欧州、中近東は不安定化している


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◆時候のご挨拶◆
秋です。一番いい季節が選挙で喧騒の季節になってしまいました。しょうもないおしゃべりでニュースは占拠されています。ですからNHKの101のワールドニュースをよく見ます。そして秋の食材のサンマ、イクラ、カキを楽しんでいます。
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・欧州、中近東は不安定化している
・北朝鮮危機はプーチンの戦略か
・安倍と小池の決戦になった
・ハノーバーのEMOに行ってきました
・俯瞰サロン
・俯瞰の書棚 “インターネットの次に来るもの”
・俯瞰のクッキング“秋の食材”
・俯瞰学のすすめ4 時系列による俯瞰2
・編集後記
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◆欧州、中近東は不安定化している◆
“ドイツの連邦議会選挙では、メルケル首相が率いる与党は第1党の座を確保したものの、議席を大きく減らしてメルケル首相の求心力の低下が顕著となる一方、難民の受け入れに反対する新興の右派政党が一気に第3党に躍進し、今後の議会運営や政策決定にも影響を及ぼすものと見られます。”(NHK)

メルケル首相は勝ちましたが、求心力は落ち、盟友のマクロン仏大統領の人気低下と合わせるとEUの結束力も落ちます。そして各国でナショナリストの勢力が伸びています。
オーストリア下院選挙では中道右派、国民党を率いるクルツ党首は反難民政策を唱え、世論調査でケルン首相の社会民主党などを大きく引き離しています。

オーストリアが強権的な中東欧諸国、チェコなどと連携すると、EUは難民政策で後退します。ポーランドもドイツに対し、第二次世界大戦のドイツ軍の侵攻に対する賠償を請求するなど、ナショナリズムの高まりが感じられます。

英国のEU離脱も保守党の分裂などトラブル気味で、スペインのカタルーニャ地方の独立問題も国内分裂状態、欧州の政治は不安定さを増しています。
中東ではイラクのISは排除されつつありますが、今度はクルド人の独立という新しい火種ができました。周辺国が圧力を強める中で、イスラエルがこれを支援するという新たな緊張です。クルド人はイスラム教徒ですがアラブ人ではありません。

現在のイラクは、シーア派のイランの影響下にあります。イラクの大半はスンニ派です。そしてロシアとイランは連携関係にあります。米国の影響力は殆ど見えません。ロシアの影響力が強まっていくのでしょうか。一応、サウジアラビアは親米系ですが。
中東では地域大国のスンニ派のサウジアラビアとシーア派のイランが影響力を競うという構図になりました。

ともかくヨーロッパと中近東は不安定化してロシアの影響力が相対的に強まっています。

ドイツ連邦議会選挙2017
https://www3.nhk.or.jp/news/special/german-election-2017/german-election/
マクロン仏大統領の支持率急低下、仕事に「不満」が57%
https://jp.reuters.com/article/france-macron-support-idJPKCN1B80AR
ポーランド、独侵攻で賠償請求も
https://this.kiji.is/278718805790803446
トルコとイランに国境閉鎖正式要請 対クルドでイラク
http://www.sankei.com/world/news/171007/wor1710070037-n1.html
クルド独立投票でイラク緊張、各国が猛反発、新たな内戦の恐れ
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10611



◆北朝鮮危機はプーチンの戦略か◆
北朝鮮関係、国際関係のニュースを一度せき止めて分析すると、北朝鮮危機の黒幕はプーチン大統領ではないか、という気がしてきました。中国はずっと前から北朝鮮のコントロールを失っていて、北朝鮮はロシアの暗黙の了解の下で、核開発とミサイル開発を進めてきたのではと思うようになりました。ウクライナの高性能ロケットエンジンを北朝鮮が入手出来たのは、プーチン大統領の承認があったからといわれています。

さらに今度、インターネットの基幹接続を中国からロシアに乗り換えるということは、アメリカの圧力で中国がインターネット回線を遮断するというリスクを感じて、ロシアを頼り、それをプーチン大統領が助けた形です。さらに言えば、北朝鮮のサイバー攻撃を支援することにもなります。ここまでくると、プーチン大統領が北朝鮮の後ろ盾と思わざるをえません。アメリカとの冷戦の駒として利用しているのでしょう。
北朝鮮危機でトランプ大統領は翻弄され、ヨーロッパ、中近東で全く有効な行動が取れていません。一度ヨーロッパに行きましたが、 EU首脳からは相手にされず、連携ができていません。

それにしても、アメリカ政府の北朝鮮への対応は酷すぎます。国務長官は大統領をバカと呼び、大統領は一緒にIQテストを受けるとツイート、常軌を逸脱しています。政権はガタガタです。この同盟国に、日本は国家の安全を託さなければいけないとは、情けないですね。

シリア情勢では、プーチン大統領がアサド政権を支援して反体制派を抑え込み、親ロシア国家の成立が見えてきました。これにはイランも加担しています。

ヨーロッパではEU離脱でもたつくメイ首相、人気急落のフランスのマクロン大統領、求心力が弱まったメルケル首相を相手に、プーチン大統領がロシアに対する経済制裁を弱める仕掛けをしてくるでしょう。

プーチン大統領は、中東ではアメリカとサウジアラビアの関係の不調に割り込み、サウジアラビア国王のモスクワ訪問という、これまででは考えられない様な外交を成功させ、大量のロシア兵器の売却まで、まとめています。

プーチン大統領としては、アメリカが北朝鮮危機でヨーロッパと中東に影響力を行使できない状態の間に、着々と国際戦略を実現していると言うわけです。そのプーチン大統領と北方四島で経済協力をして、北方領土返還の夢を見ている安倍政権は、いかがなものでしょうか。戦略家としての格の違いですか。以上は、あくまで私の妄想ですが。

北朝鮮が長距離ミサイル発射準備、米西海岸射程内=ロシア議員
https://jp.reuters.com/article/kp-long-range-missle-ru-1006-idJPKBN1CB26O
北朝鮮がロシアの助けでネット接続強化、サイバー攻撃能力向上か
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/post-8573.php
焦点:ロシアの危険な「綱渡り」、北朝鮮支援をひそかに加速
https://jp.reuters.com/article/north-korea-russia-idJPKBN1CB0YF
北朝鮮ICBM“ウクライナ製”疑惑
http://www.sankei.com/world/news/170822/wor1708220028-n1.html
北朝鮮労働党幹部が明かした「中国・ロシアとの本当の関係」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170922-00052777-gendaibiz-kr&p=1
トランプ氏:国務長官とIQテスト受けたい?「ばか」呼ばわり報道で
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-10-10/OXLVV56JTSEI01
結局のところ、「シリア内戦」は今どうなっているのか?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52646
サウジ、ロシアから地対空ミサイル「S-400」などの兵器を購入へ
http://www.afpbb.com/articles/-/3145907
米、サウジにTHAAD売却へ 約1兆7000億円
http://www.afpbb.com/articles/-/3145908
イラクはイランの支配下に、モスル解放に激変する中東情勢
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170713-00010003-wedge-int
クルド人独立住民投票イスラエル首相「支持する」
https://mainichi.jp/articles/20170916/k00/00m/030/066000c


◆安倍と小池の決戦になった◆
衆議院が解散になってから、小池劇場というドラマで日本中が翻弄されました。テレビというメディアを知り尽くした小池都知事の戦略もあったのでしょう。麻生財務大臣が安倍首相の自宅に乗り込み、今こそ衆議院選挙のチャンスだとけしかけたようですが、結果は想定外の情勢となりました。

小池都知事の希望の党という一夜城が出来て、民進党が白旗をあげその軍門に下り、首相経験者のような老獪な政治家と、憲法改正反対のリベラル派は城門の中に入れてもらえず、憲法改正と安保法制に賛成な候補者だけが希望の党の公認をもらうことができる、という剛腕ぶりです。新党の準備をしていた若狭議員と細野議員は、事務処理能力不足とバッサリときられました。しかし、これで「風」の勢いがすっかり弱まってしまいました。安倍政権を終わらせるという目標を貫徹するのなら、野合と言われても民進党を全員抱え込んだ方が良かったでしょうが。

本人は出馬しない、首相候補は選挙結果を見て決める、これで見える小池都知事の戦略は民進党の資金と人材を活用して100人近い当選者を出し、自民党の大幅議席減で、自民党内部で「安倍下ろし」を起こさせ、そのうえで大連立を組むと言うことでしょう。誠に明快です。公明党の山口代表、自民党の石破議員、野田聖子とメディアに名前を出して混乱させるのは、高度な情報操作です。

結論として、政治とは究極的にポピュリズムであると言うことです。安倍にも小池にも財政規律、社会福祉、安全保障といった重要課題には全く政治的な信念は見られません。

50兆円しかない税収で100兆円の予算を組む安倍政権の無責任さ、消費税凍結という無責任な小池です。国民を見下し、馬鹿にしていませんか。日本国民は質実剛健です。子孫に負債を残したい人はいません。

選挙後は、さらに政局がらみのドタバタが続いていくでしょう。今回の総選挙は争点も大義もありません。誰が好きか、嫌いかというポピュリズムの選択です。もうすぐ結果が出ますが、その後は「策士、策に溺れる」と言う言葉が飛び交いそうです。既に小池叩きは盛り上がりつつあります。


◆ハノーバーのEMOに行ってきました◆
インダストリー4.0とは、ドイツにおいて2010年以降、生産性の増加率と賃金の増加率の乖離が問題になり、ドイツ製造業の生産性をデジタル技術によって向上させる経済成長政策です。

“ ドイツ最大のソフトウエア会社であるSAP社は、同社のカガーマン会長がドイツ工学アカデミー会長に就任し、インダストリー4.0を提唱、これに、シーメンス、ボッシュ、フラウンホーファー研究所、アーヘンやミュンヘンなど主要工科大学、機械・電気・情報の業界3団体などが賛同し、国家プロジェクトに採用され、2011年頃、ドイツ国内で議論がスタートした。
2013年4月、関係者が合意したいわゆるコンセプト・レポートと呼ばれる
"Recommendations for implementing the strategic initiative INDUSTRIE4.0, Final report of the Industrie4.0 Working Group, April 2013"が公表された。それが日本に伝わり、日本で大きな反響を呼ぶこととなった。”とのことです。

内容はモノのインターネット化(IoT)とサイバー・フィジカルシステム が中心で、先端技術の拡張現実、ビッグデータ やクラウドコンピューティング 、マス・カスタマイゼーションです。

9月18日から23日まで、金属加工部門で世界最大の見本市EMO Hannoverが開催されましたので、インダストリー4.0の最前線を確認するために行きました。

結論としてそれほど進んでいないという印象でした。インダストリー4.0関連の展示そのものが少なく、依然として金属加工機械の展示会でした。25号館がインダストリー4.0の展示会場ですので、そこを丁寧に見ました。
現時点でのインダストリー4.0とはデジタライゼーションです。すなわち開発設計から生産に至る製造業のすべてのプロセスの情報をデジタルで管理し、プロセス間の連携を行い、見える化と同時に分析を通して全体の最適化を行う事です。

現段階では、生産においては稼働状況の見える化と、それに基づいた人力での改善及びコントロールでした。

また、開発設計から生産までのプロセスでは、デジタルの世界とリアルの世界を双対的に管理し、その差分を設計開発にフィードバックする「デジタルツイン」が実用化されていました。この分野は欧州ではシーメンスの存在感が大きいです。

センサーやIoTの展示は少なく、また、故障診断や予知保全、機械学習を使った最適化もほとんど展示がなく、この業界にとって今後の課題であり、日本企業にとってはチャンスがあります。

開発設計のデジタル化は、日本は進んでいます。 30年以上前、私が日本IBMでロッキード社のキャダム、フランスのダソーシステムのキャティアのマーケティングを担当しいたときアメリカよりもヨーロッパよりも日本の方が売り上げが多かったですから。

自動車会社、精密機械、電気電子の企業はこぞって最新鋭のシステムを導入しました。その後も積極的な投資を継続していますから現在でも最先端のデジタル化が進んでいると思います。中小企業になると、どこまでデジタル化が進んでいるか、現在は把握していません。

ただ、デジタルの世界とリアルの世界を双対的に1つの世界としてシステム化すると言う認識はありませんでした。もともと日本はシステム思考が弱く、現場がそれぞれ気に入ったソフトウエアを導入しており、システム化の連携ができていませんでした、現在の状況は、この世界を離れて長いので判りません。

ドイツにおいても、中小企業のデジタル化がインダストリー4.0の最大の課題でしょう。生産性と賃金の乖離をこれまで低賃金の移民で埋めてきたドイツですが、今度の選挙で国民が移民の受け入れをよしとしない、とすれば本気でインダストリー4.0を推進するしかありません。

日本でも人手不足が言われていますが、デジタル化で人手不足を解消する事は重要な対策です。導入の余地は大きいですから、これはある意味日本経済の含み資産です。したがって自動化、無人化の需要は大きいと思います。

ドイツが国を挙げてインダストリー4.0を推進する背景および国家目標
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/iwamoto-koichi/07.html



◆俯瞰のクッキング “秋の食材”◆
今年は、秋刀魚は不漁のようですが、やはりこの季節は秋刀魚です。塩焼きで、大根おろし、すだちが美味しいですが、これだけでは飽きてしまうので、イタリアンにして食すこともあります。

魚屋で秋刀魚を3枚におろしてもらい、中骨はもらって帰ります。オーブン皿にクッキングシートを敷き、皮を下にして隙間なく秋刀魚を並べます。紙タオルで水分をとってから塩胡椒を振ります。オレガノなどのハーブを適当に振り、パルメザンチーズをすりおろして振ります。これで脂のノリの少ない秋刀魚もグッとコクが出ます。好みでニンニクのみじん切りを散らします。その上からパン粉を散らします。そしてオリーブ油を全体に薄くかけます。オーブンで15分程度焼き、おいしそうな焦げ目をつけます。おいしいです。

秋鮭は切り身でムニエルなどしますが、やはり、イクラの醤油漬けを白いご飯にのっけて食べるのが最高です。

カキは色々な食べ方がありますが、我が家では餃子や春巻にします。カキは紙タオルで水分を取ります。餃子は、餃子の皮にカキを1つ、もしくは2つ置き、パルメザンチーズをすりおろしてかけます。これでぐっとコクが出ます。特に生食用のカキはこれが効きます。ネギのみじん切りを振ります。これは多めに。後は餃子として焼きます。これはカキフライの代わりに考えたレシピです。来客にも好評です。

春巻はほとんど餃子のレシピと同じです。春巻は油で揚げると油を吸い過ぎるので、全体に油を塗ってオーブンで焼きます。また、フライパンに5ミリ程度油を入れて両面を焼くように揚げることもあります。我が家では、一度使った油は酸化しているので捨てるため、できるだけ少量の油で揚げものをします。

以上のレシピは以前にも紹介しましたが、この季節のレシピとして紹介しました。


◆俯瞰の書棚 “インターネットの次に来るもの”◆
今回の紹介は「インターネットの次に来るもの」ケビン・ケリー 2016年 NHK出版 です。

副題として「未来を決める12の法則」とあります。ともかく前向きです。表紙をめくったカバーに「人間の歴史の中で何かを始めるのに今ほど最高の時はない。今こそが、未来の人々が振り返って『あの頃に生きて戻れれば 』という時なのだ、まだ遅くない。 」とあります。本の内容はこの著者の気持ちを共有するために、今すでに起きている未来とその先を解説する内容です。ただ著者は哲学的な洞察が強いので抽象的な議論もあり、 一部は解りにくいかも知れません。 12章に分かれ副題にあるように12の法則を解説しています。

1. Becoming 2. Cognifying 3. Flowing 4. Screening 5. Accessing 6. Sharing 7. Filtering 8. Remixing 9. Interacting 10. Tracking 11. Questioning 12. Beginning

このキーワードでなんとなく内容が分かると思いますが、著者の基本的な言明は「今振り返ってみると、コンピューターの時代は、それらが電話に繋がれるまで、本格的に始まっていなかったのだ。コンピューターだけあっても無力だった。コンピューターのもたらしたすべての効果は、 1980年代初頭にコンピューターが電話と結びついてお互いが融合し、強固な複合体になって初めて現れたものだ」

そして「その後30年にわたって、コンピューターの計算能力とコミュニケーション・テクノロジーの融合が広がり、速度を増し、開花し進化していった。このインターネットとウェブ 、モバイルの融合されたシステムは、グローバル化した現代社会の中心へ躍り出た」さらに「重要なのは、この大きな歴史的な流れが、いまだに健在で進化していることで、それはこのトレンドが今後数十年ずっと増大しつづけることの強い確証にもなっている 」そして「本書では、今後30年を形作ることになる12の不可避のテクノロジーについて述べることにする」です。

自分の未来の可能性を信じる人、未来を模索する人、組織の未来を託された人には必読の書です。この内容を認識していない経営者は退場すべきです。視界ゼロで企業経営の運転をしているわけですから。各章でのキーフレーズを紹介しましょう。

1. Becoming
常に動き続けるものは、もはや動きとして気付かない。
インターネットに関しては、まだ何も始まっていないのだ。今こそが、人間の歴史の中で、これほど始めるのに最高の時はない。まだ遅くはないのだ。

2. Cognifying
正真正銘のAIは、インターネットとは、何十億ものコンピューター素子で作られた超生命体の中で生まれることになるだろう。
AI企業ディープマインド(アルファGoの開発者)はゲームの遊び方を教える事はせず、遊び方をどうやって学ぶかを教えた。
2002年頃Googleのラリー・ペイジは「僕らが本当に作っているのは、 AIなんだよ」と答えた。

3. Flowing
インターネットは世界最大のコピーマシンだ。
今はコンピューター化の第3段階に移行、現在主要な単位は流れとストリーミングにある。ストリーミングが取って代わる事は不可避なのだ。
日常の仕事やインフラは山ほどあるが、いずれは液化し、流動化していく。非物質化と脱中心化へと向かう、着実で大きな傾向が意味するものは、さらなる流れは不可避だということである。
知識が物質を支配するのだ。それこそが流れていく世界だ。

4. Screening
本の民とスクリーンの民の間で、文化的な衝突が起こる。
本を読書中に、心の赴くバーチャルな場「読書空間」では、頭はスクリーンで読んでいる時と違う働きをする。 ウェブで何時間読んでいても、こうした読書空間に行き着く事は決してない。
ウィキペディアは最初のネットワーク化した本だ。
スクリーンは何かをあなたに説得するより、行動を引き起こす

5. Accessing
デジタルテクノロジーは、製品のサービスへの移行を促すことで非物質化を加速する。
名詞は動詞へと変容する。
今では、ほとんど誰もがポケットにスーパーコンピュータを入れている。
これから30年、非物質化、分散化、リアルタイム化、プラットホームの有効化、クラウド化の傾向は衰えることはないだろう。
所有するよりアクセスすることで、私はいつも柔軟で新鮮な気持ちでいられる。

6. Sharing
オンラインの大衆は驚くほどシェアに積極的だ。
この10年で商業的に最も成功した三つのクリエイティブな会社、 グーグル、 フェイスブック 、 ツイッターは正しく評価されていなかったシェアを使ってだれも考えつかなかった方法で価値を生み出している。
私は常時つながっている。私がシェアし、シェアされているものは、ひっきりなしのアップデートとバージョンアップだが、そうした着実な前進こそが、私に活力を与える。

7. Filtering
潤沢な世界において、唯一の希少性は人間のアテンションにある。
グーグルやフェイスブックの凄さは、コモディティー化したアテンションを、フィルタリングする巨大なインフラにある。
すべてのテクノロジーのコストがゼロに向かっていく中で、唯一コストが増加しているのは人間の経験だ、これはコピーできない。
自分自身の行動を反映した助言やオススメに耳を傾けることで、自分が誰であるかについて見聞するのだ。
現代の経済はその中心部分で、個別化と差異化の力が働いている、それはフィルタリング・テクノロジーによってさらに増強されるだろう。

8. Remixing
本当の持続的な経済成長は、新しい資源から生まれるのではなく、既に存在する資源を再編成することで、その価値が上がり、それで達成されるのだ。
グーグルのクラウドのAIは、視覚的知能を急速に成長させている。
リミックスする、既存の素材を再構成したり再利用したりすること。

9. Interacting
現在のVRの急速な進歩を駆り立てているものは、プレゼンスとインタラクションだ。プレゼンスこそ、現在のVRの売りだ。
第二世代のVRテクノロジーは「ライトフィールド」投影だ、マイクロソフトのホロレンズとマジックリード社だ。VR画像は半透明のバイザーに投影される。
インタラクションは手話により近いものになっていくだろう。
破壊的変化を起こす最初の技術的プラットホームがパソコンだった。モバイルがその次のプラットホームで、すべてを革命的に変えてしまった。次に破壊的変化を起こすプラットホームがVRである。

10. Tracking
デジタルトラッキングによる定量化が、全く新しい身体感覚に取り込まれたのだ。
ライフストリームとは活発なトラッキングだとも考えられる。
受け身型のトラッキングはライフログと呼ばれる、それはただシンプルに機械的に自動的にすべてのもの完璧を追跡する。
コンピューターの能力を創造的に浪費することは、多くの最も成功したデジタル製品と企業の秘訣である。
あらゆるIoT 、そのIoTが浮かぶクラウドの本質はデータの追跡だ。
2020年までには毎年540億のセンサーが製造されるようになる。そして我々を監視する。

11. Questioning
ウィキペディアの成功は、私の想像を遥かに超えるものだった。 3,500万件以上の記事が288の言語で書かれていたのだ。
共同作業が力を増幅させることは、いつの時代も明白で、それは都市や文明によって証明されている。
ウィキペディア、 リナックス 、 フェイスブック 、ウーバーといった集産主義的組織は、産業化時代の個人にはできないようなことを実現してくれる。
我々はソーシャルコミュニケーションをいじくり始めたばかりだ。ハイパーリンク、 WiFi 、GPS 、このレベルのイノベーションはまだ始まったばかりなのだ。
我々は起きそうもないことが起きるのが日常になる世界に向かっている。
良い時間の浪費は、創造性を高める前提条件だと思っている。さらに重要な事は遊びと仕事を合体することだ。
科学は、我々の知識より無知を増やす方法なのだ。
良い質問を生み出すこと、答えを理解することの労力の間には非対称性がある。質問はもっと価値を持つという逆転現象が起きているのだ。
質問をしていくとは、答える事よりも力強いのだ。

12. Beginning
シンギュラリティは物理学の用語で、そこから先は未知のフロンティアが広がるその境界を示す言葉だ。
これからの30年は、より流れていき、よりシェアしていき、よりトラッキングし、よりアクセスし、よりインタラクションし、よりスクリーンで読み、よりリミックスし、よりフィルタリングし、よりコグニファイし、より質問し、より良くなっていく。
我々は「始まっていく」 そのとば口に入るのだ。 「始まっていく」ことは、まだ始まったばかりだ。


◆俯瞰学のすすめ4 時系列による俯瞰2◆(図添付)
【時系列による俯瞰 日本の人口・寿命】
1891年から2006年までの日本人の平均寿命の推移を俯瞰すると、重要な事実が見えてくる。実に昭和22年までは、日本人の寿命は50歳を超えることがなかった。人生50年、これは長生きをした人で、多くはもっと早く死亡していたのだろう。日本の人口も、明治まではおよそ3,000万人で推移していたと言われている。なぜ3,000万人かというと、それしか食料が生産できなかったからである。新田開発も積極的に行われたが、重機がない時代、人間では耕地の拡大は限定的であったのだ。

当時の農業は、まさに有機無農薬である。昭和22 年から急速に平均寿命が増加していった。これは、化学肥料の投入や農薬の使用で、食料の増産が可能になったからである。

1913年、ドイツのBASF社によるアンモニアの合成という20世紀の画期的な発明で、空気中の窒素を固定し、これが肥料として利用できるようになった。発明したハーバー・ボッシュは「空気からパンを作った人」と呼ばれている。欧米でも、この時から農業生産が増大し、人口も増加している。

日本でも終戦後、産業復興の先陣を切ったのは、三白すなわち砂糖、紡績(木綿)、肥料である。食糧増産のために肥料が生産され、農業に投入されていったのである。そして、やっと日本人は、お腹いっぱいご飯が食べられるようになった。私は幼い頃の記憶として、お米の配給を覚えているが、 月30日分の米の配給はなかった。平均寿命の延伸には、動物性たんぱく質の摂取が増えたことがある。小学校の給食には、ユニセフから支給された脱脂粉乳が出された。肉は、ほとんど口に入ることがなかった。魚が蛋白源であった。

そして、日本人の身長もどんどん伸びていった。 13歳の男子の身長を見ると、1900年では140センチ、 1960年では148センチそして2012年では160センチである。体重は1900年では43キロ、 1960年では51キロそして2012年では59キロである。

これから言えることは、日本は食糧自給ができないということである。食糧輸入なくして1億人の生活は成立たない。食料自給率を上げるためには、何が何でも遺伝子組み換え作物を拒否すると言う立場もおかしい。また有機無農薬では、十分な生産量を確保できない。

このような俯瞰的な認識なしにTPPの議論をしている人は、多いようだ。いや分かっているのだろう。肉や乳製品の輸入を阻止せんとする利権団体は、食料供給の責任をどう認識しているのか。和牛でなくて良いから、子供達に肉や乳製品を十分に与えることが、将来の日本人を強く逞しくする。年配者にも、乳製品や肉をもっと摂取してもらいたい。

【時系列による俯瞰  原油価格の乱高下】
石油は、以前は資源の枯渇が話題になったが、現在はむしろ供給過剰である。しかし、その価格は大きく乱高下している。 1946年から2015年までの原油価格の推移をみると、日本は戦後から1972年まで、今思えば極めて低コストの石油エネルギーによって高度成長を実現させた。振り返ってみれば、全くの幸運である。トイレットペーパーの買い占めという狂乱的な石油ショックも、今見ると20ドル以下で低コストであった。 80年代以降は、一時は40ドル近くに上昇したこともあるが、概ね20ドルで推移している。高度成長期と違って、100円近い円ドルレートは原油の輸入コストを下げた。 80年代は日本経済の黄金期となった。

ところが2000年以降、石油の価格は信じられないような乱高下を繰り返すことになった。中国の貪欲な石油需要が価格の暴騰をもたらした。最近では100ドル近い価格と40ドルの間を乱高下している。こうなると、適正価格はいくらか、ほとんど判断できない。

シェールガスの開発が、石油資源の枯渇と言うトラウマを払拭したが、そのシェールガスの企業を潰すためにサウジアラビアは身を削って量産を続けてきた結果、ついに最近OPECとしての生産調整に賛成した。そして親米の石油産出国から、石油依存から自立した産業国家へと変身しようとしている。自立した姿勢は、中東情勢に影響を与えている。

この石油価格の乱高下に一番影響を受けたのは、ロシアのプーチン大統領だろう。国家の歳入のほぼ半分を、石油と天然ガスの輸出で補ってきたロシア経済は、産業振興も停滞し、混乱の中で低迷している。加えて最近の欧米による経済制裁は、それをさらに苦しいものにしている。

2015年以降は50ドル前後で推移している。この原油価格は、現在進行中の日露の外交交渉に影響を与えている事は間違いないだろう。ロシアにとって極東地域の石油資源は、現在中国がパイプラインで輸入することになっているが、すぐ側にある日本という経済大国に輸出しない手は無い。石油資源があるだけでは、インフラや医療、製造業の振興によって地域の住民の生活水準を上げることはできない。日本の経済協力がどうしても必要となる。原油価格が高値で推移していれば日露交渉も進展しなかった可能性がある。

この原油価格の推移はいろいろな政治や経済の動向に大きな影響を与えているだろう。いろいろの事象があったときに、原油価格との関連を考えても良い。

この記事は「産業新潮」に連載された記事を少し手直ししたものです。文体もメルマガとは異なります。



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◆編集後記◆
・ヨーロッパが混乱気味で国際情勢の安定化に寄与できません。難民受入を制限するためにはトルコの協力が必要ですが、トルコのエルドアン大統領とドイツは対立関係にあります。
・プーチン大統領は苦しい中で、冷戦終結前の強いロシアを再現しようとしているのでしょうか。経済状況が悪く国民の不満は高まっているはずです。強権政治だけでは政治的な危機がくるかもしれません。
・総選挙については、記事を書いていても、あまりにも馬鹿な話が多く、日本もポピュリズムの国になるのかと落ち込みました。ただ日本国民はポピュリズムを望んでいる訳ではなく、政治家が国民を見下してポピュリズムの政策をアピールしているのだと思います。国民も私も孫に借金を残したくありません。
・若い頃住んだこともありますので、ドイツに行くといい国だなと思います。ドイツは豊かな国だと感じます。特に南ドイツの秋はきれいでした。社会的には格差が広がっているのでしょうが。
・“今こそが、未来の人々が振り返って『あの頃に生きて戻れれば 』という時なのだ、まだ遅くない。”これを素直に信じて生きましょう。
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◆内容・記事に関するご意見・お問い合わせ/配信解除・メールアドレス変更 下記まで
webmaster@fukan.jp
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◆俯瞰 MAIL 0072号(2017年10月14日)
発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行人:   松島克守
編集長:   松島克守
URL: http://fukan.jp
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※本記事は松島克守氏の許諾を得て、再録したものです。


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