◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2006/5/10 http://dndi.jp/

必見!「論座」と「文藝春秋」

DND事務局の出口です。実りのGWでしたでしょうか?小生は、自宅環境整 備、庭仕事と酒で1週間を過ごしました‐気分の合う元電通部長の塩澤宏宣さん からこんなメールを頂戴して、思わず苦笑してしまいました。


 いやぁ〜自宅環境整備ならぬ、古い物、要らぬ物、役に立たない物(この三拍 子、まるで‥)、そういった不用品の廃棄と部屋の模様替えに専念していたのは、 小生も同様で、本棚やダンボールの書籍や書類、タンスや押入れの衣類を、少し ためらってあれこれ迷いながらも、エイッって処分し、捨てたその分、庭先に放 置されたままの古い自転車3台を引っ張り出して水洗いし、それぞれに空気を入 れ、錆を取って油を差し、再び動けるようにして、それから庭に回って、庭木の 剪定、草むしり、菜園にとたっぷり汗を流していました。もう家の中も外も、見 違えるようにすっきり。


 自慢じゃありませんが家庭を持って、こんなにゆったりと家の雑事に専念した 休日は、ひょっとして初めてかもしれません。捨てるには、決断力という心の技 が必要だ、ということを修得しました。


 GW〜どこにも行かずにひたすら、片付けと散歩、せめて映画の公開前に 「ダ・ヴィンチ コード」は読まなきゃと思って、ちょっとの本屋通い。で、唯 一行った先は、健康の不安を抱える田舎暮らしの父、義理の父母の家に丹波の小 豆を持参してご機嫌を伺ってきました。そこにも、モノが溢れていました。


 まあ、光風の5月、清々しい緑の里で風をきって走りたいし、カヌーやハング グライダー、それにゴルフなどアウトドアで汗をかいた後の、温泉、そしてバー ベキューも捨てがたいものですが、しかし、そんな気にはなれない。心澄まして 周辺を見渡すと、もう両親や北海道の親類、身内の多くがすっかり年老いて、脳 梗塞、前立腺がん、糖尿病、不整脈など、日々、健康不安ばかりが耳に入ってき て、なんだか精神的に遠出が億劫になってしまったようです。


 愚息らにやっと手がかからなくなった、と思ってホッとしていたら、今度は、 身内の病気の心配と対応、これも順番だから避けては通れない人生の試練なので しょう。それなりの覚悟で全部受け止めようと肝に銘じております。この先、10 数年、恩返しです、しっかり親孝行をしていくつもりです。


 それにしても、あんなにきれい好きで、おしゃれだったのに80歳に近づくにつ れて、体調が芳しくないとはいえ、身の回りを構わなくなって、片づけができな くなり、そして、なんといっても困ったことは、モノが捨てられない、そういう 老いの変調は、ほんとうに悲しいことです。


 モノ欠乏時代に生き抜いた世代の性なのでしょうか、高齢者に共通するある種 の執着なのでしょうか‐すっきり暮らしたい、って心に決めても、老いは、着実 に人格を変えてしまうようですから、そういう僕だってどうなるか、頑固で、偉 そうに老醜をさらしている可能性は否定できないし、きれいに老いる、自信はな い。考えると、それは人生の究極のテーマなのかもしれません。


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 「団塊世代の老後は、ともすると夢を持って語られることが多い。しかし、残 された20年の人生には、相当の起伏が存在する。決して逃げ切れるような甘い未 来ではないのである」。これは、本日発売の、「文藝春秋」6月号の特集、『衝 撃予測 バラ色の未来か、それとも転落か 10年後の「団塊」』の最後の結びの 一節です。


 総数1000万人、就業人口300万人以上といわれる、巨大な年齢層、その世代が、 来年2007年から順次定年退職を迎える‐として、心身の老いもわが身に降りかか ってくる‐というその世代に同誌の「日本の論点」編集部は、「10年後、あなた は生き残れますか?」と問う。


 出色なのは、データに基づいた以下の項目の見通しと分析です。これはしばら く傍において保存していても役に立ちそうです。


 「年金制度」(それだけで暮らせるか?)、「資産運用」(インフレと円安リ スク)、「熟年離婚」(回避の秘策はあるか)、「子供たち」(わが子がニート になったら)、「第2の仕事」(働き続けることは可能か)、「生きがい」(自 分の時間をどう過ごす)、「がん克服」(がん年齢をどう乗り越えるか)、「老 老介護」(老いた親の面倒をどう見るか)、「終の住居」(田舎と都心、どっち がよい)、「墓と死に方」(平均寿命百歳時代に)という具合に、どれひとつと っても深刻で避けては通れない難題を突きつけています。これは、ひとり団塊の 世代の問題とはいえない感じがしてきます。


 棚をのぞけば、そういえば、同様の特集が、昨年の「中央公論」11月号、その 特集「団塊の老後はバラ色か悲惨か」でした。その特集で、ずっとメモしていた のが団塊の世代、名付けの親の堺屋太一さんと、人気の東大教授、松原隆一郎さ んの対談で、中でも、松原さんの以下の世代論の解説でした。


 「団塊の世代は、上の世代には歯向かって敬意をしめさない。下の世代には命 令ばかりするという印象があります(その通り)、仲間内でつるむのはすごく好 き(その通り)。同窓会も好き。この世代がオープンな気持ちになって、上の世代も下の世代にも敬意を持たれるような存在になれるかどうかというと、危惧するところですが(それは、無理でしょうなあ〜)。」( )内は、僕です。


 が、この指摘に対して、堺屋さんは、どうしたのでしょう。


 「団塊の世代のひとつの特徴は従順です。団塊の親たち、団塊の兄姉たちが作 った戦後のコンセプトに対して非常に忠実で、疑問ももたない(以下略)」とま ったく逆の論理を披露していました。まるで、団塊の世代の印象は、こんなに違 うものなのでしょうか。驚きです。松原さんは1956年生まれで、少し僕に近い世 代ですから、ほとんど同感です。


 評価すれば、今日の時代を牽引してきた、そんなしたたかで有能な世代と思い ます。戦後の勢いを引き継いで、社内外で激しく功名を競って、裏で人を蹴落と しながらも走り抜いてきた懸命な世代でした。


 みんながみんな、そうではないものの、個人的に見た彼らの印象は、人生の多 くの機軸を損得の金勘定で線引きし、悲しいけれど批判が得意で社会を乱し、家 庭を壊して、自分自身をも痛め尽くしてしまった感じが強い。なんだか、気の毒 なほど会社一筋、会社の利害を優先するあまり人格まで疑われる人も目立ちます。 あくまで組織の人ですから、利害を超えた個人的な信頼のネットワーク、それが 創れない。


 残念ながら、全国の官製談合事犯で捕まるのは奇妙にも年齢が57歳、ほとんど が彼らでした。サラリーマン人生の終着前に、談合で晩節を汚して懲戒免職にな っては、浮かばれません。粉飾、偽計、詐欺‥その裏舞台に、この世代が深く関 与しているのは、偶然でしょうか。まあ、こんなことを面と向かって指摘すると、 決まって返ってくる言葉が、「じゃあ、お前らの世代は、どうだ!」と判で押し たような反論でした。


 さて、こういう世代が、どんな老人になっていくのでしょうか。まあ、第2の 人生を社会貢献やボランティアに専念する動きも見受けられますが、なんとも 「環境」、「地域」、「福祉」などを掲げて、人を巻き込んで、その中心にドー ンと座っている姿は、モーレツな現役時代と少しも変らない。まあ、このくらい にしておきましょう。お世話になっている先輩も多いし、今日こういう風に元気 で仕事ができるのも、みんな団塊世代のお蔭ですから‥。


 ただ、団塊の世代といっても、小生がお付き合いしている、30年交遊のあるパ リ在住のアーティスト・Nさん、北斎の画集や地域エリアの環境プロデュースを 手がけるEさん、地方記者を誇りとしてこの5月、ペンを置いた朝日新聞社のH さん、足利でタウン誌を発行する編集長のNさん、群馬・桐生出身のソプラノ歌 手のTさん、富山・旧八尾町で「楽しい家づくり」を主宰するAさん‥ら、彼ら 彼女らは、そういう松原さんや僕の指摘はあたらない、共通しているのは、金勘 定の損得で生きていないからかもしれません。


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 と、まあ、連休明けの所感を述べさせていただきましたが、続けて、近況をご 報告します。DNDが新たに東京都江戸川区船堀にある、産学官+金の地域連携 拠点、コラボ産学官(梶谷誠理事長)にブランチを開設しました。


 全国から群馬大学、福井大学、大分大学、室蘭工業大学、北見工業大学、デジ タルハリウッド大学など30余りの大学等がサテライトオフィスを開設し、地域連 携やファンド創設などさまざまな活動を展開しつつあるコラボ産学官に仲間入り します。現在、一部引越しの準備中で、追々、そこの地域連携の、あるいは入居 大学等の事例も紹介していく予定です。DNDは、現在の中央区東日本橋が運営 本部であることは従来通りです。


 また、この4月に国立大学法人東京農工大学大学院技術経営研究科の客員教授 に就任しました。同研究科のボスは、DNDサイト上で密度の濃い連載「技術経 営立国の指標」で好評の筆者で、MOT研究の第一人者、古川勇二教授ですから、 頼もしい限りで、私自身も日々、ワクワクしています。


 そこでDNDサイトのトップ右下には、お気づきでしょうか、古川さんが会長 の「技術経営系専門職大学院協議会」(MOT協議会)のインフォメーションを 伝えるHPとリンクしています。同協議会の参加大学は、芝浦工業大学、早稲田 大学、東京理科大学、東京工業大学、東京農工大学、日本工業大学の東京周辺の 国立・私立6大学で発足し、今年に入って新たに山口大学、九州大学が加わり合 計8大学を数えて、さらに増加傾向にあります。DNDでもそれぞれの大学の情 報や公募、入試情報などもお伝えします。


 どうぞ、社会人(学生さんも)で同研究科にご興味のある方は、サイトをのぞ いてみてください。また何か、ご要望があれば、出口までご連絡ください。(03 −5822−9820まで)。


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 さて、最後になりますが、欲張ってもう一点。実は、朝日新聞社の月刊誌「論 座」6月号に注目していました。総力アンケートの特集のタイトルが「国立大全 学長の回答」。これも、なかなかの力作です。が、見出しが、「広がる大学格 差」とは、やや普通過ぎる感じ。「大学秩序の崩壊」なんて、どうかしら。


 編集担当の高橋純子さんの取材後記によると、学長を対象としたアンケートに は、予想以上に熱心な回答が寄せられ、急きょ「東日本編」「西日本編」に分け て掲載することになりました、とありました。


 アンケートは、国立大学が法人化から3年目を迎えるにあたっての、「法人化 への評価」、「プラスになったか、マイナスになったか」の全体評価をまず質問 し、「プラス面」や「マイナス面」の「その理由?」をそれぞれ浮き彫りにして、 そして、「悩み、国への要望」を引き出していました。


    6月号(発売中)は東日本編、そして西日本編が7月号(来月発売)の予定です。 2冊買わないと‥。東京大学の小宮山宏総長は、「回答が間に合わず、次回」の 掲載になるようです。東西、揃ってから、DNDのメルマガでその内容に触れよ うと思っています。


 アンケートもさることながら、「国立大学、3年目の回答」の一連の特集で、 東京大学名誉教授の天野郁夫さんが「優勝劣敗の大学改革」と題して、現状を的 確にかつ冷静に分析した渾身の論文を発表していました。1990年代に入り、改革 の大波が押し寄せてから15年、と前置きして、「大学になにが起こったのか。簡 潔にいえば、大学と大学人が長い間、慣れ親しんできた伝統的な秩序の解体、な いし崩壊である」と冒頭から挑発的なメッセージを送っていました。丁寧な文体 で、読みやすく、客観的な目線に好感が持てました。略歴を拝見すると、ご専門 が高等教育論、今年3月、つい最近まで、国立大学財務・経営センター研究部長 の要職にあった方でした。


 天野さん、国立大学法人化を中心とした一連の改革が、学会、学術会議、大学 団体、教員組合、教授連合等の「知のネットワーク」の弱さを表面化させるもの であったことも指摘しておくべきだろう‐といい、「大学と大学教員を横につな ぐネットワークの貧弱さ、コミュニケーションの密度の低さ、従って相互の連帯 感や信頼感の乏しさが、可視化されるようになったのであるーと、断じていまし た。


 う〜む、なるほどねぇ。なんとなく思い当たるフシがあります。ここでは控え ますが‥。また、大学改革のゆくえに言及して、「個別の大学の模索と同時に、 新発足した日本学術会議や『認証評価機関』、それに国立大学協会等の大学団体 などが、どこまで知の世界の連帯と信頼を再創造しうるかにかかっている」と提 言していました。


 なんだか、朝日新聞の宣伝になってしまいましたが、「論座」の着眼、それに 編集の労力、これらには感服です。時間と手間をかけなければ、いいものはでき ません。それにしても、この手のアンケートを行えば、大学の担当窓口の対応の 優劣が浮かび上がるらしい。が、大学も年々、その対応がスムーズになってきて いるようですが、大学へのアンケート依頼や取材、あるいは問い合わせ等が、今 後、一般の上場企業並に増えてくるのは、必然です。


 さて、「論座」の売上部数は、どうかなあ〜。気になります。



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