第46回 サンフランシスコ/シリコンバレーにて−その1(国際商標協会年次総会)


 生涯二度目のサンフランシスコでしたが、暑くなりかけている東京とはうってかわって肌寒い小雨の降る5月でした。昨年に続き、INTA(国際商標協会年次総会)に併せて、商標三極会合の準備のため、日米欧の商標担当幹部がここサンフランシスコに集結しました。


(写真は、滞在最終日にやっと晴れたサンフランシスコ市街。ツインピークスから市街及びサンフランシスコ湾を望む。)


 三極会合のメンバーは、USPTOの新任、コーン商標コミッショナーと欧州商標庁OHIMのカンピーノ長官、それに筆者です。カンピーノ長官も昨年就任されたばかりです。なんと筆者が一番古顔?もっとも、コーンさんは長く、前コミッショナーをサポートされており、旧知の仲ですが。


 商標三極の準備会合では、次回12月の米国会合の日程、議題をはじめとする枠組みや準備作業についての合意がされるなど、成果を得て無事終了しました。会合メンバーの拡大についても議論されましたがこれは後日報告します。


 INTAの年次総会は今年が133回目で、伝統ある日本特許庁より歴史が古いという由緒あるものです。世界中から商標に関係する弁護士、弁理士、企業の知財部幹部、そしてWIPOをはじめとする政府・国際機関幹部・担当官が集結します。今年は、景気後退の影響が見えた昨年より1500人ほど参加者が増えて8500人の登録があったようです。現在のトップはドイツのダイムラー社の知財法務担当、バウアー氏です。氏は昨年の東京での商標三極会合ユーザーセッションで欧州ユーザー代表として来日されており旧知の方です。会長は毎年変わるので、実際INTAを仕切っているのは、事務局長のドリューセン氏のようです。


 INTAでは期間中、さまざまな知財に関するセッションが、朝から晩まで開催され、また世界の法律・特許事務所やトムソン・ロイター社のような知財サービス企業などが展示スペースにブースを構えています。政府関係では、WIPO(写真はWIPO職員と打ち合わせする綾商標審査官)、OHIM、KIPO(韓国特許庁)などが出展して、それぞれの商標制度などを広報しています。しかし、INTA年次総会の醍醐味は、こうした表に見える催しだけではなく、これを機に開催される各事務所同士の業務提携の相談、ユーザーである企業知財部と法律事務所との打ち合わせなど目に見えないところで行われている会合です。我々の商標三極準備会合や各国商標局長との会談なども同じ種類のものと言えるでしょう。また、INTAでは、USPTOやOHIMと各国ユーザーとのサブコミティーが開かれ、各庁とユーザーが意見交換を行っています。JPOも次回からこうした対応を行うこととしたいと考えています。


 今回、日本からは、東日本大震災直後の会合でもあり、日本特許庁が正常に機能していることをアピールし、また日本特許庁として、救済措置を講じていただいた世界の知財関係者へのお礼をするメッセージを発表し、これがINTA会場で参加者に広く配布される「INTA Daily News」に筆者のへのインタビュー記事として掲載されました(写真。なお、筆者の顔写真は、紙面の都合により?掲載されませんでした。)。


 INTA年次総会恒例の最終日のグランドフィナーレは、カリフォルニア科学アカデミー(科学展示博物館)を借り切って行われました。写真はエントランスで披露された和太鼓のパフォーマンスです。そういえば、サンフランシスコには日本人町があって、日本人コミュニティが発達しており、お世話いただいた桑原智隆領事によれば、日本にいるときより和太鼓を楽しむ機会が多いそうです。



 会場では、昨年のボストン科学博物館もそうでしたが、科学を子供達に理解させるための様々なインタラクティブな工夫が館内にありました(撮ったビデオをお見せしたいところですが、ちょっと重いのであきらめます)。日本も上野の科学博物館などは、最近相当頑張っていますね。
(次回はシリコンバレーのお話をします。)





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