◆ DND大学発ベンチャー支援情報 ◆ 2003/ 9/ 3 http://dndi.jp

バカの壁を知る適正試験

DND事務局の出口です。さあ、どうしましょうか?


次の文章を読み、下の問いに答えよ。新しい接続表現「とんで」を次のように定義する。定義:文xが真であり、かつ文yが偽である場合、文「xとんでy」は真とし、それ以外の場合、すなわち、文xが偽であるか文yが真である場合には、文「xとんでy」は偽とする。ここで、x,yなどの文は、真又は偽のいずれかとするー(略)。


難解な上記の設問は、先月31日に行われた法科大学院の適正試験計57問のひとつの一部です。来春開設を目指す72校の総定員数は、5950人、受験者は28340人(速報値)、本試験の倍率は4.76倍でした。同世代の社会人の姿も散見されました。 弁護士としての活躍は、知的財産や事業再生などの新しい分野においてますます重要になってきます。受験者の多くに期待したいものです。


好奇心旺盛の小生とて、「ひょっとしたら」という邪念が脳裏をかすめ、どれどれって、知人が試験会場から持ち帰ったいくつかの設問を無謀にも挑戦してみたわけです。


マークシート方式での解答−というから安易に受験生気分に浸ったのがいけません。一読して、こめかみあたりがズキッ。目が設問の字面を意味もなく上下にスクロールする。この適正試験、曲者です。知人いわく、「これはにわか勉強では到底かなわない。だから適正試験なのさ」とサラり一言。それこそ「脳の中の係数」が問われた格好です。


100万部を超えるベストセラー、養老孟司著「バカの壁」(新潮新書)の文字通りの体感です。「わかる人にはわかるし、わからない人にはわからない。(中略)自分にわからないかどうか、それがわからない。だから悩む。そのときに、バカの壁はだれにでもあるということを思い出せば、ひょっとするとわかるようになるかもしれません」との「まえがき」の一文は救いです。


DNDのまさに立ち上げの時期に、ご苦労された私の前任者で、経済産業省からこの夏、岐阜県知事公室参与に転出されたばかりの泉田裕彦さんが、昨日、同じ知事公室課長の志村隆雄さん、(財)岐阜県産業経済振興センター理事兼主席調査役の谷博久さんらを伴って、事務局に顔をだしてくださいました。泉田さんが差し出した新聞の切り抜き一枚。国立大学の企業などとの共同研究実施件数は平成14年度は、過去最高の6767件という最新のデータでした。


東大417件で群を抜き、阪大265件、京大227件、東北大224件、名古屋大215件、東工大207件、九州大176件、北大171件と続き、「岐阜大は9位の160件です」とベスト10入りに、「ですから県としてもなんとしても大学発ベンチャーを育成し、産業の活性化に役立てたい」との趣旨らしく、続いて取り出した資料が、岐阜大学での研究成果のうちの起業の可能性の高いシーズ6件の一覧と担当教授のプロフィールでした。


「県ほか関係機関が全面的に協力を惜しみません。出口さんの暗黙知、その力を貸してくださいよ」と、その柔和なまなざしで見つめられると、どうも弱い。しかし、「ムムッ」。ビジネス展開のイメージがなかなか浮かんでこない。冷や汗です。


泉田さんらを見送った足で、虎の門にあるベンチャー・ラボ代表の山中唯義さんの事務所に駆け込んでみました。その山中さん、そのシーズ一覧をみるなり、「面白いですね。まず、社会的に意義が大きいテーマばかりです。3と4、それに1もいい。みんなこれらの実用化を求めています。医療分野は好きですから。」と身を乗り出していました。やはり、わかる人にはわかるんです。


「常識」=「コモンセンス」というのは、「物を知っている」つまり知識があるということではなく、「当たり前」のことを指すーとは養老氏。そうですね、起業といっても山中さんが、感じいるように社会に役に立つ、そして、自分が面白いと思うかどうか!と知りました。


泉田さんと山中さんは今月20日に名古屋で開催するDND主催のシンポで初対面で同じテーブルに就きます。そこから、何かが弾ける予感がします。


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