第47回 サンフランシスコ/シリコンバレーにて−その2シリコンバレーの活気


 今回の出張のもう一つの目的はシリコンバレー訪問です。ここには、特にIT分野では世界有数の企業が集積しているのはご承知の通りですが、これら企業は、知財、それも特許権だけでなく意匠権の活用にも長けています。そこで、筆者はマイクロソフトジャパンにお願いして、マイクロソフトのシリコンバレーはマウンテンビューのサイトを訪問し、デザインパテントに関する戦略の一端を伺いに行ったのでした(写真は、ツインピークスからシリコンバレーのある南方向を望む。シリコンバレーは広大なので、
サンフランシスコから全貌は見えません。)


 意見交換は非常にクリエイティブでした。マイクロソフトからは、知財のアソシエイト・ジェネラル・カウンシルのうち、意匠担当のMr. Dana S. Rao(写真中央左)とMr. Andy Sanders(中央筆者の右)が対応してくださり、マイクロソフトのブランド・デザイン戦略について具体的にご説明していただきました。同社は日本への出願では、例えばコンピュータ用マウス(写真は最近の製品、Arc Touch Mouse。持ち運ぶときは平面に、使用時はアーク状に変態する優れものです。)やゲーム機などの意匠登録をしていますが、操作画面状のデザインやアイコンなども意匠、商標登録しており、世界のライバルからの差別化、ブランド競争力強化を進めています。


 なかでも意匠権の活用は重要な戦略だと言うことがよくわかりました。このようなデザインでブランドを守る戦略が明確に示されている企業には、同社やApple社などがありますね。なお、余談ですが、シリコンバレーでは写真の筆者のようなネクタイ、スーツ姿は全く似合いません。マイクロソフト社でも、Apple社の知財担当幹部にお会いしたときも、知財弁護士の皆さんほとんど全員スーツをお召しになっておられませんでした。


 また、昨年開設されたNEDOのシリコンバレーオフィスも訪問しました。所長は、スタンフォード大学MBAでもある小野寺修氏(右写真左側)。熱血漢と聞いていましたが、立ち上げ間もないNEDO事務所で、カリフォルニア、ニューメキシコ、ハワイなどを股にかけ、スマートコミュニティの実証事業などの業務を精力的にこなされていることがよくわかりました。このオフィスの設立は、筆者のNEDO時代から構想がありましたので、実際、稼働する拠点を見せていただいて大変感激でした。



 さらにスタンフォード大学を再訪し、同大の日本人学生・卒業生と交流しました。日本を出て世界に飛び立とうとしている若者と話をすると、こちらまで元気になります。残念ながら写真はありませんが、N社からMBAに派遣されている瀧トシオさん(最近は昔と違ってスタンフォード大学への日本企業からの派遣は大変狭き門のようです。頑張れ若者!)、東大を出て、医学系の博士課程の2年目宮崎勇典さん、東大TMIを飛び出してMBAに入り、卒業後はクラウドでも有名なEvernote社(*i)で活躍する近藤誠さんと、とてもスマートでかつコスモポリタンな若者達でした。皆さん、ご活躍ください。出来ればシリコンバレー魂を日本に移入してくださいね。


 こうして中味の濃い、久しぶりの西海岸の日々は、忙しく過ぎて行きました。彼の地の明るさと活気と夢ある環境がいつの日か日本にも根付くことを期待して。いつか「シリコンバレーを日本に。」実現しましょう!




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