE XPOは、本日10時半の特別講演などを皮切りに、もうすでに開幕です‥。


          ☆23日〜NEW環境展・東京会場☆
 「国際バイオ」に続いて、翌週23日から「NEW環境展」(26日まで)が同じ く東京ビッグサイトで始まります。人と地球の未来を守る環境革命への挑戦と高 らかに謳いあげる、主催は(株)日報アイ・ピー。ここも出展552社、小間数が 過去最大の2357を数えています。出展者から大学関係を手繰ってみると、福岡大 学資源循環・環境制御システム研究所、日本工業大学、東洋大学、東京農工大学 生存科学COEグループ・産学連携知的財産センター、静岡大学工学部物質工学 科佐古研究室、関東学院大学物質生命科学香川研究室、金沢工業大学露本研究室 などが参加するようです。環境展は、出展に関して大学や研究室に特別な対応を しているようです。9月7日には大阪・インテックス大阪、11月9日には福岡・マ リンメッセ福岡で順次、開催するのは、例年通りです。


 さて、もうひと息、関西、福岡、そして東京の一押しイベントをご紹介します。 いずれも本日配信のお知らせで詳しいプログラムがご欄になれますので、少しそ の触りと背景について、書き加えますね。


         ☆27日‐関西ネットワークシステム定例会☆
 堂野智史さん、(財)大阪市都市型産業振興センター扇町インキュベーション プラザ(Mebic扇町)を担う、インキュベーション・マネージャーで所長、豊富 なアイディアとアグレッシブな行動力に定評があり、もうその存在を知らない人 はいない。で、彼からこんなメールが届いていました。


 「橋本(昌隆)さんからのメールを拝見しましたので、厚かましくもご連絡さ せて頂きます。また、出口様のことは、福井の出水(孝明)さんからもよくお伺 いしています。橋本さんからもお誘いをして頂きましたように‥」。


 案内は、5月27日(土)に関西ネットワークシステム(KNS)と共催の第13 回定例会(Mebic側では、Mebic Talk-inという交流会)でした。是非、顔を出 さなければ‥と思いつつ、なかなか時間が合わない。


 なんと、産業クラスター、インキュベーション、街づくり、中国ビジネス、大 学関係者ら産学官民のさまざまなジャンルから総勢60人が5会場に分かれて、ひ とり15分のプレゼンを行うーという。だから交流会も含めて15時から21時の6時 間、堂野さんの説明では、「今回は異種格闘技です」という。


 「もしよろしければ、遠路にはなりますが、ご来阪をいただき、参加して頂け ますなら光栄です」と、丁寧なお誘いを受けました。関西の勢いがムンムン伝わ ってくるようです。それにしても、60人のプレゼン、それぞれテーマがユニーク で、メッセージ性に富んでいます。どうやって、こんな風に動員してくるのだろ うか、堂野さんの現場力を感じます。


   ☆28日‐九州大学専門職大学院コンソーシアム創設記念シンポ☆
 もう一点、これは、全国的な知的ネットワーク「WINWIN」を主宰し、九 州大学助教授で、(株)トランスサイエンス上席執行役など3つ、4つの顔を持 つ、信頼の五十嵐伸吾さんからの案内は〜。


 5月28日(日)午後13時から九州大学医学部百年講堂で開催の 「今開く新しい 扉−未来を担うプロフェッショナルたちへ−専門職大学院コンソーシアム創設記 念シンポジウム」です。地元の福岡県弁護士会、社団法人九州・山口経済連合会、 福岡県臨床心理士会、社団法人中小企業経営者協会の主要4団体が加わっている ところに、その記念シンポの意図が組み込まれているようです。やはり、本日の お知らせにアップしていますので、詳細は、そちらからご確認ください。


 その五十嵐さんの説明によると、 現在、九州大学には、ビジネス・スクール の経済学府産業マネジメント専攻、医学系学府医療経営・管理学専攻、ロー・ス クールの法務学府実務法学専攻、それに人間環境学府実践臨床心理学専攻の4つ の異なる専門職大学院があり、この専門職大学院が相互に連携し、より新たな教 育・研究プログラムを展開するために「専門職大学院コンソーシアム」を創設し、 4月から動き出している、という。


 それぞれの専門性を独自に発揮しながら、あるいは緊密に連携もする、そうす ることによって、複雑で多様な社会のニーズにしっかり対応し、ひとりでも多く 社会貢献できる、未来のプロフェッショナルを育成していく‐という趣旨の記念 シンポは、そこから新生、九州大学専門職大学院の覚悟の一端が垣間見えるよう です。開会には、九州大学副学長の山田耕路さん、大学院を代表して医学研究院 長の金出英夫さんらが挨拶に立ち、パネル・ディスカッションでは「専門職大学 院に求められる高度専門職業人養成とコンソーシアムについて」をテーマに議論 を深めていく、という。どんな連携が可能なのだろうか、そのメニューを知るだ けでも今後の人材育成の参考になりそうです。


 さて、27日午後から夕刻まで大阪の堂野さんの定例会に出て、その夜に福岡入 りし、28日の記念シンポに参加するーというのもいい考えかもしれない。


       ☆30日‐東京大学21世紀COEシンポ☆
 30日は、東京大学・安田講堂で21世紀COE「次世代ユビキタス情報社会基盤 の形成」第8回シンポジウムで、小宮山宏総長、吉川弘之前総長の特別講演、東 京大学大学院情報学環副学環長で教授の坂村健さん、同教授の須藤修さんらの基 調講演などが予定されており、定員が1000人と大規模となります。


 さあ〜どうなる、どうする、この他、何か特別に、DNDにとって外せない大 きなイベントがジワジワ近づいているような予感もしてきます。う〜む、大阪、 福岡、東京、そして6月10日、11日は、第5回産学官連携推進会議が京都で開催さ れます。また懐かしい顔に会えるのも楽しみです。例年この時期は、ビッグイベ ントが目白押しですが、それぞれテーマを持って臨みたいものです。



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