◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2003/ 10/1 http://dndi.jp

日本の小さな巨人の慧眼

DND事務局の出口です。10月1日は制度や仕組みが変わる節目です。東京など1都3県でディーゼル車走行規制開始、中古パソコンのリサイクル制度スタート、JETROなど34の特殊法人が32の独立行政法人に改編、国立大学20校が10校に統合、民間サイドでも合併、事業統合、再編のラッシュ、日本経済新聞の1日付け朝刊3面に詳しい。これは、切抜き要保存です。


DNDのパートナーの日本エンジェルズ・フォーラムが任意団体から、有限責任中間法人に改組されたこともニュースですね。そうそう、新幹線「品川駅」の開業は、この日のメーンでしょうか。だからといって、東京駅はなくなりません、当然ですが、念のため。どうなんでしょうか?見込み乗降客は1日に6万から7万人、林立する10のホテルの客室数は7千346室。東京の外れ、かつての「宿場」の品川から、広壮なオフィス街に変貌と遂げています。いやはや、東京の一極集中是正論議から、都心の分散、いわゆる東京都の鈴木俊一知事時代に計画された東京副都心計画、臨海と並んで、品川もその一つでした。その行く末は?


街の発展にはある方程式があり、南に下がり、西に進む。世界の文明の発展経緯や近代の都市の推移をみても、同じ軌跡をたどる−との慧眼を見せておられたのは、建築家・丹下健三さん。もう20年も前のことです。取材で、一緒にニューヨーク、パリ、シンガポール、ローマなどを回りました。その同行先での話でした。


「世界の丹下」の冠は、実は、時の革新自治体の嵐のような時期に、国内の仕事に干されて、海外にその活動の場を求めた結果でしたーとの秘話も紹介していました。その伝でいくと、品川は東京というより、首都圏の中心的な役割を果たすかもしれません。都心から南の臨海や汐留へ、そして西の品川へ。ふむふむ。どこにいっても温和で、ジェントルな丹下先生。嫌いなものは、トマト。日本国土を俯瞰されて、ひとこと、遠い将来の日本の中心地は、「瀬戸内海になるでしょう」とぽつり、ずっとその時のことを心に書き留めておきました。


建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞、その授賞式がニューヨークであり、ニューズウィーク誌は「日本の小さな巨人」と称えた。東京湾に骨太の構想を世に問うた「東京計画1960」は、その鮮度を失わない。また、年間3000万人の来訪者を数えるあのお台場のある、臨海副都心計画は、それを下敷きにしていました。


東大教授。丹下研究室からは綺羅星の如く、卓越した建築家を輩出しています。事実上、建築事務所を独自で開設したのが1961年、48歳で建築家としてスタートする。起業には、いっぱい夢があったようです。その実現のために、マネジャーとして、公私ともに支え、仕え切ったのは、夫人の孝子さんでした。白百合がお似合いです。世間の嫉妬や中傷にも耐えていました。昨年、後進に道を譲り、仲睦まじく、静かに余生を送られているようです。


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