名門コダック倒産は他山の石
俯瞰工学研究所の松島克守のメルマガです。第13号を送らせていただきます。
◆このメールマガジンは、松島克守が、東京大学教授、そして(社)俯瞰工学研究所の代表としてこれまでに名刺交換やメール交換をさせて頂いた方々に送らせていただいております。またこのようなMLはメールボックスのご迷惑と感じられる方もあるかと思います。ご遠慮なく不要のお申し出をくださるようお願いします。また、内容等についてもご遠慮なくご意見をいただければ幸いです。
皆様
◆季節のご挨拶◆
新年おめでとうございます。寒さ厳しくなり冬の本番ですね。ヒートテックを三枚重ねるという人もいます。省エネルギーは日本の文化です、世界中に普及させましょう。
俯瞰メールを始めて1年経ちました。ひと月が短いですね。あっという間に次の原稿を書くことになります。頑張ります。本年もよろしくお願いします。今年から関連情報のURLを出来るだけ紹介するようにしたいと思います。
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・ブレア首相の「私の履歴書」
・名門コダック倒産は他山の石
・ミャンマーの変化が凄い
・インドと中国の差異
・消費税反対で離党の方々の財政再建の提案は?
・プラチナ構想ハンドブック出版しました
・デジタル 書斎の構築5
・書評 : 「クリエイティブ都市論」
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◆ブレア首相の「私の履歴書」◆
新年からの日経新聞の「私の履歴書」は、元イギリス首相のブレアです。自伝特有の臭みがありますが、報告としての内部事情は興味深いですね。政治家としては先輩だったブラウン元蔵相、首相が暗愚であるように紹介されています。我々のイメージと差異ありませんが、我が国の最近の首相たちも海外では暗愚であるように紹介、認識されているのでしょうか。政治家になるキャリアパスが興味深いですね。若い時の人との出会いが凄く重要だという事を再認識しました。メンターとの出会いが重要なことです。身近に適切な人物がいればメンターになる、メンターをお願いする、そんな文化を作る必要があります。自立を求める家庭環境や変革への強い情熱は伝わりますが、一方強い権力への野心は、薄めて記述されています。政権について直後の時期の次の言葉が印象的です。
「官僚組織はうまく指揮すれば強力な機構になる。官僚たちは知的で勤勉で公共への奉仕に献身している。ただ、大きな課題に対し小さな思考しかできず、組織が跳躍を求められるときに、少しずつしか動かなかった」
大企業でもいわゆるスタッフ部門がこうなると、傾きますから、これを打破していくリーダーシップが、TOPの条件でしょうか。
15日は北アイルランド和平です。この歴史的な成果はブレア政権の最高の業績として記憶されるでしょう。なぜ、イラクに派兵したかは別の視点から興味深いです。
http://www.local.co.jp/news-drift/comment-wahei.html
◆名門コダック倒産は他山の石◆
写真フィルムの名門コダックが倒産する?との報道が入りました。私が学生のころは富士フイルムが、圧倒的な業界の巨人だったコダックの日本進出におびえていました。
デジカメが普及して約20年今更、その波に乗り遅れて倒産とはよく言えますね。そしてフィルム事業部がなくなった?この20年の経営責任はどうなっているのでしょうか。
因みに、インドIT企業の上位6社はサティヤム・コンピュータ・サービス、ウィプロ、インフォシス・テクノロジーズ、TCS:タタ・コンサルタンシー・サービシズ、コグニザント、HCLテクノロジーズです。このほとんどがバンガロールに巨大な拠点を持っています。IT産業はインドのGDPの4%弱にあたる約二百億ドルに達しているという。
失われた20年ではなく、動かなかった20年でしょう。決めない、撤退しないという、経営風土は日本経営の悪い部分と共通ですが。「大きな課題に対して小さな思考と行動しかできない経営中枢は」は国の文化ではなく、成功してのち、スタッフが官僚化するというモデルは、国を超えた普遍的な悪しき経営のモデルなのでしょう。しかし、時代は激変です。ビジネスの基盤のフィルムが不要になった業界です。似たことは起こっています。LPからCD 、音楽CDからネットへ、そしてTV業界も電波からインターネットへとなだれ込むのか。それに伴う広告業界の激変、さらに紙の書籍から電子書籍へ。ガソリン車から電気自動車、既にいっぱい起こっています、ガラパゴス携帯からスマフォへ、そしてノキアの没落、・・・・時代に同期できない企業は滅亡する!
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPTYE80C04120120113
◆消費税反対で離党の方々の財政再建の提案は?◆
国家予算の半分が借金の国債というとんでもない日本の状況で、のんびりEUの状況を対岸の火事としてみているのでしょうか。消費税増税反対で、財政再建の対案もなく離党していった議員たちは何を考えているのでしょう。まさか自民公明も増税反対ですか、とすればあまりにも無責任です。政治家ではなく、政局家ではないでしょうか。
消費税増税で買い控えが起こり景気後退でかえって税収が減るとか、いろいろあるかもしれませんが、もう待ったなしです。フランス国債も格下げです。次は日本ですか。
野田首相には財政改革で政治生命を完全燃焼して頂きたいですね。心有る国民は喜んでその骨を拾うでしょう。国民に人気のあるばらまきのマニフェストで政権をとったとしても、それをバカのように守るという、バカらしい主張よりも、今ここで正論を推進しましょう。次の選挙は政党ではなく、正論派と愚論派の仕分けが国民のミッションです。結局一番無責任なのは国民です。特に人生の影響をまともに受ける若い人は積極的な発言と行動をして欲しいですね。学生運動がキャンパスからなくなった今それに代わる行動主体が必要だともいます。
◆ミャンマーの変化が凄い◆
ミャンマー政府は12日、少数民族武装勢力「カレン民族同盟(KNU)」と停戦に初合意したと伝えられました。1949年から独立闘争を続けてきたKNUとの停戦で、反政府の6勢力が停戦協定に合意したことになります。加えて、13日に全政治犯を釈放したという報道がありました。ミャンマーの「国民的和解」が大きく前進しました。これで、欧米諸国が軍事政権に対して長らく科してきた経済制裁が解除されます。14日、米国はミャンマーに駐在大使を派遣すると発表しました。欧米の経済制裁下で経済が疲弊し、その支援という形でミャンマーに勢力を広げてきた中国の戦略が転機を迎えたという事になります。これで中国に影響が強い国はアジアではカンボジアもしくはラオスだけになります。従って米国と中国の対峙の緊張感が厳しくなります。軍事的な力で覇を競うという、まったく時代遅れのパラダイムから両国が脱却しないとしょうがないですね。中国もこれだけ貿易でグローバル化した状態では、海軍力でシーレーンを守るという19世紀的な戦略は意味がなく、地域の安定化が唯一の選択肢ですから、不安定で過激な独裁制を時間掛けて平和的に民主化して行く行動が正しいはずです。米国、中国、日本、韓国、ロシアが協力して、まず北朝鮮からやりましょう。であれば米国と中国は協調できる部分があります。ただ、米国も古いですね。
一方、今後一気にミャンマーは経済成長する可能性が出てきました。ビジネスモデル学会では、5月の末にミャンマーに視察に行く計画を進めています。興味ある方はビジネスモデル学会のHPに注目してください。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/106330.html
◆インドと中国の差異◆
インドと中国、いずれも10億を軽く超える人口と経済成長で世界経済を牽引する期待を担っていますが、意外と大きなコントラストがあります。10億を超える分母を両方とも持ちながら、実に1998年まではインドの方が僅かに1人当たりのGDPは中国より大きかったのですが、現在は、中国はインドの約3.5倍です。この20年の差はなんでしょうか。取り分けこの10年の中国の成長は目覚ましいものあります。インドは世界最大の民主主義を標榜し、一方中国は共産党独裁です。ここで注意したいのは胡錦濤の個人の独裁ではありません。集団指導体制です。プーチンの個人独裁の色が強いロシアの経済は停滞気味です。アラブの独裁の経済は論外ですが。中国の胡錦濤の10年、今年は世代交代します。課題は山積ですが、こうしてみるといい仕事をしたように思えます。新興国の一つのモデルになるのかもしれません。日本の明治はもしかしたら似たモデルだったのでしょうか。
次の政権も暫くは今の延長で行くと思いますがこの10年以内に中国は一つの峠に達すると思っています。資源と社会の成熟速度が、成長の限界を与えるでしょう。それがいつなのか、今一番興味を持っていることです。例えば、現段階では中国でOECD並みの所得、即ち年1万ドルを超える人口はほぼ日本に匹敵する1億人強ですが、これがどこまで行くかです。3億人とみれば到達点は日本の約2.5倍の経済規模です。4億人とみると、4倍になり、最近英銀最大手HSBCが発表している、2050年中国のGDPが約25.3兆ドル日本の6.4兆ドル、の数字にほぼ合います。ただ2050年の前に峠があると思います。思い出してください、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代があった事を。今年はこの研究をしたいと思います。また経過をご報告します。
http://ecodb.net/tool/imf_weo_compare.html
(上記のサイトの「経済推移グラフ作成(比較)」でインドと中国を条件設定し、グラフを表示させてみてください。)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5134
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/26342
◆プラチナ構想ハンドブック出版しました◆
プラチナ構想ハンドブックを日経BP社から出版しました。書店とAmazonでお買い求めください。
プラチナ構想ハンドブックは、紙による書籍に加え、豊富な参考資料を付加し、かつ、適時改訂していく電子書籍としても出版を予定しています。さらに多くの人が編集に参加できる、サイトとしても情報発信します。
加えて、プラチナ構想ハンドブックは、これまでにないWEB メディアとして設計しました。基本は、情報の蓄積、分類、検索を、ICT をベースにして構築し、そして、情報要素の相互がサイトの内外の情報と、ハイパーテキストとしてネットワーク構造を持つ、WEB サイトとして情報発信を行います。したがって、読み方、視方(みかた)、見え方、そして理解はその人によることになります。
プラチナ構想ハンドブックの情報発信は一方向的ではく、読む人、編集する人、自分の情報を発信する人の交流と議論の場も用意します。このWEB サイトにはその仕組みが用意されています。
プラチナ構想ハンドブックのサイトは、12月28日オープンしました。今回はまだ情報発信の機能だけですが、次のステップで参加型にしていきます。オンラインでの編集参加も大歓迎です。既に機能は組み込んでありますが、支援系スタッフの整備が出来ていませんのでその部分は公開していません。ともあれ見てください、そしてコメントを下さい。そして本もぜひお読みください。
http://www.platinum-handbook.jp/
[目次]
提言 プラチナ構想 小宮山宏
第1部 21世紀のパラダイム
爆発する知識
有限の地球
高齢化する社会
第2部 日本が今目指すべきこと
坂の上を目指した時代
エネルギーと資源の自給率を上げる
持続可能なエネルギーシナリオを実現する
リサイクルで資源の枯渇に対処する
環境を保全し農林水産業を再生する
創造型需要の新産業を指向する
新産業をイノベーションで創成する
第3部 現場からの報告
プラチナ社会のモビリティ
創造的ビジネスをめざしたスマート林業の展開を
低炭素時代の建築ZEB
学校からはじめる確実なエコが、やがて大きなムーブメントへ
救急現場からみた日本の医療
留萌市の医療ネットワーク
活力ある高齢化社会のための食と健康
ICT による地域経済の活性化プロジェクト
プラチナ構想スクールの実施
◆デジタル書斎の構築5◆
年末年始はデジタル書斎の大掃除で忙殺されました。電子情報の悪いところは形がなく、現在のようにハードディスクの容量が多いと不要なファイルや、本人も何に関するファイルか判らないファイルが大量に貯まってしまう事です。で、肝心な時、必要なファイルが見つからないということになります。
まずDropboxに入れてあるマイドキュメントの整理、実は難しいのはフォルダーをどう構成するかですが、深くすると見つかりにくいので、フォルダーの下に1段階しか作ってありません。これは使い込んでいるのでほぼある安定状態になりました。人脈の名刺も、全て見直して一つのファイルに統合して、重複したファイルは削除しました。約2000枚。。
写真が未整理でしたのでその作業を始めました。1999以降はデジカメですので簡単です。GoogleのPicasaをインストールすると、自動ですべての写真を探し出してデーターベースにしてくれます。あっという間です。約7000枚でした。量も整理もデジタルは凄いです。これから良い写真を選択しながら、アルバムを創って行くことにします。無論、まだ未完成です。。
問題は結婚以来の家族の写真がアナログで1975年から1999年分ありました。まったくの未整理で、印画紙とフィルムと合わせて古いスーツケース一杯分です。フィルムだけ抜き出してみましたが約2400コマ。フィルムスキャナーでデジタル化するつもりで10年前にCANONのフィルムスキャナーを購入したもののお蔵入りです。時間がない?。
ある友人曰く、「時間があるときやろうとしたら一生出来できませんよ!業者に出せばいいのです!」解り易いですね。店に持ってきましたら退色処理含めて4800bpiで1コマ160円です。お願いしました。。
自炊したpdfファイルも整理しました。メールリスト、iPhoneの連絡帳も。この情報整理をしておくと、今年1年の自分の生産性がかなり向上します。残された貴重な人生の時間ですから自分の生産性が一番重要です。ですから、写真のデジタル化も、金額に躊躇しながらも外注もしました!
◆書評◆
今月のご紹介は、
「クリエイティブ都市論」リチャード・フロリダ 井上典夫訳 ダイヤモンド社 2009
本書は、 夜間光の衛星写真の分析の上に、GDPやイノベーションなどの経済データを重ね合わせる研究結果をもとに、世界の中で経済活動が活発な20?30の地域が、人口は5分の1にも満たないが、経済活動の3分の2、イノベーションの8割を産出していること、さらに上位10地域が、人口が世界の6.5%にも満たないが、経済活動の4割以上と、イノベーションの半分以上を独占している知見を披歴しています。こうした地域を「メガ地域」と名付け、世界はフラットではなく、少数の地域が経済活動で高いピークを形成する、スパイキーな世界であると主張しています。しかも上位5地域の2つは日本にあります。東京経済圏の2.5兆ドルと名古屋・大阪圏の1.4兆ドルです。九州北部と広域札幌圏も世界主要経済圏に名を連ねています。日本人が失いかけている自信を、改めて奮い立たせるような日本版への序文で始まります。
そして、第1章「住む場所の選択」では人生の選択を議論しています。それは、まず何をするか、即ち仕事。次に誰とそれをするか、即ち人生の伴侶。そして突きつけるのが仕事を誰と、どこで行うのか即ち、居住地の選択を迫ります。どこに住むかで仕事も恋愛も決まる、とまで言い切っています。ここが本書の論点です。極めて明快です。ネットワークの時代は「世界はフラットになる」、そして地理的な影響は少ないという最近のパラダイムと真っ向勝負です。さらに、本質はライフスタイルの選択であって、地理的な優位性に影響されない仕事や、ささやかな生活費と素晴らしい自然環境に恵まれた地域が沢山ある事も認めていますが、人生の選択という強烈な意思決定を読む人に迫っています。そこまで考えて人生を選択してきたかです。私事で恐縮ですが、私は大学院を修了して就職をするに当たり、仕事は専攻が生産技術という事で当時既定というか選択済みでしたが、東京に住み続ける事を固く決め、都心から30分に住み、郊外に通勤30分のジェットエンジンの工場の生産技術のエンジニアの仕事を選択しました。仕事はそれからいくつか替りましたが居住地域はほぼ同じ渋谷文化圏です。結果として、人生の伴侶もこの流れの中で決まることになります。家族の教育も生活も、そして現在の全てがこの「居住地の選択」にあったことを改めて再認識させられました。
第2章「スパイキーな世界」では世界はフラット化していない事実として、1900年では14%であった都市部の人口は、現在、先進国では人口の4分の3が都市に住んでいる事、世界経済の舞台で発展可能な地域はごく一部であることを主張しています。因みに13億人の中国も既に都市人口は半分になっており、経済成長が著しいのは、北京、上海、広州の3地域を筆頭とした上位10地域です。
さらに地図の上に、人口データを乗せ、それに、夜間光の密度の衛星写真を重ねる手法で世界の経済活動が極めて盛んな20-30地域を抽出しています。夜間光即ち衛星から見える夜間の光量はその地域で経済活動に比例することが解明されています。俯瞰工学研究所のサイトに東京大学の俯瞰工学研究室時代の研究成果を「アジア経済俯瞰:衛星写真」として公開していますのでご参考に。こうして序文にある、20-30の「メガ地域」が同定されています。特に大きな「メガ地域」は、ボストン―ニューヨーク、シカゴ―ピッツバーグ、アムステルダム―アントワープ、ロンドン―マンチェスター、そして前述の日本の東京経済圏と名古屋・大阪圏の2つです。
さらに重要な分布はイノベーションの分布、即ち特許の数と世界的な科学者の分布で、地域はさらに絞られてきます。才能が集まる地域です。東京、ニューヨーク、サンフランシスコに続いてボストン、シアトル、オースティン、トロント、バンクーバー、ベルリン、パリ、ストックフォルム、ヘルシンキ、大阪、ソウル、台北、シドニーです。インドのバンガロールと北京そして上海は最近の伸びが著しく才能が集積する地域です。イノベーションには地理的な才能の集中が依然として重要であることを指摘しています。クリエイティブクラスの人々は集中します。才能を引き付ける「持てる」地域と才能の流出が止まらない「持たざる」地域が仕分けられているのです。そして著者は、で「どこに住むの?」という突込みをしてきます。
第3章「メガ地域の台頭」での主張は都市の連携で形成された以上の「メガ地域」が、国家や都市を超えた新しい経済単位として集積を活かしてイノベーションをリードすると言明し、具体的な世界の「メガ地域」の分析を紹介しています。残念ながらモノクロ印刷であるため、印象が弱いので、本文末にあるURLで夜間光を見ると感覚的に理解が深まるでしょう。また原論文に挑戦するならば文末のURLにpdfの論文があります。おせっかいですが、パソコンではAdobe Digital Extensionをダウンロードして、pdfの論文は電子書籍として読むと読みやすいですよ。iPadではiBookで。
第4章「集積の力」では「経済の根本には集積しようとする力が働いているから、人間、生産力、創造的スキル、才能は特定の地域に集まり、それが経済成長の原動力になる」と説いています。何人かの経済学者の研究を引用しつつ、「才能が集積する都市が経済成長の最大の要因である」という結論に導いていきます。「経済成長は、拡大と発展にある、発展は差別化、拡大は規模や量の増大とあります、イノベーションの源泉は企業でなく都市である」というジェイコブスの言明を畏敬の念を持って紹介しています。「集積化により地域は選別されるがそれは必然的に人の選別になる」という言葉も意味深いですね。従って、「今後の世界経済の中心は一握りのメガ地域と高度に専門化された地域に再編される」と結論しています。この一握りの中に東京があるのですが、住んでいる人がその意識が薄いのが淋しいです。以上で総論の第一部が終わり各論の第二部、そして第三部では居住地の選択に関する助言と続きますが、これは読んで頂いた方がいいでしょう。でないと丸ごと要約することになってしまいます。具体的には、第5章 移動組と定着組、第6章 才能の集まる場所、第7章ジョブシフト、第8章 スーパースター都市と続き、第三部は、場所の心理学として第12章迄あり、第12章は最高の居住地を見つける方法、とまで具体的です。やはりアメリカの学者は読者に対するサービス精神が凄いですね。日本人の学者も見習いましょう、社会を変える、動かすのは学者ではなく市井の人々の納得ですから。
参考URL:
夜間光衛星写真
http://agora.ex.nii.ac.jp/~kitamoto/research/rs/stable-lights.html.ja
http://eoimages.gsfc.nasa.gov/images/imagerecords/55000/55167/earth_lights_lrg.jpg
http://visual.ly/language-communities-twitter
メガ地域の分析
http://creativeclass.typepad.com/thecreativityexchange/files/florida_gulden_mellander_megaregions.pdf
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下記まで webmaster@fukan.jp
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◆俯瞰 MAIL 0013号(2012年1月16日)
発行元: 一般社団法人 俯瞰工学研究所
発行責任者:松島克守
URL: http://fukan.jp
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※本記事は松島克守氏の許諾を得て、再録したものです。
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