アベノミックスに沸く日本


◆このメールマガジンは、松島克守が、東京大学教授、そして(社)俯瞰工学研究所 の代表としてこれまでに名刺交換やメール交換をさせて頂いた方々に送らせて頂いて おります。またこのようなMLはメールボックスのご迷惑と感じられる方もあるかと思 います。ご遠慮なく不要のお申し出を下さるようお願いします。また、内容等につい てもご遠慮なくご意見を頂ければ幸いです。過去の俯瞰メールは俯瞰工学研究所のHP の「俯瞰メールのアーカイブ」にあります。http://www.fukan.jp/ また、ご友人、ご家族に転送して頂くことは大歓迎です。このマガジンは長いので添 付のpdfファイルを保存しておいてiPad等でゆっくりお読み頂くこともできます。



皆様

◆時候ご挨拶◆
桜の開花が例年よりずいぶん早かったですが、花冷えのお蔭で意外と長く楽しめまし た。今は若草色に赤が混じる葉桜です、そして気が付くと世界は新緑の季節です。一 方金融情勢は真夏の感じです。参院選挙まで思惑が渦巻いて乱高下しそうですが、こ の勢いで、衆参同時選挙で野党殲滅という戦略もありますか。

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・アベノミックスに沸く日本
・気に入った言い回し
・北朝鮮の挑発にどう対処するのか
・中国の挑戦
・影の巨大小売業
・今年も東大俯瞰経営塾は開講
・道志村でマイクロ水力発電のプロジェクト
・防府で美味しいフグを食しました
・頭のよくなるクッキング14
・デジタル書斎の構築20
・書評「ソーシャルデザイン」 グリーンズ」朝日出版社 2012
   「コミュニティデザインの仕事」studio-L 株式会社ブックエンド 2012
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◆アベノミックスに沸く日本◆

日銀の異次元の緩和政策で、株式市場も為替も湧き立つような反応ですね。株価が上 がる事は個人的にはうれしい現象です。リーマン以降は絶望的な状況ですから。

強力なサポーターが海外からアベノミックスを声援しています。ノーベル賞の経済学 者のポール・クルーグマン米プリンストン大教授です。公共投資にも積極的で「役に 立たない橋より、役に立つ橋のほうがはるかに良いが、とにかくまずは橋をつくれ、 ということだ」とも。

アベノミックスがうまくいっている要因は、これが期待値を膨らませるという心理操 作を意識している政策だからでしょう。黒田総裁の売り出し方もよく考えられたメディ ア戦略です。最初はローキーでメディアに出し、最初は「アジア開銀の仕事に満足し ている」という控えめな本人のコメントを云わせ、本命とかやらせろとかいう先行の 候補者を静かに抜いていき一気の総裁の承認を取りました。この時点ですでに市場は 期待値で大いに反応しました。市場は心理ですね。

円安も100円を超える勢いで近隣の韓国と中国がクレームする状態です。失われた20年 で失われていたのは日本人の元気という心理ですから、もう少しで宿願のデフレ回復 出来るかもしれませんね。

一方、海の向こうにも疑念の声はあります。著名投資家ジョージ・ソロス氏です。 「黒田日銀が引き起こした円安は雪崩となり、止められなくなるかもしれない。危険 な政策だ。日本人の海外への資本逃避が始まる可能性がある」といいます。

国内議論も盛んです。「リフレ政策の有効性を巡っては経済学者の間で約15年にわた り議論が続いてきたが、理論上の決着は付いていない、神学論争の様相を呈する中、 政府・日銀は見切り発車した」とあります。一方「実は、極端な主張をする一部の論 者を除けば、リフレ派と反リフレ派の間で、世間で考えられているほど認識上の隔た りは大きくないとあります。例えば、量的緩和が物価に影響を与えても限定的だと認 めるリフレ派の学者は少なくない、インフレ目標を掲げるなどして「期待に働き掛け る(人々の予想を変える)」ことの重要性を強調するのも量的緩和だけではあまり効 果はないという認識があるからだ。」ともあります。

とりあえずの中庸的な評価は英FTのコメントでしょうか。日銀緩和政策に対して政府 が適切な改革を実行しないと頓挫するリスクがあるという事です。その政策とは、 “中期的な財政再建を進めるための信頼できる計画である。国内の投資家は国債の大 部分を購入してきたが、今後も続ける保証はない。政府は成長率を高めるような構造 改革を進めるべきだ。女性の労働参加率引き上げや移民の受け入れなどの処方箋は長 年認識されてきた。大胆な金融政策とともに、今こそこうした措置を実行に移すべき ときだ。”とあります。

そういえば法人税率の引き下げもたな晒し状態ですね。混合医療も。経済学は素人で すので何もコメントできませんがFTの主張は納得できます。

それにしても何をインセンティブに霞が関の官僚は利権集団のために規制緩和を骨抜 きにし、実行できないようにするのでしょうか。まだ利権が自分に付いてくると思っ ているのでしょうか。悲しい人生ですね。前向きに日本を変えることに人生の時間を 使うと幸せになれるのに。

無論現実は複雑です。例えばTPPで農業全滅を声高に叫ぶ利権集団のJA、職員数は約 22万人ですが、専業農家は約45万戸だけです。また農業はGDPの1.5%です。ちなみに 先進工業国はフランス1.8%、米国1.1%、ドイツ0.9%です。人口比率は2.4%で先進国で は1位。この手の数字が大きいのは中国、インドです。この数字をどのように俯瞰的 に認識するのかですが、先進国並みの農業政策を考える時ではないでしょうか。欧州 もかなり手厚い保護をしていると思いますが。日本の農業は意外と競争力があるので はないかという視点も必要ではないでしょうか。攻めの戦略がありませんか。昔のオ レンジ自由化とみかん壊滅論争を思い出いします。


ポール・クルーグマン米プリンストン大教授インタビュー

ジョージ・ソロス氏が、CNBCのインタビュー

リフレ政策 論争(有料会員)

英FTの記事

英FTの記事2


◆気に入った言い回し◆

ポール・クルーグマン米プリンストン大教授の日経新聞のインタビューの記事に、 気に入った言い回しを見つけました。
『語るべきは自らの決意であり、自身の無力さではない』
「出来ない理由は聞きたくない!」という品位のないフレーズよりずっと品格があり これから使いたいと思いました。あくまでフレーズであって主張とは関係ありません。



◆北朝鮮の挑発にどう対処するのか◆

北朝鮮の挑発も限度を超えています。米国との交戦に繋がるミサイルは発射しないだ ろうという観測ですが、歴史を見れば1発の銃弾で戦争は起こっていますので現場の モノの弾みが怖いですね。
中国も完全に北朝鮮のコントロールは失っているようです。今まで寛容すぎたのです。
最近、英国とカナダ、豪州が北朝鮮情勢に反応してきました。この3国はアングロサ クソン系諸国で古くは朝鮮戦争、ベトナム戦争、そして米国のイラク戦争でも必ず米 国と共同作戦を取ってきましたから、既に万一の時の共同作戦を準備しているのかも しれません。リスク管理の能力は日本とは比較できないほど実戦的ですから。

いま中国共産党が北朝鮮を見放しつつあり、むしろ積極的に朝鮮半島のイニシアティ ブを取るべきだという情報も流れています。北朝鮮「見捨て論」を唱えたのは、中央 党校の機関紙「学習時報」のトウ聿文副編集長です。2月27日付の英紙フィナンシャ ル・タイムズに、「中国は北朝鮮を見捨てよ」と題した寄稿を発表したとの事。その 論調は過激で、“改革をやろうとしない北朝鮮が破綻するのは、時間の問題だ。北朝 鮮側はもはや、中国を盟友とは思っていない。米国に対抗するバッファーとしての北 朝鮮の価値は失われた。将来、米朝が接近すれば、朝鮮は核兵器を中国に向けかねな い。中国は北朝鮮を見捨て、朝鮮半島の統一を主導すべきだ、つまり、北朝鮮を見放 し、韓国による“吸収合併”を主導しろ。“

この投稿のあと罷免されたという事ですが暗に中国の習近平体制の本音ではないかと いう事も言われています。詳細は下記のURL(日経有料会員)。

この記事を読まれる頃にはこの問題は決着がついているように思いますが。一言。


欧州の北朝鮮情勢への関心

中国の北朝鮮見捨て論


◆中国の挑戦◆

鳥インフルエンザが広がっていますが、中国以外のベトナムやアジア各国は食料品の 市場がスーパーマーケットに代わって食品の流通を担っていますが、生きた動物を販 売しています。観光客として見物するのは趣がありますが、衛生上は問題でこれがな くならない限りこの問題は再発しますね。極端に云えば人間と動物が一緒に生活して いるようなものですから。ただ最近になって問題になっているのはウィルスの進化で しょうか。

やはり中国で深刻なのはやはり大気汚染、水質汚染、土壌汚染です。相変わらず空気 汚染は深刻です。下記のURL見てください。こんなサイトがあります。中国でこのサ イトを見られるか判りませんが世界はリアルタイムで中国の汚染状況を見ています。

中国工程院の鐘南山院士は中国中央電視台(CCTV)に出演し、中国の大気汚染は2003 年の新型肺炎(SARS)以上に恐ろしい、誰も逃れることはできないと警告したとあり ます。

鐘院士によると、“北京市の肺がん患者数は過去10年間で60%増加した。この背景の 一つとして大気汚染があるという。また、喉頭炎や鼻炎、目の疾患の要因にもなって いるほか、今後はより重大な健康被害が出現するだろうとコメントした”とあります。

加えて、土壌、水の汚染もすさまじいです。「がんの村」は全土で少なくとも247カ 所に及ぶ、という事を公式文書で認めています。

新執行部は経済成長と国民の健康・生命という厳しいトレードオフの意思決定を迫ら れています。これに適切に対応できなければ共産党の独裁体制が揺るぎます。すでに 新首相は過去の高速経済成長の政策を反省し7.5%の経済成長を宣言していますが、 国営企業の中枢を占拠している共産党員の利権集団を押し切れるのか懸念があります がやると思います。やるしかありません。習近平主席も、博鰲アジアフォーラムで財 界首脳らに「成長を早めるのは不可能ではないが、われわれは早すぎる成長は望んで いない」と演説しています。

それでもまだ中国政府は全国で工業の大規模拡張、石炭発電、自動車販売の奨励を継 続して大気汚染がさらに深刻化することをある程度黙認するのでしょう。

祭りの爆竹が大気汚染の原因の一つなどと、汚染について下手な情報操作を行うと、 大変な結果になりかねませんし、反日に振ることもできません。ただ注意すべきは、 一部中国メディアには、大気汚染の元凶は日本にある、という反日論説もあるようで す。日本から汚染物質が飛来した、日系企業の工場排気が原因だというような、とん でもない事をネットで、反日を煽る勢力がいるようですから要注意です。

中国のもう一つの挑戦は外交です。先日中国の方と話した時に、中国包囲網の話が出 ましたが、私は、誰も中国包囲網をつくらないのに、中国が自分で包囲網を作ってし まったのではと、問いかけました。日本以外もモンゴルとの関係もよくありません。 台湾、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、そしてインドとの外交関係は冷えていま す。特にインドとは何回か交戦していますし、ベトナムとフィリピンとは南沙諸島の 領有では戦力を使った実力行使で厳しく対立しています。この状態は中国の発展に大 きな障害になります。これも多分習近平は何とか打開してくるともいます。十分賢い 人でしょうから。


中国大気汚染リアルタイムマップ

日本大気汚染リアルタイムマップ

習近平の海南島の演説

がんの村

汚染は日本が元凶だ?

南沙諸島


◆影の巨大小売業◆

あまり知られていな巨大小売業があります。それは自販機です。日本は自販機大国で す。設置台数は米国が約700万台で日本は約500万台です。販売金額は、米国は約3.5 兆円に対し日本は約5.3兆円です。半分近くが飲料です。設置台数と販売金額は近年 減少していますが、5.3兆円ですよ!あのイオンの売り上げも5.6兆円です。

ちなみにこの金額は世界中の工作機械の売り上げと同じですし、日本の家電量販店の 全部の売り上げは約7兆円ですから、いかに巨大かお判りになると思います。残念な がら自販機の製造企業は薄利のビジネスです。技術とビジネスは相関係数が低いです ね。技術屋と機械屋は恵まれません、水商売しますか!

また、500万台全部ではありませんが中には携帯電話網で各商品の売り上げ情報をリ アルタイムで送信している自販機もかなりあります、そして情報提供しています。 各種のセンサーを搭載するとこの自販機は街の情報収集のステーションに出来ます。 どう使いますか?




自販機データ

◆今年も東大俯瞰経営塾開講◆

今年も4月11日から東京大学の技術経営戦略学専攻の学生を中心に俯瞰経営塾を始め ました。技術経営戦略学専攻の正規の講義として5年、退官して単位のない自主ゼミ として5年目ですから10年目ですね。ここは22-3歳まで鍛え抜かれた日本刀のような 人材に砥ぎを入れて刃をつけて切れ味を出す最後の工程です、また別の言い方をす れば実社会という戦場に出る前のブートキャンプです。

人材に砥ぎを入れて刃をつける?これは、情報の収集、分析、編集(提案、行動計 画)のスキルの研鑽です。知識の提供は最低限にしています。

例年と同じ第1回はお辞儀の練習と自己紹介のトレーニングです。社会に出る瞬間が これですから。ただ殆どだれも指導を受けたことがありませんからまともにできる 人はいません。

今年はいきなり厳しい焼き入れが入りました。全員自己紹介が終わった後で、だれ の自己紹介が一番よかったか挙手で投票しました。殆どの人は挙手ゼロです。自分 が思っている事と世間の評価の乖離を実感してもらうためです。教室だからできる ことで世間は直接フィードバックをくれないで陰で勝手に評価しますから、それを 明示的に見るためです。これは本当に厳しいです。

毎回チームの課題に対するプレゼンテーションしますが、最後にどのチームがよかっ たかこの挙手の評価をします。先生の評価ではなく教室の評価を勝ち取れと。評価 基準は設定してあります。1課題に答えているか、2言明がデータに裏打ちされて いるか、3主張が論理的か、4プレゼンテーションとして洗練されているか、です。

そしてこの後夏学期を通じて研究する企業を各チームに決めます。今年は5チーム です。これまでハイテク業界や、IT業界、モバイル業界などは対象にしてきました が、今年は地盤変動と革命の時期のメディア業界にしました。新聞、テレビ、広告、 出版、ネットから代表選手を選びます。日経新聞、フジテレビ、電通、講談社、サ イバーエージェントを各チームに選んでもらいました。

このゼミは東大の工学部2号館で毎週木曜日の午後開講です。特にご興味ある方は ご連絡ください。参観、参加も考えます。
ゼミの内容は「東京大学の俯瞰経営学」をご参照ください。


http://www.fukan.jp/


◆道志村でマイクロ水力発電のプロジェクト◆

山梨県の道志村は丹沢山系の北にある道志川に沿って細長く伸びる谷間の村です。葉の葉 脈のように村を流れる道志川は横浜市の水源の一つで約10%供給しています。昔から道 志川の水は質がよく横浜港に寄港する外国船では赤道を越えても腐らない水として有名だ ったそうです。山林の約36%は横浜市の所有です。明治の時代に市が大金を払って購入 したとの事です。

この豊富な水資源を活用して道志村にプラチナ社会のモデルを作ろうとプロジェクトを始 めました。その核になるものが道志川でのマイクロ水力発電です。このプロジェクトを始 める動機はいくつかあります。

まず、大田昌博道志村長が小宮山宏先生の提唱するプラチナ構想ネットワークの会員にな り、約 30 人の村役場の職員中から、プラチナ構想を実践する人材育成プログラムのプラチ ナ構想スクールに既に 4 人派遣し、その卒業生が道志村でのプラチナ構想の実践に始動し ています。

次に、九州工業大学の金元敏明教授のグループが開発してきた、“相反転方式発電機“との 出会いです。水車の羽根車を同軸二重の二段にして、互いに逆方向に回転する電気子を直 接駆動するため回転力が相殺されますので、発電機を固定する大掛かりな土木工事が不要 になり、初期投資が大幅に削減されますので、高い経済性が期待できます。

既に専門家の現地調査で有力な適地を 3 か所設定しまた。山間の河川には土石流を防ぐた めに数多くの砂防堰があります。この 3 か所は何れも砂防堰です。落差は 10 メートル近く 取れます。眠っている資産です。農業用水も調査しましたがかなりの水量でもやはり 3KV 位しか期待できませんので今回は外しました。

これからすることは、まず河川管理の役所との交渉とファイナンスです。そして技術的な 最終的な検証です。そしてこのマイクロ水力発電を核としたトータルなエネルギーシステ ムの設計です。目標は村役場、小中学校、公民館、道の駅という公共施設の電力をすべてこのシステムで賄う事です。

4 月から本格的に推進しますので継続的にこの俯瞰メールで進捗を報告いたします。 横展開に興味ある方、興味本位の野次馬的な参画も歓迎します。 ここでプロトタイピングして全国、アジアに展開するのがビジョンです。


道志村

プラチナ社会

プラチナ社会2

相反転方式

相反転方式2

相反転方式3



◆防府で美味しいフグを食しました◆
三月はフグの季節の最後ですが、防府で美味しいフグを食しました。店の自慢の釣りのフ グです。釣りのフグは針が残っているからと針を見せてくれました。東京より厚く切った 刺身はそれでも透き通っています。フグは防府が一番ということでした。

フグを食しに行った訳では有りません。防府のマツダの工場を見学するためです。30 年ほ ど前、マツダとIBM で次世代生産システムの共同研究プロジェクトをしました。その中で 私はマツダの生産技術者とエンジンの次世代機械加工システムの概念設計をしました。当 時の常識はトランスファーマシーンという工程が直列に繋がるシステムです。随所にバッ ファーを入れますが、所詮どこかでトラブルが発生すると全てが停止です。また、混流生 産がほとんど不可能です。

一方当時流行のFMS(Flexible Manufacturing System)は柔軟性が高いのですが、生産 性が低いです。そこで、トランスファーラインの生産性とFMS の柔軟性をもつHV-FMS とい う生産システムの概念設計をしました。関連の基礎研究も大学としました。二人とも30 代でした。

そのあと私はプロジェクトを離れましたがマツダの生産技術者は苦労してこのHV-FMS を実 現しました。現在のマツダの機械加工システムは全てHV-FMS だと思います。その変速機の HV-FMS の生産システムが防府工場にあります。多分10年近く前の構築だと思います。そ れをその技術者だった方のご案内で見に行きました。感動ですね!

この生産システムの要素であるマシニングセンターは汎用品ですが、そのメーカーはこの 生産システムを見ることも許されていません。機械を据え付けて帰るだけです。システム として組み上げるのはマツダの生産技術陣です。

現時点でも世界最強の生産システムです。他分野にも応用出来ます。防府からマツダの全 世界の車体組立工場に変速機を供給しています。

多分この生産システムは他では構築できないでしょう。大きな要因は組織的な技術の蓄積 です。防府工場の技術者は殆ど防府生まれで、防府育ち、そして基本的にずっと防府工場 勤務です。すべての技術とknow-how はこの技術陣に沁みこんでいますからほかが模倣でき ません。これも一つの日本式製造業のモデルです。見学のあと一緒に美味いフグと美酒を 大いに楽しんだわけです。酒の肴はなんと古代日本史、出雲でした!



◆頭のよくなるクッキング14◆
キャベツはデザイナー・フードピラミッドでもニンニク、生姜、ニンジン、大豆、セロリ と並んで最も抗がん効果が高い野菜という事になっています。ニンニク、ショウガは積極 的に色々な料理に使っていますし、ニンジンとセロリは毎朝ジュースにして飲んでいます。 また大豆は豆乳と納豆を毎朝取りますが、キャベツがなかなか毎日の朝食に入れることが 出来ていませんでした。最近簡単で美味しいあるキャベツの料理を楽しんでいますのでそ のレシピを紹介します。

フライパンか中華鍋に油を大匙2 杯程度入れます。私は品種改良型のベニ花オイルをつか っています、熱に強いオレイン酸でリノール酸は少なめです。リノール酸は一時コレステ ロールを下げるとしてもてはやされましたが現在では減らす必要があるとされています。 市販の食用油はリノール酸が多いですね。その点ではバージョンオリーブオイルが良いで しょう、鍋の油にニンニクの薄切り1 片分、唐辛子1 本、アンチョビのフィレ4 本ほど入 れ中火で香りをだします。色付いたニンニクと唐辛子を取り出し、そこにザクザクに切っ たキャベツを入れ焼くように炒めるだけです。量が減りますから2 人分でもキャベツの葉 を4-5 枚でもいいでしょう。ニンニクは皿にもってから戻します。

これが美味しいのです。好みで胡椒は降りますが、塩味はアンチョビだけです。


デザイナー・フードピラミッド

オレイン酸については下記の頭のよくなるクッキング5

リノール酸は減らしましょう



◆デジタル書斎の構築20◆
情報源としてテレビの番組も重要だと思っていましたが、これまで時間をあまりかけてき ませんでしたし、システムも不備でしたので今回テレビ情報収集システムを大幅に強化し ました。

“まるっと全録”とか“タイムシフト”とか、“チャンネル録画”と呼ばれる自動録画の新 型のレコーダーです。
“まるっと全録”はBUFFRO の製品で8 チャンネルを8 日間自動で録画します、HDD は2T。 “タイムシフト”は東芝の製品で、地デジ6 チャンネルを自動録画します、HDD は5T。“チ ャンネル録画”はPANASONIC の製品で地デジ、BS/CS 併せて6 チャンネルを最大16 日間自 動録画しますという事で、HDD は2T。ただ録画時間は画質によりますから実際は1 週間く らいでしょうか。

これを導入すると、録画予約という概念がなくなります。過去1 週間、10 日のすべての番 組を見ることが出来ますから。画期的です。古いものは自動で消去されますから残したい 番組はHDD の別のエリアかディスクに保存します。BS/CS は局数が多いので何れも選択です が、東芝はBS/CS は自動録画が出来ません。

何が便利かというと、時間遅れでいつでもニュースが見られます。意外とこれが便利です。 時間の拘束がなくなります。つまり10 日間の過去形の情報を現在形の情報にしてしまうの です。これはイノベーションですね。

1 週間分過去の番組表を見ると、数少ないですが幾つかは今まで気づかなかったいい番組も 見つかります。E テレの講座など。

質の良い情報として、クローズアップ現代、NHK スペシャル、サイエンスZERO、世界のド キュメンター等を注目していますが見逃すことはなくなりました。実に貴重な情報が多い ですね。空いた時間が有効に使えます。

でどの機器にしたのか?東芝のDBR-M190 です。最初一番安価のBUFFALO のDVR-Z8 を買い ましたが、初期不良でトラブル続きです。サービス窓口に問い合わせると人気商品で代替 品はないという事でしたので返品して、東芝のDBR-M190 にしました。発売時期は1 年以上 も前ですが、当時20 万円くらいが今は10 万円くらいです。流石作りが違います。HDD が 5T です。PNAOONIC のBXT3000 はごく最近の発売です。しかしHDD は2T です。画質を落と すか、外付けのHDD が必要です。店頭価格は10万を超します。

ただ東芝はBC/CS は自動録画ができないのでシリーズのNHK/BS の番組は連続録画の機能で 対応しています。またBS/CS にチュナーが2 個ですから、手持ちの数年前のSONY のレコー ダー“スゴ録”RDZ-D90 の連続録画も動員します。これもある意味実は自動録画でキーワー ドを登録しておくと適当に録画しておいてくれます。

と云うわけで書籍とはまた違う圧倒的は情報量の情報収集システムを電子書斎に装備しま した。あとは成果物ですがまたご報告します。


◆書評◆
今月のご紹介は、
「ソーシャルデザイン」 グリーンズ 朝日出版社 2012 と
「コミュニティデザインの仕事」 studio-L 株式会社ブックエンド 2012
です。

地域振興のプロジェクトを推進していますが成否はそれを推進するコミュニティーを組織 化できるかです。最近この事は十分認識されてきて今回取り上げたような本が幾つか上梓 されています。ここに紹介した2 冊は本格的な書籍というよりブログの集成のような建付 けですからすぐ読めます、参考にあると思いご紹介します。

「ソーシャルデザイン」の要旨は章立てそのものです。
第1章 「自分ごと」から始める
第2章 「これからの○○」をつくる
第3章 行動をデザインする
第4章 「新しいあたりまえ」になる

第1 章では社会の課題を「自分ごと化」する、ホリスティックに状況を捉える、というTIPS です。第2 章「これからの○○」を想像するでは、一石二鳥以上のアイディアを考えると あります。第3 章では、思い付きをカタチにする、雨にも負けず、プロトタイプを繰り返 す、がTIPS です。第4 章の締めのTIPS は、座右の「問い」で自分を振り返る、です。い ずれも豊富な事例で解説していますからとてもわかりやすいですね。その事例は地域振興 の様々なプロジェクトです。

この構成を俯瞰的にまとめてみると、まず社会の課題を主体的に認識して、その解決策と して知恵を絞った行動計画を立案し、その計画を粘り強く実行する、その過程では自分が 設定した評価基準を絶えずチェックして現実に流されずゴールを外さない、という事でし ょうか。この後は読んでください、参考になると思います。

「ソーシャルデザイン」は
の興味深い豊富な事例にも関わらず、基本は上で紹介したように「プロジェクト設計原論」 ですが、「コミュニティデザインの仕事」は地域に入り込んでプロジェクトを企画していく 極めて実戦的なマニュアルです。通常の書籍と異なり、途中随所にページを飛ばして読む ジャンプがあるのでその点読みにくいですね。これこそ電子書籍で出版すべきだと思いま す。ドラマ仕立てになっているので解り易いのですが。

地域コミュニティーをつくっていくプロセスの生々しい経験知が一杯です。技術用語や専 門用語は脚注に丁寧な説明がありますので門外漢でも十分理解できます。私も今後のプロ ジェクトの参考にしたい技法をいくつも見つけました。

地域振興のプロジェクトの成功要因は、“バカ者”、”若者“、“よそ者”の存在といわれま す。地域住民をその気にさせてコミュニティーを強固に組織し自律的に地域が地域振興を 推進するまでが“よそ者”の仕事です。自立した地域コミュニティーの推進者は“バカ者” (自分の損得を顧みず地域コミュニティーのまとめ役として奔走する人)、と ”若者“(実 行部隊)です。
地域振興の実践に興味がある人にはお薦めの2 冊です。



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◆俯瞰 MAIL 0023号(2012年11月19日)
発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL: http://fukan.jp
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※本記事は松島克守氏の許諾を得て、再録したものです。


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